【監修:青山健一】
目 次
歯科矯正はワイヤーやマウスピースを使って矯正をしますが、矯正をする際に抜歯が必要となるケースがあるのです。
矯正するときに「抜歯が必要な場合がある」と聞くと、抜歯をしなければいけないのかどうか心配ですよね。
そこで、歯の矯正で抜歯が必要なのか、なぜ抜歯が必要なのかなどを紹介します。
患者さまから抜歯を伴う歯科矯正においてよく聞かれる質問も紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
歯の矯正で抜歯は必要?
歯並びや顎の骨の形は人それぞれ異なるため、歯の矯正をする際に抜歯が必要となる場合があります。
上下の顎の骨の形・位置・歯の生えている方向に問題がある場合が多いです。
抜歯をすることでより歯並びがキレイに仕上がることも多いため、状態によって抜歯をします。
歯の矯正で抜歯が必要な理由
前歯の出っ張りや生え方に問題がある場合、顎の骨や形・遺伝・指しゃぶりなどのクセが原因で歯並びが悪くなっている場合が多いです。
それらの前歯を矯正する際に、抜歯が必要な理由は下記の4つとなっています。
- 歯のスペースが足りないため
- 噛み合わせが悪いため
- 前歯の位置や角度に問題があるため
- Eラインを美しくするため
それでは1つずつみていきましょう。
歯のスペースが足りない
歯を収めるスペースが足りないときに抜歯が必要となる場合があります。
顎の骨に対して歯が大きい場合など、出ている前歯を収めるスペースが足りない場合に抜歯をして収めるスペースを作るのです。
前歯の矯正は部分矯正もできますが、歯全体を矯正する方が歯並びもキレイになるため全部矯正をする場合が多いです。
全部矯正をする場合、小臼歯あたりを抜歯します。抜歯後、生まれたスペースを活用して、前歯を奥の方へと移動させていくのです。
その他にも、奥歯をさらに奥へ動かしてスペースを確保する方法が用いられることがあります。
このときに「インプラントアンカー」という小さなネジを使う矯正方法が用いられることもあるのです。
インプラントアンカーを使うことは多くありません。患者さまの中には、顎の骨の問題で手術が必要な方もいます。
インプラントアンカーを使うことで、手術なしで矯正をすることも可能なのです。
噛み合わせが悪い
不正咬合(ふせいこうごう)すなわち噛み合わせが悪いときにも抜歯をする場合があります。
下記の状態に当てはまる場合、噛み合わせが悪いことが多いです。
- 出っ歯
- 下の歯で上の歯が隠れる
- 歯のアーチがU字型ではない
- 歯の大きさが大小
- 歯が生える向きや歯並びがバラバラ
軽い症状であれば抜歯は必要ありませんが、重い症状の場合には抜歯が必要となります。
ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも重症の場合には、抜歯が必要となるのです。
前歯の位置や角度に問題がある
前歯の生えている位置や角度に問題がある場合にも抜歯が必要となります。
生えている位置に問題があるというのは前歯同士が重なっていたり、すきっ歯と呼ばれる歯と歯の間にスペースがあったりする状態のことです。
歯の生えている角度に問題があっても顎の骨と形に異常がないことが多く、向きが斜めだったりねじれて生えていたりします。
角度や向きによって、抜歯が必要と判断することがあるのです。
Eラインを美しくする
Eラインを美しく見せるために抜歯が必要な場合があります。Eラインとは、横から顔を見たときの鼻先から顎の先までの線のことです。
Eラインは自分で確認ができます。人差し指を鼻先と顎の先に付けてみてください。指に唇が当たらないもしくは少しだけ当たる状態が理想といわれています。
前歯が出っ張っている方や下の顎が出ている方など、前歯を矯正する多くの方は指に唇が当たるのです。
矯正をすると歯が内側に収まるため、口元の出っ張りがなくなりEラインがキレイに美しくなります。
しかし、矯正をしてもEラインが矯正前とあまり変わらない場合には、抜歯することでEラインを美しくするのです。
抜歯が必要な理由は以上となりますが、自分の歯は抜歯が必要なのか気になりますよね。
気になる方は下記のリンクから無料相談を予約し、直接歯科医師に相談してみましょう。
抜歯することが多い歯は?
歯の矯正で抜歯することが多いのは、下記の歯です。
- 親知らず
- 前歯から4番目もしくは5番目の小臼歯(しょうきゅうし)
- 先天性の欠如歯
- 虫歯や歯周病の歯
親知らずがあると歯を奥に移動させるときに邪魔になるため、抜歯をすることが多いです。
先天性の欠如歯という大人になっても乳歯が残っている場合には、乳歯を抜歯してから矯正をします。
また、先天の欠如や虫歯・歯周病ではなく、歯のスペースが足らない場合には、前から4番目もしくは5番目の歯を抜歯してスペースを作ることが多いです。
前歯の矯正の抜歯でよくある質問
患者さまから前歯の矯正の抜歯についてよく聞かれる下記の質問をご紹介します。
- 痛みや腫れの程度
- 抜歯する本数
- 抜歯のタイミング
痛みや腫れの程度
抜歯をした後の痛みや腫れがどの程度なのか心配になりますよね。痛みや腫れの程度は人それぞれ違います。
多くの方は、抜歯をして麻酔が切れたあとの痛みが1日~2日続き、痛み止めを飲まなくても過ごせるようになることが多いです。
腫れに関しては、抜歯して2日後に一番腫れることが多く、1週間ほどで元の状態に戻ります。
抜歯する本数
前歯の矯正で抜歯をする本数は、1本~8本です。抜歯が何度か必要な方は、抜歯をしてから2週間あける必要があります。
歯の生え方や顎の骨の状態などによって抜歯する本数が異なるのです。
抜歯のタイミング
抜歯をするタイミングは、どの歯を抜くのかによって異なります。前から4番目もしくは5番目の歯を抜く場合には、治療を始めるときに抜歯をします。
親知らずの場合は、治療を始めるときと治療を初めてしばらく経ってからのどちらでも抜歯ができるため、いつ抜歯をするかは担当の歯科医師によります。
非抜歯治療が可能なケース
前歯の矯正で非抜歯治療が可能なケースがあります。それが下記の場合です。
- 症状が軽い
- 歯と歯の間にすき間がある
- 歯列拡大で治療可能
症状が軽い
歯の出ている具合や生えている角度など、症状が軽い場合には抜歯をせずに矯正ができます。
抜歯は必要がない場合でも、歯の表面を少し削ってスペースを作る処置をすることがあるのです。
歯科矯正は、ざまざまな前歯を抜歯をせずに治せるため、まずは一度相談へ行って前歯の状態をみてもらいましょう。
歯と歯の間にすき間がある
歯と歯の間にすき間がある方は、抜歯をせずに矯正ができます。
ワイヤー矯正などの歯科矯正は、歯を移動させて前歯を収めるスペースを作るため、すき間がある場合には抜歯をせずに今あるスペースを有効活用できるのです。
歯列拡大で治療可能
歯列拡大で治療が可能な場合にも抜歯をせずに矯正ができます。
歯列拡大の歯列とは歯のアーチのことです。歯のアーチを広げてスペースを作る方法が歯列拡大となります。
歯並びがキレイな方は歯のアーチがU字型です。矯正が必要な方は、歯のアーチが崩れていることもあります。
歯のアーチを広げてスペースを作り、歯を移動させることで前歯を収められるようになるのです。
前歯の矯正の抜歯の必要性は人それぞれ
歯の矯正で抜歯が必要かどうかは人それぞれです。1人1人歯並びや顎の形や大きさなどが異なるため、一概に抜歯が必要ということはいえません。
「抜歯がどうしても嫌だ」という方もいると思います。抜歯をすることで、歯並びや横顔がキレイになることも多いです。
抜歯をしたくない場合には、前もって歯科医師に相談するようにしましょう。
抜歯が必要な歯の矯正は信頼できる歯科医に相談
抜歯が必要な歯の矯正は、ワイヤー矯正やマウスピース矯正の経験が豊富で信頼できる歯科医に相談をするようにしましょう。
歯科矯正で失敗してしまい、前歯がもっと出てしまったというトラブルが起こることもあります。
その他にも抜歯に失敗してしまい、歯並びが以前より悪くなったり噛み合わせが悪化したりというトラブルもあるのです。
歯の矯正の費用は決して安くありません。抜歯に失敗することや、抜歯をせずに矯正をして歯並びがあまり治らないという場合もあり得ます。
失敗すると、治療期間が伸びて費用もよりかかるため、最初の矯正歯科を選ぶときにしっかりと選ぶようにしましょう。
歯科矯正は自由診療で保険が効かないため、通院のたびに調整料や矯正後のメンテナンスをする際のメンテナンス料がかかる場合があります。
調整料・メンテナンス料が含まれている矯正歯科もあるため、治療を始める前に確認をすると安心です。
費用がどんどん膨らんで治療が続けられないというトラブルを避けられます。
抜歯や費用について気になる方は、下記のリンクから無料相談を予約し、歯科医師に相談してみてください。
まとめ
歯の矯正の抜歯について、抜歯が必要な場合や抜歯をする理由、抜歯をしないで治療ができる場合などをご紹介しました。
前歯の悩みは、歯の生え方や向きだけでなく口元のコンプレックスにも繋がります。横顔がキレイになったら嬉しいですよね。
歯の矯正は歯を横や後ろに動かしたりしてスペースを作ったりするか、あるいは抜歯をしてスペースを作るかのいずれかになります。
失敗に終わらないためにも治療を始める前には、しっかりと納得がいくまで相談をすると安心して矯正を始められます。
矯正をお願いする歯科医師は、ワイヤー矯正やマウスピース矯正の経験が豊富で信頼して治療を任せられる方を選ぶようにしましょう。
調整料やメンテナンス料などの矯正以外に費用がかかるのかも確認をすると、矯正にかかる期間を安心して矯正ができます。
矯正をしようか悩んでいる方は、歯科医師へ相談をするのがおすすめです。