【監修:青山健一】
目 次
大人になってから歯並びが気になり、コンプレックスに感じる方もいます。以前はそれほど気にならなかったのに、気になりだすと仕方ありません。
そもそも、今まで気にならなかったところが急に気になりだしただけなのか、それとも実際に歯並びが悪くなったのかどちらでしょうか。
骨の成長が止まったと思われる大人でも、歯並びは変化するのかみてみましょう。
大人になってからも歯並びは悪くなる?
歯並びの良し悪しを気にするのは、子どもの時期だけだと思っていませんか。
歯並びが悪い場合は、子どものうちに矯正で整える。そして、大人になれば多少の差があるにしても、大抵の方は歯並びに大きな問題はないように思っている方もいます。
しかし、大人になってから歯並びが悪くなることもあるのです。まずはその主な原因を説明します。
30代で歯並びが悪くなる主な原因
30代というと大人ですから、骨の成長も止まり、歯も生えそろっているため歯並びが悪くなるということは考えにくいかもしれません。
しかし、大人になってから歯並びが悪くなる原因はいくつかあります。30代で歯並びが悪くなる原因について説明します。
歯ぎしり
睡眠中の歯ぎしりには、強い力がかかっています。その力は50㎏とも150㎏ともいわれており、それが無意識下で行われているのです。
この数値をイメージしやすいように、わかりやすいものに置き換えてみると大人の体重が想像しやすいのではないでしょうか。
歯ぎしりを日常的に行っていた場合、歯がすり減り大きさが変わる・歯の向きが変わる・歯が移動するというのは容易に想像できますよね。
また、歯ぎしりは歯の表面にあるエナメル質を削ってしまうことで象牙質が露出し、知覚過敏を引き起こすことがあります。
歯ぎしりの原因はストレスや噛み合わせなどがあり、それにより対策や治療も異なります。まずは歯科医に相談してみましょう。
歯周病・虫歯
歯周病とは、歯の周りの歯茎や歯を支える骨が溶けてしまう病気です。骨が溶けてしまうため、歯はぐらつき、歯が動きやすくなり歯並びが悪くなります。
「歯がぐらつく」と聞くと少し怖く感じますが、歯周病は歯茎の中で進行するため見た目にわかりにくい病気です。
まず、ぐらぐらしていても歯茎に埋もれるように沈むため発見が遅れることがあります。早期発見には定期的な検診が大切です。
また、虫歯も歯並びを悪くする原因になります。歯が抜けたり欠けてしまうのはもちろん、虫歯になると痛い方の歯で噛まなくなりますよね。そのため左右のバランスが乱れ、歯並びが悪くなります。
親知らず
親知らずは一般的に上下左右に1本ずつありますが、もともとない人や4本揃わない人など個人差があります。
また、永久歯が15歳前後で生えそろうのに対して、親知らずは10代後半から20代前半に生えてきます。
親知らずが生えるまでに既に永久歯がきれいにぴったり並んでいる場合、親知らずが生えてくるスペースがありません。そのため、他の歯に力が加わり歯並びが悪くなるのです。
また、親知らずも生えてきれいな歯並びだったところ、何らかの理由で親知らずを抜歯することがあります。
そのときには抜歯により余分なスペースができ、他の歯が動いてしまいます。
それも大人になって歯並びが悪くなる原因の1つです。
なお、親知らずを抜歯する理由は、虫歯の他に親知らずが斜めに生えている場合があります。これは今後の虫歯や歯周病などのトラブルを防止するために抜歯を提案されることがあります。
生活習慣
普段何気なく過ごしている生活の中にも、実は歯並びを悪くする生活習慣が含まれているかもしれません。
例えば、気が付くと頬杖をついていたり姿勢が悪くなっている・口呼吸になっている・柔らかいものばかり食べてしまうなどはありませんか。
いつも横向きやうつ伏せで寝ている方も注意が必要です。
まずは生活習慣を見直してみることが大切です。もし、直した方がいい習慣が見つかれば、意識して生活してみることをおすすめします。
歯並びが悪い状態を放置するリスク
歯並びが多少悪くても気にしない方もいます。大人になるとモデルや芸能人でもないと人から指摘されることもありませんし、歯並びが悪い状態に慣れているため困ることも少ないのかもしれません。
しかし、悪い歯並びをそのまま放置することのリスクをご存知ですか。意外と知らないリスクを説明します。
歯周病が悪化する
歯周病は細菌の感染による病気です。そのため、口内を清潔にすることが歯周病の予防になります。
しかし、歯並びが悪いと歯周病になりやすくなります。その理由は、歯並びが悪いと普段の歯磨きでは磨きにくい場所等があり、磨き残しがでてしまうためです。
歯と歯が重なりあっていたり、歯列がでこぼこしていると一生懸命歯磨きをしてもきれいに磨きあげるには大変です。
また、歯並びが悪いと口呼吸になっていることがあります。口呼吸は乾燥した空気を直接口に取り込むことになり、口内が乾燥状態になります。
口内が乾燥するということは、歯周病の原因となる細菌が活動しやすい環境になるため歯周病が悪化するリスクが高まります。
顎関節症につながる
食べ物を噛むと顎のあたりが痛い、口が開けにくい・開けると音がなるといった症状の顎関節症をご存知ですか。
顎関節症の原因は、歯ぎしりやストレス、頬杖をつくなどの生活習慣がありますが、歯並びの悪さも原因の1つといわれています。
歯並びが悪いことにより噛み合わせが悪く、顎に過度の負担がかかっていることがあります。
顎関節症は、放っておくと肩こりや腰痛・背中の痛み・頭痛やめまいを引き起こすことがあるため予防が大切です。
まずは、顎関節症予防のために心あたりがあれば、歯科医に相談することが重要です。以下のリンクから無料相談の予約ができます。
30代で受けられる代表的な矯正治療方法
歯科矯正というと子どものイメージが大きく、30代大人の場合の矯正の種類・期間、始めるタイミングについても気になりますよね。
ここでは30代で受けられる代表的な矯正について紹介します。
ワイヤー矯正
一般的な矯正方法で、歯の表面に金属製のブラケットとよばれる矯正装置を取り付け、そこにワイヤーを通して力を加える矯正方法です。
ワイヤー矯正は目立ってしまうというデメリットもありますが、金属製以外にプラスチックやセラミックなど審美ブラケットという目立たないものを選ぶこともできます。
ワイヤー矯正は適応できる範囲が広く、さまざまな症状に合わせて治療することができます。
マウスピース矯正
患者さんそれぞれの歯型をとり、それをもとに透明なマウスピースをオーダーメイドでつくり、それを装着することで矯正をしていく矯正方法です。
マウスピースは透明なため目立ちにくいのが人気の理由です。また、食事や歯磨きのときには簡単にはずせるため普段通りに食事を楽しみ、歯磨きもできます。
ワイヤー矯正よりも弱い力で矯正をするため、痛みは少ないといわれていますが、矯正期間が長くなることもあります。
インプラント矯正
インプラント矯正というと、「抜歯してインプラントにするの?」「外科手術になる?」などインプラント治療を想像してしまうかもしれません。
しかし、インプラント治療とインプラント矯正は別物であることを理解しておいてください。
確かに、どちらも骨に穴をあけてネジを埋め込みますが、目的もネジの大きさもちがいます。
インプラント治療は失ってしまった歯の代わりとして、人工歯根を埋め込み、歯を補うものになります。
一方、インプラント矯正は小さなネジを歯茎の骨に固定し、そのネジにゴムやワイヤーをひっかけ歯を動かす矯正方法です。
なお、インプラント矯正のために固定したネジは矯正装置のため、矯正が終了したら取り外します。
部分矯正
「前歯が気になる」「この歯、目立つよね」など気になった部分だけ矯正する方法を部分矯正といいます。
具体的には、一部のみワイヤー矯正を行うのが主流になっている矯正方法です。
部分修正は、気になるところのみをきれいに矯正するため、期間も短く・安く矯正できる点が魅力です。しかし、歯の状況によっては部分矯正ができないこともあります。
まずは歯科医に相談し、矯正計画を検討してみましょう。
30代で矯正する際の注意点
30代で矯正を始めようとやる気が沸き起こっても、実はすぐに矯正が始められないことがあります。
見た目だけでは分からないこともあり、事前にレントゲンを撮り、歯科医と矯正計画を立てることが重要です。
とくに、虫歯や歯周病がある場合は、矯正をすぐに始めることができません。まずはそれらの治療から始めることになります。
口腔状態によっては矯正治療ができない可能性がある
矯正をしたいと思い立っても、虫歯や歯周病以外に口腔の状態で、矯正が出来ない場合もあります。例えば歯槽骨とよばれる骨がない場合等です。
歯槽骨とは歯を支える骨のことですが、歯周病により溶けてしまっていたり、抜歯により支える歯がなくなったときに次第に失っていき骨がなくなります。
この歯槽骨がないと矯正で歯を動かそうとしても、そこに歯槽骨がなければ歯が支えられなくなります。
そういった場合は歯科矯正がむずかしくなるため、日ごろからのケアが大切です。
外科的手術が必要となる場合もある
症状によっては、通常の歯科矯正だけでなく、外科的手術も組み合わせることもあります。
例えば、上顎・下顎のどちらかまたは両方の大きさ・形・位置などに異常がみられ、咬合にも異常をきたしている「顎変形症(がくへんけいしょう)」などです。
この症状は、顎が横にずれて顔が曲がってしまっている場合や、下顎が前に出てしゃくれていたり、下顎が小さく後ろに下がったりする場合があります。
これらは咀嚼・嚥下・発音・審美などさまざまな面において障害を引き起こすことがあるのです。
外科的手術と聞くと不安になるかもしれません。しかし、矯正により噛み合わせや審美が改善されます。
信頼できる歯科医に相談することが重要です。以下のリンクから無料相談の予約ができます。
歯並びが悪くならないよう予防するには
矯正をすることにより、見た目だけでなく噛み合わせも改善することができます。しかし、矯正はある程度の手間と期間、費用がかかります。
出来れば矯正の必要がないくらい、歯並びが整っていると嬉しいですね。では、歯並びが悪くならないよう、予防する方法はあるのでしょうか。
予防方法はいくつかあります。例えば、頬杖をついたり、横向き・うつ伏せで寝ていませんか。また、虫歯を放置していたりしませんか。
これらは歯並びが悪くなる原因になるものです。食生活や生活習慣の見直し、定期的な歯科検診が重要です。
歯並びが悪くなったと感じたら歯科医に相談
大人になって歯並びが悪く感じたら、それは気のせいではなく、実際に悪くなっているかもしれません。
悪い歯並びを放置しておくことで発生するリスクがあることを理解して、早めに歯科医に相談してみましょう。
まとめ
30代の大人になっても歯並びが悪くなることはあります。まずはその原因を知り、予防をすることが大切です。
しかし、歯並びの悪さを自覚したら、放置せずに歯科医に相談しましょう。放置することのリスクを考え、早めに数ある矯正方法から自分にあったものを検討することが大切です。