【監修:青山健一】
目 次
「矯正治療 レベリング」という言葉に聞き覚えのある人は多いと思います。しかし、詳細を理解している人は多くありません。
矯正治療でレベリングはとても重要な役割を持っています。レベリングが上手くいくことで、その後の矯正治療に大きく役立つはずです。
そこで今回は、矯正治療のレベリングがよく分からない方に向けてレベリングの役割や効果などについて詳しく紹介します。
矯正治療を検討している方にとって、知らない内容がある状態で治療するのは不安なものです。
この記事ではそのような不安を解消できるようにレベリングについて詳しく解説していきます。
矯正治療の最初に行うレベリング
レベリングは、矯正治療の最初に行う施術です。
歯並びを良くする治療といっても段階が分かれており、最初の段階はズレているデコボコの歯並びの状態を一直線上に並べます。
このズレているデコボコの歯並びの状態を、一直線にする施術をレベリングといいます。
レベリングにかかる期間としては歯並びの状況により個人差はありますが、約6ヵ月~1年かかる場合が多いです。
レベリングの段階が終わったら、前歯の位置の改善や微調整などの新たな段階に入っていきます。
レベリングの期間が終わるだけで歯並びが改善したことが実感できる場合が多いですが、矯正治療が終わったわけではありません。
レベリングで歯並びがきれいになったとしても、矯正治療を止めないように気をつけましょう。
矯正治療で欠かせないレベリングについてもっと知りたい方は、矯正治療相談をするのがおすすめです。
矯正治療の専門家である歯科医に無料で相談できます。
レベリングの役割
レベリングは、矯正治療の準備の役割を持っています。
もちろんレベリングでズレているボコボコの歯並びを改善するため、レベリングだけでも歯並びがきれいになる可能性があるのです。
レベリングを行うことで歯並びを良くするだけでなく、これから行われる犬歯や前歯の移動がスムーズに行えます。
つまり、レベリングは歯並びを改善するだけでなく、次の段階の矯正治療の施術を効率的に行うための準備ができるのです。
レベリングの効果
レベリングには、さまざまな効果があります。さまざまあるレベリングの効果の中でも代表的な2つを紹介します。
上下方向のズレが解消される
レベリングの効果の1つ目は、上下方向のズレが解消されることです。レベリングによって、上下の方向にズレている歯並びをきれいに整えていきます。
上下方向のズレが改善するだけで、きれいな歯並びになったと感じる人も多くいます。
矯正治療を始める前の段階で歯の上下の高さがかなりズレている歯並びの場合は、レベリングの期間が長くなりやすいです。
レベリングは人によってかかる期間は異なりますが、上下のボコボコした歯並びを改善させます。
歯の向きが自然になる
レベリングの効果の2つ目は、歯の向きが自然になることです。
歯は傾いて上下がズレているだけでなく、捻じれている場合もあります。レベリングは、歯の捻じれを改善し、正しい向きにする効果もあります。
歯の捻じれを改善すると垂直な歯並びになり、犬歯や前歯が移動しやすくなる可能性が高いです。
そのため、レベリングの効果の1つである歯の向きを自然にすることは、今後の矯正治療に大きな影響を及ぼします。
レベリングで改善が期待できる症例
レベリングで改善が期待できる歯並びの症例は、限られています。レベリングで改善が期待できる歯並びの症例を3つ紹介します。
八重歯
レベリングで改善が期待できる歯並びの症例の1つ目は、八重歯です。
八重歯とは、犬歯が生えている位置が外側にはみ出て生えている歯並びです。八重歯自体が可愛いと思う人もいる一方、八重歯が嫌で悩んでいる方もいます。
八重歯の改善が目的で、矯正治療を始める人もいます。
矯正治療といってもさまざまな段階がありますが、最初の段階であるレベリングで八重歯が改善する可能性が高いです。
そのため、八重歯で悩んでいる人は矯正治療の早めの段階で改善する可能性があると知っておきましょう。
歯のねじれ
レベリングで改善が期待できる歯並びの症例の2つ目は、歯のねじれです。
歯がねじれている状態は捻転歯といわれ、きれいな歯並びといえません。見た目が悪いわけでなく、健康にもよくありません。
捻転歯は、歯磨きをしても歯ブラシが当たりづらく汚れが落ちにくいです。そのため、歯周病や虫歯のリスクが高くなります。
レベリングでは歯のねじれを改善できるため、捻転歯を改善できます。
叢生
レベリングで改善が期待できる歯並びの症例の3つ目は、叢生(そうせい)です。叢生とは、上下の歯の高さのズレや歯が捻じれている状態の歯並びをいいます。
レベリングは、叢生の歯並びに対しても改善が期待できます。
上下の歯の高さがズレていたり歯が捻じれていたりした歯並びで悩んでいる人は、レベリングで悩みが改善する可能性が高いです。
レベリングによる改善が難しい症状
矯正治療の最初で行われるレベリングで改善する歯並びの症状もあれば、改善しない歯並びの症状もあります。
レベリングで改善しない代表的な歯並びの症状を2つ紹介します。
これから紹介する2つの症状がレベリング中に改善しなくても、慌てないようにしましょう。
歯のすき間
レベリングで改善しない歯並びの症状の1つ目は、歯のすき間です。
レベリングは上下の歯の高さのズレをなくすため、歯のすき間は改善しません。矯正治療の段階が進むと、改善できます。
レベリングは矯正治療の最初の段階のため、歯のすき間で悩んでいる人は矯正治療を始めた当初は改善しないと理解しておきましょう。
かみ合わせ
レベリングで改善しない歯並びの症状の2つ目は、かみ合わせです。
噛み合わせは、非常に繊細なものです。歯並びがかなり綺麗に見えてもかみ合わせがあまり良くない場合もあります。
矯正治療が進んでいき歯並びがきれいになった後に、かみ合わせは調整していきます。矯正治療が始まってかみ合わせが改善してなくても慌てないようにしてください。
レベリング後の治療の進め方
矯正治療の最初の段階であるレベリングで歯並びは、かなり改善する可能性があります。
しかし、矯正治療はレベリングだけで終了ではありません。レベリング後も矯正治療は続いていきます。
レベリング後の矯正治療の進め方を理解し、矯正治療の不安を減らしましょう。
犬歯の移動
レベリングが終わったら、犬歯を移動します。
犬歯は上側と下側の左右両方に歯が生えているため、4本口の中に存在します。犬歯の位置は、3番目です。
犬歯は、他の歯に加わるストレスを軽減してくれる効果がある歯です。矯正治療ではレベリングで歯並びの上下のズレを改善した後に、犬歯を正しい位置に移動させます。
犬歯が正しい位置への移動が完了すると、次の段階に入ります。
前歯の移動
犬歯の移動が終わったら、前歯を移動させます。
前歯は、周りの人からもよく見られる部分です。そのため、前歯の歯並びが改善すると、かなり見た目が良くなります。
また、前歯の位置について悩んでいる方もこの段階で改善できます。
ディテーリング
前歯の移動まで終わったら、ディテーリングです。
ディテーリングとは、簡単にいうと仕上げです。ある程度改善した歯並びの状況から最終的な調整をしていきます。
歯並びの状態を完璧にするために、大事な段階です。
保定
矯正治療の最後の段階は、保定です。ディテーリングが終了すると矯正治療で使用していた器具を外し、保定装置を装着します。
保定を十分にしないと歯並びが矯正治療前に戻ってしまう「後戻り」という現象が起きる可能性があります。
後戻りが起きてしまうと矯正治療をもう一度行わないといけないため、費用も期間も多くかかってしまう可能性が高いです。
面倒だと感じるかもしれませんが、保定装置を着用しきれいな歯並びを維持するようにしましょう。保定期間が終われば、矯正治療が終了です。
レベリングを含めた矯正治療の悩みは専門医に相談を
レベリングを含めた矯正治療の悩みは、専門医に相談をするようにしましょう。
インターネットで何でも調べられる時代ですが誰でも書けるため、信頼できる情報かどうか分からない場合が多いはずです。
しかし、矯正治療の専門家である歯科医は違います。国家資格である歯科医師資格を取得し、何十件何百件と矯正治療を行ってきました。
歯科医は矯正治療のさまざまな悩みに対して、今までの経験や知識から答えられます。そのため、歯科医に相談をすれば信頼できる情報を手に入れられるのです。
そのような歯科医に相談すればよいか分からない方は、矯正治療相談を利用してみましょう。
まとめ
今回は、矯正治療のレベリングがよく分からない方に向けてレベリングの役割や効果について詳しく紹介してきました。
レベリングは矯正治療の最初の段階であり、上下にズレた歯並びを改善します。レベリングは矯正治療の土台になります。
矯正治療が順調に進むためには、レベリングがとても重要です。
レベリング自体は約6ヵ月~1年間程度かかりますが、レベリングが終了するだけでも歯並びはかなり改善します。
しかし、レベリングが終わっても矯正治療は終了ではないため、ある程度歯並びが改善しても途中で矯正治療を止めないようにしてください。
レベリングを含め矯正治療のさまざまな不安は、信頼できる歯科医に相談するようにしましょう。