【監修:青山健一】
目 次
ガミースマイルのために「思いっきり笑うことができない」「口元を隠してしまう」など、口元にコンプレックスを抱える人は少なくありません。
表情はその人の印象を大きく左右するものです。だからこそ、口元に自信が持てると、自信を持って笑うことができ、他人に好印象を与えやすくなります。
そこで今回は、口元のコンプレックスのひとつであるガミースマイルの原因や治療方法、矯正治療とガミースマイルの関係性を解説いたします。
ガミースマイルに悩む人は多い?
ガミースマイルとは、笑ったときに上の歯茎が見え過ぎてしまう状態のことです。
一般的に笑ったときに歯茎が3mm以上見えると、ガミースマイルに当てはまると考えられています。
笑ったときに歯茎が露出すると、歯や口元の印象が強く残りやすいです。そのため、ガミースマイルの笑顔と歯茎が見えない笑顔を比べたとき、多くの方が歯茎が見えない笑顔を好む傾向があります。
ガミースマイルが他人に悪い印象を与えるとはいいきれません。しかし、審美的な理由からガミースマイルにコンプレックスを感じている人は少なくなく、多くの人がガミースマイルを治す治療を受けています。
また、日本人を含めアジア人は、骨格のつくりから前歯が前方に突出した人が多く、出っ歯やガミースマイルになる割合が多いといわれています。
日本人にとってガミースマイルは決して稀な症状ではなく、多くの人の悩みとなっているのです。
ガミースマイルの原因
ガミースマイルになる原因はひとつではありません。さまざまなガミースマイルの原因について詳しく説明していきます。
骨格
ガミースマイルの原因のひとつは骨格です。上顎が大きい、上顎の骨が長い、下顎が小さいなど、骨格の影響によってガミースマイルになります。
また、上顎前突症もガミースマイルに大きく関係しています。上顎前突症は、いわゆる出っ歯のことで、上の前歯や上顎が前方に出ている状態です。
顎が前方に出ているために、前歯や歯茎が目立ちやすくなります。
歯並び
骨格に問題がなくても歯並びのアンバランスさが原因でガミースマイルになることもあります。
歯並びが問題で前歯が前方に出ている場合も、口を開けた際に上唇が前歯に沿って上がりやすくなるため、歯茎が見えやすくなってしまうのです。
また、歯並びに問題がなくても、歯が小さい・歯の位置が下がり過ぎている場合も、ガミースマイルになりやすい傾向があります。
口まわりの筋肉
口まわりの筋肉が発達していることもガミースマイルの原因のひとつです。
上唇を引き上げる上唇挙筋という筋肉が強いと、笑った際に歯茎が見えるまで上唇が引き上げられ過ぎてしまいます。
歯肉
歯肉、いわゆる歯茎そのものがガミースマイルの原因になっていることもあります。
本来、歯が見える部分まで歯肉が発達し歯に歯茎が覆いかぶさってしまうと、歯肉部分の面積が大きくなり、笑ったときや口を開けたときに歯茎が目立ちやすいです。
歯そのものが小さいためにガミースマイルになることもありますが、歯肉が発達し過ぎているために歯が小さいように感じてしまうケースも少なくありません。
ガミースマイルに影響する歯並び
ガミースマイルになる原因はさまざまですが、多くの場合、歯並びに大きく関係していることが多いです。
遺伝的な要素で出っ歯になりガミースマイルになることあれば、おしゃぶりや前歯を舌で押す癖など後天的な要素が原因で出っ歯となりガミースマイルになることもあります。
また、上の前歯で下の前歯が隠れてしまう過蓋咬合もガミースマイルが生じやすいです。
ガミースマイルだから歯並びが悪くなるとは考えにくいですが、ガミースマイルということはなんらかの歯並びの問題を抱えている可能性があるといえます。
実際のところ、ガミースマイルに悩む人は噛み合わせや歯並びの悩みも抱えているケースが多いです。
ガミースマイルを放置するリスク
ガミースマイルの最大のデメリットは、見た目が気になるという点です。そのため、「見た目を気にしないからガミースマイルのままでよい」と考える人もいますよね。
しかし、ガミースマイルを放置することに問題がないわけではありません。
ガミースマイルを放置するリスクについて解説していきます。
歯茎や口腔内の乾燥
歯茎が見え過ぎてしまうということは、それだけ歯茎や口腔内が乾燥しやすいということです。
乾燥した口の中は、通常の口腔内とくらべて細菌が繁殖しやすくなります。また、口の中が乾燥すると口臭も発生しやすくなるため注意が必要です。
虫歯・歯周病
口の中が乾燥しやすいと、虫歯や歯周病のリスクも高まります。
口腔内をうるおす唾液には、殺菌作用があり虫歯を防いだり口臭を抑えたりする働きがあります。歯茎や口腔内が乾燥し唾液が少なくなることが、虫歯や歯周病になる一因と考えられるのです。
また、歯並びや噛み合わせの悪さが原因でガミースマイルになっている場合は、歯並びや噛み合わせの悪さによって虫歯になりやすいともいえます。
前歯や歯茎が目立つガミースマイルは、虫歯や歯周病による口腔内の変化も目立ちやすいです。
虫歯や歯周病になるリスクがあるだけではなく、虫歯や歯周病によってさらに審美的な影響があらわれやすいことも覚えておきましょう。
ガミースマイルの治療方法
ガミースマイルを治す方法はさまざまですが、原因に応じた治療方法を選ぶことが大切です。ガミースマイルの治療方法のそれぞれの特徴・注意点について解説いたします。
歯列矯正
前歯が出ているなどの歯並びが原因でガミースマイルになっている場合は、歯列矯正で治療することが可能です。
ガミースマイルを治すと同時に全体の噛み合わせを矯正することができ、健康な自分の歯をそのまま残せるなどのメリットがあります。
一方で、歯列矯正は時間や費用がかかる、通院の必要があるなどのデメリットもあります。
インプラント矯正
インプラント矯正とは、インプラントの技術を応用した矯正方法のことです。人工の歯根(アンカースクリュー)を顎の骨に埋め込み、インプラントを軸に歯を引っ張ることで歯並びを矯正していきます。
歯の位置が原因でガミースマイルになっている場合は、インプラント矯正で歯の位置を矯正していくことで、ガミースマイルの改善が見込めます。
インプラント矯正でガミースマイルを治す場合は、上顎もしくは上の歯茎にアンカースクリューを埋め込み、歯の位置を上に移動させる方法が一般的です。
インプラント矯正は、ワイヤー矯正よりもピンポイントで動かしたい歯にアプローチができるため、ワイヤー矯正よりも治療期間が短くなるメリットがあります。
一方で治療が高額になりやすい、インプラント矯正ができる歯科医が限られるなどのデメリットもあります。
外科的矯正治療
ガミースマイルは、外科的矯正治療で治すこともできます。
外科的矯正治療にもいくつか種類があり、上顎の骨を切除し後方に引っ込める手術、耳介軟骨移植手術などが代表的です。
外科的矯正治療は半永久的な効果がありますが、自費のため治療費が高額、ダウンタイムが必要などのデメリットもあります。
上唇粘膜切除術
上唇が上がり過ぎてしまうことでガミースマイルになる場合は、上唇粘膜切除術という方法でガミースマイルを治すことができます。
上唇粘膜切除術は、上唇の上側と歯茎の上側の粘膜を切除し縫い合わせる治療方法です。
この施術によって上唇が上がりにくくなるため、歯茎が目立ちにくくなります。後戻しりにくく、手術時間も約1時間と短時間で済むメリットがあります。
ただし、上唇粘膜切除術も外科的矯正治療と同様、手術後は腫れが生じたり突っ張るような違和感があったりなどダウンタイムが生じる治療方法です。
歯肉切除
歯肉切除は、電気メスで余分な歯茎を切除する治療方法です。
歯茎が歯にかぶさっているために歯茎の面積が大きい場合は、歯肉切除で歯茎と歯のバランスを調節することでガミースマイルを改善することができます。
短時間で済み、外科的矯正治療や上唇粘膜切除術とくらべると術後の腫れや痛みが少ない傾向があります。
一方で、切除する歯肉の量によっては、物足りなさや歯が目立ち過ぎると感じることもあり、事前のカウンセリングが重要な治療方法です。
また、個人差はありますが、知覚過敏になりやすくなる、後戻りするなどのデメリットもあります。
ボトックス注射
ボトックス注射は、ボツリヌス菌を原料としてつくられた製剤を注入する施術です。
ボトックス注射には、神経伝達物質のアセチルコリンの分泌を抑える作用があります。アセチルコリンの分泌が抑えられることで、筋肉の働きを弱めることができるのです。
この効果を応用し、シワ予防やエラ改善などを目的としたボトックス注射は、美容施術のなかでもポピュラーなものとなりつつあります。
このボトックス注射を、上唇を引き上げる筋肉である上唇鼻翼挙筋と上唇挙筋に打つと、上唇の引き上げが抑えられ、ガミースマイルの改善につながります。
ボトックス注射は、腫れがなく比較的安価で受けられる治療方法です。
しかし、歯並びを矯正する効果はありません。また、効果に個人差がある、効果があらわれるまで1週間ほどかかるなどのデメリットがあります。
ガミースマイルを治すと見た目が変わる?
口を閉じている際の表情は変化がありませんが、ガミースマイルを治すと笑顔の印象が大きく変わります。
そのため、ガミースマイルを治しても、鏡で自分の顔を見る分にはあまり変化を感じることができないかもしれません。
しかし、笑ったり話したりと、他人の前ではさまざまな表情になります。
他人の前では、口を閉じていることよりも口を開けていることが多いため、他人からすると見た目の印象が変わったように感じられることが多いです。
また、マスクを外したときとマスクを着用しているときでは、顔の印象が異なることもありますよね。それだけ、口元の印象は顔全体の印象を左右する重要なパーツといえます。
だからこそ、ガミースマイルを治すと見た目の印象が変わることが期待できるのです。
ガミースマイルを矯正治療で治すなら歯科医に相談
ガミースマイルを治すには、原因に合った治療法を的確に選ぶことが重要です。
原因に合っていない治療法を選んでしまっては、期待した変化が得られない恐れがあります。
そうならないためにも、まずはガミースマイルの原因を正しく判断することが大切です。
ガミースマイルの多くは、骨格や歯並びが影響しています。そのため、矯正治療が効果的な治療となるケースも多いです。
ガミースマイルが気になる場合は、まずは歯科医に相談し、ガミースマイルの原因を診断してもらいましょう。
まとめ
ガミースマイルを治す最大のメリットは、コンプレックスの解消です。
口元に自信が持てると、人前で気にせず笑うことができ、他人に与える印象も大きく変わります。
他人の目を気にせず笑うことができれば、他人に好印象を与えやすくなりますし、自分自身も前向きになれます。
矯正治療など自分に合った治療方法を見つけることで、自信につなげていきましょう。