【監修:青山健一】
目 次
矯正後のシミュレーションをするメリットとは、顎や歯列がかわると表情が変わるため、より治療終了後のイメージがしやすくモチベーションにもつながります。
叢生や開咬が治療されても見た目には影響しないと考えている方も多いため、骨や歯列の説明をする際に用いると理解もしやすいです。
インビザラインのメーカーがシミュレーションのサービスを提供してる他、歯科医院独自で口腔内スキャナを設置している所もあります。
シミュレーションの方法やSmile Viewと呼ばれるシミュレーションサービスをみてみましょう。
矯正後の歯並びはシミュレーション可能
髪型を変えた自分を画像作製できるように、治療を受ける前でも矯正後の歯並びはシミュレーションする事が可能です。
患者様の歯列はさまざまで悩みも全く異なります。中には顎の骨を削る治療も必要な場合や顎を拡大する装置で鼻の形が変わることも。
患者様が矯正治療を開始すると決めるまでは、非常に不安な気持ちになることが少なくありません。
昔は矯正技術も限られた方法のみで、成人矯正も症例が少なかったため、歯型を採取したりレントゲンで口腔状況を判断していました。
現在は、インビザラインなどの高度なマウスピース型矯正器具の発明によりデジタル化が進み、3Dによるシミュレーションが可能です。
3D画像で確認できることが多い
3D技術は近年急成長し、いろいろな分野に影響を与えていますが、歯科業界でもマウスピース型矯正器具の精度を高めるために、高性能歯型3Dスキャン装置が開発されました。
インビザライン矯正の際口腔スキャナが導入される前は、患者さんの歯型やレントゲンを採取し、データをメーカーに送りマウスピースを作製依頼していました。
しかし、歯型やレントゲンだけでは、目の届かない歯の内側の部分などが曖昧になる事が多くトラブルも少なくありません。
高性能歯型スキャン装置は、口腔内をレーザーで照射し多方面から歯列を一瞬で撮影し、精巧な立体映像として再現します。
装置を導入する矯正歯科医院も増えており、矯正の目的以外にも虫歯の発見や治療中の経過観察なども可能です。
無料で利用できる場合も
口腔内スキャナ装置を使った精密検査は、インビザライン矯正に使われるアライナーの作製や矯正計画の見直しなどで使用するため、検査料は有料です。
一方、無料で患者様の矯正後のシミュレーションのイメージを作製できる方法があります。
インビザラインメーカーが提供しているSmile Viewは、たくさんのインビザラインの症例データをもとに開発されたシミュレーションシステムです。
事前登録が必要ですが、無料でインターネット上からどなたでもご利用頂く事ができます。
矯正後のシミュレーションをするメリット
矯正後のシミュレーションをするメリットは大きく分けて4つあります。どれも治療開始前には必要な点ばかりです。
ごく稀に、以前採取されたデータがあるからと治療前の精密検査を辞退される患者様がいらっしゃいますが、日数が経過している場合は再度検査が必要です。
矯正後のシミュレーションの主なメリットをみてみましょう。
歯科医とイメージのすり合わせができる
矯正後のシミュレーションをするメリットは、歯科医とのイメージのすり合わせができる事です。
専門家にとって常識的な考えでも患者様と歯科医の認識が異なれば、歯科医に任せたら想像と異なる結果だったという事も起こりかねません。
3Dでのシミュレーションなら可視化できるため、患者さんが専門用語で理解する必要もなければ想像との食い違いも最小限に抑えられます。
矯正治療前にイメージをすり合わせて、より具体的な治療計画を完成させましょう。
細かい部分まで確認できる
今まではシリコンの歯型を採取する場合、気泡の混入や細かい隙間が把握できない事もありました。
インビザライン矯正は、アタッチメントと呼ばれるチップを歯に取付け、その上にアライナーを被せます。
ワイヤー矯正は取付ける歯科医の判断で対処できますが、インビザライン矯正器具の作製は患者様がその場にいるわけではありません。
しかし口腔内スキャナで作るシミュレーションなら、細かい部分まで反映する事が可能になり、インビザラインの密着精度が高まります。
複数の治療方法が検討できる
3Dシミュレーションが出来上がると、患者様と歯科医の話し合いが始まります。
歯列矯正は患者様の骨格や呼吸への影響も大きく、歯並びが綺麗になるからといってやみくもに抜歯するべきではありません。
矯正方法は用途に応じてさまざまありますが、矯正期間や費用、患者様の年齢や骨の状態で矯正方法を組み合わせる事もあります。
また患者様が希望している歯列の状況を目指すなら、希望されていた治療法以外の提案を歯科医から差し上げる事も少なくありません。
3Dシュミレーションを作製すると状況が詳しくわかるため、解決策がより多くなれば快適に短期間の治療方法がみつかる可能性もあります。
スマホからも画像が見られる
メーカーが提供しているSmile Viewはスマホからでも画像が確認できるため、データがかさばる事もなく持参忘れもありません。
画像をご家族の方へシェアする場合も、画像を添付して相手に簡単に送れるため、忙しい会社員の方にとっても便利です。
矯正後の歯並びをシミュレーションする方法
メリットが沢山ある歯並びのシミュレーション作製ですが、具体的な手順をご紹介します。
特に口腔内スキャナをつかった3Dによるシミュレーションの場合、設備が対応しているか事前に問合せが必要です。
インビザライン矯正治療以外でも、矯正をする際にはご希望の場合シミュレーションが可能です。詳しくは歯科医にお問合せください。
口腔内スキャナ
CTスキャンは放射線の影響を心配する声もありましたが口腔内スキャナは近赤外線による光学スキャンのため体にも安全です。
さらに、口腔内スキャナは光学カメラを口腔内にいれて1分程度でスキャニングが完成します。
データ採取はこれだけです。今までのシリコンの歯型採取では数時間もかかる上に、患者さんが吐き気をもよおすなど非常に大変な作業でした。
口腔内スキャナができる装置は数多くありますが、アライナーの作製を連動できるスキャナ装置は日本ではアライン・テクノロジー社のiTeroシリーズのみです。
インビザラインのSmile View
インビザラインのSmile Viewはインビザラインを製造しているアライン・テクノロジー社が開発したウェブサービスです。
クラウドに蓄積された世界中のインビザライン治療症例データに基づき、患者様の症例に近いケースに写真をコラージュします。
専門知識がなくてもセルフィーを携帯で取って送るだけで、手軽に矯正後のシミュレーションができるためインビザライン矯正以外の患者様にも好評です。
Smile Viewでは患者様のデータ登録と歯科医院の情報を登録します。
矯正後の歯並びを知りたい方、インビザライン矯正でどのように顔が変わるか興味がある方は無料矯正相談をご利用ください。
Smile Viewの利用の流れ
Smile Viewの利用の流れは非常に簡単です。PCからとスマートフォンでは操作方法が異なるためご注意ください。
Smile Viewのご利用には、治療予定の歯科医院のQRコードが必要です。医院においてあるQRコードを読み込むとSmile Viewサイトへリンクします。
「写真を撮影する」をクリックすると携帯のカメラが起動し、セルフィー写真をとってアップロードするだけです。
アップロード後、約60秒で矯正後の画像イメージが送られてきます。その画像を登録した歯科医にもシェアする事が可能です。
シミュレーション画像の問題点
シミュレーション画像の問題点は、写真はあくまでイメージだという点です。
鮮明なイメージをみてしまうと錯覚してしまうのも無理はありません。しかし、あくまで治療計画を立てるための指標だという事を覚えておきましょう。
イメージ通りになるとは限らない
特にSmile Viewに関しては、でてきたイメージ通りになるとは限らないと考えておきましょう。
患者様が描く理想も理解していますし、歯科医もできれば患者様のご希望に添えたいと考えています。
しかし、イメージはあくまでAIによる自動計算によって作製されたコラージュです。実際に保証もできません。
iTeroは、3Dシミュレーションで患者様の歯を分析し非常に精密な治療計画をたてるのに役立ちます。
しかし歯槽膜や歯根の状況などが把握できず、シミュレーションには反映されていないためイメージ通りになるとは限りません。
治療計画が変更されることも
歯表の精密な3Dシミュレーションのおかげで、治療計画の精度は前よりもかなり精度が高くなってきました。
一方で、治療開始後アンキローシスや歯周病による虫歯など、矯正器具を装着して初めてわかる事もあります。
治療計画が変更されることは珍しい事ではありませんが、変更に伴い再度口腔内スキャナを撮影しなくてはなりません。
口腔内スキャナで自分の歯列状況を知りたいという方は下記の無料相談をご利用ください。
歯列矯正は歯科医とのコミュニケーションが大切
歯列矯正は、歯科医とのコミュニケーションなくして成功できません。
どんな最新技術でシミュレーションを行ったとしても、歯科医師は目の前の患者様の歯列状況をみて判断していきます。
治療計画の作製時には歯科医の提案だけではなく、患者様の理解がどれだけしっかりしているかも重要なポイントです。
特に歯列矯正は一度始めると、歯科医とのやりとりが長期間必要なため、矯正計画を決める際に歯科医とのやり取りがスムーズかチェックしましょう。
歯列矯正で理想の歯並びを手に入れたいなら
歯列矯正で理想の歯並びを手に入れたいなら、矯正治療に関する正しい情報を集め、専門家に相談する事です。
成人の歯列矯正はマスクで顔を隠せる日常が多いため、ここ数年非常に増えていますが、それに比例して治療のトラブルも少なくありません。
理想の歯並びを手に入れるためには、まず信頼できる歯科医院選びから行うべきです。
まとめ
矯正治療前に、矯正後の自分の顔が想像できるとモチベーションが違います。そのため矯正治療に期待をしてしまうかもしれません。
シミュレーションを行う理由は治療計画をスムーズにするためで、あくまで予想です。
3Dの口腔内スキャナーもSmile Viewもあくまでデジタル処理されたデータにすぎず、実際に向き合うのは患者様と歯科医です。
患者様と歯科医の関係がきちんと成り立っていれば、どんな矯正方法でも必ず成功します。まずはシミュレーション、そして信頼できる歯科医院をみつけてください。