【監修:青山健一】
目 次
矯正治療中にはさまざまなトラブルがつきものです。お口の中の痛みや腫れ・出血だけでなく矯正装置が外れる・壊れるなどのトラブルも珍しくありません。
この記事では、矯正治療中に使用するパワーチェーンが外れたときの対処法や交換する目安について解説しています。
パワーチェーン以外のトラブルについてもご紹介しているため、矯正治療中のトラブルについて気になっている人はぜひ参考にしてください。
矯正治療中にありがちなトラブル
まずは、矯正治療中によくあるトラブルをご紹介しましょう。代表的なトラブルは次の3つです。
- 歯茎の腫れ・出血
- 口内炎になる
- 矯正装置が外れる・壊れる
それぞれ詳しく解説していきます。
歯茎の腫れ・出血
歯茎の腫れ・出血は、矯正治療中に相談が多いトラブルの1つです。歯茎の腫れ・出血が起こる原因は歯磨きが行き届いていないことにあります。
歯と歯茎の隙間の磨き残した部分に細菌が付着すると歯茎が炎症し、腫れて出血を引き起こします。歯茎の炎症を放置してしまうと歯周病へと進んでいくのです。
矯正治療中に歯周病になってしまった場合、いったん矯正治療を中断しなければなりません。
ただでさえ時間がかかる矯正治療の期間がさらに延びてしまうと、継続も難しくなります。矯正治療を始めたら、今まで以上に丁寧な歯磨きを心がけましょう。
治療中はどうしても矯正装置が邪魔になって歯磨きしづらく、食べ物のカスがブラケットやゴムにたまってしまいます。
しかし、定期的に歯科医院を受診し、歯磨きがきちんとできているかのチェックを受けたり歯をクリーニングしたりすることで歯周病の発症は防げます。
丁寧に歯磨きしているのに腫れや出血が続く場合は違う原因も考えられるため、早めに歯科医院に相談しましょう。
口内炎になる
矯正治療中に頬や唇の内側に口内炎ができると、痛みで食事や歯磨きがしづらいといった支障が出ます。主な原因は次の2つです。
- 矯正装置と粘膜の摩擦
- ビタミン不足・ストレス
矯正装置が口の粘膜に当たるという場合は、ブラケットに矯正用のワックス(粘膜保護剤)をつける・マウスピースを削るなどの対処法があります。我慢せず歯科医院に相談しましょう。
ビタミン不足・ストレスなどが原因であれば、食事や生活習慣を見直すことで口内炎が改善されることもあるため試してみてください。
矯正装置が外れる・壊れる
矯正中に矯正装置が外れたり壊れたりすることも珍しくないトラブルです。日常生活の中では、食事・歯磨きなどのタイミングでよく発生します。
ガムやキャラメル・餅などの粘着性のある食べ物や、氷やピーナッツ・せんべいなどの固い食べ物を食べるときは十分注意しましょう。歯磨きのときに必要以上に力を入れすぎないことも大切です。
また、無意識に手や舌で装置をいじったり噛んだりしてしまうことも矯正装置の破損の原因となります。余分な力がかからないように日頃から気をつけましょう。
矯正装置が外れる・壊れるなどのトラブルが発生したら、速やかに歯科医院へ連絡して歯科医の指示に従ってください。破損してしまった器具は処分せず、受診時に持参しましょう。
次の章からは、パワーチェーンの特徴やパワーチェーンが外れたときの対処法を詳しく解説していきます。
パワーチェーンの特徴
パワーチェーン(エラスティックチェーン)は、ゴム製の小さな輪を鎖状に連結させたものです。歯の隙間を閉じたり、移動させたい方向へ歯を引っ張ったりする目的で使われます。
100g程度の弱い力で引っ張るため、パワーチェーンを装着したからといって違和感や痛みを感じることは少ないです。
強さが5段階で調節できるため、装着箇所によって使用するパワーチェーンの長さ(玉数)が違うことも特徴といえます。
パワーチェーンが外れたときの対処
パワーチェーンはそれほど強い力で固定されているわけではないため、気をつけていても日常生活の中で外れてしまうことがあります。
パワーチェーンが外れてしまうと矯正効果がなくなってしまうため、できるだけ早く歯科医院を受診することをおすすめします。
歯科医院を受診するまでに外れたパワーチェーンが邪魔になって我慢できないという場合は、自分でカットしましょう。パワーチェーンはゴム製のため、ハサミでカットできます。
カットする際は口の中の水分を清潔なガーゼなどでふき取り、口内や他の装置を傷つけないように注意して作業してください。
パワーチェーンを交換する目安
パワーチェーンに使用するゴムは2週間を過ぎると劣化が始まるため、3~4週間に1回交換が必要となります。
つまり、通院回数は1ヶ月に1~2回程度が目安ということです。歯並びの状態によってパワーチェーンの力加減の調節も必要となるため、定期的に歯科医を受診するようにしてください。
劣化したパワーチェーンの装着を続けると矯正効果が得られなくなり、治療期間が長くなってしまうこともあるため注意しましょう。
パワーチェーンの着色対策
パワーチェーンはゴムでできているため、着色汚れがつきやすく落としづらいのが難点です。パワーチェーンの着色汚れの対策について、次の章から詳しく解説していきます。
着色しやすい食べ物を控える
1つ目の対策は、着色しやすい食べ物を控えることです。着色しやすい代表的な食べ物をご紹介しましょう。
- カレー
- ケチャップ
- キムチ
色の濃い食べ物は基本的に着色しやすいと考えて問題ありません。上記の食べ物の食後は特に歯磨きを念入りに行いましょう。
通常の歯ブラシだけでなく歯間ブラシなどでゴムと歯の間の食べかすを丁寧に取り除くのも効果的です。
ストローを使う
2つ目の対策はストローを使うことです。アイスコーヒーやアイスティーなど、色の濃い飲み物を飲むときはコップから直接飲むのではなくストローを使用してみましょう。
ストローで飲み込むことで、ゴムに飲み物が触れるのを防げます。
ただし、ストローを使ったからといって必ず着色汚れが防げるわけではありません。できれば飲食後に歯磨きを行うのが理想です。
職場などで歯磨きが難しい場合も、口の中をゆすいで着色汚れができるだけつかないよう心がけましょう。
セルフケアを工夫する
3つ目の対策はセルフケアを工夫することです。前の章でも述べたとおり、飲食後の歯磨きや口をゆすぐことが効果的なのはいうまでもありません。
その他にパワーチェーンをきれいに保つ方法としておすすめなのは、パワーチェーンの交換前に色の濃い食べ物・飲み物を飲食することです。
着色汚れがついてしまっても、短期間であればそれほどストレスを感じずにすみます。自分なりの工夫をして、矯正治療を無理なく続けるコツを掴んでください。
セルフケアで改善できないと悩んでいるなら気軽に歯科医に相談してみましょう。下記のリンクから無料相談のお申し込みが可能です。ぜひご利用ください。
その他矯正装置のトラブルへの対処法
ここからはパワーチェーン以外の矯正装置のトラブルと対処法を解説していきます。ご紹介するトラブルは次の4つです。
- マウスピースが壊れた・紛失した
- ブラケットが外れた
- ワイヤーが外れた・折れた
- ワイヤーが後方から出てきている
なお、この記事で解説する対処法はあくまで応急処置となります。矯正装置に関するトラブルが発生したらまず歯科医院に連絡して、担当の歯科医の指示を仰いでください。
マウスピースが壊れた・紛失した
マウスピースが壊れてしまった場合、壊れたマウスピースをそのまま使い続けることは避けてください。口の中が傷つく原因となることがあります。
壊れたマウスピースは歯科医を受診する際に持参します。過去に使用していたマウスピースがあれば、応急処置として装着しておきましょう。
マウスピースを紛失した場合は新しく作り直すことになります。
ブラケットが外れた
ブラケットが外れてしまったら、歯科医院に連絡しましょう。
歯科医院に連絡をするときは、外れたタイミングや外れた部位・傷みの有無や生活に支障が生じるかどうかなどを伝えると歯科医も対応をスムーズに判断しやすいです。
ワイヤーが外れた・折れた
ワイヤーが外れた場合、ワイヤーがブラケットに差し込めるなら元の位置に自分で差し込みましょう。
折れたワイヤーが口内にあたって痛むのであれば、爪切りやニッパーで曲げるか切断するなどして対処します。
ワイヤーを切断する場合はワイヤーが口の中で飛ばないよう、切断する側を指でしっかり押さえておくことがポイントです。
ワイヤーが後方から出てきている
矯正治療が順調に進行していくと、余ったワイヤーが後方から出てくることがあります。矯正用のワックスがあれば、のりの要領でブラケットにくっつけるという応急処置が可能です。
市販のワックスを購入する場合、初心者であれば固まりにくいタイプの方が使いやすいですが、アレルギーなどが心配なら自己判断せず歯科医に相談することをおすすめします。
矯正装置のトラブルが不安なら歯科医院へ相談
矯正装置は、いずれ外すことを前提に装着しているものです。そのため、初期のころは外れやすく、トラブルが起きやすいといえます。
矯正装置のトラブルが不安という人は、対処法についてあらかじめ歯科医に確認しておくと安心です。
ブラケットやワイヤーのトラブルであれば、ワックスをもらっておくと応急処置が可能な場合もありますので相談してみましょう。
また、何かあったときに気軽に相談できる信頼関係を歯科医と築いておくことも大切です。
もしかかりつけの歯科医がいない場合は、下記のリンクから無料の矯正相談をご活用ください。
まとめ
矯正装置はいずれ外すことを前提としているため、どんなに気をつけていてもトラブルが発生してしまうことがあります。
パワーチェーンやブラケットが外れてしまった場合は自分で応急処置も可能ですが、そのまま放置しておくと治療期間が長引いてしまうことになりかねません。
矯正装置でトラブルが起こった場合はまず歯科医院に連絡し、できるだけ早く受診することをおすすめします。
自分にあった歯科医を見つけて、美しい歯並びを手に入れてください。