【監修:青山健一】
目 次
「歯列矯正をすると顔が変わる」「矯正治療のせいでほうれい線が目立つ」そういった噂を効いたことはありませんか?
歯科矯正をしたいと思っていても、顔の変化が気になって一歩踏み出せないという方もいらっしゃいます。
実際に歯列矯正をすることで顔が変わり、ほうれい線が目立つというのは本当なのか気になりますよね?
今回はそんな歯列矯正とほうれい線の関係について、医師がくわしく解説いたします。
将来的に歯列矯正を考えている方や、なかなか始める決断ができていないという方はぜひ参考にしてみてください。
ほうれい線が濃くなる原因
ほうれい線は老けて見える原因の一つだともいわれており、目立ってくることを気にされる方も多いです。
ほうれい線が濃く見えるのは、顔の筋肉や皮膚組織が原因だといわれています。
ほうれい線が濃く見えてしまう原因について、くわしくみていきましょう。
皮膚のたるみ
ほうれい線が目立つ理由の一つに、皮膚のたるみが関係しています。
皮膚のたるみに関係しているのが、コラーゲンとエラスチンと呼ばれる線維です。
このコラーゲンやエラスチンは、紫外線や外部からの刺激、加齢などによる影響を受けて減少するという特徴があります。
コラーゲンとエラスチンは肌のハリや弾力に大きく関わっているタンパク質の一種で、若々しく健康的な肌に見せるためには欠かせない成分です。
特にエラスチンは体内で生成することが難しい存在だとされており、年齢を重ねると共に機能が減少してしまいます。
その結果、肌の弾力やハリが失われ、たるみが起こるようになることでほうれい線が目立つようになってしまうのです。
また、ほうれい線は乾燥が原因で目立つこともあり、年齢と共に減少していく保湿成分の影響を受けてシワが目立っていってしまいます。
表情筋
ほうれい線は顔の筋肉の影響を受けやすい部分です。
皮膚を支えている表情筋は年齢と共に衰えてくる筋肉であり、動かす習慣を付けないと皮膚を支える力が弱まってしまいます。
筋力の衰えと同じく表情筋の衰えも30代~40代で感じ始める人が多いようです。
歳を重ねると筋力が減り体力がなくなってしまうのと同じで、表情筋でも同じようなことが起こっています。
昔はしっかり支えられていたはずの皮膚を支えられる筋肉がなくなってしまうと、皮膚が重力に逆らえず垂れ下がり、深いほうれい線が刻まれてしまうのです。
ほうれい線を目立ちにくくするためには、保湿などのスキンケアだけでなく、運動させることも非常に大切になってきます。
歯列矯正でほうれい線は変化する?
「歯列矯正を行うと顔が変わる」そういった噂を耳にしたことがある方も多いかと思います。
その中でも突然老けて見られるようになるという噂を耳にすることも少なくありません。
特に歯列が変わることで皮膚に与える影響は大きいと思われることがあります。
しかし、多くの方にとっては、ほうれい線に大きな影響を及ぼすことはないため、ご安心ください。
ただし、歯列の状況によっては稀にほうれい線が少し気になるようになったというケースも見受けられます。
メリットとデメリットを照らし合わせた上で、情報を精査することが大切です。
ほうれい線に影響を与えやすい原因
ほうれい線とは、皮膚のたるみや筋力の低下が影響することで発生します。
歯列矯正でほうれい線が変化するといわれている原因一体何なのか、その原因についてみていきましょう。
出っ歯
出っ歯の方が歯列矯正を行うと、ほうれい線が目立ってしまうケースが稀にあります。特に歯が閉じられないような重度の出っ歯の方は注意が必要です。
歯が出ているということは、口まわりの皮膚が常に引っ張られている状態で長年過ごしてきたことになります。
矯正で歯列が整うことにより、行き場をなくした余った皮膚によってたるみが生じてしまい、ほうれい線が目立ってしまうことに繋がるのです。
しかし、こういった変化が起こるのはかなり稀であり、元々柔軟性のある皮膚はすっきりと収まります。
ほうれい線が目立ってしまうという方の中には元々ほうれい線が目立ちやすい骨格をしていて、矯正をきっかけに強調されてしまったという場合が多いようです。
八重歯
八重歯がある場合、その部分の皮膚が少し盛り上がることから常に上唇がめくれている状態になります。
そのため、ほうれい線のシワが刻まれやすくなり、最初からほうれい線が目立ちやすいと感じている方も多いです。
反対に上唇がめくれていた部分が元に戻ることで皮膚がたるみ、ほうれい線が目立ってしまうこともあります。
本来生えるはずのない場所に歯があることによって、皮膚のたるみに影響を及ぼすことは稀にあるようです。
抜歯
歯列矯正で抜歯をする方の中には、ほうれい線が濃くなったと感じている方もいるようです。
歯並びを良くするために歯を抜くことで、突き出ていた口元が後ろへと下がるため、たるみが発生しやすくなります。
また抜歯をすることでまわりの骨や筋肉が痩せていくため、輪郭に変化が出ることもあることで、老けて見える=ほうれい線が濃くなったと感じる方もいるようです。
ほうれい線の対処法
どうしても気になってしまうほうれい線には、どういったケアがよいのか気になるところです。
目立ちにくくするためのマッサージやエクササイズについてご紹介します。
顔まわりのマッサージ
ほうれい線をマッサージで目立ちにくくするためには、口の中からのアプローチが有効です。
清潔にした親指を口の中に入れてマッサージをしていきます。親指の腹を使用しほうれい線部分を上から下へとほぐしていきましょう。
ほうれい線を伸ばすようなイメージで、ぐりぐりとほぐしていくのがおすすめです。
左右10回程度ほぐすことで、刻まれているシワ部分へとアプローチしていきましょう。
顔まわりのエクササイズ
顔まわりのほうれい線にアプローチするエクササイズをご紹介します。
いつでもどこでも簡単にできるエクササイズでおすすめなのが、舌回しエクササイズです。
口の中を舌でなぞるように回していくことで、表情筋を鍛えていきます。
まずは時計回りに上下の歯茎をなぞるように優しく円を描いていきましょう。これを10回行います。
回し終わったら、反対方向に同じく10回行っていきましょう。普段使用していない筋肉を使うため、簡単そうに見えて辛く感じるエクササイズです。
これをできれば1日2~3セットほど定期的に行うようにしましょう。
歯列矯正のメリット
歯列矯正を行うことにより、嬉しい変化が現れます。実際に矯正治療を行っている人が感じているメリットについてみていきましょう。
見た目が変わる
歯列を治療することは、コンプレックスを解消するということが最も大きなメリットだと感じている方が多いようです。
口元に自信を持てていなかったような方が歯並びを治療することで、自分に自信を持つきっかけになった方が多くいらっしゃいます。
今まで笑顔を見せることに自信を持てていなかったという方も、歯列矯正のおかげで自分の笑顔が好きになり、心から笑えるようになった方もいますよ。
自分を変えるきっかけとして歯列矯正を選んでいる方が多くいるようです。
虫歯予防になる
歯列矯正は虫歯や歯周病予防に大きな影響をもたらしています。
歯並びが悪いとどうしても磨ききれない部分が出てきてしまうため、口内トラブルを起こしてしまう確率が高いです。
歯並びを治療することで磨き残しがなくなり、虫歯や歯周病などのトラブルを防ぐことに繋がります。
歳を取っても健康的な歯を維持し続けるためにも、歯並びの悪さにお悩みの方にとっては歯列矯正が非常に有効です。
体調が良くなる
歯並びが悪いことは体調不良に影響しているということはご存じでしょうか?
歯並びが悪いと噛み合わせが悪くなり、特定の部分のみに負荷がかかるようになります。
そのせいで、歯並びの悪さが肩こりや頭痛などの体調不良を引き起こしてしまっている可能性が高いです。
こういった慢性的な痛みにお悩みの方の中には、歯列矯正を行うことで改善されたというケースがあります。
均一に力をかけられるようになることで、長年悩まされていた痛みから解放されたという方は少なくありません。
歯並びの悪さのせいで体調不良を引き起こしている可能性がある方にとっては、嬉しい効果が感じられます。
歯列矯正で悩んでいるときは歯科医に相談
歯列矯正をしようか迷っているという方は、まず歯科医によるカウンセリングを受けてみるのがおすすめです。
歯列矯正を成功させるためには、医師との相性が非常に大切になります。
適当に選ぶのではなく、いくつかのクリニックで話を効いた上で自分に合った先生を選択することが大切です。
歯列矯正の治療は安いものではないため、自分が納得いくまで疑問や不安な部分をぶつけてみましょう。
理想的な歯並びを手に入れるためにも、医師やクリニックは慎重に選ぶようにしてくださいね。
まとめ
今回は、歯列矯正とほうれい線の関係についてご紹介しました。
ほうれい線が濃くなるという噂に踊らされてしまい、顔が変化してしまう恐怖を抱えている方もいらっしゃいますが、大きく変化するのはごく稀です。
歯並びによってはほうれい線が濃くなったように感じることもあるかもしれませんが、その後噛み合わせが整うことで気にならなくなるケースもあります。
歯列矯正は見た目の変化や体調の変化など嬉しい変化をもたらすため、迷っている方はぜひ早めにスタートさせるのがおすすめです。
歯列矯正を取り扱っている歯科医はたくさんあるため、その中から自分に合ったクリニックを選ぶようにしましょう。
最適な医師を見つけて、理想的な歯並びを手に入れてください。