【監修:青山健一】
目 次
透明なマウスピースを使用するインビザライン矯正は、従来のワイヤーによる歯列矯正よりも目立ちにくく人気があります。
歯列矯正には後戻りの可能性がつきものですが、インビザライン矯正の場合はどうなのか気になるところですよね。
この記事ではインビザライン矯正は後戻りしやすいのかどうか、インビザライン矯正の種類・後戻り予防のリテーナーの種類・後戻りの原因と治療方法も併せてご紹介します。
インビザライン矯正は後戻りしやすい?
インビザライン矯正は、矯正終了後に後戻りをしてしまうことがあります。
しかし、それは他の歯列矯正においても同じことで、インビザライン矯正の方が後戻りしやすいということはありません。
歯列矯正をする以上、インビザライン矯正でも他の矯正方法でも後戻りしないよう注意が必要です。
歯列矯正は、矯正装置を使用して力を加えることで徐々に歯の位置を動かし、歯並びを整える治療法です。
矯正装置を外したときには、それまで歯を引っ張っていた力が突然消えることになります。そして元の位置に戻ろうとする力が勝ってしまうと後戻りが起こるのです。
また、歯列矯正直後の歯は、通常よりも骨が柔らかく動きやすくなっています。頬杖などの癖や食事の際の噛み方も影響する場合があるほどです。
インビザライン矯正の場合でも、矯正後の保定期間にはしっかりとリテーナーを装着する必要があります。
インビザライン矯正の種類
インビザライン矯正は、アライナーと呼ばれる透明のマウスピースを装着します。自分で着脱できかなり目立ちにくいため、審美性の高さでも人気の治療法です。
ひとまとめに「インビザライン」や「マウスピース矯正」と呼ばれることが多いですが、症状や予算で適用する種類が変わってきます。
大きく分けて4種類あるため、下記にそれぞれの特徴を詳しくご紹介していきます。ぜひ選び方のご参考にしてください。
インビザライン・コンプリヘンシブ
インビザライン・コンプリヘンシブは、かつてはインビザライン・フルと呼ばれていたものと同じ治療法で、全体的な歯並びの矯正に最適です。
アライナーの枚数に制限がないのが大きな特徴で、さまざまな症状に対応できます。奥歯まで全ての歯が対象になるため、歯並びだけでなく噛み合わせも含めた治療が可能です。
ガタつきの大きい歯並び・八重歯・出っ歯・抜歯が必要な場合でも治療ができます。
また、アライナーの枚数に制限がないことで、万が一当初の予定通りに治療が進まなかった場合でもアライナーの追加ができるため安心です。
インビザライン・ライト
インビザライン・ライトは、インビザライン・コンプリヘンシブと同じく奥歯を含む全ての歯に適用できます。ただし、アライナーの上限が14枚までと決まっているのが特徴です。
比較的ガタつきが軽度の場合や、約7か月程度で治療を終えられると判断できる場合に選択されます。
また、歯列矯正済みの人が後戻りを治療する際にも選ばれることが多いです。
アライナーの枚数の制限や治療期間の短さから、インビザライン・コンプリヘンシブに比べて費用を抑えられます。
ただし、アライナーの枚数に制限があるということは、治療計画通りに歯の移動が進まなかった場合にも方針の変更が難しいというデメリットがあります。
アライナーの追加2枚まで・治療期間の延長2年までと決まっているため、治療方針を医師としっかり確認したうえで選択することが大切です。
インビザライン・エクスプレス
インビザライン・エクスプレスは、前歯だけなど部分的な治療や後戻りの治療に適したインビザライン矯正です。
アライナーは7枚まで・追加は1枚までと制限されてるため、治療期間でいえば3~4か月ほどで済む症状に適用されます。
前歯の少ないガタつきやズレ・部分的な歯の隙間・軽度の後戻り・後戻りの予防などにおすすめです。
費用を抑えたい場合にも選択肢に入れたいところですが、適用される症状が限られるため、まずは専門医の診察を受けることをおすすめします。
インビザラインGO
インビザラインGOは主に前歯を対象としたかなり軽度の部分矯正に使われ、費用も安くすみます。とくに特徴的なのはそのシステムです。
インビザラインGOでの治療が可能かどうかの診察には、スマートフォンの専用アプリを使用します。
口腔内の撮影を行いアップロードするだけで、数分後にはインビザラインGOの適用ができるかどうかがわかります。そのため、治療の可否をすぐに知りたい人におすすめです。
とても手軽ではあるものの誰でも使えるアプリというわけではなく、専門のセミナーを受講済みの歯科医師のみが取り扱うことが可能です。
なお、矯正歯科の専門医でなくても取り扱えますが、確実にしっかりと治療するためには信用できる専門医のもとでの診療をおすすめします。
下記のリンクから専門医による無料相談の予約を行えるため、ぜひご利用ください。
インビザライン矯正で後戻りする原因
矯正後に後戻りする原因は、実は「インビザラインだから」「ワイヤーだから」という違いはとくにありません。
歯を少しずつ動かして整えていく方法の歯列矯正には、後戻りが起こりやすい共通した原因があります。
舌癖・噛み癖・骨格の問題・骨が安定しておらず歯が動きやすい・リテーナーの使用を怠ってしまう、などがその代表です。
下記にそれぞれ詳しく解説していきます。
舌癖・噛み癖
無意識のうちに舌を歯の裏に押し付けてしまっていたり、歯と歯の間から舌がはみ出ている状態だったりする場合は、舌癖(ぜつへき)に注意しなければなりません。
とはいっても「癖」のため、なかなか自分では気づいていない人も多いのが現実です。舌癖がないか、一度意識して生活してみてください。
舌癖がある場合、無意識に歯を舌で押してしまっています。矯正装置を外し正しい位置へと引っ張る力がなくなったとき、舌に押される力で歯が動いてしまいます。
上の前歯裏の付け根あたりに、歯肉のやや盛り上がった「スポット」と呼ばれる場所があります。そこが舌を置いておく正しい位置です。
舌癖を自覚した場合は、できるだけ正しい位置に舌を置くよう気をつけて過ごすことが大切です。
また、後戻りを起こしやすい同様の理由として噛み癖があります。
どちらか片方の奥歯ばかりを使って食事をしていると、歯にも偏った圧がかかり、歯並びが悪化したり歪みが出やすくなるのです。
噛み癖も自覚しづらいため矯正治療後はとくに注意して過ごし、正しい癖をつけるよう心がけましょう。
骨格の問題
骨格はもちろん個人差が大きいですが、矯正後の後戻りの原因となってしまう場合もあります。
例えば、顎が小さいにも関わらず無理に歯並びを整えたために、ぎゅうぎゅう状態になってしまっているケースが見受けられます。
矯正装置を装着しているうちは引っ張って固めているため一見問題なく思えてしまいますが、外せばやはり歪みが生じてくるものです。
骨と歯の大きさのバランスを考えることも後戻りの予防として大切です。そのためにも、信頼できる専門医と納得いくまで相談して慎重に治療計画を立てましょう。
矯正後骨が安定していない
歯列矯正をした後は歯が通常よりも動きやすい状態になります。歯の土台となっている歯槽骨と呼ばれる骨が柔らかくなっているためです。
土台が柔らかい状態のため、前述した舌癖・噛み癖による影響も大きく受けます。自然と歯が元に戻ろうとする働きもあるため、後戻りを起こしやすい原因になるのです。
歯槽骨が柔らかく安定していない状態を補助するためにも、保定期間をきちんと守りリテーナーを正しく装着しましょう。
リテーナーを怠った
矯正装置の撤去後は、リテーナーの装着が必要不可欠です。
歯列矯正後は歯の土台である歯槽骨が柔らかく安定していないため、歯がとても動きやすい状態になっています。
歯槽骨が徐々に固まって歯の位置が安定するまでの期間を、保定期間と呼びます。
保定期間中にリテーナーを正しく装着することで、せっかく綺麗に整えた歯が移動しないよう補助することが可能です。
専門医の指示を守り、せっかく手に入れた歯並びを丁寧にケアする期間だと考えて、リテーナーの装着を怠らないよう気をつけましょう。
インビザライン矯正後のリテーナーの装着期間
インビザライン矯正を終えた後は、歯の土台である歯槽骨が固まり歯の位置が安定するまではリテーナーを装着します。
期間には個人差がありますが平均して2~3年程度です。最初の半年~1年半ほどは24時間の装着が推奨されます。
その後は夜間だけなど徐々に装着時間を減らしていきますが、やはり個人差が大きいため主治医の指示にきちんと従うことが大切です。
最終的に必要な保定期間は日常の癖や姿勢によっても変わってきます。目安として、矯正治療にかかったのと同じくらいの年数が必要と考えてください。
後戻り予防に用いるリテーナーの種類
後戻りを予防するための必需品であるリテーナーは目的別で種類があり、大きく分けて3種類です。
個人の歯並び・骨格・口腔内の状態などを考慮して使う種類を選びます。
下記にそれぞれの特徴・メリット・デメリットをご紹介します。ご参考にしてください。
クリアリテーナー
クリアリテーナーは、透明のマウスピースで目立ちにくいのが大きな特徴です。自分で簡単に着脱ができ、歯磨きもしやすく日常生活にあまり支障が出ません。
ただし強度があまり高くないため、優しく扱う必要があります。歯ぎしりの癖がある場合などは破れてしまう可能性が高く、クリアリテーナーはおすすめできません。
フィックスリテーナー
フィックスリテーナーは、歯の裏側にワイヤーを装着して固定するため、着脱ができないタイプです。主に下顎の犬歯から犬歯までの前歯に使用します。
裏側への装着のため、外からはほぼ見えず目立たないのが大きなメリットです。また、費用も安く抑えることができます。
ただし、着脱不可のため歯磨きがしづらく、虫歯や歯周病には注意が必要です。主治医の指示のもと、定期的にクリーニングを受けましょう。
取り外し式リテーナー
着脱可能な取り外し式リテーナーは樹脂とワイヤーを組み合わせて作成するため、同じく着脱可能なクリアリテーナーとの大きな違いは見た目と強度です。
ワイヤーが前歯部分に位置するため、歯を見せて笑った際などには多少目立ってしまいます。
しかし、クリアリテーナーよりも丈夫という点は大きなメリットです。噛み合わせの面には接しないため、歯ぎしりなどの癖がある場合にも使用できます。
着脱も簡単なため歯磨きがしやすく、虫歯や歯周病の予防もしやすいです。
後戻りした場合の治療方法
万が一後戻りをしてしまった場合には、再矯正を行います。
後戻りの治療では、部分矯正・裏側矯正・インビザライン矯正が適用されることが多いです。
再矯正であれば短期間の治療で費用も安く済むことがほとんどですが、悪化してしまえば治療も大変になっていきます。
歯並びの明らかな変化や後戻りの可能性を感じたら、できるだけ早期に専門医に相談しましょう。
下記のリンクから無料相談の予約ができます。ぜひご利用ください。
インビザライン矯正の後戻りが心配な方は歯科医に相談
インビザライン矯正を行ったあとや検討中の場合、後戻りをしてしまわないか心配ですよね。
後戻りのしやすさは、元々の歯並び・骨格・噛み方の癖・姿勢なども影響します。自分ではなかなか気付きにくいことも多いです。
個人差の大きな部分でもあるため、まずは専門医に相談してしっかりと歯や口腔内の状態をチェックしてもらいましょう。
まとめ
せっかく歯並びを整えたら綺麗な状態を維持したいところです。
そのためにはしっかりと保定期間を守ってリテーナーを装着したり、歪みを起こす原因になる日常的な癖を直していく必要があります。
インビザライン矯正に限らず歯列矯正後は後戻りのリスクがつきものですが、工夫と忍耐で乗り越えていきましょう。
もし後戻りしてしまったり不安に感じたときは、歯並びが悪化しないようなるべく早期に専門医に相談してください。