【監修：青山健一】
目 次
あなたは歯列矯正に関して調べていく中で「歯列矯正で鼻の形が変わった」という情報を見聞きしたことがありますか？
歯並びを治すと鼻の形まで変わるとは、とても不思議で不安も感じることですが、患者様の中には「鼻の形が変わった」と感じる方もいらっしゃいます。
歯列矯正では、たしかに鼻の形自体が変わることはありませんが、そのように見える可能性は十分にあり得るのです。
この記事では歯列矯正で鼻の形が変わったように見える理由や、鼻以外のパーツにもみられる変化について詳しく解説いたします。
歯列矯正で鼻の形が変わるのか？
歯列矯正で鼻の形が変わるのか？という点については先述した通り、鼻自体の形が変わることはありません。
歯列矯正はあくまでも、叢生（八重歯・乱ぐい歯）や、上顎前突（出っ歯）・反対咬合（受け口）などの矯正を目的とするものです。
症例によっては歯並びとともに上顎や下顎の形を整える外科手術を行うこともありますが、鼻の形に直接かかわるものではありません。
ゆえに、歯列矯正によって鼻の形が変わることはないのです。
歯列矯正で鼻の形が変わったように見える理由
それではなぜ、歯列矯正によって「鼻の形が変わった」と感じる患者様がいらっしゃるのでしょうか？
それは鼻の下（口元）の印象が変わることがあるからです。
例えば、歯列矯正で上顎前突の症状が改善すると口元がスッキリとし、また、反対咬合（受け口）の症状が改善すると下顎が小さくなります。
すると、広がって見えていた鼻筋がスーッと通ったように見えたり、鼻が高くなったように見えたりする可能性があるためです。
ここからは、歯列矯正で鼻の形が変わったように見える理由について詳しく解説いたします。
口ゴボが改善した
歯列矯正によって鼻の形が変わったと思う理由のひとつに「口ゴボ」の改善があります。
口ゴボとは、鼻の下や口元が盛り上がって見える症例（別名モンキーフェイス）のことを指します。
日本人には多い特徴といわれているため気にしすぎることはありませんが、口ゴボはお顔の印象に深くかかわるため改善を希望される患者様が多い症例です。
口ゴボが歯列矯正によって改善されると「人中」（唇の上の筋状の部分）の広がりや、間延びした印象が改善され、口元がスッキリと整います。
すると、鼻の下を持ち上げるような口元の突出感が減り、広がって見えていた鼻の形もスッキリと変化したように見える可能性があるのです。
理想的なEラインに近づいた
歯列矯正で鼻の形が変わったように見える理由として、次に考えられるのは「理想的なEラインに近づいた」ことによるかもしれません。
Eライン（別名エステティックライン）とは鼻の頭から顎の先を直線で結んだ線のことで、その線よりも唇が外側に出ていないことが美しいとされています。
ご自分のEラインが気になる方は人差し指で「内緒」を表すジェスチャーで、鼻の頭と顎の先を触ってみてください。このとき、唇はEラインより内側に入っていますか。
突出感のある口元が整ってEラインの内側にスッキリと収まると、横顔のシルエットが美しくなり、鼻がスーッと高くなったように見える可能性があります。
口元の印象が変わった
歯列矯正で特に口元の印象が変わる可能性が高い症例には、上顎前突（出っ歯）や下顎前突（受け口）などが当てはまります。
それは、口の突出感や下顎の出っ張りが改善され、口元の印象が変わると鼻の形も変化したように見えるケースがあるからです。
人が顔を見るとき、鼻の下が長いと老けていると認識したり、間延びした印象を受けたりする傾向があるのをご存じでしょうか。
歯列矯正によって口元が整って鼻の下の「人中」が短くなると、お顔全体が若返ったように見えることが理由として考えられます。
歯列矯正で鼻の形自体は変化しない
ここまでの解説で、歯列矯正で鼻の形自体は変化しないことをご理解いただけたことと思います。
歯列矯正で実際に形が変わるのは、歯並び・噛み合わせ・口元の突出感・上顎と下顎の大きさなどです。
歯列矯正によって鼻の形が変わるのが気がかりな方は、過度に心配しすぎる必要はありません。
しかし、鼻の形が変わったように見える可能性はあるため、歯列矯正をご検討の際は歯科医によく相談なさってください。
鼻の印象を変える歯列矯正治療のタイプ
それでは、鼻の印象を変える可能性が高い歯列矯正はどのようなものがあるのでしょうか。
歯列矯正には、歯全体を移動する「全顎矯正」・気になるところだけを矯正する「部分矯正」・顎の骨格を矯正する「外科的矯正治療」などがあります。
ここからは歯列矯正治療のタイプをそれぞれ詳しく解説いたします。
歯列・骨格の矯正
矯正治療の中には、歯列とともに骨格を矯正する外科的手術という方法があります。
外科的手術とは、上顎や下顎の付け根や前方の骨を切って移動させる手術のことです。
主に上顎前突（出っ歯）や下顎前突（受け口）などの症状に適用され、骨格とともに歯並びや噛み合わせの調節も目指せます。
外科的矯正治療は口元の印象を骨格ごと改善させるため、顔の印象とともに鼻の印象も変わる可能性があります。
歯列のみの矯正
矯正治療の中には歯列のみを矯正する治療方法があり、歯並びや噛み合わせのみを調節したい場合に適用されます。
種類は、ワイヤー矯正とマウスピース矯正などがあり、主に叢生（八重歯・乱ぐい歯）や、骨格には問題がない上顎前突・反対咬合などに適用されます。
歯列矯正は、歯列と骨格を治療する外科的矯正治療に比べて、鼻の印象が変わる可能性は低いです。
歯列矯正の種類と費用相場
歯列矯正が鼻や顔の印象を変える可能性があることを理解したところで、次に気になるのは実際の治療方法と費用のことではないでしょうか。
歯列矯正はお口の中の状況によって選べるさまざまな種類があり、費用もまたさまざまあります。
まず知っておきたいことは、歯列矯正は病気の治療とは異なり「審美目的」とみなされるため基本的に10割全額自己負担となることです。
支払い方法は治療完了までの料金を事前に支払う「総額制」と、歯科医に通院するごとに代金を支払う「処置別支払い制」があります。
それでは次に、矯正治療の種類と費用の相場を詳しく解説します。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は矯正する歯に対して、ワイヤーを通したブラケットという装置を付けて歯並びを整える矯正治療です。
矯正したい歯に対して確実にアプローチするため仕上がりがキレイなメリットがある一方、目立つ・しゃべりにくい・時間や費用がかかるリスクがあります。
ワイヤー矯正の種類は歯の表側に装置を取り付ける「表側矯正」と、舌側に装置を取り付ける「裏側矯正」の2種類があります。
- 表側矯正（全顎矯正）： 約60万～100万円
- 表側矯正 （部分矯正）：約8万～50万円
- 裏側矯正（全顎矯正） ：約100万～150万円
- 裏側矯正 （部分矯正）：約16万～55万円
費用は症例によって異なるため、一般的な一例として参考にしてください。
マウスピース矯正
マウスピース矯正はポリウレタン製の透明なマウスピースを歯に被せて矯正する方法で、種類はインビザライン・キレイライン・アソアライナーなどが有名です。
マウスピースは目立ちにくく取り外しもできるため、見た目の問題や食事の制限などがなく、矯正治療の中でとても人気があります。
しかし、取り外しが可能な反面、マウスピースを失くしてしまうリスクや患者様自身がしっかり装着時間を守らないと治療期間が延びてしまうリスクなどがあります。
こちらも費用は症例によって異なるため、一般的な一例としてご参考にしてください。
- 全顎矯正（すべての歯） 約80万～約100万円
- 部分矯正（一部の歯）約10万～約70万円
歯列矯正の種類や費用についてもっと詳しく知りたい方は、無料の矯正治療相談をご利用ください。下記リンクからインターネットでお気軽にご予約いただけます。
鼻以外の見た目の変化
歯列矯正で印象が変わったように見える箇所は、実は鼻だけではありません。
お口に叢生や上顎前突などの症状があると噛み合わせも悪い可能性が高く、顔の筋肉の付き方に偏りがみられる場合があります。
歯列矯正で歯並びと噛み合わせが良くなると、お顔の筋肉の付き方がバランス良くなるため、フェイスラインが整う相乗効果が期待できるのです。
ここでは歯列矯正による鼻以外の見た目の変化について詳しく解説いたします。
顔のエラ
顔のエラ部分は、フェイスラインの印象を大きく左右するパーツのひとつです。
歯列矯正によって歯並びを整えたり、顎を切って移動する外科的手術を行ったりすると、特に顎の噛み合わせの部分の印象が変わる傾向があります。
また、抜歯を伴う歯列矯正を行った場合は、歯並びや噛み合わせが全体的に整って小顔効果も期待できます。
噛み合わせにかかわる咀嚼筋のアンバランスさや、咬筋の肥大などが改善されることにより、顔のエラ部分がひと回り小さく見える効果が期待できるのです。
ほうれい線
歯列矯正をすると、顔の年齢の印象を左右するパーツである「ほうれい線」の印象が変わる可能性があります。
それは歯列矯正によって口元の突出感が収まると、口元の皮膚や頬肉がゆるんでほうれい線が目立つようになる場合があるからです。
しかし、歯列矯正治療中は柔らかいものを中心に食べたり、顎が動かしにくかったりすることから、頬や口元の筋肉が落ちるのはめずらしいことではありません。
歯列矯正後に頬の筋肉・咀嚼筋・咬筋・唇や舌のトレーニングをすれば、ほうれい線の改善が目指せます。
目の大きさ
歯列矯正をして目の大きさが変わったと感じる患者様もいらっしゃいます。それは歯列矯正によってエラやフェイスラインが整ったことによる効果です。
噛み合わせの悪さの影響で顔の一部の筋肉が肥大していたり、人中が間延びしていたりしていた箇所が改善されて「小顔」になると、目が大きくなったように感じる場合があります。
歯列矯正で見た目の印象を変えたいなら歯科医に相談
歯列矯正は歯並び・噛み合わせだけではなく、顎の外科手術という選択肢もあり、口ならびに顔にも影響が大きい治療です。
鼻やほうれい線・目の印象などが良い方向に変わったように思えれば良いですが、逆に悪くなってしまったと感じる可能性もないわけではありません。
歯列矯正をしなければ良かったと後悔してしまわないように、歯科医選びは慎重にすすめましょう。
歯列矯正では歯並びとともに見た目の印象（審美性）も含めて治療できます。
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まとめ
矯正歯科の治療で鼻や目などの形が変わることはありませんが、変わったように見える可能性はあります。
叢生などの歯並びや上顎前突・下顎前突などの症状が歯列矯正で整って、口ゴボや顔・頬の筋肉の異常発達が収まると小顔効果も期待できます。
しかし、必ず良い方向に見た目が変わるとは言い切れません。歯科矯正は顔の見た目（審美性）にも大きくかかわるのため、歯科医とよく相談のうえご検討ください。
1965年 広島県呉市生まれ
