【監修:青山健一】
目 次
歯並びにコンプレックスがあり、矯正治療に興味がある方は沢山います。
しかし矯正治療はしたいが虫歯があって、矯正に踏み込めず悩んでいる方が多いのも現状です。
実際に患者さんの悩みを聞いても、矯正はしたいが虫歯がありそうで心配という方が沢山います。
今回は虫歯が心配で矯正治療を悩んでいる方、矯正中に虫歯になったら治療できるのか心配している方のために、歯科医が矯正と虫歯の関係を説明します。
矯正と虫歯の関係を深掘り
虫歯は矯正治療にとって、治療の進行を妨げる原因になります。
虫歯があることで矯正治療を開始するのが遅れたり、矯正治療をスムーズに進められなくなるのです。
虫歯が沢山ある状態で矯正治療を始めても、良いことは1つもありません。
虫歯がある状態だと矯正治療中に歯や歯茎に痛みが出て、途中で矯正装置を外すなど何かと手間暇がかかります。
また矯正治療を始める前に虫歯が無くても、矯正装置を装着したことで装置にプラークが付きやすく虫歯や歯周病になりやすい状態となるのです。
矯正治療中は虫歯にしないよう、適切な歯ブラシで虫歯から守ることが必要です。
虫歯だらけでも矯正できるのか
虫歯だらけでも矯正は可能です。
しかし矯正装置を装着する前に、虫歯治療を終わらせる必要があります。
一度虫歯になると、虫歯は治ることはなく進行します。
矯正治療は歯並びの状態や年齢にもよりますが、2年から4年ほどかかりその後並んだ歯が後戻りしないようにする保定期間が3年程かかるのです。
この間に虫歯がどんどん進行すれば、痛みを伴うし歯も削る量が増えて神経を取るなどのダメージが大きくなります。
虫歯治療を終わらせてから、矯正歯科に相談して治療を始めましょう。
被せ物は何がよい?
矯正治療前に虫歯治療を行い被せ物をするならば、保険適応の被せ物がおすすめです。
矯正治療をして、歯並びが良い状態に変わると歯と歯の隙間の具合や歯の並びも変わっていくため、矯正治療が終わった後に保険外の高いキレイな被せ物を入れましょう。
保険外の被せ物は費用は高いですが、色が黄ばんだり欠けたり取れたりしにくく長持ちもします。
何よりも装着した見た目も自然で、なじみが良くておすすめです。
矯正治療の概要
矯正治療は歯や顎の骨に力をかけてゆっくりと動かしていき、歯の位置を正常な状態にし噛み合わせも見た目もバランスが取れた状態にします。
見た目がキレイになるのはもちろんですが、矯正治療では噛み合わせが正常な状態になることが1番大切です。
噛み合わせが良いことで、ご飯がいつまでも美味しく食べれて体も健康でいられます。
歯にかかる負担も少なく、歯の寿命が伸びていつまでも若々しくいられるのです。
カウンセリングを受けるタイミング
矯正歯科のカウンセリングは、矯正治療に少しでも興味があれば、いつ受けても大丈夫です。
カウンセリングを受けたからといって、直ぐに矯正治療を始めるわけではありません。
現在の歯の状態を資料にするため、レントゲンや(場合によってはCT)歯型をとります。
資料が揃えば矯正治療の方針が決まり、費用・期間・装置の種類など詳しいことが分かります。
カウンセリングの内容を聞いて矯正歯科の先生に相談してから、矯正治療をやるかやらないかをご自身で選択しましょう。
通院回数目安
虫歯がある場合は、まずは虫歯治療が必要です。
虫歯は小さければ歯を削った穴に、コンポジットレジンという白い詰め物をして固めます。
この治療は、その日のうちに終わらせることができ負担が少なくて済むのです。
虫歯が大きな場合は、歯を削り詰め物用の型取りをします。
型取りをしたものから被せ物を作りますが、でき上がりまでは3日~7日程度かかりもう一度通院する必要があります。
更に虫歯が大きくて神経に達していた場合は、神経を除去する必要があるのです。
神経を除去する治療は、根管治療と呼ばれ回数も大きく増えます。
根管治療は神経を取った後の、根っこの中の掃除や消毒更に2度の型取りを含めて、5回以上はかかります。
矯正治療中に虫歯があったら
進行するような虫歯であれば、矯正の終了を待たずに虫歯治療をします。
初期虫歯であれば、定期的なフッ素塗布や適正な歯ブラシ、歯の再石灰化を促進するペーストを毎日自宅で塗布することで、虫歯の進行を止めることができます。
進行する虫歯でも小さい場合は、矯正装置を外さなくて虫歯治療が可能です。
大きな虫歯の場合、矯正装置を一時的に外して治療することになり手間と時間がかかります。
虫歯がある場合は矯正治療ができるのか
虫歯がある場合はまず先に、虫歯治療をしてから矯正治療を始めます。
矯正治療途中で、虫歯治療をするのは矯正治療を遅らせて、装置を外してまた装着する手間がかかります。
矯正治療中の虫歯予防
矯正治療中は矯正装置に汚れが付きやすく、虫歯や歯周病になりやすい状態なため歯ブラシの練習が必要です。
歯科医や歯科衛生士に適切な歯ブラシ指導をしてもらい、矯正治療中は歯周病や虫歯にならない努力をしましょう。
歯ブラシ
矯正治療中は普段の歯ブラシにの他にも、さらに2本の特殊な歯ブラシを使いましょう。
1つめは、矯正専用歯ブラシです。
山型になっていて矯正装置フィットし、汚れが取りやすいように出来ています。
2つめは、タフトブラシです。
タフトブラシは1つの毛束でできた、とても小さなブラシです。
磨きにくい奥歯やプラークが付きやすい矯正装置の部分、歯の噛み合わせの溝に届きやすく虫歯や歯周病予防には必要なブラシです。
この2つの歯ブラシは、正しい使い方を身につける必要があります。
何度か歯ブラシ指導を受けるのがおすすめです。
歯質強化
虫歯予防には歯ブラシや食生活の工夫の他に、歯の歯質強化が必要になります。
歯質強化にはフッ素がおすすめで、今は歯磨き粉にフッ素が入ったものやフロスにフッ素が付いていたり、フッ素ジェルなど沢山の製品があるのです。
フッ素の役割は歯から溶け出したミネラルを、歯に戻す作用の再石灰化を促進します。
再石灰が進むと虫歯から歯を予防したり、初期虫歯の進行を止めることがきるのです。
また虫歯菌を弱らせ活動を抑制するため、虫歯になりにくくなります。
歯の表面をコーティングする役割もあり、虫歯菌が作り出す酸から歯をガードするのです。
歯質強化のポイントは、フッ素を多くお口の中に残すことです。
歯ブラシの後は歯磨き粉に入っているフッ素を残すため、うがいは少量の水で行いブクブクと強くすすがないようにしましょう。
一番よいのは歯ブラシの後に、フッ素ジェルを塗ってその後30分は飲食しないようにすることです。
糖分を減らす
虫歯菌は砂糖を餌にして酸を作り出し、酸が歯を溶かして虫歯になります。
果物の糖の果糖やご飯、野菜も糖が含まれていて虫歯原因となるのです。
糖には色々な種類がありますが、砂糖(ショ糖)が一番虫歯になりやいです。
食事の中でも沢山の糖を摂取しているため、減らす工夫もしましょう。
とはいっても、食事の糖分を減らすのはなかなか難しいものです。
砂糖(ショ糖)が一番虫歯になりやすいことを覚えておき、お菓子やスイーツを控えるのが重要です。
食事の時間に気をつける
食事を取るとお口の中が酸性になり、歯を溶けやすくします。
唾液の作用で徐々に中和されますが、それには時間がかかるのです。
就寝する2時間以内に甘い物や食事を取ると、お口の中は酸性のままで寝ることになります。
歯ブラシでプラークをキレイに取り除いても、お口の中は酸性のままで寝る事になります。
睡眠中は唾液の量が少ないため中和されにくく、虫歯になりやすい状態です。
マウスピースは綺麗に
マウスピースは、プラスチック素材でできています。
そのため水分や汚れも、少しですが吸収するのです。
コーヒーやお茶類、ワインなどの色も付きやすく着色や臭いもします。
マウスピースは歯ブラシを使って、キレイに洗い汚れを取り除きましょう。
ワイヤー矯正中の注意点
ワイヤー矯正が矯正の中で一番歴史が長く、実績がある矯正治療です。
多くの人が行う矯正ですが、注意点が下記にあります。
- 装置にプラークが付きやすく虫歯や歯周病になりやすい
- 装置の一部が歯茎や粘膜に当たり傷ができる
- 硬い物や粘着性の強い物(ガム、キャラメル、餅)で装置が破損しやすい
- 一時的に活舌が悪くなる
- ワイヤーを月に一度調整した後に3日~7日間くらい痛みが生じる
以上のように注意点はありますが、装置が当たって痛みがあるときは調整も可能です。
注意事項が分かっていれば、問題無く矯正治療は進められます。
矯正と虫歯についての悩みは信頼できる歯科医に相談
今はネットで色んな情報があり簡単に調べることができますが、矯正と虫歯の悩みは歯科医に相談するのが一番良いのです。
必ず解決する方法がありますし、歯科医は患者さんが歯のコンプレックスを無くして、日々生き生きと生活することを望んでいます。
虫歯があり歯並びが悪いと、体の不調にも繋がります。
お口の中が健康だと、実際に病院に通院することも増えて医療費も多くかかる事が分かっているのです。
つまりお口の健康が、体全体の健康に繋がるのです。
悩みがあれば相談だけでも受け付けてくれるため、まずは気軽に歯科医に相談して下さい。
まとめ
虫歯があっても、矯正治療はできます。
ただ先に虫歯治療を終わらせてから、矯正治療を始めるのが約束です。
虫歯治療を終わらせ矯正治療をすれば、歯が見違えるようにキレイになり、口元に自信がもてます。
結果、歯を大事にしようと意識が高まり歯ブラシを頑張り虫歯予防に繋がります。
矯正中は適切な歯ブラシをしプラークを除去して、虫歯や歯周病にしないように心がけましょう。