【監修:青山健一】
目 次
インビザラインは薄いマウスピースを使った矯正治療です。世界で1番の実績があり、患者さまの負担が少なく矯正できます。
しかし、マウスピースを使っての矯正は「どのように歯並びを治していくの?」と気になる方も多いですよね。
インビザラインは歯の遠心移動を利用して矯正をする治療方法です。そこで、インピザラインの特徴や歯の遠心移動について詳しく解説します。
歯の遠心移動の概要
歯の遠心移動とは、「歯を奥歯の方に動かすこと」です。
きれいな歯並びにするために、出ている前歯や凸凹になっている歯を収めるスペースが必要になります。
そのスペースを作るために、抜歯や遠心移動、歯の表面を少し削るIPRという方法が用いられています。
抜歯は確実にスペースをたくさん確保できますが、今回ご紹介している遠心移動は抜歯をしなくてもスペースを作る事ができるのです。
遠心移動は1番奥の歯から順番に後ろの方へと移動させるため、始めに1番奥の歯を動かし、1番奥と奥から2番目の歯の間にすき間を作ります。
次に、奥から2番目と3番目の歯の間、3番目から4番目の歯の間にスペースを作り、順番に歯を奥歯の方へと動かすのです。
徐々に後ろの奥歯からスペースを作っていくと、出ている前歯や凸凹の歯を遠心移動でできたスペースに収める事ができるようになります。
そして最終的に、整ったきれいな歯並びとなるのが遠心移動なのです。
インビザラインは歯の遠心移動に有効
歯列矯正で歯を動かす方法には、歯体移動と傾斜移動の2種類があります。
歯体移動は、根元から動かし歯全体を移動させる方法、傾斜移動は歯の根本はそのままで歯の向きや位置を動かす方法です。
インビザラインは歯体移動が得意で、歯を平行に根元から移動させる事ができます。そのため、歯の遠心移動に有効とされています。
インビザラインの特徴
遠心移動に有効なインピザラインは、世界で1100万人を超える方が治療した実績を持っています。多くの方に選ばれたインビザラインの大きな特徴は下記の2つです。
- マウスピースを使用
- 非抜歯治療
マウスピースを使用
インビザラインの大きな特徴は、医療用のマウスピースを使って矯正治療をする事です。
透明で薄さが0.5mmのマウスピースを使うため、口の中の違和感が少ない治療ができます。
その他にもマウスピースの矯正治療は下記のようなメリットがあります。
- 透明なため目立たない
- 金属アレルギーの方が安心して矯正できる
- 自分自身でつけ外しができる
- 清潔に保てる
- 食事がしやすい
- 薄いため話しやすい
インビザラインは、マウスピースを1週間~2週間に1度交換しながら矯正をしていきます。
1つのマウスピースで0.2~0.25mm歯を動かすため、1ヶ月~2ヶ月で1mm動かす事ができるのです。
数mm単位の矯正がマウスピースでは可能で少しずつ動かしていくため、他の矯正治療よりも痛みが少ないとされています。
インビザラインは、ワイヤー矯正よりも目立たずに痛みが少ない矯正治療です。
非抜歯治療
歯を抜かない非抜歯治療もインビザラインの特徴です。
矯正治療は、歯を動かして歯並びを治しますが、出ている歯を収める事のできるスペースが必要となります。
そこで、歯を抜かずに矯正ができる治療がインビザラインなのです。
歯並びが悪くても抜歯をせずに本来の28本ずつの歯を残したまま治療する事ができます。歯を動かす事ができるのは、最大で1ヶ月に1mmほどです。
抜歯をすることで歯を動かすためのスペースの確保ができますが、抜歯をすると動かす距離が長くなるため、より時間がかかる事があります。
インビザラインはマウスピースで徐々に歯を動かすため、抜歯せずに矯正をする事ができるのです。
抜歯せずに治療ができるかどうかなど気になる場合は、下記のリンクから無料相談を予約し歯科医師へ相談してみましょう。
適用可能な症例
以前は、ワイヤー矯正でしか治せないと考えられていた症例でも、マウスピースでの治療ができるようになりました。
インビザラインで治療可能な症例を紹介します。
出っ歯
インビザラインは、上の歯が出っ張っている出っ歯に適応しています。
上のあごが前の方に出ているため、上の歯が下の歯よりも突き出ている事が特徴です。出っ歯には下記の原因が考えられています。
- 指をしゃぶることによってあごの位置がずれている
- 無意識に前歯を舌で押し出している
- 遺伝
- 骨格によるもの
骨格や状態によっては抜歯が必要となる場合もありますが、インビザラインだけで治せる場合もあります。
叢生
叢生(そうせい)は、歯並びが凸凹で入り組んでいる状態です。
八重歯も叢生の1つで、その他にも歯がねじれて向きが違っていたり重なり合っていたりすることが多く凸凹に見える事が特徴です。
叢生になる原因として、歯があごに対して大きい・あごが小さい・別の場所から生えてくるというケースが多いです。
一見歯を抜かなければならないと思われる叢生も、インビザラインで治療が可能です。
インビザラインが得意な遠心移動で奥歯の奥にあるスペースに歯を移動させ、徐々に位置をずらしていく事で歯並びを治すことができます。
受け口
下の歯が上の歯よりも前に出ている状態を受け口といいます。下の歯が前に出ているためにあごが出て、しゃくれているといわれる状態です。
下あごの方が大きい・下あごが過度に成長している・上あごの成長が不十分・下の前歯だけが出ている場合になりやすい傾向があります。
受け口もインビザラインの治療が適応となり、インビザラインで歯並びを治す事もできます。
インビザラインによる歯の遠心移動の注意点
インビザラインは歯の遠心移動に有効な方法で抜歯をしない治療の方法ですが、注意しなければならない点があります。それが下記の2つです。
- 重度の症状であれば抜歯が必要
- 失敗するリスクも考慮する
注意点をしっかり知って歯の遠心移動の治療を受けると安心して治療が受けられるため、デメリットや注意点を知っておく事が大切です。
重度の症状であれば抜歯が必要
インピザラインは歯を根元から動かす方法ですが、マウスピースだけでは矯正ができない場合には抜歯が必要になります。
マウスピースで歯を覆って矯正を進めていくため、しっかり歯を覆える状態である事が大切です。
そのため、下記のようなマウスピースで歯を覆えない状態の場合は抜歯をすることがあります。
- 親知らずがある
- 歯の生えている向きや位置に問題がある
- 虫歯や歯周病でマウスピースをつけ続けることに問題がある
- 他の歯より小さい歯がある
- 歯が前に出てしまう状態
親知らずの場合、横向きや斜めに生えていたり歯茎に埋まっていたりするときには、歯を奥に動かせません。
そのような場合には、抜歯をして歯を動かすスペースを作る事が多いため、抜歯が必要となるのです。
歯がねじれて生えていても治せる場合には抜歯をしないケースもありますが、マウスピースで覆えないときには抜歯が必要になります。
これらのように、歯の状態や生え方などによって抜歯が必要なケースがあるのです。
矯正治療で抜歯が必要な場合、前歯と奥歯の間にある小臼歯(しょうきゅうし)を抜く事が多いです。
普段、私たちは前歯や奥歯で食事をする事が多いため、小臼歯を抜いても大きな問題はないとされています。
抜歯に抵抗を持つ方も多いかと思いますが、インビザラインはマウスピースで覆う事で効果を発揮するのです。
矯正治療を進める上で抜歯が必要な場合には、歯並びのために抜歯を検討してください。
失敗するリスクも考慮する
インビザラインでの歯の遠心移動は、失敗に終わる事もあります。「マウスピースなのに失敗する事があるの?」と心配になりますよね。
一見簡単に見えるインビザラインですが、難しい技術のため失敗してしまう事があるのです。
インビザラインの遠心移動でみられる失敗は、下記のものが考えられます。
- 歯が奥に動かない
- 無理な力がかかり歯の根本が露出する
- 以前より出っ歯になる
歯を奥に動かす遠心移動ですが、歯が動かずに失敗となるケースがあります。
また、無理な力が加わり歯茎の中にあるはずの歯の根本が出てくる可能性もあり得るのです。
奥歯が動かず前歯がさらに出てしまうケースがあり、上記のような失敗の可能性もゼロではないため、リスクを知って治療をするようにしましょう。
歯の遠心移動が失敗する原因
インビザラインにおいて、歯の遠心移動が失敗する原因として下記の3つが考えられます。
- あごの骨の奥行が浅い
- 親知らずを抜いていない
- 顎間ゴムの使用量が少ない
顎の骨の奥行が浅い
あごの骨の形や大きさ、奥行きなどは1人1人違います。
奥行きが浅い方は、歯を奥に動かす距離が短いため、遠心移動が失敗してしまう事があるのです。
親知らずを抜いていない
見えている親知らずや歯茎の中に埋まっている親知らずは多くの場合、抜いてから遠心移動を始めます。
しかし、親知らずが骨の中に埋まっている場合に遠心移動をすると、歯の根本が親知らずに邪魔され失敗となるケースがあるのです。
顎間ゴムの使用量が少ない
インビザラインは、マウスピースを付け替えるごとに新しい顎間ゴムを使い、このゴムの引っ張る力で遠心移動をしていきます。
しかし、付け忘れや決められた時間を守らずに治療を進めると失敗に終わる事があるため、しっかり顎間ゴムは付けるようにしましょう。
インビザラインによる歯の遠心移動は専門医に相談を
インビザラインの遠心移動は、難しい技術でリスクや失敗の可能性があります。
1度治療を始めると他に転院をする事ができないため、インビザラインの経験が豊富で実績のある専門医を選ぶと安心です。
遠心移動はすべての歯を動かす必要があり治療にも時間がかかります。失敗となった場合にはさらに治療の時間が伸びるため、経験のある専門医に相談をするようにしましょう。
治療を始める前にクリニックの雰囲気や治療のことなど気になる場合は、下記の無料相談を予約し実際に歯科医師に相談してみてください。
まとめ
インビザラインの特徴や、マウスピースによる遠心移動について紹介しました。
難しい技術なため失敗のリスクはありますが、マウスピース矯正は取り外しができて目立たないなど多くのメリットがあります。
抜歯をせずに矯正治療ができるインビザラインですが、抜歯が必要な場合には抜歯をすることで歯並びがきれいになることを期待できる治療法です。
矯正治療の実績の多い歯科医師を選び、しっかり相談をするようにしましょう。