【監修:青山健一】
目 次
歯列矯正として人気なのが、マウスピースを用いた治療法です。中でも豊富な実績を誇るのがインビザライン・システムです。
実際にインビザライン・システムによる矯正治療は全世界で行われており、症例数は800万件以上にものぼります。
本記事では、インビザライン・システムによる歯列矯正の特徴やメリットを紹介します。矯正治療をご検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。
インビザライン・システムの特徴
インビザライン・システムは、数あるマウスピース型矯正治療システムの中でも豊富な実績を誇ります。
まずはインビザライン・システムの基本的な情報をみていきましょう。
マウスピース矯正の1つ
インビザライン・システムはマウスピース矯正の1種です。透明なマウスピース型の矯正装置を用いるのが特徴です。
インビザライン・システムの矯正装置は「アライナー」と呼ばれます。アライナーは患者様1人1人の歯型にあわせたオートクチュールです。
治療期間は個人差がありますが、1~2年が平均です。軽度の矯正であれば半年程度で治療が終わる方もいます。
インビザライン・システムは矯正装置が目立ちにくいほか、装着中の違和感や不便さが少ない点がメリットです。
アライン・テクノロジー社が製作
インビザライン・システムを作ったのはアメリカのアライン・テクノロジー会社です。アメリカでは1998年から提供が開始されました。
その後、2001年にヨーロッパでの提供が開始されました。続いてオーストラリアやアジア圏にも導入され、日本に上陸したのは2006年のことです。
現在インビザライン・システムによる矯正治療は世界中で行われています。
もしインビザライン・システムでの矯正治療をお考えなら、まずは無料相談を利用するのもおすすめです。
インビザライン・システムのメリット
インビザライン・システムにはさまざまなメリットがあります。最も大きなメリットは見た目や使い心地の良さです。
透明で目立ちにくい
インビザライン・システムでは「アライナー」という透明のマウスピースを用います。ワイヤーなどを用いないため、金属独特のギラギラ感がありません。
そのため、口を開いたときに目立ちにくい点がメリットです。とくに成人は、見た目を気にして矯正治療を断念する方も少なくありません。
その点、見た目の違和感が少ないインビザライン・システムは、成人でも抵抗なく取り組みやすい矯正治療です。
接客業の方や、結婚式などのイベントを控えた方にもよく利用されています。
金属アレルギーの方も安心
インビザライン・システムでは樹脂製の矯正装置を用います。ワイヤーなどの金具は使用されていません。
そのため金属アレルギーのでも安心して治療に取り組めます。また、口の中が傷つきにくい点もメリットの1つです。
ワイヤー型矯正では、金具が口の中を傷つけることも少なくありません。たとえば転倒時などに口の中を切るケースはしばしばです。
あるいは金具が接触する場所が痛んだり、口内炎ができたりするケースも多く見られます。
一方、インビザライン・システムの矯正装置は樹脂製で、表面がツルツルしている点が特徴です。
凹凸も少ないため、矯正装置によって口の中が痛んだり傷ついたりすることはほとんどありません。
インビザライン・システムで歯が動く仕組み
インビザライン・システムに限らず、歯列矯正治療によって歯を動かす原理はすべて同じです。
歯列矯正では、歯を壊す・作るという工程を繰り返しながら、少しずつ歯を移動させていきます。
歯列矯正で働きかけるのは、歯根膜という部位です。歯根膜は歯の根元にある組織で、クッションのように歯を包んでいます。
矯正装置によって歯に負荷がかかると、押された側の歯根膜と歯が剥がれます。つまり歯と歯根膜の間に隙間ができるのです。
その隙間を埋めようとして、押された側では新しい骨(歯)が作られます。一方、反対側では歯が歯根膜に押しつけられる形となります。
つまり歯と歯根膜の間が窮屈になるのです。そのため隙間を作ろうとして、歯の一部は骨に吸収されてしまいます。
このように歯を作る・溶かすというメカニズムは「骨代謝」と呼ばれます。歯列矯正とはこの骨代謝を利用した治療法です。
すなわち、歯を壊す・作るという工程を人工的に促すことで、歯を少しずつ移動させます。この原理は、どの矯正治療でも基本的に変わりません。
ただしインビザライン・システムには、他の治療法にはない特徴もみられます。たとえばワイヤー矯正は、ワイヤーで歯を引っ張って歯並びを整える治療法です。
対してインビザライン・システムとは、マウスピースと歯並びのズレを利用して歯に負荷をかける点が特徴です。
インビザライン・システムでは、現在の歯並びよりも、少しだけ美しい歯並びのマウスピースを装着します。
当然、現在の歯並びとマウスピースでは歯並びにズレが生じます。このズレが歯に負荷をかけるため、歯が少しずつ動いていくのです。
インビザライン・システムでは、理想のゴールに向けて次々にマウスピースを交換します。矯正装置を何度も付け替える点は、従来の矯正治療法と大きく異なります。
歯列矯正にインビザライン・システムが選ばれる理由
歯列矯正の中でもインビザライン・システムの人気が高いのは、3つのメリットがあるためです。それぞれの内容をみていきましょう。
治療範囲が広い
インビザライン・システムは、部分矯正と全体矯正のどちらにも対応しています。さらに、さまざまな症例に対応している点もメリットです。
従来のマウスピース矯正は治療範囲が狭い点がデメリットでした。たとえば抜歯を伴う治療や噛み合わせの改善は不可能だったのです。
しかしインビザライン・システムは、ほぼすべての症例の治療が可能です。対応可能な症例には、たとえば下記があります。
【インビザライン・システムで対応可能な症例】
- 叢生(歯並びがガタガタ)
- 出っ歯
- 受け口
- 隙っ歯
- 開口(前歯が噛めない)
- 顎のずれ
- 抜歯を伴う治療
上記の症例の中でも、歯並びの状態や医師の判断によってはインビザライン・システムが利用できないこともあります。
つまり、インビザライン・システムはどのような歯並びにも100%対応しているわけではありません。
しかしマウスピース型矯正治療の中では、最も治療範囲が広い治療法であることに間違いはありません。
従来のマウスピース矯正では治療が難しかった方でも、インビザライン・システムによって綺麗な歯並びを手に入れられる確率は高いです。
取り外し可能
インビザライン・システムは自分で自由に取り外し可能です。つまり食事や歯磨きに支障が出ないというメリットがあります。
とくに歯磨きにおけるメリットは大きいです。通常通り歯磨きができるため、虫歯や歯周病のリスクはさほど高くありません。
食事においても、マウスピースを外すことで、食べカスが矯正装置や歯に詰まるのを防げます。
また食事や歯磨きのときに矯正装置を外せるのは単純に快適です。ただし、マウスピースの装着時間は必ず守らなければなりません。
矯正装置を外す時間が長いと、思うような矯正効果が得られないためです。ときには治療が長引くこともあります。
矯正装置の装着時間は個人差がありますが、1日20時間以上が理想です。基本的には、食事と歯磨き以外の時間は常に装着しましょう。
なお、実際の装着時間や装着方法については、担当医師の指導に従ってください。
独自の技術を用いた治療計画
インビザライン・システムでは、コンピュータを用いて治療計画を立てます。
「クリンチェック」と呼ばれる方法で、インビザライン・システム独特のシステムです。クリンチェックでまず行うのは、現在の歯型の採取です。
その後、採取した歯型をもとに、理想の歯並びに整えるまでの過程を細かく分析していきます。実際の治療もクリンチェックに沿って行われます。
つまりインビザライン・システムとは、治療スタートからゴールまでの過程をすべてコンピュータで管理する治療法です。
たとえば治療にかかる期間や、交換するアライナーの数などは、事前にすべて把握できます。
どのように歯を移動させていくかを事前に把握できるため、患者さまご自身が納得して治療に臨める点がメリットです。
インビザライン・システム以外の矯正方法
歯列矯正はさまざまな方法があります。インビザライン・システム以外で主に利用されている矯正治療法を紹介します。
ワイヤー・ブラケット矯正
歯列矯正の中で最も一般的な治療法です。歯にブラケットという装置をつけ、ワイヤーを通して歯並びを整えます。
ワイヤーを用いる分、審美性ではマウスピース矯正に劣ります。ご自身でつけ外しできないため、虫歯・歯周病リスクが高い点もデメリットです。
一方、メリットもあります。たとえばワイヤー・ブラケット矯正は、ほぼすべての症例の治療が可能です。
たとえばインビザライン・システムでは対応が難しい症例でも、ワイヤー・ブラケット矯正なら治療できるケースは多くあります。
矯正治療の中ではもっとも歴史が長い分、実績が豊富な点も大きなメリットです。
【メリット】
- ほぼすべての症例に対応できる
- 実績が豊富で信頼できる
【デメリット】
- ワイヤーが見えるため審美性が低い
- 食事・歯磨きしづらい
- 痛みがでやすい
裏側矯正
ワイヤー・ブラケット矯正の1種です。ワイヤーを歯の裏側に装着するため、口を開いたときに矯正装置がさほど目立ちません。
裏側矯正にはデメリットもあります。たとえばしゃべりにくくなったり、歯磨きしづらくなったりするケースが代表的です。
【メリット】
- 矯正装置が目立ちにくい
- 舌の位置が正しく固定されやすい
【デメリット】
- 食事・歯磨きがしづらい
- 歯の裏側に矯正装置があるため、発音しづらい
- 舌先や歯茎の裏に痛み・口内炎が発生しやすい
セラミック矯正
セラミック矯正では、セラミック素材の被せ物を歯に被せることで、歯並びを美しく見せます。
歯を移動させるわけではないため、他の矯正治療と比べると治療期間・費用はやや抑えめです。歯の移動に伴う痛みがない点も魅力です。
一方で、セラミック矯正にはデメリットもあります。セラミックを被せる際は、もとの歯を少し削らなくてはなりません。
つまり、健康な歯の寿命を縮めるおそれがあるのです。根本的な治療ではなく、あくまで審美的な治療である点にも留意が必要です。
【メリット】
- 治療期間が比較的短い
- その他の矯正治療と比べると費用が安い
- 矯正装置の見た目・痛みを気にしなくて済む
【デメリット】
- 健康な歯を削ることがある
- 根本的な歯並び治療ではない
- もとの歯と被せ物の隙間に虫歯・歯周病が発生しやすい
前歯だけ治したいときの選択肢は?
前歯のみの矯正治療をご希望の方は、ぜひ「インビザラインGo」を検討してみましょう。
インビザラインGoはインビザライン・システムの1種で、2018年に誕生しました。最大の特徴は前歯治療に特化している点です。
基本的な治療方法はインビザライン・システムと変わりません。コンピュータによる治療計画の下、透明のマウスピースを用いて歯を移動させます。
治療対象範囲が狭い分、治療期間はインビザライン・システムより短めです。インビザラインGoでは半年程度で治療が終わるケースがほとんどです。
前歯に特化した歯列矯正であるため、当然ながら奥歯の治療はできません。つまり噛み合わせ全体の治療にはやや不向きです。
また、歯並びの状態によってはインビザラインGoが利用できないこともあります。
しかし治療期間や費用は抑えめであるため、手軽に歯を矯正したい方にはおすすめの治療法です。
まずは無料相談を利用して、ご自身に適した治療法であるのか確認してみましょう。
インビザライン・システムによる矯正を希望するなら
インビザライン・システムは世界中で800万人を超える方に利用されている治療法です。日本でもインビザライン・システムを導入している歯科医院は数多くあります。
もしインビザライン・システムによる治療をご希望であれば、対応している歯科医院を探してみましょう。
歯科医院を探すときは、インビザライン・システムの実績が豊富かどうかもチェックしてください。
まとめ
インビザライン・システムは審美性に優れるほか、口内の衛生面を保つ上でもメリットがある矯正治療法です。
症例によっては適応できない場合もありますが、マウスピース型矯正のなかでは最も柔軟な治療が可能です。
歯列矯正をご検討中の方は、ぜひインビザライン・システムも視野に入れてみましょう。