【監修:青山健一】
目 次
「歯列矯正で痩せる」という話はよく聞く話ですが実際のところはどうなのでしょうか。歯列矯正は一般的には歯並びや噛み合わせを改善する目的のため、痩せる理由はよく知られていません。
今回は歯列矯正で痩せる理由や歯列矯正で得られるメリットについて紹介をします。
歯列矯正で痩せるって本当?
歯列矯正を始めたことで痩せたという話を聞くことがあると思います。そんな話を聞いて「私も始めたい」と考える人もいるかもしれません。
しかし、歯列矯正は医療行為のため直接的に痩せることに繋がるわけではありません。実際には治療の過程や歯並びが改善された副次的な効果で痩せることがあります。
歯列矯正で痩せることに繋がる理由
歯列矯正を行うことで痩せる理由の1つとして考えられるのは噛み合わせが良くなり咀嚼がしやすくなったという点です。
咀嚼がしやすくなることで満腹中枢が機能して、適量の食事で満腹感を得られやすくなります。
実際に歯並びが悪く咀嚼がしにくい人は満腹中枢が機能しづらく食事量が多くなりがちです。歯列矯正を行うことでそれが改善され食事量が減り痩せることにつながるのです。
ここでは歯列矯正が痩せることにつながる理由について紹介します。
食欲がなくなる
矯正治療は歯を動かして治療を進めていくため、炎症を起こしてしまい個人差はありますが痛みを感じることがあります。
特に治療を始めて装置を付け始めたときや装置の調整で通院をしたすぐは痛みを感じやすいです。中にはこの痛みが気になり食欲がでなくて食事自体を控える人もいます。
ただし、痛みには個人差があり食事ができないほどの痛みであれば矯正治療の痛みではなく違う要因の可能性があるため注意が必要です。
特に痛みを感じて1週間~10日以上経っても痛みが治まらない場合は歯科医に相談をして、痛みの原因を確認しましょう。
間食が減る
矯正中に間食が減ったと話す人は少なくありません。なぜなら矯正治療中は虫歯や歯周病のリスクが高まるため歯磨きやケアを念入りにする必要があるからです。
特にワイヤー・ブラケット矯正は装置を装着したまま歯磨きを行わなければならないため、歯科医から指導を受けて食事の度に必ずしなくてはいけません。
マウスピース矯正でも食事後の歯磨きはしなければなりません。そのため、毎回のブラッシングが面倒で間食を控えることで結果的に摂取カロリーが減り痩せることにつながります。
このように歯列矯正を行うことで意識しなくても結果的にダイエットと同じ効果を得られる場合もあります。
食べづらくなる
マウスピース矯正の場合は該当しませんがワイヤー・ブラケット矯正の場合は食事を食べづらくなり控えることで結果的に摂取カロリーが減り痩せるということがあります。
治療中は強く噛むと痛みが起きる場合があり、これが気になり食事を食べづらく感じてしまう人がいます。
細かくしたり柔らかくするなど工夫をすれば食べられなくもありませんがそのひと手間が面倒に感じてしまい食事を控える人も少なくありません。
さらに使用する矯正装置によっては見た目が気になり外食を控える人もいます。これもカロリーを抑える要因の1つです。
消化しやすい食事が増える
ワイヤー・ブラケット矯正の場合、矯正中の違和感や痛みで食事の際に上手く咀嚼できないことがあります。そのため、咀嚼をしなくても食べることができる柔らかいもの選択しやすくなります。
主におかゆやゼリーなどを好んで食べられることが多いです。これまで脂っこいものを食べていた人は特に痩せやすい環境になります。
歯列矯正で顔が痩せたように感じる理由
そのほかにも歯列矯正を行うことで体重に変化がなくても痩せたように見えることがあり、このように見える要因は輪郭の変化です。
ほかにも矯正を行ったことで美人に見えたり顔がすっきり見えたりと相手に与える印象が変わります。
このようにすっきりした理想の輪郭を「Eライン」と呼び、このラインに近づくことで痩せたようにも見えます。
歯並びが良くなる
歯列矯正の目的は一般的に歯並びを良くすることです。噛み合わせが悪いと顔が歪んでしまい太って見えることもあります。
例えば、歯並びが悪く歯の高さが違ったり被せ物をしていることも噛み合わせが悪くなる原因の1つです。
歯列矯正を行うことで負担が分散され、顔のバランスが整うと顔がすっきりとするため体重的に変化がない場合でも痩せたように見えます。
顔まわりが変化する
矯正治療の一環として抜歯する可能性があり親知らずを抜く場合もあります。
抜歯をすると歯を支えていた顎の骨が痩せていきますが親知らずは外側にあるため、抜くとフェイスラインに影響を与えやすいです。
親知らずを抜くとフェイスラインがすっきりとする効果があり、見た目が痩せたように見えます。
さらに、歯列矯正で噛み合わせが改善されることで歯全体をバランスよく使用して食事を噛むことができるようになります。
その結果顎の筋肉をバランスよく鍛えることにつながり、顔のむくみが取れたり歪んでいたフェイスラインを整うことで痩せて見える要因です。
このように矯正治療を行う副次的に顔が小顔になり痩せたように見ることがあります。
歯列矯正で確実に痩せるわけではない
ここまで歯列矯正で痩せる理由を紹介しましたが歯列矯正で確実に痩せるわけではありません。
そもそも歯列矯正は歯並びや噛み合わせを整える目的であって痩せるのは副次的な効果のため、痩せる目的で歯列矯正を行うことはおすすめできません。
さらに装着する装置によっても痩せる効果は低くなることもあり、例えばセルフライゲーションブラケットを使用した場合、痛みも少なく治療が可能なため食欲が低下しないこともあります。
痩せるためには本人の努力が必要になることを理解して、矯正治療を行いならダイエットを考えている場合でもしっかりと意識をしないと、痩せられないことがあるため注意が必要です。
歯列矯正のメリット
歯列矯正を行う上で「痩せる」ことはあくまでも副次的な効果であり、歯列矯正を行うメリットはほかにあります。
歯並びや噛み合わせを改善することで見た目以外でも口腔内の環境や身体にもよい影響があるため、おすすめの治療法の1つです。
例えば、歯列矯正を行うことで歯並びがよくなり歯磨きがしやすくなり結果的に虫歯や歯周病のリスクを下げることができます。
ここでは歯列矯正で得られることができる代表的なメリットを紹介します。治療を検討しているけど一歩を踏み出せないという人は是非参考にしてください。
歯の健康を保てる
前述でも紹介したとおり、歯並びが悪いと虫歯や歯周病のリスクが高まり歯の健康を保つことができません。
ほかにも、歯の高さがバラバラな噛み合わせであれば歯全体で噛めないため一か所に負担が集中することにつながります。
そのまま生活を続けてしまうと最悪の場合、歯の損失につながり歯の健康を保てない原因になりかねません。
歯列矯正を行うことで歯全体に均等に負荷を分散することができ歯の損失を避けることができます。このように、歯列矯正を行って歯並びや噛み合わせを改善することは歯の健康につながります。
身体の健康につながる
歯列矯正を受けることで体の健康につながるということはあまり知られていません。
まず、噛み合わせがよくなることで咀嚼がしやすくなりしっかりと噛むことができるようになります。そのため、食べ物を細かく砕いて唾液と十分に混ぜ合わせるようになります。
消化機能を改善する要因となり胃腸の負担を減らすことが可能です。さらに胃腸の痛みをストレスに感じていればストレスを解消することにつながりストレスからも解放されます。
コンプレックスが解消される
コンプレックスの解消は歯列矯正を受ける理由でよく挙げられる理由の1つです。
長年歯並びが悪く、人前で笑うことが苦手だったり食事に抵抗を覚えて悩んでいる人は多くいます。
矯正治療を受けることでフェイスラインがすっきりして、歯並びをよくすることで今までの悩みから解放されストレスを感じることなく日常生活を送れるようになります。
ほかにも見た目が若々しく見えるなど口元にコンプレックスを抱えている人は早めに歯科医に相談しましょう。
歯列矯正の注意点
歯列矯正は長期にわたる治療です。そのため、注意点をしっかり理解をして治療を進めていかないと治療に取り組みことができず矯正の効果得ることができない可能性があります。
歯列矯正は歯を動かしていく治療です。そのため、治療中は歯に炎症が起きている状態となり痛みや違和感があります。
痛みが少ない治療法も増えてきていますが多少の痛みや違和感を覚悟して治療を受けましょう。
さらに、歯列矯正は保険適用外になるケースが多く注意が必要です。治療を受ける前に歯科医に費用の確認をする必要があります。
治療中は患者も我慢や不便を強いられることがあるため、あらかじめ歯科医の話をよく聞いて治療を進んていきましょう。
痛みや違和感がある
歯列矯正は専用の装置を用いて歯を動かします。歯が移動するときに炎症を起こしてしまうため、痛みや違和感が生じます。
この歯の痛みは装置を付けて歯が動き始めに痛みを感じ治療が進んでいく中で少しずつ痛みは治まるため、心配はいりません。
ほかにも装置が口内に合ったって起きる痛みもあるため、痛みを感じた場合は早めに歯科医に相談をしましょう。
費用が高額になる
歯列矯正はでは矯正装置に特殊な材料を使い、装置自体が非常に高くなります。さらに技術料も専門の歯科医が行うため、通常の治療に比べて高額になります。
矯正治療は保険適用外のため、高額な治療費を患者が全て負担しなくてはなりません。
治療を検討する場合はあらかじめ歯科医に費用の提示をしてもらい計画的に治療を進める必要があります。
歯列矯正で悩んだら信頼できる歯科医に相談
歯列矯正は人生で何回も受ける治療ではありません。しっかりと治療内容を理解して取り組むためには信頼する医師から指導を受けることが重要になります。
歯科医を決めるときは初診でちゃんと話を聞いてくれるか、親切に対応してもらえるかを確かめましょう。
歯列矯正は患者と医師が協力しなければ治療を成功に導くことは難しいです。信頼できる歯科医と共に矯正治療を進めていきましょう。
まとめ
今回紹介したとおり、歯列矯正は痩せることにつながることがあります。しかし、あくまでも副次的なもののため確実なものではないことも理解しなければなりません。
矯正治療を通じて痩せたいと考えている人は今回紹介した痩せる理由を理解して治療を進めていかなければなりません。
矯正治療はあくまでも歯並びや噛み合わせを治療することが目的ということを理解しておきましょう。