【監修:青山健一】
目 次
歯並びは親からお子さんへ遺伝する可能性が高く、実際に親子で矯正治療を経験したという人も少なくありません。
今回は、そもそもなぜ歯並びは親から子へ遺伝するのか、歯並びが遺伝する理由を詳しく解説していきます。
遺伝しやすい歯並びや遺伝によって歯並びがよくない場合の矯正治療方法も一緒にみていきましょう。
歯並びに影響する要因は?
遺伝によって親子で似やすい部分の1つとして挙げられるのが歯並びですが、歯並びに影響する要因としては骨が関係しています。
骨が遺伝するというとわかりづらいかもしれませんが、身長・体型・体格が似るように歯並びも親子で似る可能性が高いです。
歯並びが直接似るというわけではなく、歯並びに関係が深い顎の骨や歯の大きさが似ることで歯の並び方に影響し、結果として歯並びも似ることになります。
また、祖父や祖母に似ることを隔世遺伝といいますが、歯並びに影響する顎の骨や歯の大きさも隔世遺伝が起こる可能性があります。
父・母だけでなく祖父・祖母など身内に歯並びが悪い人がいる場合は、お子さんも歯並びが悪くなる可能性があることを知っておきましょう。
歯並びが遺伝する理由
歯並びは親から子へ遺伝しやすいですが、そもそも遺伝する理由とは何なのかを詳しくみていきましょう。
遺伝の要因としては骨格形成になりますが、さらにわかりやすく顎や歯に焦点を当てて解説していきます。
顎の大きさ
歯並びは顎の大きさによって決まるといっても過言ではないくらい、顎の骨の大きさは歯並びにとって重要です。
顎が小さいと全ての歯が上手く顎の骨の中に入りきらず、ガタガタとした歯並びになってしまいます。
反対に顎が大きいと歯と歯の間に隙間ができたり歯が倒れやすくなったりしてしまい、歯並びが悪くなりやすいです。
また、顎の大きさはサイズだけでなくバランスが大切で、上顎・下顎のバランスによっては歯並びが悪くなる可能性もあります。
歯の大きさや本数
人によって歯の大きさや本数は違いますが、これも遺伝する可能性が高く歯並びに影響する部分の1つです。
親が大きい前歯でビーバーのような見た目の場合、歯の大きさがお子さんへ遺伝することによって親子で歯並び・見た目が似ることになります。
基本的に永久歯は全部で28本、親知らずが上下左右に生えていれば32本になりますが、稀に歯の本数が多い・少ない人もみられます。
歯が多いことを過剰歯、少ないことを先天性欠損歯といい、生まれつきの骨格形成によって決まるため歯の本数も遺伝性が高いです。
歯の本数が多い・少ないと顎の骨の中で歯がきれいに並びづらいため、歯並びが悪くなる理由となります。
遺伝の可能性がある歯並び
歯並びが悪い原因はさまざまですが、歯の並び方や顎の大きさによって歯並びが悪くなっている場合は遺伝の可能性が高いです。
必ず遺伝性のものとはいい切れませんが、骨格形成の遺伝によってなりやすい歯並びをみていきましょう。
反対咬合
口を閉じた状態だと、通常は上の前歯が下の前歯よりも手前にきます。しかし下の前歯が手前になることを反対咬合といい、受け口ともいわれます。
反対咬合になる原因はさまざまですが、その中でも上顎が小さい・下顎が大きいなどが原因の場合は遺伝の可能性が高いです。
顎の骨の大きさや形は遺伝によって親に似ることが多いため、親が反対咬合の場合は子どもも反対咬合になる可能性があります。
出っ歯
出っ歯の原因でもある下顎が小さい・上の前歯が大きいなどの特徴が親にある場合、子どもへ出っ歯のような見た目が遺伝することがあります。
親子で前歯が大きく、出っ歯まではいかないが口元がねずみやビーバーっぽいという人は歯の大きさが遺伝した可能性が高いです。
この場合は歯並びはきれいなことが多く、矯正治療を行ったほうがよいのかと迷う人も少なくありません。
叢生
ガタガタとした歯並びを叢生といいますが、叢生の原因は顎の骨のサイズが小さいことが挙げられます。
顎の大きさは遺伝しやすく、顎が小さいと歯がきれいに並んで入りきりません。顎の中で歯が窮屈な状態になっているため、必然的に歯並びがガタガタと悪くなります。
ガタガタした歯並びというとひどい歯並びのようですが、かわいらしいとされている八重歯も叢生にあたります。
八重歯も顎の大きさに対して歯がうまく並んで入りきらず、歯がずれて生えてきてしまっている状態です。
親子で八重歯の場合は遺伝によって顎の大きさが小さめのため、歯並びが似ているのだといえます。
遺伝による歯並びは治療できる?
顎の大きさ・歯のサイズや本数が遺伝し歯並びが悪い場合、または口元が気になる場合、矯正治療すれば治せます。
では、遺伝による悪い歯並びを治すにはどんな方法があるのかをみていきましょう。
歯列矯正で治す
歯並びが悪い原因は遺伝性や後天的なものなどさまざまですが、遺伝によるものでも歯列矯正をすれば治すことが可能です。
遺伝によって出っ歯や受け口などの歯並びになっている場合、小さい頃から歯並びが気になる見た目だったという人も少なくありません。
親の歯並びが悪い場合は子どもへ遺伝する可能性があることを知っておくと、子どものうちから歯列矯正を始められます。
とくに出っ歯・反対咬合・叢生などは顎の大きさが深く関係しており、顎の骨が大きいまたは小さいためになり得る歯並びです。
まだ骨の成長途中である子どものうちに矯正治療を始めれば、顎の骨の発達を促したり抑制したりできるため歯並びが悪くなるのを防げます。
遺伝によって歯のサイズが大きい場合、歯を削って見た目をきれいにする方法として挙げられるのがセラミック矯正です。
歯の本数が多く歯並びが悪い場合は抜歯を行い余分な歯を取り除き、ワイヤー・ブラケット矯正やマウスピースを使った矯正を行い治療します。
大人になってからでも歯列矯正は行えるため、子どものうちに矯正をしておらず歯並びが悪い人は今から治療を始めても遅くはありません。
手術が必要なケース
顎の大きさが原因で歯並びが悪くなっている場合、歯列矯正だけでなく手術が必要なケースもあります。
下顎が大きく反対咬合になっている場合、下顎の骨を削り内側に引っ込める手術を行って反対咬合を治します。
しかし手術をして顎を引っ込めるだけで終わりではありません。顎を引っ込めれば噛み合わせも変わります。
噛み合わせが変われば上手く噛めない・痛みが出るなどの症状が現れるため、手術をする場合は歯列矯正と併用になることがほとんどです。
歯列矯正だけで改善が可能なのか、手術が必要なのか詳しく知りたいという人はまず歯科医院で話を聞いてみましょう。
下記のリンクでは無料相談の予約を受け付けています。ぜひお気軽にご相談ください。
歯並びに影響するのは遺伝だけではない
歯並びが悪い原因の1つとして遺伝が挙げられることをご紹介してきましたが、歯並びに影響するのは遺伝だけではありません。
歯並びは長年の癖によって悪くなることもあり、指しゃぶり・爪を噛む・下唇を噛むなどの癖を子どもの頃から続けていると出っ歯になりやすいです。
顎を出す・前歯ばかりで噛むなどの癖を続けていると反対咬合になる可能性があるため、お子さんにこれらのような癖がみられたら辞められるように促してあげましょう。
顎の骨や歯の大きさは問題ないが、癖によって親子で歯並びが悪い場合、遺伝ではないものの癖が似ているため歯並びが悪くなっている可能性もあります。
子どもは親の真似をしながら育ちます。爪を噛む癖や顎を出す癖などが親にみられる場合、子どものためにもまずは親が歯並びに悪影響となる癖をやめましょう。
歯並びに影響する生活習慣
歯並びが悪くなる原因として、遺伝や癖以外にも生活習慣が大きく影響しています。生活習慣は日常的に行っており、無意識のうちにしていることも多いです。
歯並びに悪影響を及ぼす生活習慣をしていないか、歯並びの悪さが気になっている人は順番にチェックしてみましょう。
口呼吸
口呼吸は歯並びを悪くする原因の1つであり、出っ歯・反対咬合などになる可能性が高いです。
通常の鼻呼吸であれば、口を閉じているときの舌先の定位置は上の前歯の裏側になります。
無意識のうちになっていることですが、このおかげで上顎・下顎のバランスが取れており、噛み合わせもずれないようになっているのです。
しかし口呼吸の場合、口を開いていることによって舌の位置が定まりません。よって、舌が下の前歯を押すことで歯が手前に倒れやすくなり、反対咬合になる可能性が高まります。
下の前歯が手前に倒れるとそれに伴い上の前歯も前に倒れ、出っ歯となることもあります。また、上下顎のバランスも取れないため、歯並びや噛み合わせが悪くなる原因となるのです。
口呼吸は歯並びを悪化させるだけでなく虫歯や歯周病にもなりやすいため、普段から口呼吸を行っている人は改善しましょう。
姿勢
頬杖を突く姿勢は、歯並びに悪い影響を与えやすく噛み合わせが悪くなる可能性もあります。
頬杖を突く姿勢は顎の骨に余計な負担がかかり、上下顎のバランスがずれてしまいます。顎のずれによって噛み合わせもずれるため、歯並びが悪くなったり歯が傾いたりすることも少なくありません。
また、頬杖だけでなく猫背も歯並びに悪い影響を与える姿勢です。頬杖を突く姿勢と同様で、顎に余計な負担がかかるため噛み合わせが悪くなり歯並びに影響します。
どちらも生活の中で習慣化している人が多いですが、きれいな姿勢を意識して頬杖を突いたり猫背で過ごしたりすることをやめましょう。
うつぶせ寝・横向き寝
いつもうつぶせや横向きで寝ている人は、寝ながら顎に負担をかけているかもしれません。うつぶせ寝や横向き寝は下側になっている顎や歯に負担がかかりやすいです。
いつも同じ方向・同じ格好で寝ていると同じ場所に負担がかかり、顎や歯並びのずれにつながるため注意しましょう。
とはいえ、どうしても横向きでないと寝られないという人も少なくありません。横向き寝が好みの人は、あまり顎に負担がかからないように枕の高さを調整しましょう。
また、寝ている間に歯ぎしりをする人もみられます。歯ぎしりは噛み合わせがすり減ったり歯を傾斜させたりする可能性があります。
寝ている間に強い歯ぎしりや食いしばりがみられる・朝起きたら歯が痛いなど、就寝中や起床後に歯の悩みがあるなら早めに歯科医院を受診しましょう。
遺伝による歯並びの悩みは歯科医に相談しよう
歯並びは顎の骨や歯の大きさの遺伝によって決まりやすいですが、決して遺伝のみが悪い歯並びになる原因ではありません。
しかし、生まれつき歯並びが悪い人が多いのも事実です。乳歯の頃から歯並びが悪い・永久歯が生えてくる頃に歯並びが悪くなったなど、子どもの頃から歯並びがよくない人も少なくありません。
遺伝による歯並びの悪さが気になる・歯並びが悪いのは遺伝なのか?と感じる人は、歯科医院で相談してみましょう。
下記のリンクでは無料相談のWeb予約を受け付けています。ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
歯並びが悪い原因は、遺伝や生活習慣などさまざまです。しかし歯列矯正をすれば、きれいな歯並びや口元を手に入れることができます。
遺伝だからと歯並びの治療を諦めず、歯列矯正できれいな歯並びを手に入れ素敵な笑顔でこれからの日々を過ごしましょう。