【監修:青山健一】
目 次
美しい歯並びは周囲の人に良い印象を与えるだけでなく、お口の健康を維持することにもなります。そのため歯並びの悪い人は矯正治療を受けたいとの考えです。
矯正治療はブラケット矯正という治療法が一般的に行われています。この治療は矯正装置が見えるというデメリットがあります。「装置が見えるから恥ずかしい」「矯正を秘密にしたい」「痛いんじゃないの」などの理由で治療を迷っている人も多いです。
ブラケット矯正にはいろいろな種類があります。治療を躊躇する要因のひとつになっている「見える」ことも、見えにくい治療法やほとんど見えない治療法によって解決できます。
ブラケット矯正の特徴や治療法の種類、メリット・デメリットを解説します。迷っている人は参考にしてください。
ブラケット矯正の特徴
ブラケット矯正はブラケットという装置を治療対象の歯に装着します。次にブラケットにワイヤーを通しワイヤーの復元力を利用して歯を少しずつ動かす治療法です。
これまでの症例が多く、ほとんどの歯並びに対応できるメリットがあります。一方で笑ったときに矯正装置が見えてしまうというデメリットがあるのもブラケット矯正の特徴です。
歯に矯正装置を装着することでお口に違和感を覚えたり舌が触れることで痛みを感じたりする可能性もあります。違和感や痛みはしばらくすると治まり、一般的には2年~3年で治療が終わります。
ブラケット矯正のメリット
長い歴史の中で多くの症例が発生しており、その症例をもとにして治療法の研究も進んできました。安心して治療ができるのがブラケット矯正ですが、それにはどんなメリットがあるのか解説しましょう。
矯正治療を検討するための参考になるようにブラケット矯正のメリットを解説します。
矯正治療の症例が多い
ブラケット矯正は古くから行われている矯正治療法のひとつです。長い歴史があるため現在まで多くの治療が行われてきました。
隙間があったり傾きが大きかったり大きな歯や小さな歯など、歯並びの悪い症例がたくさん集まっています。治療が難しい症例もその一つひとつの症例ごとに治療法も研究され治療技術が進んできました。
今までに治療された症例数が多いことからも、今では最も信頼できる治療法です。
さまざまな症例に適応できる
ブラケット矯正は一つひとつの歯にブラケットという矯正装置を装着し、それらをワイヤーでつないでいく治療方法です。
そのことから、複雑に並んだ歯でもブラケットが装着できれば治療ができることになります。
歯と歯が重なっている場合や隙間が広い歯、大きさの違う歯、傾きが大きい歯、全体が大きく乱れている歯など歯並びにかかわりなく治療が可能です。
ほとんどの歯並びの治療が可能なため、こんな歯でも大丈夫かな?と躊躇している人でも、一度歯科医院に相談することをおすすめします。治療後の歯の並べ方を細かく相談できるのもブラケット矯正のメリットです。
装置によって費用を抑えることができる
矯正治療にかかる費用相場は、60万円~150万円といわれています。治療費に幅があるのは、矯正治療が健康保険の適用外になっていてそれぞれの医療機関の自由診療だからです。
自由診療とはいえ、誰しも治療費用を抑えたいと思いますよね。治療費用は歯に装着する装置や使用するワイヤーなどの矯正装置によって違ってきます。
矯正装置による費用相場は下記のとおりです。
- メタルブラケットとメタルワイヤーの場合 50万円~70万円
- メタルブラケットとホワイトワイヤーの場合 60万円~80万円
- プラスチックブラケットとメタルワイヤーの場合 70万円~80万円
- プラスチックブラケットとメホワイトワイヤーの場合 80万円~90万円
- セラミックブラケットとホワイトワイヤーの場合 90万円~100万円
*裏側矯正の場合はさらに高くなります。
装置による費用は、メタルブラケット・プラスチックブラケット・セラミックブラケットの順に高くなります。矯正装置が目立たない矯正治療ほど費用が高くなると考えてください。
矯正治療の費用で治療の効果が変わることはありません。矯正装置を選ぶことで治療費用を抑えることができるため、予算に合わせて歯科医に相談してみましょう。
ブラケット矯正のデメリット
ブラケット矯正は手軽に治療ができ、ほとんどの症例に適応できるメリットがありますが、良いことだけではなくデメリットもあります。
ブラケット矯正を検討するときには、矯正治療中に発生するであろうデメリットも理解しておいてください。
装置によっては目立つ
ブラケット矯正は、歯の表面にブラケットという矯正装置を装着します。さらに、そのブラケットをワイヤーでつなぐのです。
一般的な治療ではブラケットやワイヤーは金属でできているので、白い歯とメタリックな色をしたブラケットやワイヤーとの対比でどうしても目立ってしまいます。
装置によっては違和感がある
治療のためにブラケットやワイヤーがつけられるので、お口の中に今までなかった物が入ってきたような違和感を感じることがあります。
ブラケットは厚みがあるので、会話のときや食事のときに舌が当たって痛みを感じることもあるでしょう。
違和感や痛みは一時的なものと考えてください。矯正装置を装着して時間が経つにつれて違和感や痛みは和らいできます。
目立ちにくい装置は費用がかかる
ブラケット矯正は装置が目立つから躊躇しているという人でも、目立たない治療法があります。
ブラケットやワイヤーなどの矯正装置を透明にしたり歯の色に近づけたりすることで見えにくくできるのです。また、矯正装置を歯の裏側に装着する治療法も開発されています。
目立ちにくい治療法やほとんど目立たない治療法は、一般的な治療法に比べて費用がかかります。見えにくさしたがって治療費が高くなると考えましょう。
ブラケットの種類
矯正治療の使用するブラケットは、メタルブラケット・プラスチックブラケット・セラミックブラケットの3種類に分けられます。
それぞれのブラケットには矯正治療中の審美性や治療時間、費用などで特徴が分かれます。それぞれのブラケットのメリットとデメリットを分かりやすく解説しましょう。
メタルブラケット
メタルブラケットは金属製の装置で、歯並びの状態に対応しやすいことから古くから多くの症例に使われてきました。
丈夫な金属製でできているため装置を薄くできます。そのため、お口の中の違和感が少ないというのがメリットです。他のブラケットに比べて治療時間も比較的短かくて治療費用も抑えられます。
その反面、歯の表面に金属のブラケットを装着するため笑ったり口を大きくあけたときに目立つのがデメリットです。矯正治療をしていることを知られたくない人にはためらいがあるかもしれませんね。
また、金属アレルギーがある人にはおすすめできないブラケットです。お口の中がヒリヒリとした痛みや頭痛などアレルギー症状がでることがあります。
プラスチックブラケット
透明のプラスチック素材でできているブラケットで、装着していることに気づかれにくい特徴がありますが、メタルブラケットに比べてやや高価です。
メタルブラケットに比べて強度で劣るため、同じような強度を保つために少し厚くできています。そのため、お口の中の舌触りに違和感をおぼえることがあります。
また、プラスチックの特徴ですが長い間装着していると次第に変色してきます。食事や体質にもよりますが黄ばんだようになるのがプラスチックブラケット難点です。
セラミックブラケット
セラミックブラケットは歯の色に似せて作ることができるため、矯正装置を装着していることが見えにくいという特徴があります。
そのセラミックブラケットはプラスチックブラケットのように変色しにくく汚れも付きにくいため、ずっと目立ちにくい状態を維持することがうれしいポイントです。
さらに、金属を使用していないため金属アレルギーが心配な人でも、アレルギーを起こすこともなく安心して装着できます。
セラミックブラケットはメリットが多いですが、プラスチックブラケットと同じように強度で劣り割れてしまうことがあります。メタルブラケットと同じような強度を保つために少し厚くできているため、お口の中の舌触りに違和感がでます。
矯正治療中の審美性にすぐれているが、他のブラケットに比べて治療費が高くなるというデメリットもあります。
金属アレルギーの方にも使えるブラケットとは
一般的に使われているメタルブラケットは費用が安く抑えられる治療法で多くの患者さんが利用している治療法です。
しかし、メタルブラケットが適用できない方もいるので注意しましょう。金属アレルギーがある方は、矯正装置を装着することでしびれや頭痛などのアレルギー症状を引き起こすことがあります。
金属アレルギーが心配な方は、ブラスチックブラケットやセラミックブラケットを使用することができます。金属を使用しないのでアレルギーを起こす心配はありません。
見た目の問題を解決する方法
悪い歯並びを矯正したいと思っていても、矯正治療していることを知られたくない、矯正装置が見えるのが恥ずかしい、対面で会話する職業のため矯正装置には抵抗があるなどの理由で治療を躊躇している人もいますよね。
そんな人に朗報です。見た目を気にしないで治療に専念できる方法があります。審美ブラケットや裏側矯正という治療法を解説するので、躊躇している人は参考にしてください。
審美ブラケット
審美ブラケットは、一般的なメタルブラケットと同じように複雑な歯並びにも対応できるという特徴は引き継ぎながら、目立ちにくいというメリットを合わせ持ったブラケットです。
ブラケットは白や透明の素材で目立ちにくいという特徴があります。セラミックや樹脂でできているため金属アレルギーが心配な人が装着しても安心です。
審美ブラケットは細菌や汚れなどが付きにくいため、きれいで清潔な状態を長く維持できる反面、メタルブラケットに比べて費用が高くなります。
また、ワイヤーもメタルワイヤーを白くコーティングして使用するため、歯の白さに溶け込んで目立ちにくく装着できるワイヤーです。審美ブラケットと併用すればより高い審美性が得られます。
裏側矯正
裏側矯正は、その名のとおり矯正装置を歯の裏側に装着する治療法です。外からは矯正装置が見えないため、矯正治療中であることを気づかれないというメリットがあります。
ワイヤーには形状記憶合金やチタン合金が使われるようになりました。一般的なワイヤーに比べて人体への適応も良く、口の中の状態や装着状態を確認するための通院間隔を長くすることができます。
しかし、歯の裏側に矯正装置を装着するため、食べ物や舌があたり装置が外れることがあります。装置と舌がぶつかって違和感や痛みを感じることもあるでしょう。
表側矯正と同じようにほとんどの症例に対応できるが、技術的に難しいことから他の治療法に比べて一番費用がかかる治療法です。
ブラケット矯正で悩んだら信用できる歯科医に相談しよう
矯正治療は「治療費が高い」「矯正装置が見えるのが恥ずかしい」「矯正していることを知られたくない」「期間がかかる」などの理由で、治療を検討していてもなかなか踏み切れない人も多いと思います。
一般の歯科医院でも矯正治療について相談できる医院もあります。また、無料で相談を受けている医院もあるので探してみましょう。
悩んでいるだけでは先に進むことができません。住居や仕事先の近くにある歯科医院や知人に紹介してもらった歯科医院など、信用できる歯科医に相談してみましょう。
どんな治療法がある?見えない治療法はある?治療にかかる期間は?費用はどれくらい?痛みはある?など、不安に思うことをぜひ一度相談してみましょう。
まとめ
ブラケット矯正は矯正装置が見えるため治療を躊躇している人もいますが、見えにくい治療やほとんど見えない治療法や矯正装置も開発されました。
矯正装置を装着した後は違和感や痛みを感じることがありますが、しばらくすると痛みも治まります。痛みを軽くできる装置も開発されているため、治療法を決めるときに歯科医に相談してみましょう。
歯並びが良くなることで歯磨きもしやすくなるため、お口の中を清潔に保つこともできます。
矯正治療を行い、人前でも思いっきり笑顔を見せましょう。歯並びを気にして対面での会話をためらったり笑顔を見せることもできなかったことと思います。
コンプレックスから解放され人生が変わる思いがします。矯正治療は良いことずくめです。思い切って一歩を踏み出してみましょう。