【監修:青山健一】
目 次
歯列矯正の歯列とは歯並びのことで、歯並びが極端に不規則な並び方をしていることで多くの方達が悩んでいます。
今回は矯正治療を受けると歯が動いて綺麗な歯並びになる仕組みや、歯を動かす方法について解説します。
歯が動くときに痛みを感じることがあるのですが、この痛みが不安で矯正治療を受けるのを躊躇している方は多いようです。
今回は極力痛みを感じないで受けることができる治療方法や補助器具も併せてご紹介します。
治療を検討するときの参考にしてください。
歯の構造の基礎知識
歯は一般的に歯茎(歯肉)から出ている部分を歯冠といい、歯茎に隠れている部分を歯根といって2つの部分に分かれています。
歯の構造は歯冠部の外側に人体の中で最も固いエナメル質があり、その下には象牙質があります。
歯根部にはセメント質と神経があり、まわりを歯根膜・歯槽骨(顎の骨)・歯肉に覆われ支えられているのです。
歯列矯正で歯が動く仕組み
歯が動く過程では骨の代謝という現象が大きく関係します。
古くなった骨は「一度壊れてから新しく作られる」という仕組みを繰り返しており、この現象が骨代謝です。
歯列矯正をすると歯に力が加わり押される方向の骨が溶けて反対側の隙間に新しく骨ができます。
このように破壊と再生の現象が繰り返されて歯が少しずつ動くのですが、多くはこの歯が動くときに痛みが発生します。
歯根部のまわりには歯根膜という歯根部と歯槽骨のクッションの役割をする組織があり、歯が押されると歯根膜が押しつぶされて炎症がおこるため痛みを感じるのです。
歯列矯正による歯の移動方法
歯列矯正による歯の移動方法には大きく分けて5つの方法があり、歯を動かす目的によって使い分けながら治療を進めていきます。
その移動方法は、歯体移動(したいいどう)・傾斜移動(けいしゃいどう)・回転(かいてん)・圧下(あっか)・挺出(ていしゅつ)の5つです。
長い期間をかけて歯を動かしても、治療をやめると元に戻ってしまう特性があるために注意が必要になります。
これらの移動方法と特性を1つずつ解説します。
歯体移動
歯体移動とは歯冠部と歯根部を平行に移動させる方法で、抜歯をしたときなどはこの方法で歯全体を平行に動かします。
ワイヤー矯正の場合はエッジワイズという装置を使うのですが、これは形状記憶のワイヤーでできていて微妙な調整が可能になります。
インビザライン矯正の場合はアタッチメントを歯の2か所以上に着けて力を加えて移動させることが可能です。
傾斜移動
傾斜移動とは顎の骨に埋まっている歯根部はあまり動かさず歯冠部を主に動かす方法です。
抜歯をせずに歯冠部だけを動かして矯正をするときは傾斜移動で歯を動かします。
ワイヤー矯正で前後にだけ歯を移動させるときは丸いワイヤーを使い、細かい動きが必要なときは四角いワイヤーを使用して使い分けるのです。
回転
回転とは捻転歯といって歯がねじれているときに逆回転させて正常な位置に戻す治療法で、歯根部から回転させるために治療期間が長くなります。
捻じれている歯を元の状態に戻すときに、歯と歯槽骨の間に歯周靭帯があるために、回転させてももとに戻す力が働くのです。
通常は捻転歯があると、捻じれている歯を戻してから矯正治療を始めます。
圧下
圧下とは下の前歯に上の歯がかぶさり見えなくなる状態のときに、上下の歯を歯茎の方向に押し込む方法のことです。
これは矯正治療の中でも特に難しい治療法といわれ、小さなねじを歯茎から骨に埋め込んでワイヤーで引っ張るのです。
インビザラインの矯正ではバイトランプといってマウスピースに出っ張りを取り付けて治療をします。
挺出
艇出とは圧下と反対に歯を歯茎から引っ張り出す方向のことで、比較的容易な移動といわれています。
ワイヤー矯正ではニッケルチタンワイヤーや顎間ゴムを使って治療を行う方法です。
インビザラインのマウスピース矯正ではアタッチメントといって歯に小さな突起物を取り着ける方法が多く用いられます。
歯列矯正でよくある悩み
ご自分やお子様の歯並びが悪いために歯列矯正治療を受けようか悩んでいる方は多くいらっしゃいます。
悩みの原因はいろいろありますが、治療費が高額・治療期間が長い・矯正器具の見た目・痛みなどが気になるのは当然です。
それ以外にも、どこで相談をすればよいか解らず悩んでいる方も多くいらっしゃいます。
もしあなたが矯正治療の説明をお聞きになりたいときは矯正専門医院に相談し説明を詳しく聞いてみましょう。
治療期間が長い
歯列矯正は長い治療期間が必要になり、部分矯正で6か月から1年程度、全体矯正の場合は1年半から2年半程度の治療期間が必要です。
これは矯正で歯を動かす範囲が大きいか小さいかにより治療にかかる期間に大きな差が生じます。
ワイヤー矯正では歯に矯正器具(ブラケット)を取りつけてワイヤーで固定するため、ずっと装着した状態で治療をします。
マウスピース矯正は毎日食事や歯磨きのときに取り外すため、長時間マウスピースを外していると計画通りに歯が動かず治療期間が長くなるため注意が必要です。
矯正器具の見た目が気になる
ワイヤー矯正は歯の矯正力が1番強い治療法で、抜歯後の矯正や大きく歯を動かす必要がある場合には大きな効果が見込めます。
しかし歯の表面にワイヤーで固定されている状態が見えるため、見た目が気になり治療を受けるのを躊躇する方が多くいます。
見た目が気になるために矯正治療を躊躇している方は、目立たない治療方法を選ぶことで気にせずに治療が可能です。
インビザラインの治療をご検討中の方は、下記のリンク先からインターネットの無料相談をご予約いただけます。お気軽にご利用ください。
矯正期間が短縮できる治療法
全体矯正では1年半から2年半程度の治療期間が必要になりますが、スピード矯正治療法といって歯の移動を早める治療方法もあります。
この治療法の最大のメリットは、矯正治療の期間が数か月から1年半程度とかなり短縮できることです。
矯正治療では人により締め付け感や痛みを感じますが、期間が短縮できるため苦痛も大きく軽減させるメリットがあります。
オルソパルス
これは矯正治療を行うときの補助具の1つで、歯に医療用の赤外線を照射することで歯を移動させるスピードを加速させます。
近赤外線を歯の周辺の組織に照射すると、歯根部周辺の組織が活性する効果を利用した治療法です。
治療中の痛みや締め付け感も大幅に軽減され、治療期間も1/2~1/4と大きく短縮されます。
使用方法も簡単で、毎日マウスピース咥えて上顎と下顎に5分ずつ赤外線を照射するだけで、治療期間が大幅に短縮され痛みも軽減されるのです。
コルチコトミー
この治療法は外科的処置が必要になり、骨の表面の硬い皮質骨を取り除くことで歯を動かしやすくします。
骨折した骨が回復をすると骨には骨折前より強くなる特性があり、それを利用した治療法です。
矯正治療が終っても動いた歯がもとに戻る力が働くため、保定装置(リテーナー)を使い矯正された歯が元に戻らないようになるまで1~3年固定します。
コルチコトミーの治療を行うと、この保定装置の装着機関が大幅に短縮されます。
矯正器具の見た目が気にならない治療法
ワイヤー矯正法は人と会話をするときや笑うとき、どうしても歯を固定するワイヤーが見えるために見た目が気になり悩んでいる方は多くいます。
もし、貴方が見た目の問題で矯正治療を躊躇しているなら、ワイヤーが見えない方法やマウスピースによる治療方法をご検討ください。
この方法だとほとんどまわりの人に気づかれずに治療を継続することが可能になります。
ご自身やお子様が矯正治療を受けることを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
裏側矯正
ワイヤー矯正でも歯の裏側に矯正器具を装着する裏側矯正は、ブラケットとワイヤーを歯の裏側に取り付けるためまわりの人に気付かれ難い治療法です。
しかし、矯正装置を歯の裏側に装着するために舌や口の中を傷つけて口内炎ができることがあります。
慣れるまでは矯正装置が舌にあたるため、発音しづらいことや歯磨きのときに歯の裏側がうまく磨けないことが多いです。
裏側矯正は通常のワイヤー矯正のように既製品の矯正器具ではなく、オーダーメードで作る必要があり治療費が高額になります。
マウスピース矯正
マウスピース矯正法は透明のマウスピースを歯に装着して矯正をするため、あまり目立たずに治療を続けられます。
ワイヤー矯正に比べて口の中を傷つけることも少なく、治療中の締め付け感や痛みも比較的穏やかです。
マウスピースは取り外せるため、食事のときや歯磨きのときにも通常のときと同じようにできます。
また、裏側矯正に比べて費用が安く済むなどのメリットがあります。
デメリットはマウスピースの装着時間をしっかりと守る必要があり、気が緩んで長時間外していると計画通りに治療が進まず長くかかる可能性があることです。
美しい歯並びを手に入れたいなら
歯並びが悪いために人との会話や笑うときに大きく口を開けることができず、コンプレックスをお持ちの方は多くいます。
矯正治療を受けたいけど費用や治療期間がわからず、痛みはどうなのか不安に思っている方は多いようです。
痛みが少なく見た目も気にならないなどの理由でマウスピース矯正を選ぶ人が多くいらっしゃいます。
もし、あなたが美しい歯並びを手に入れたいと真剣に悩んでいるのでしたら、すぐに矯正専門医院で相談してください。
知識と経験が豊富な矯正専門医院なら、できるだけ痛みが少なくて見た目も気にならない治療方法を患者様に詳しく説明をします。
矯正治療をご検討中の方は、下記のリンク先からインターネットの無料相談をご予約いただけます。矯正に関する悩みや不安などお気軽にご相談ください。
まとめ
今回は歯列矯正で歯が動く仕組みや方法などを解説してきました。
歯が動く過程では骨代謝という現象が繰り返されて少しずつ動いていることや、動かす方法などもご理解いただけたと思います。
矯正治療で気になる治療期間が長い問題も、近年ではオルソパルスやコルチコトミーなどのおかげで大きく短縮することが可能になりました。
歯列矯正は歯に長期間ワイヤーを着ける必要があり躊躇していた方も、マウスピース矯正のおかげで解消されています。
マウスピース矯正は見た目を気にせず痛みも穏やかな矯正治療法です。
もし、あなたが矯正歯科を探すときは、必ず知識と経験が豊富な矯正専門医院で相談することをおすすめします。
この解説をお読みになって、貴方が綺麗な歯並びを手に入れるきっかけになれば幸いです。