埋伏歯開窓術にかかる費用を歯科医が解説|治療にかかる期間や注意点もご紹介

【監修:青山健一】

埋伏歯開窓術にかかる費用を歯科医が解説|治療にかかる期間や注意点もご紹介

埋伏歯開窓術という治療方法を知っていますか?
開窓は切開という言葉に置き換えることができます。つまり切開して埋伏歯を出すという治療法です。

ここでは、埋伏歯開窓術の治療の流れと保険を適用した上での治療が可能なのかを詳しく説明していきます。

埋伏歯開窓術の概要

埋伏歯開窓術の概要

乳歯が抜けて、永久歯が出る時期を過ぎてもなかなか生えてこない状態の歯を埋伏歯といいます。
この場合、レントゲンで確認するのですが、多くのケースは、もう少し時間をおくと生えてくると予測ができます。

しかし、歯の位置による異常により、埋まったままで生えてこない場合があり、このケースは、待っていても生えてこないため、矯正力により歯を引っ張り出さなければなりません。
歯茎を切開し、埋まっている歯を露出させ正しい位置まで歯を引っ張り出す治療法を開窓術といいます。

歯肉を開いて埋伏歯を萌出させる

埋伏歯をそのまま放置しておくと、両隣の歯が寄ってきてスペースが無くなり、将来的には歯並びにも影響を及ぼすのです。
歯茎の中に埋まっている埋伏歯を表に出すために、歯肉を切開し萌出作業を行います。

埋伏歯は、肉眼で確認することができませんから、まずレントゲンで、埋伏歯の存在と場所を確認した上で治療を開始します。

外科手術の一種

埋伏歯開窓術では、部分麻酔を打ってから歯茎を切開し、埋伏歯を引っ張り出すという手術を行います。骨が溶かされていないまま歯が埋まっている場合は、歯の頭が見える部分まで骨を削ることがあるのです。
これは、口腔外科で行うため、埋伏歯開窓術は外科手術の一種とされます。

埋伏歯開窓術を伴う矯正治療の流れ

埋伏歯開窓術を伴う矯正治療の流れ

ここでは、埋伏歯開窓術を伴った矯正治療の流れをみていきます。
実際に治療を受ける場合、どういう順序を経て治療をすすめていくかを理解しておく必要がありますから、1度ここで確認をしてから治療に入ってください。

検査

検査

通常、乳歯が抜けて永久歯が生えてきますが、乳歯が抜けてからなかなか永久歯が生えてこないケースがあります。
乳歯が生え変わる時期になっても、永久歯の全部または一部が歯茎の中あるいは、あごの骨のなかに埋まったまま生えてこない状態が埋伏歯というものです。

埋伏歯は、肉眼で確認することが不可能ですからレントゲンで存在を確認するしかありません。

開窓術の実施

レントゲンにより埋伏歯の存在が確認できてから開窓術を実施します。
マルチブラケットを歯に装着し、埋伏歯のための萌出スペースを確保すると同時に、永久歯をできるだけ多く固定することにより牽引の準備も整えます。
開窓に必要な準備を整えたうえで、口腔外科医のもとで歯茎の開窓処置を行う流れです。

牽引治療の実施

開窓術により歯茎の内部に埋まっていた歯の根元を露出させます。そして牽引する歯にフックなどの牽引器具を取り付け、両サイドの歯に取り付けたブラケットワイヤーの位置まで牽引します。

スムーズに牽引できることが1番望ましいです。しかし、歯が並ぶスペースが確保されていない場合や、埋伏歯に気づくのが遅くなればなるほどスペースも狭くなっていることがあるため、うまく引き出せないというケースも考えられます。

牽引装置の撤去・矯正装置の装着

牽引装置の撤去・矯正装置の装着

口腔外科で開窓術を行った後、リンガルアーチという牽引器具で5~6ヶ月ほど牽引をしてから、マルチブラケットに器具を変更し6~7ヶ月ほど更に牽引を続け、適正な位置に歯を引っぱり出せた時に牽引装置を撤去します。

牽引装置を完全に撤去できるのは、11~13ヶ月ほど経ってからですが、歯の牽引は人によってかかる期間が異なり、短期間でできるものではないことは知っておいてください。

牽引装置を撤去した後は、そろえた歯並びが後戻りしないように保定装置を装着することになります。ワイヤーなどの矯正装置を装着しますが、最初の1週間程度は、痛みが出る可能性があるのですが、慣れてきて痛みを感じることがなくなります。

矯正装置の使い方を誤ると、治療期間が長くなるだけですから担当医の説明をきちんと聞くことが必要です。
治療について不安があるという方は、無料の矯正相談を活用することをおすすめします。
下記のリンクからご予約いただけます。

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埋伏歯開窓術にかかる費用

埋伏歯開窓術にかかる費用

埋伏歯開窓術のみの費用は、3~5万円の間ですが、歯の状況などにより費用は変わります。開窓術は、矯正治療の中に含まれるため、医療保険の適用はできません

一般的には、開窓術の後に牽引・矯正と治療していくケースが多く、その場合の費用は、40~80万円と高額になります。
費用を少しでも抑える方法は、早期発見・早期治療を行うことです。

埋伏歯開窓術は保険適用できるのか

埋伏歯開窓術は保険適用できるのか

歯列矯正は基本的に自由診療扱いとなるため医療保険の適用ができません。
しかし、「厚生労働大臣が定める53の疾患」というものがあり、該当する疾患が原因で咬合に異常がある場合には、医療保険適用が可能となりますが、「歯科矯正診断料算定の指定医療機関」を受診する必要があります。

埋伏歯の治療には、埋伏歯開窓術という外科手術が必要で、歯茎を切開して歯を引っぱり出さなければなりません。
この治療と同時に歯列矯正を行うことが認められるケースにおいて、歯列矯正を含めたすべての治療の保険適用が可能となるのです。

ただし、前歯3本以上の永久歯が埋まっていることが原因で起こる咬合異常という条件がありますから、決して自分で判断せず、医療機関で適用の可否を判断してもらってください。

埋伏歯開窓術に伴う矯正治療にかかる期間

埋伏歯開窓術に伴う矯正治療にかかる期間

治療期間はどのくらいなのかをみていきます。
埋伏歯には種類があり、歯が完全に埋まっている状態を完全埋伏、歯の一部でも口腔内に出ていれば不完全埋伏となり、埋伏歯開窓術を行う必要があるのは、不完全埋伏のケースです。

不完全埋伏の状態では、矯正器具を装着することができないため、開窓術により埋伏歯を露出させ歯を引っぱり出す必要があるのです。
しかし、一気に引っ張り出すことはできませんから、1ヶ月に1mmほどのペースで移動させていきます。

同時に歯並びなど矯正治療を行うと治療期間は約2年、その後、器具を使って保定する期間があるため治療完了までの期間は約4年という長期間に及びます。
保定装置の装着期間などを適切に守らない場合は、後戻りし治療期間がさらにのびることとなるため、装着時間は守りましょう。

埋伏歯開窓術に伴う矯正治療の注意点

埋伏歯開窓術に伴う矯正治療の注意点

埋伏歯開窓術に伴う矯正治療は、通常の矯正治療とは異なり注意点が多いです。ここで挙げる注意点は、自力で調整できることはほぼありません。
少しでも違和感がある場合は、すぐに治療を行っている歯科医院へ連絡して対処することをおすすめします。

歯や歯根が低形成になる場合がある

埋伏歯開窓術に伴う矯正治療には、年単位の治療期間がかかり、歯の移動方向などの要因によっては、歯根吸収という現象が起きます。
つまり、歯根が変形し、適切な長さより短くなる可能性があるということです。

この現象は、矯正治療のリスクとして挙げられますが、元々歯根が短い・歯槽骨の密度・不正咬合など個人的な事情によっても歯や歯根が低形成になる可能性があります。

歯肉退縮が起こる可能性がある

歯肉退縮とは、歯肉が下がり歯根が露出した状態のことをいい、埋伏歯開窓術に限らずマウスピース矯正など通常の歯列矯正でも起こる可能性があります。

埋伏歯開窓術では、歯槽骨を削ることがありますが、以前から噛み合わせが悪いことから歯槽骨が薄くなっていることがあるのです。
この状態で、矯正により歯に力を加えると歯槽骨の吸収が進んでしまい、歯肉が下がります。

また、矯正器具を装着している場合は、ブラッシングを過度に行いすぎて歯肉に傷をつけてしまうことにより歯肉退縮が起こることがあります。
矯正器具の衛生管理に問題がある場合も、歯肉退縮が起こるリスクになるため1日1度の洗浄など、最低限の衛生管理には気を配らなければなりません。

骨性癒着により歯が動きにくい場合がある

骨性癒着とは、歯と骨がくっついてしまう状態のことをいいます。
これは、乳歯・永久歯ともに発生することがあり、乳歯の時に骨性癒着が引き起こされていると永久歯の萌出障害がでてしまうのです。

骨性癒着が起きる理由は、歯根膜の損傷が理由です。歯根膜は、衝撃吸収と衝撃を逃がす役割を持っています。
何らかの衝撃で歯根膜の組織が傷ついた場合、しばらく固定させることで痛みがなくなる可能性があります。

元通りになるものの、傷ついた歯根膜が傷の治癒とともになくなってしまい、歯槽骨と歯根がくっついてしまうため骨性癒着が起きます。
骨性癒着が起きると、歯と骨が一体化しているため歯を動かそうとしてもビクともしません。その場合は、骨と歯根の癒着を切断する必要があり、歯を動かすことが難しくなるのです。

顎関節症の症状がでる場合がある

埋伏歯開窓術によって埋伏歯をうまく引っぱり出せた場合でも、噛み合わせが悪ければ、顎関節症の症状が出るケースがあります。
あごに痛みがある・口を開けない・カクッという音が鳴るという3つの異常が代表的な症状です。

歯ぎしりした時の噛み合わせあごの位置が正しい位置になっているかの2つによって顎関節症になりやすいかどうかがわかります。
開窓術後に噛み合わせが悪ければ、顎関節症の症状が出る可能性があるため、矯正治療も一緒に行うことをおすすめします。

埋伏歯開窓術に伴う矯正治療なら歯科医に相談

埋伏歯開窓術に伴う矯正治療なら歯科医に相談

埋伏歯開窓術を伴った矯正治療は、2年・3年という長期間に及ぶ矯正治療となります。
開窓術後の歯の牽引だけで10ヶ月前後かかり、その間は、牽引装置の調整でこまめに歯科医院へ行く必要があります。

とても高度な技術が求められ、牽引装置の調整も細かい精度が要求されるため、技術が高い担当医にお任せすることがおすすめです。
担当医を信頼できなければ、この治療を乗り越えることができません。

埋伏歯開窓術に伴う矯正治療を受けるかどうか悩んでいる場合は、あなたが納得するまでいくつかの病院をまわり、治療をまかせても大丈夫と感じられるところで治療を受けて下さい。

まとめ

まとめ

埋伏歯開窓術とその後の矯正治療について説明をしてきました。
埋伏歯は、肉眼で確認することができず、乳歯から永久歯に生えかわる時期にその存在に気づくことが多いため、永久歯への生えかわりが始まる前に1度歯科検診という形で、診てもらうことが大事です。

埋伏歯開窓術を伴った矯正治療は、費用が高額になることが多く、基本的に医療保険を利用することができません。
ですが、条件がそろえば、保険を適用することが可能なため歯科医院へ相談に行ったときに、保険が適用できるか確認することをおすすめします。




監修者:銀座青山You矯正歯科グループ 理事長・総院長 青山健一

理事長・総院長 青山健一 1965年 広島県呉市生まれ
1990年 広島大学歯学部卒業
1992年 南青山デンタルクリニック開院
2001年 医療法人社団 健青会 設立
2011年 日本で初めての「部分矯正専門医院」のYou矯正歯科を開設
2021年 You矯正歯科 池袋西口医院開設
2021年 You矯正歯科 広島紙屋町医院開設(銀座、青山等で9医院開院中)
▼総院長ブログ「幸せってなぁに?」もご覧ください。

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