【監修:青山健一】
目 次
美しい歯並びを目指す矯正治療にご興味のある方へ、この記事では全顎矯正治療の特徴や部分矯正との違い、また治療の種類・費用・注意点などをご紹介します。
全顎矯正にはお口の状況にあわせて選べるさまざまな種類があります。それぞれのメリットやデメリットもご紹介しますのでご参考になさってください。
全顎矯正は歯並びの良い歯になるだけでなく、上下の歯の噛み合わせを整えることも可能です。あこがれの歯並びになるための第一歩としてお役立てください。
全顎矯正の特徴
全顎矯正とは上顎と下顎の奥歯を含む、お口全体の矯正をする治療方法です。歯と顎の骨に徐々に力をかけて理想の歯並びを目指します。
気になる数本の歯を矯正する部分矯正との違いは、全ての歯を矯正するためより理想に近い仕上がりになるメリットがある点です。
歯並びのほかにも上下の歯の噛み合わせを良くする効果やフェイスラインを整える効果もあります。
しかし、歯を動かすスペースが足りない場合、歯を削ったり抜歯したりする可能性がないとはいえません。歯を大きく移動させるほど時間がかかり、高額になっていく治療方法とお考えください。
全顎矯正の中にはさまざまな種類があり「表側矯正」「裏側矯正」「マウスピース矯正」などが特に選ばれています。
全ての歯を動かす矯正治療
全顎矯正は上顎と下顎の全ての歯を動かすため、全体矯正とも呼ばれています。矯正の効果をより実感できる治療方法です。
歯並びや噛み合わせが悪いと、どうしてもお手入れがしにくいところがあり、虫歯や歯周病などになりやすいリスクがともないます。
全顎矯正で歯並びをスッキリ整えるとお手入れがしやすくなり、虫歯や歯周病などのリスクを回避できる効果が期待できます。
噛み合わせの治療ができる
歯の噛み合わせが悪い症例として、
- 出っ歯(上顎突出)
- 受け口(反対咬合)
- 八重歯
- 乱ぐい歯
- 開咬
が多く見うけられます。
全顎矯正はこれらの症状を全体的に矯正するため、歯並びはもちろん上下の歯の噛み合わせまで治療できるのが魅力です。
歯の噛み合わせが整うと、
- しっかり咬めるようになる
- 発音がしやすくなる
- 歯磨きがしやすくなる
- フェイスラインが整う
- 横顔がキレイになる
など、さまざまなメリットが期待できます。
全顎矯正と部分矯正の違いは?
全顎矯正は全ての歯に対して矯正を施すため、見た目が整うだけではなく噛み合わせの改善も目指せる治療方法です。
歯を全体的に移動させるので歯並びが整う効果が大きく期待でき、理想の歯並びと快適な噛み合わせにいっそう近づけたいとご希望される患者様に向いています。
顔全体のフェイスラインや横顔のシルエットが整うなど、お口の中以外の美容的なメリットも得られるのが魅力のひとつです。
また、部分矯正は一部の歯並びを矯正することが可能で、全顎矯正より手軽な一面があることから「プチ矯正」とも呼ばれています。
部分矯正は治療範囲が小規模なため、矯正装置による違和感や会話・食事への影響が少ないなど、生活面でのメリットがあります。
そのほかにも「費用を抑えたい」「治療を短期間で済ませたい」「ほんの一部分だけ矯正したい」という患者様に向いている治療方法です。
治療範囲
全顎矯正のうち、表側矯正と裏側矯正は上下顎の奥歯を含む口の中すべての歯に装置とワイヤーを取り付けて治療します。
次に、マウスピース矯正は上下の歯全体に透明なマウスピースを被せ、移動の段階に合わせて新しいものに交換しながら歯並びを整えていきます。
また、部分矯正は気になる一部分の歯に装置を付ける矯正方法です。主に前歯を含む4本から6本、上下をあわせて8本から12本を矯正する症例が多く見うけられます。
治療期間
治療期間は患者様の状況により異なりますが、平均的に全顎矯正は約1~3年、部分矯正は数か月~1年ほどです。
なお、矯正治療は実際に歯に装置をつけているときだけが矯正期間ではありません。ほかにも時間がかかると考えておいた方がよい期間があります。
それは
- 歯科医師による初診カウンセリング
- 精密検査
- 診断
- 治療方針の相談・決定
- 治療後に歯並びが戻ってしまう「後戻り」を防ぐため、歯を保定する保定期間
- 経過観察
- アフターケア
などの期間です。特に「いつまでに治したい」とご希望の期限がある方は、治療に入る前に歯科医師によく確認なさってください。
治療にかかる費用
虫歯や歯周病など病的な症例とは違い、矯正治療は美容整形に近い側面があり基本的に健康保険の適応外となります。
そのため、費用は全額自己負担で支払いは高額となってしまうのです。
しかし、お口の中に先天性の異常や疾患などがみられ、矯正治療の必要性があると医師が診断すると保険が適応される症例もあります。
この場合、保険が適応される矯正治療を行える医療機関は、厚生労働大臣が定める保険医療機関のみとなります。地方厚生局ホームページでご確認なさってみてください。
全顎矯正の治療方法の種類
全顎矯正には、主に3種類の治療方法があります。
- 表側矯正
- 裏側矯正(舌側矯正)
- マウスピース矯正(インビザライン・キレイライン・アソアライナーほか)
それぞれの治療方法には特徴があり、メリットやデメリットもあります。
「目立たせたくない」「痛くない方法にしたい」「費用を抑えたい」「短期間で終わらせたい」など、ご希望と照らし合わせながら歯科医師と相談し、比較検討なさってください。
表側矯正
表側矯正は歯の表面にブラケットという装置とワイヤーを取り付ける治療方法です。別名は「ワイヤー矯正」とも呼ばれています。
歯1本1本と顎の骨に、それぞれ適切な力をかけて歯並びを調節していきます。表側からの施術のため適応できる症例が多いのが特徴です。
メリット
- 歯の表側に装着するため比較的お手入れしやすい
- 発音や滑舌に影響を及ぼしにくい
- 矯正治療の中では比較的費用を抑えられる
デメリット
- 矯正装置が目立ちやすい
- 取り外しできない
- 矯正装置の厚みにより、口元の突出感を感じる場合がある
なお、目立ちにくいプラスチック・セラミック・ジルコニアなどで作られた「審美ブラケット」があり、費用は金属の装置より高額になります。
裏側矯正
裏側矯正は歯の裏側にブラケットとワイヤーを通し、矯正を行う治療方法です。別名は「舌側矯正」とも呼ばれています。
歯の裏側は複雑な形状が多く、矯正装置を装着するためには歯科医師の高い技術が必要であり、費用は表側矯正より高くなる場合がほとんどです。
メリット
- 歯の裏側に装着するため目立ちにくい
- 前歯が引っ込みやすい
- 表側矯正に比べ、口元の突出感を抑えられる
デメリット
- 歯磨きなど、マウスケアがしにくい
- 舌に装置が触れて痛みを感じたり、しゃべりにくくなったりすることがある
- 表側矯正より費用が高額になる
- 歯科医師の高い技術が必要
マウスピース矯正
マウスピース矯正は歯型に合わせて作った透明なマウスピースを歯全体に被せるように装着し、歯並びを矯正していく方法です。
マウスピース矯正の中には、
- インビザライン
- キレイライン
- アソアライナー
などさまざまな種類があり、特にインビザラインが人気です。治療の段階に合わせたマウスピースを複数作成し、新しいものに交換しながら理想の歯並びを目指します。
メリット
- 歯に装着していてもほとんど目立たない
- 取り外しが可能なため、食事への影響がない
- 金属アレルギーの心配がない
デメリット
- クリニック間のレベルの差で適応できる症例の差が激しい
- マウスピースの洗浄など器具のお手入れが必要
- 装着時間を守るなど自己管理が必要となる
歯列矯正の無料相談をインターネットからご予約いただけます。下記リンクからお気軽にご予約ください。
全顎矯正の費用の相場
全顎矯正にかかる費用は、お口の中の状況や治療方法によりさまざまです。歯科医院のホームページなどで調べても価格に統一感がありません。
それは初診料・精密検査・カウンセリング・アフターケア・保定料などの費用が含まれていたり、いなかったりするのが原因のひとつです。
とはいえ、だいたいの価格がわからなければ矯正治療を検討しようがありませんよね。ここでは全顎矯正の主な治療方法における費用の相場をご紹介します。
こちらをご参考のうえ、実際に歯科医でご相談するときには前述の料金が含まれているのか、いないのかを確認しておきましょう。
ワイヤー矯正
〇表側矯正
- 全顎矯正 約60万~100万円(税別)
- 部分矯正 約8万~50万円(税別)
〇裏側矯正
- 全顎矯正 約100万~150万(税別)
- 部分矯正 約16万~55万円(税別)
マウスピース矯正
- 全顎矯正 約80万~100万円(税別)
- 部分矯正 約10万~70万円(税別)
幅広い価格提示ではありますが、最低このくらいの金額からというラインがわかるだけでも心構えになるのではないでしょうか。
全顎矯正の注意点
全顎矯正はお口の中全体にかかわる施術のため、良くも悪くも影響が大きい可能性があり、注意しておきたい点があります。
例えば、
- 全顎矯正は歯並びや噛み合わせが整う一方、治療に時間がかかり費用も高額になる
- 矯正装置をつけると歯が引っ張られるような痛みを感じることがある
- 口の内部や舌に矯正装置が触ることにより、特に最初の1週間程度は痛みや違和感を感じる人がほとんどである
- 矯正装置が外れてしまうのを防ぐため粘り気が強い食べ物や固い食べ物を避けるなど、ある程度の食事制限が必要となる
- 抜歯をともなう全顎矯正の場合は特にフェイスラインが変わる可能性や、ほうれい線などしわが目立つようになってしまう可能性がある
- 途中で治療をやめたくなっても、簡単に元通りにはならない
- 転居をともなうライフスタイルの変化が予定されているとき、同じ歯科医に通院可能か、または転院に対応してくれるかどうか確認が必要
以上のような注意点もふまえたうえで、歯科医師にしっかりと相談することをおすすめします。
全顎矯正で抜歯する可能性は?
全顎矯正のうち、表側矯正と裏側矯正においては、お口の状況に合わせて必要であれば抜歯する可能性があります。それは、歯を広範囲に移動できるメリットがあるためです。
マウスピース矯正は基本的には抜歯をしないことがほとんどであり、逆に言えば、抜歯の必要性がある症例は適応外と判断される歯科医院が多いということです。
全顎矯正での悩みを解決するなら歯科医に相談を
スキンケアやダイエットなどとは違い、ご自分の努力だけでは解決できないのが歯の治療です。歯並びに悩みを抱えていたら、まずは歯科医に相談しましょう。
ポイントとして自分が重視したい希望を明確にとらえておくと相談がしやすくなります。例えば、「費用を抑えたい」「治療期間を短くしたい」「痛みが少ない治療にしたい」などがありますよね。
ご自分の希望をより具体的に歯科医師に伝え、納得のいく治療方法を選びましょう。
歯列矯正の無料相談をインターネットからご予約いただけます。下記リンクからお気軽にご予約ください。
まとめ
全顎矯正治療はお口の中全体の歯並びを整え、見た目のキレイさだけではなく、噛み合わせまでを治療できる方法です。
表側矯正・裏側矯正・マウスピース矯正など、数ある治療方法の中から、お口やお顔に関する悩みを解決する治療方法を、きっと見つけることができます。
気をつけておきたいのは、矯正治療は基本的に保険適応外のため高額で、なおかつ治療期間も長いため後悔しないようにしたい点です。
矯正治療をお考えの際は、高い技術と豊富な経験を持ち、相談しやすい歯科医師を選びましょう。
豊富な矯正治療の中から納得のいく治療方法をご検討なさってください。歯並びのコンプレックスをチャームポイントに変身させる全顎矯正で、明るい笑顔を手に入れましょう。