【監修:青山健一】
目 次
「前歯の隙間を治したい」「曲がっている1本だけ真っすぐにしたい」「出っ歯を治したい」と、一部分だけの矯正を望んでいる方は多いと思います。
顔の印象は前歯で決まるといっても過言ではありません。ほんの一部分治すだけでも印象が明るくなるのです。
この記事では、インビザラインによる部分矯正について詳しく解説します。
メリット・デメリットもご紹介します。前歯だけ治したいと思っている方は検討の参考にしてください。
インビザラインの概要
インビザライン矯正はアライナーというマウスピース型の矯正装置を1週間から2週間ごとに交換しながら少しずつゆっくりと歯を移動させる矯正方法です。
アライナーは0.5mmという薄さの透明のプラスチック素材でできているため、装着していることに気づかれにくいのが特徴です。
また、アライナーは患者さま自身で取り外すことができます。ずっとワイヤーを装着し続けることをストレスに感じる方にはおすすめの治療法です。
インビザラインで部分矯正できる箇所
部分矯正では一部の歯が対象といわれていますが、歯根の本数が多くて太いため移動が難しいとされる奥歯(小臼歯・大臼歯)は対象になりません。
部分矯正は前歯部分が治療の対象になるのですが、どの歯が治療できるのかは歯科医の判断で変わります。部分矯正を希望する場合は、可能かどうか歯科医に相談しましょう。
インビザラインによる部分矯正の場合は、上下の中切歯・側切歯・犬歯の各6本の前歯を対象にするのが一般的です。
インビザラインによる部分矯正のメリット
部分矯正は手軽に見た目を改善できることから「プチ矯正」と呼ばれて人気になっています。気になる部分だけを短期間かつ安い費用で治せるのが部分矯正です。
また、インビザライン矯正で使用するアライナーと同じものを装着するため、目立ちにくいなどインビザラインが持っているメリットもそのまま共有できます。
インビザラインによる部分矯正の代表的なメリットをご紹介します。治療を検討する際の参考にしてください。
短期間で治療できる
部分矯正は短期間で治療できるというメリットがあります。一般的には3ヶ月から6ヶ月で治療が完了します。
全体矯正では1年から3年を必要とする治療が1/5程度に短縮できるのです。
これは、移動させる歯の本数が少ないことや移動に時間がかかる奥歯を対象にしていないことが要因になっています。
治療期間が短いとはいっても、治療後には後戻りを予防するための保定期間が必要です。しっかりとリテーナーを装着して矯正を終わらせましょう。
痛みやストレスが少ない
矯正治療で痛みを感じるのは歯が動くからです。部分矯正は歯を動かす本数が少ないため痛みが抑えられます。
また、インビザライン矯正ではアライナー1枚で0.25mmをゆっくりと動かします。強い力で引っ張るマルチブラケット矯正のように強い痛みを感じることはありません。
矯正治療では、矯正装置のでっぱりで舌や頬の内側を傷つけることがありますが、インビザラインは柔らかいプラスチック素材でできているため傷つける心配はありません。
さらに、食事中はアライナーを取り外せるため、日常生活で矯正装置を着けていることのストレスも少ないです。
費用を抑えられる
インビザライン矯正の費用はアライナーの枚数が関係しています。1枚のアライナーは2週間程度装着します。枚数が多くなれば治療期間が長くなり、当然のことながら費用も高額になるのです。
一般的に部分矯正で使用するアライナーは15枚以下です。矯正装置の数が少なく期間も短くできるため費用も安く抑えられます。
治療する歯の数や歯並びの状態などで変動しますが、部分矯正の費用相場は30万円から60万円と考えてください。
インビザラインによる部分矯正のデメリット
インビザラインによる部分矯正のメリットをご紹介しましたが良いことばかりではありません。部分矯正が適用できない歯並びもあるため注意しましょう。
前歯だけの部分的な矯正でもアライナーは全部の歯をカバーする形になっています。そのため、全体矯正と同じように厳守しなければならない注意事項があります。
少し面倒なこともありますが治療効果を高めるためにデメリットも知っておきましょう。
治療中の装着時間が長い
インビザライン矯正ではアライナーを1日に20時間以上装着しなければならないという条件があります。
アライナーは簡単に取り外せるため、20時間の装着時間が守られないことがあります。ついつい装着を忘れた・面倒だから外した・装着をサボったなどは厳禁の行為です。
装着時間が短いことが続くようであれば決められた矯正効果が得られない場合があります。治療期間が延びたりアライナーを再製作する場合もあるため注意しましょう。
お手入れに手間がかかる
アライナーは1日に20時間以上装着が続きます。雑菌の増殖や悪臭が起こることもあります。口の中に入れるものなので清潔に保つために毎日の手入れは欠かせません。
洗浄の基本は水道水で手洗いすることです。研磨剤の入っている歯磨き粉を使うことはアライナーを傷つけます。かえって雑菌を増殖させることになるので厳禁です。
汚れが気になる場合は、週に1回から2回の頻度で洗浄剤を使用して洗ってください。市販の洗浄剤や中性洗剤を薄めてもかまいません。矯正歯科で販売している洗浄剤だと安心できますね。
歯科医師の技術に左右される
インビザライン矯正ではiteroの画像撮影や3D画像のシミュレーションなどで歯科医をアシストしますが、治療計画を作成するのは歯科医の判断で行われます。
そのため、歯科医の経験・知識・技術が治療結果に大きく左右することになるのです。
歯科医は現在から仕上がりまでの歯並びをイメージしながら歯の動きを決定します。長期スケジュールを2週間刻みで計画するのです。
アライナー1枚で歯を0.25mmという繊細な移動をさせます。アライナーを何枚使うかも歯科医が決めることです。同時に治療期間も決まります。
インビザラインの部分矯正でできないこと
手軽な歯列矯正として人気の部分矯正ですが、どのような歯並びにも適用できるわけではありません。
奥歯を含む歯並び全体を治したい場合や歯の移動範囲が大きい場合などは適用できない治療法なのです。
抜歯が必要な場合や顎などの骨格に問題がある場合なども対象ではありません。部分矯正を検討している方は、できないことがあることも理解しておきましょう。
噛み合わせの改善
部分矯正は軽度の歯並びを改善することを主な目的にしていて、噛み合わせに問題がないことを前提にしています。
噛み合わせの問題は奥歯が噛み合っていないことで起こる症状です。奥歯を動かさない部分矯正では治療ができないのです。
噛み合わせの治療は顎関節症とも関連があるので、全体矯正でしっかりとした治療をすることをおすすめします。
Eライン(エステティックライン)の改善
部分矯正は見た目の改善が目的といいながら、美しい横顔とされているEラインの改善は部分矯正では困難です。
横顔で鼻の先端と顎の先端を結んだラインがEラインです。一般的にこのEライン上または少し内側に唇があるのが理想とされています。
Eラインを改善したいと思われている方には出っ歯や受け口の症状が多いです。出っ歯は上顎の歯茎や歯が、受け口は下顎がラインを超えていることがあります。
しかし、Eラインを超えるような重度の出っ歯や受け口は、顎を後方に移動させる全体矯正治療が必要になります。
部分矯正の適用ができるか気になる場合は、このリンクで無料相談も可能です。
インビザラインの部分矯正が向いている人
インビザラインの部分矯正が向いているのは、矯正するほどの歯並びではないけどちょっと気になると思っている方です。
隙間のある前歯やちょっと曲がった前歯などは、面と向かった会話ではやはり気になります。コンプレックスを持ち続けている方もいらっしゃるかもしれません。
大学進学や就職など行動範囲が広くなり人前に出る機会も多くなります。そのような節目をきっかけにして前歯の見た目を変えたいと思っている方はぜひ検討してください。
気になる部分が限定されている人
部分矯正が向いているのは、見た目を良くしたいという軽度の矯正を希望される方です。
2本の前歯の間に隙間がある・前歯の1本だけ曲がって生えている・前歯にガタつきがあるなど気になる部分が限定されている方は部分矯正を検討してください。
上顎の前歯が少し前に出ている程度の出っ歯は治療が可能ですが、出っ歯は顎の骨が原因になっていることがあるため、歯科医に相談してから治療方法を決めましょう
低価格・短期間で治療したい人
部分矯正は早い・安い・痛くない治療を行うことで、これまで持っていたコンプレックスを解消できるよい機会になります。
歯列矯正は費用が高いから治療に踏み出せない・1本だけだから安く治療したい、そんな思いの方には費用が抑えられる部分矯正がおすすめです。
短期間で治療したい方にもおすすめします。結婚を控えているから前歯だけでも見た目を良くしたいという方にはピッタリの治療法です。
部分矯正に悩んだら歯科医に相談しよう
部分矯正を検討しているなら歯科医に相談するのが早道です。軽度の歯並びが治療の対象といわれていますが、どの程度が軽度なのかは患者さまご自身では判断が難しいです。
相談する際には、「歯の先端を揃えたい」「この歯の角度を変えたい」「下から見たときのカーブをなめらかに」など、希望を具体的に伝えましょう。
相談のために歯科医を訪れるとすぐに治療が始まるのではないか、費用が掛かるのではないかと心配になります。
相談だけでは治療が始まるようなことはありません。無料相談の矯正歯科もたくさんあるため、事前に確認してから訪れると安心できます。
部分矯正の相談ならこのリンクで無料相談の活用もできます。
まとめ
前歯を対象にする部分矯正は、これまで持っていた歯列矯正に対するイメージを変えてくれるかもしれません。
インビザラインによる部分矯正は、見た目が気にならない・痛みが少ない・期間が短い・費用が安い矯正治療です。
前歯の見た目だけを変えたいけど、期間が長くて費用も高いと諦めていた方はこれを機会に治療を検討してください。
前歯を変えるだけで顔の印象は変わります。ライフスタイルに合わせて治療方法も選べるため、部分矯正で明るい性格を取り戻しませんか。