セルフライゲーションブラケットの特徴を歯科医が解説|費用やデメリットについても紹介します

【監修:青山健一】

セルフライゲーションブラケットの特徴を歯科医が解説|費用やデメリットについても紹介します

セルフライゲーションブラケットという言葉はあまり馴染みがないかもしれません。これは歯列矯正の最新の治療法の1つです。
今回はセルフライゲーションブラケットの特徴や費用、デメリットについて紹介していきます。是非、参考にして自身の矯正治療を再度検討して下さい。

セルフライゲーションブラケットの概要

セルフライゲーションブラケットの概要

セルフライゲーションとは「自己結紮」という意味で「結紮」は縛って固定をするという意味になります。
これまでの矯正装置は歯の表面にブラケットを装着してワイヤーで強く引っ張ることで歯を移動させていました。
しかし、セルフライゲーションブラケットは従来のブラケットに比べてワイヤーの摩擦を少なくすることでより小さい力で歯を動かすことが可能となります。

これは従来の強い力で引っ張るという考えから弱い力で歯を動かすほうが歯槽骨の吸収と再生が適切な早さで行われるということが発見されたことにより考えられた治療法です。
外見は従来の歯の表面に装置を着けてワイヤーでつなぐ構造と同じですがこの仕組みは「ローフリクションシステム」とも呼ばれています。

セルフライゲーションブラケットの特徴

セルフライゲーションブラケットの特徴

セルフライゲーションブラケットの特徴としてゴムや針金で結紮しないという点です。これによりブラケットとワイヤーの摩擦が抑えられ歯の動きがスムーズになります。
そのため様々な恩恵を受けることができ、ほかの矯正装置に比べてメリットもたくさんあります。
これからするメリットの紹介をみて治療を受けるか検討している人は是非、参考にしてください。

痛みが少ない

痛みが少ない

セルフライゲーションブラケットの仕組みは「ローフォース・ローフリクション」と呼ばれています。
痛みの原因は歯根膜と呼ばれる歯の根っこにあたる部分に炎症が起きて痛みを感じるということが一般的でした。
この炎症は装置を使って歯を動かすときの力が強いと起きてしまい歯の根元が締め付けられるような痛みを伴っていました。

セルフライゲーションブラケットを使用することで歯根膜に与える力を弱くすることで炎症度合いを抑えるため、痛みを感じにくくなっているという仕組みです。
さらにこの炎症は数日から1週間程度で収まるため、人によっては全く痛みを感じることはありません。

治療期間が短い

セルフライゲーションブラケットは弱い力で歯を動かすため、治療期間が長くなると考える人もいますが逆に治療期間が少なく済むという特徴があります。
前述でも紹介しているとおり従来は強い力で引っ張って歯を動かしていくという考え方が一般的でしたがこの方法では歯周組織に負担が掛かりすぎるという問題がありました。

しかし、昨今では弱い力を加えて移動をさせたほうが歯を移動させるために必要な歯槽骨の吸収と再生が適切な早さで行われることが発見されてこの治療法が採用されました。
結果、セルフライゲーションブラケットは弱い力で早く歯を移動でき、治療期間も短くて済ませることが可能です。

口腔内を清潔に保てる

口腔内を清潔に保てる

従来のワイヤー・ブラケット矯正では歯にブラケットを装着しワイヤーを通して力を加えますがその際にリングやゴムで固定をします。
そのリングやゴムに汚れがつきやすくさらに歯ブラシを入れづらいため、磨き残しが起きて歯周病や虫歯のリスクが高まってしまいます。

しかし、セルフライゲーションブラケットには開閉式のシャッターが付いておりリングやゴムを必要としません
そのため従来の装置に比べて歯磨きを行いやすく汚れもつきにくいため、口腔内を清潔に保つことができます。

診療回数を減らせる

ワイヤー・ブラケット矯正の場合、装置の調整やメンテナンスなどで来院しなくてはなりません。
セルフライゲーションブラケットは従来の装置と違い形状記憶のワイヤーを使用するため、持続的に力を加えられメンテナンスの回数を減らすことにつながります。
さらにこのブラケットは作業中の痛みや装置の取り付け・メンテナンスの時間も減らすことができます。
そのため、忙しくて頻繁に通院できない人にとっては強い味方です。

抜歯をしなくても済む可能性がある

歯列矯正では骨と歯の大きさのバランスを考えて必要に応じて抜歯をすることがあります。
抜歯をするとどうしても痛みを伴う治療となりますし、何より健康な歯を抜くということはできるだけ避けたいものです。
しかし、抜歯を行わずに歯列矯正をしようとすると歯槽骨全体を横方向に拡大する必要がありますが従来の装置では斜めに傾いて広がってしまう傾向があります。

セルフライゲーションブラケットを使用することで歯を傾けることなく歯槽骨部分を横方向へ拡大することが可能のため、抜歯をせずに歯列矯正をすることが可能な場合があります。
ただし、あくまでも「抜歯をしなくていい可能性がある」だけのためあらかじめ歯科医に確認をしましょう。

審美性に優れている

従来の装置は一般的には金属製のため、「いかにも矯正をしている」外観になってしまうというデメリットがありました。
セルフライゲーションブラケットは透明な素材を使用することで見た目も目立たなくすることが可能です。
さらにワイヤーも白くできるほか、前述でも紹介しているとおりゴムを使用していないため着色汚れも付きにくく優れた審美性を保っています。

セルフライゲーションブラケットの種類

セルフライゲーションブラケットの種類

セルフライゲーションブラケットにはいくつかの種類があり、いずれもワイヤーを開閉式の装置(シャッタータイプ)で挟み込む形になっています
また、どのタイプでも従来よりも弱い力で歯を動かすことは共通となっており痛みが少なく治療が行える矯正装置です。
ここではセルフライゲーションブラケットの種類でよく使用される2種類のタイプについて紹介をします。

デイモンシステム

セルフライゲーションブラケットはアメリカの矯正歯科医、デュイット・デモン博士によって開発されたため「デイモンシステム」と呼ばれています。
従来のシステムよりも痛みや違和感が少なく、弱い力で歯を動かせる最新のシステムの1つです。
日本では2000年代の前半から導入されており今では多くの矯正歯科医院で取り扱っているため、興味がある人は問い合わせをしてみましょう。

クリッピーC

「クリッピーC」もセルフライゲーションブラケットの種類の1つです。
ワイヤーと歯を固定するブラケットの摩擦を少なくしているため、痛みも少なく歯をスムーズに動かすことができ治療期間も短縮できる特徴を持っています。

さらに歯茎や血管など周囲の歯周組織にも負荷が少なくストレスを抑えながら矯正治療を進めることができます。
また、ブラケットはセラミックでできているため目立ちにくいのですがコストが上がってしまうというデメリットもあり、使用の前は医師に相談をしてから決めることが重要です。

セルフライゲーションブラケットと従来の装置の違い

セルフライゲーションブラケットと従来の装置の違い

前述でも紹介しているとおりセルフライゲーションブラケットは従来の装置に比べてメリットが多い装置となっています。
特に従来の装置で挙げられる「痛み」や「目立つ」、「歯磨きがしにくい」といったデメリットが解消されている点が最も違うところです。

しかし、基本的な構造は似ているため従来の装置で不安がある場合はセルフライゲーションブラケットを検討してみましょう。

セルフライゲーションブラケットのデメリット

セルフライゲーションブラケットのデメリット

メリットが非常に多いセルフライゲーションブラケットですがもちろんデメリットもあります
例えば、昨今では多くの歯科医院で利用が可能となっていますが利用できないという歯科医もあるためあらかじめホームページや口コミなどで確認をする必要があります。

さらにほかの治療法と比べることも重要です。マウスピース矯正などのメリットも確認をして本当に自分にあっているか確認をしてみましょう。
ここではよくいわれるセルフライゲーションブラケットのデメリットについて紹介していきます。

費用が割高

セルフライゲーションブラケットの最大のデメリットは費用が高額になってしまう点です。
従来の矯正装置に比べて装置自体が高額になる傾向があり、さらに治療の費用も高額に設定している歯科医院が多いため費用は割高となります。

また矯正治療は保険適用外の場合がほとんどのため、治療を検討している場合はあらかじめ歯科医院で見積もりをしてもらいましょう。
費用が高い分効果は絶大ですが自分の状況と照らし合わせて検討をする必要があります。

装置が大きい

セルフライゲーションブラケットの装置はブラケットにワイヤーを固定するクリップが内臓されているためブラケットの1つ1つが大きくなりがちです。
せっかくゴムやリングを使用しないため目立ちにくいと思っていても装置自体が大きく人によっては目立つと感じてしまうこともあるかもしれません。

実際の物を確認して大きいと感じる人は新しいタイプのセルフライゲーションブラケットも発表されているため、医師に相談してみましょう。

セルフライゲーションブラケットの費用

セルフライゲーションブラケットの費用

前述でも紹介しているとおりセルフライゲーションブラケットは費用が高額になってしまうことが多くあります。
症例やクリニックによって違いますが総額で100万円前後になってしまうことが多く利用をする前にしっかりと確認をしなければなりません。
セルフライゲーションブラケットの特徴として通院回数を減らせるかもしれませんがそれでも費用は高額となるため、しっかりと検討をして進めていきましょう。

セルフライゲーションブラケットで悩みがある場合は歯科医に相談しよう

セルフライゲーションブラケットで悩みがある場合は歯科医に相談しよう

セルフライゲーションブラケットに限らず歯列矯正の治療は長期間にわたります。
そのため、小さな疑問でも自分で抱え込んでしまうと大きなストレスとなり治療に悪影響を及ぼしてしまうこともあります。
些細な事でも遠慮せずに歯科医へ相談することで歯科医との信頼関係を築くことが矯正治療を進めていくことで重要です。

まとめ

まとめ

セルフライゲーションブラケットは矯正治療にとって非常に有効な治療法ということがわかりました。
従来の方法に疑問や不満を感じている人は一度、歯科医に相談をしてみるといいかもしれません。
歯科治療は様々な治療法があるため、色々な情報を取り入れて自分に合った治療法で理想の歯並びを手に入れましょう。




監修者:銀座青山You矯正歯科グループ 理事長・総院長 青山健一

理事長・総院長 青山健一 1965年 広島県呉市生まれ
1990年 広島大学歯学部卒業
1992年 南青山デンタルクリニック開院
2001年 医療法人社団 健青会 設立
2011年 日本で初めての「部分矯正専門医院」のYou矯正歯科を開設
2021年 You矯正歯科 池袋西口医院開設
2021年 You矯正歯科 広島紙屋町医院開設(銀座、青山等で9医院開院中)
▼総院長ブログ「幸せってなぁに?」もご覧ください。

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