【監修:青山健一】
目 次
歯列矯正をしていると、食事の際に噛みにくいことや噛めないことも出てきます。では、なぜ食べ物が噛めないのか理由を詳しくご紹介します。
矯正中に噛めないほど痛む原因は何なのか、痛みを感じにくい食事や避けたい食べ物は何かなども一緒にみていきましょう。
矯正中の食事で噛めない理由
矯正中は、口の中に痛みを感じて噛めないという人も多いです。では、噛めないほどの痛みの原因とは何なのか、まずは理由を詳しく解説していきます。
矯正器具装着による口内炎
矯正装置は歯の表面につけるため、粘膜と擦れて口内炎ができ、痛みの原因となります。
矯正は前歯に装置を着けることがほとんどですが、食事や会話など歯や唇が動く際に粘膜と擦れて口内炎になりやすいです。
口内炎ができると食事をする際に痛みを感じたりしみやすくなったりして、噛めない・食事をしづらい原因となります。
歯が動く痛み
矯正治療中は、矯正装置で歯に力を加えて少しずつ動かします。
圧を加えると歯の根っこまわりにある骨が溶け、再生することで歯が少しずつ動くのですが、骨が溶けたり造られたりして歯が動く際に痛みが発生しやすいです。
矯正治療を始めたばかりで広い範囲に矯正装置が着いている場合、圧迫感を感じることが強く噛めないほど痛みが出ることもあります。
噛む時の違和感と痛み
矯正中は歯を動かしているため、噛み合わせが変わりやすいです。歯医者で調整してもらってしばらくはよくても、日が経つにつれて噛むと痛い場合も出てきます。
痛みまでは行かなくても噛むと違和感がある、食事しづらいという人も多く、噛めない・噛みにくい原因となるのです。
矯正中に痛みを感じにくい食事は
矯正をしている間は、食べ物を食べてもできるだけ痛くない食事をしたいですよね。
では、矯正治療中に痛みを感じにくい食べ物とはどんなものがあるのかを細かくみていきましょう。
柔らかい食べ物
矯正は歯に圧をかけることで、痛みを伴うことが多いです。そのため、食事の際は噛んでもあまり歯に圧がかからない柔らかい食べ物を選びましょう。
柔らかい食べ物とは、ご飯ものならリゾット・雑炊、おかずならハンバーグ・シチュー・おでんなどが挙げられます。
煮込み系のおかずは、具材にしっかり火を通すことで柔らかくなり、噛んでも痛みを感じにくいです。普段よりも食材を長めに煮込み、食べやすくしましょう。
水分を含む食べ物
矯正治療中は、おかゆなどの水分が多い食べ物も痛みを感じにくいです。水分が多いとさらさらとしており、あまり噛まなくても食べられます。
水分が多い食べ物は他にも、味噌汁やミネストローネなどのスープ類・豆腐・茶碗蒸し・プリンなどが挙げられます。
豆腐は、冷奴や湯豆腐などそのまま食べてもよいですが、ハンバーグやつくねにプラスすればさらに柔らかく食べられる万能食材としておすすめです。
矯正装置に挟まりにくい食べ物
矯正装置に食べ物が挟まると歯が圧迫され痛みを感じやすいため、挟まりにくいものを食べましょう。
筋がある食べ物は、矯正装置や歯の間に挟まりやすいです。まぐろの刺身など筋が目立つものは、細かくたたきにしてから食べるのがおすすめです。
また、痛みを感じなくても矯正装置に挟まると歯磨きするのが難しい食べ物もあります。
ねぎ・刻みのり・ブロッコリー・しらすなど、細かい食材は挟まりやすいため気をつけましょう。
ビタミンB2を含む食べ物
ビタミンB2は口内炎など、口の中にできた傷を早く治してくれるなどの作用があるため、積極的に摂りたい食べ物です。
レバー・うなぎ・チーズ・のり・納豆・アーモンドなどに多く含まれており、矯正装置が擦れて粘膜に傷ができても早期回復が期待できます。
ですが、上記の食べ物は矯正装置に挟まったり噛みにくかったりと、矯正治療中にはあまり向いていない食べ物が多いです。
ビタミンB2は卵や鮭にも含まれているため、卵焼き・卵スープにしたり、鮭フレークを使ってお茶漬けにしたりすると矯正中でも食べやすくなります。
ビタミンB6を含む食べ物
ビタミンB6は粘膜の免疫を維持するのに大切な役割をしてくれる栄養で、矯正装置が多少粘膜に擦れても細胞が再生するため痛みを感じにくいです。
ビタミンB6は、にんにく・まぐろ・かつお・バナナなどに多く含まれており、どれも生の状態で食べるのがよいです。
まぐろやかつおなどの魚はたたきにして、バナナはヨーグルトなどの乳製品と食べると効率よく摂取できます。
にんにくは生で食べるのはなかなか難しいため、ガーリックパウダーを使って調味料として食事にうまく取り込むのがおすすめです。
歯が痛いときに何が食べやすい?
歯が痛むときは、上記で紹介した痛みを感じにくい食事をしましょう。柔らかいものや水分が多いものを中心に、あまり歯に負担がかからない食事がよいです。
それでも歯が痛いときは、噛まなくても栄養補給ができるゼリー飲料やヨーグルトなら痛みを感じません。
あまりにも痛みが強くて食事もできない日が続くようであれば、早めに歯医者を受診し先生と相談しましょう。
注意すべき食べ物
次は、矯正中に食べるのはおすすめしない、注意すべき食べ物をご紹介します。
矯正装置に挟まりやすいものや歯に負担がかかり痛みが出やすいもの、虫歯になりやすいものなどさまざまな理由があるため、詳しくみていきましょう。
野菜などの繊維質
繊維質のものも麺類と同様に、歯や矯正装置に挟まりやすいです。とくにえのき・ニラ・ほうれん草・白菜・糸こんにゃくなどが挙げられます。
繊維質なものも矯正装置に挟まりやすく取りづらいため、あらかじめある程度細かく切ってから食べると挟まりにくいです。
砂糖が多い食べ物
砂糖が多く含まれる食べ物は、虫歯になりやすいため注意しましょう。矯正治療中は装置が常に歯に着いており、隙間に菌が溜まりやすいです。
飴・ハイチュウ・チョコレートなど、常に甘いものを口に入れているという人は、虫歯になりやすいため控えましょう。
矯正治療だけでなく虫歯治療も必要になる他、矯正で歯が動く痛みだけでなく虫歯での痛みが出るかもしれません。
粘性の高い食べ物
ガム・キャラメル・ハイチュウなどの粘着性が高い食べ物は、矯正装置に引っかかって取りづらいため控えた方が無難です。
とくに奥歯に矯正装置が着いている人は、粘着性の高い食べ物が引っかかると自分で取るのは難しくなります。
また、ガムなどは奥歯でしっかりと噛み込むため、矯正中の歯に負担がかかり痛みやすいです。キャラメルなどは、虫歯にもなりやすいので気をつけましょう。
硬い食べ物
硬い食べ物は矯正中に食べると、歯に負担がかかり痛みが出やすいです。お煎餅や野菜スティックなど前歯で噛む硬いものは、小さくすれば前歯に負担がかかりません。
奥歯で噛んでも痛いときは、硬い食べ物はしばらく控えておきましょう。するめやグミなどガリガリと硬いわけではない食べ物でも、歯に負担がかかる食べ物もあります。
食べ物自体は柔らかくても、噛み切りにくいものは歯に圧がかかり痛みが出やすいです。矯正中に硬いものや噛み切りにくいものを食べると歯が痛いときは避けておきましょう。
食べ残しが溜まりやすい部分
矯正をしていると、食べ残しが溜まりやすい部分が出てきます。ワイヤー・ブラケット矯正は、ブラケットとワイヤーの間や矯正装置と歯茎の間に食べ物が溜まりやすいです。
インビザラインやマウスピース矯正の場合、食事の際はマウスピースを外すため矯正装置に食べ物が溜まることはありません。
しかし、どの矯正装置であっても歯並びがよくないと歯と歯の間に食べ残しが溜まりやすく、歯ブラシで取り除きにくいです。
食べ残しが溜まりやすい部分は人によってそれぞれ違うため、自分の口の中で食べ残しが溜まりやすい部分はどこなのかを歯科医院で聞いてみるのもよいですよ。
食べ物が挟まった時の矯正装置のお手入れ法
矯正治療中は、歯と歯の間や歯茎との隙間に食べ物が挟まりやすいです。食べ物が挟まったときは、うがいや歯ブラシで口の中をきれいにしましょう。
矯正装置に食べ物が挟まったときも同じように清潔にして下さい。小さい食べ物が挟まってなかなか取れないときは、タフトブラシや歯間ブラシを使うのがおすすめです。
タフトブラシはピンポイントで汚れをかきだすのに最適なブラシなため、ワイヤー・ブラケット矯正をしていて歯磨きしづらい部分が多いときは、常備しておくと歯を磨く際に役立ちます。
マウスピースを使用した矯正治療の場合、矯正装置に挟まることはありません。
歯並びがよくない部分が磨きづらく重点的に磨くかと思いますが、噛み合わせ部分もしっかりと磨きましょう。
磨き残しがあるままマウスピースをはめてしまうと、虫歯になりやすくなります。マウスピースも同様に清潔にしないと細菌が繁殖しやすくなるため、洗浄液に付けてお手入れして下さい。
矯正中に噛めない悩みは専門医に相談
矯正歯科の先生は、歯に痛みが出て噛めない・食事がしづらい患者さんをたくさん診てきています。噛むと歯が痛くて食事ができないときは、気軽に歯医者で相談しましょう。
噛むと歯が痛いときだけでなく、口内炎で口の中が痛いときも我慢せずに相談して下さい。矯正装置を調整してもらうことで痛みを緩和できることが多いです。
矯正装置や歯の間など食べ物が挟まりやすい部分があるときは、歯磨きの仕方を教えてもらうと効率よくきれいに歯磨きができます。
まとめ
矯正治療をしていると、多くの人が歯に痛みを感じます。歯が痛くて食事がしづらく、噛めないのはつらいですが、歯が動いている証拠です。
痛くて噛めない理由を知って矯正へのストレスを少しでも緩和し、痛みを感じにくい食事や歯が痛くても食べやすい食事をして乗り越えましょう!