【監修:青山健一】
目 次
床矯正(しょうきょうせい)とは、矯正方法の1つで顎の骨を広げて歯列を整える治療です。基本的には大人でも子供でも床矯正は受けられますが、話しにくい装置なので主に子供のための治療装置になります。
不正な歯並びは歯以外にも骨、筋肉も矯正しなくてはなりません。先天性、後天性どちらでも歯列を治す事は将来の健康につながります。
なぜなら歯列が正しく配置されていないと顎の筋肉が発達しなかったり、呼吸に問題が発生し健康に影響を及ぼすからです。
矯正治療は歯並びがまっすぐになって見た目がきれいになるだけではありません。特に床矯正で骨格が改善されると姿勢も変わるといわれます。
必ずしも患者さんが全員床矯正の対象とはいえませんが、選択肢の一つとしてその特徴を理解しましょう。
床矯正の概要
床矯正の特徴は、他の矯正方法と異なり骨格へのアプローチを行う事です。そのため歯並びだけではなく頭と首のバランス、猫背なども改善する事があります。
永久歯は、顎の骨にそって生えていて、顎の発達度合による影響はとても大きいです。
顎の骨は左右2枚に分かれていて、永久歯が生えた後は若い時ほど骨は柔らかく動きやすくなっています。
顔の骨の一部を矯正するため、顔全体の歪みもとれて鼻腔が広がったりというのもメリットです。笑顔がきれいになるからと治療する人もいます。
上顎の内側から圧力をかけ、顎を大きくすることで歯と歯の間のスペースを作った後、ワイヤーなどで歯列矯正をかけるのが一般的です。
床矯正は大人でもできる?
床矯正は、主に10代に勧められている矯正方法ですが、大人でも治療可能です。
もちろん歯科医が患者さんの歯を診察し、床矯正が最適だと判断した場合に限りますが割合としてはかなり少ないのが現実です。
顔を含む骨の形成は、個人差はありますが成長期と呼ばれる6歳頃から12歳頃がピークでこの年齢が床矯正の理想年齢といわれています。
骨の成長段階において1回目は乳歯が生え変わるとき、2回目は永久歯が生えそろったときに声変りや初潮などが伴います。
床矯正の種類
床矯正は顎の骨の拡大を行うための矯正方法の総称として使われる言葉です。患者さんの治療用途に応じて装置もいくつかあります。
床矯正の床はプレートを意味した言葉です。萎縮した骨を拡大するために口の中に板をいれるイメージから名付けられました。
装着したままの矯正装置と、取り外しが可能な装置があります。どちらもそれぞれの目的に応じて作られるオーダーメイドです。
急速拡大装置
急速拡大装置は、歯に引っかけて上顎の骨を広げていくために使います。この装置は取り外す事ができません。
上顎は生まれてから長い間、顔の筋肉や習慣によって小さくなっている事が多いです。装着期間は、人によって違います。
食事や歯磨き中もずっと装着されたままです。歯科医に定期的に通院し、装置についているネジを回して少しずつ顎の骨を広げていきます。
拡大床
拡大床は自分で取り外しができるのが最大のメリットです。顎を広げるよりも歯の生えている角度を変えるのが目的です。
急速拡大装置と同様にネジで装置の大きさを変えていきます。もちろんそのために定期的な通院が必要になります。
拡大床は全部の患者さんに当てはまるわけではありません。人によっては別の矯正方法を勧められる可能性もあるため、自分に合った矯正治療をしましょう。
咬合挙上床
咬合挙上床はこうごうきょじょうしょうと読みます。咬合は噛み合わせの事で、挙上は上にあげる事です。
過蓋咬合(かがいこうごう)という噛み合わせが深すぎて下の歯がみえない状態は、ほっておくと奥歯に過剰な負荷がかかり関節症をおこします。
抜歯はせず顎の位置を正しくし、噛み合わせを治す矯正装置です。歯列を治す場合は、他にワイヤーを使います。
いずれも適切な矯正歯科をみつけることが始めの一歩です。情報収集のために下記の無料相談を利用していろいろ聞いてみましょう。
床矯正のメリット
矯正治療は、患者さんの歯の状態によって期間も種類も変わります。床矯正に限らず、すべての矯正方法にメリットデメリットがある事を覚えておきましょう。
もし歯科医に床矯正をお勧めされたら、理由も一緒に聞きましょう。歯科医が計画する治療方法をしっかり把握して治療に望むのがベストです。
下記は床矯正のメリットですが、あくまで患者さんの歯を診察して状況に応じた治療が一番効果的です。
装置の取り外しが可能
床矯正装置は、取り外せるため食事中や歯磨きが非常に楽になります。これは、想像以上のメリットです。
上顎に装着する急速拡大装置は、装着したまま食べると噛むとき食べ物が器具にあたって美味しく食べられません。
慣れの問題とはいえ食欲を失い限られた食べ物での毎日で、痩せてしまう人もいるほどです。
床矯正装置は食事中に外せるため嬉しい限りです。ただし、装着時間が短すぎると矯正が進まない点に注意しましょう。
抜歯する可能性が低い
床矯正は、現存の歯をできるだけ残すために行う矯正方法でもあります。
歯列を正しくするためには、歯がまっすぐに並ぶためのスペース確保が必要です。そのため、歯科医によっては抜歯をともなう矯正を行う事もあります。
しかし、抜歯した歯は二度と戻りません。
床矯正を専門に行う歯科医は、美容的目的よりも顎関節や骨全体に関わる見解から抜歯を避けて床矯正を勧める事が多いです。
あくまで患者さんの歯の状態によるため、しっかりと歯科医と話合いましょう。疑問をうやむやにせず心配な事はクリアにするべきです。
痛みが少ない
床矯正は、顎の骨をゆっくりと動かすため装置をつけてもあまり痛みを感じません。万が一、痛みを感じたらネジを緩めて調整できます。
稀に器具が破損して口内を傷つける場合があります。その際は状況が違うため、すぐ歯科医で治療してください。
食事がしやすい
床矯正の装置は取り外しが可能です。食事中に装置を外して食事ができるのは、矯正治療を経験している人ならその快適さがわかります。
矯正器具を装着したストレスは慣れれば問題ありませんが、その違和感は最初の頃はかなりストレスです。
床矯正は装置を外して食事ができますし、食べ物の制限などもありません。装置がついたままだと固いものが食べられなかったりします。
装置をつけたままで食べる食事は、慣れてもやはり普段どおりにはいきません。毎日の事ですからとても大きいメリットです。
口内を清潔に保ちやすい
装置を外して食事した後に、歯磨きをして再び装着します。もちろん器具も洗浄しきれいにしますから食べかすがたまる事はありません。
矯正器具と歯の間は細菌がたまりやすく、よごれが残ったままだと虫歯の原因となります。虫歯になってしまうと矯正治療を休止しなくてはいけません。
虫歯を治療してから矯正治療を再開しますが、その間に矯正した歯が戻ってしまうこともあります。
口内を清潔に保てるのは、食事と共に大きなプラスポイントといえます。
床矯正の治療期間
現在の床矯正は、急速拡大装置や、ワイヤー矯正と組み合わせて治療する事が多いです。
患者さんの状態によってその期間はさまざまですが、約1年から2年ほどの矯正治療計画が一般的です。年齢によっても治療期間は異なります。
装置を取りはずせるため、矯正の進み具合によって期間が延びてしまうこともあります。決められた装着時間をきちんと守りましょう。
床矯正の注意点
床矯正の注意点の一つは、装置の装着時間を守れない事です。つまり、どんな矯正治療でも扱い方を間違えてしまうとダメージを受けます。
矯正治療を始める前に、注意点をきちんと理解しておくことがトラブルを避ける一番の解決策です。
装着時間を守らないといけない
床矯正の矯正装置は、取り外しが可能です。食事や歯磨きの間外せるのはメリットですが、装着する習慣をつけないと歯が戻ってしまいます。
寝ている間はもちろん、矯正器具は18時間以上つける必要がある場合がほとんどです。もし守れない場合は矯正治療期間も延びる可能性があります。
装着時間を守れない理由があれば、歯科医に相談して改善策をみつける事が成功への近道です。
無料相談では矯正器具に関するお問合せも受け付けています。下記のボタンから予約し、不安な事はお気軽にご相談下さい。
床矯正で悩みがある場合は歯科医に相談しよう
床矯正を行っている人で悩みがある場合は、まず専門家に相談をする事です。勝手な判断で矯正をやめたりするのは危険です。
まとめ
床矯正の方法やそのメリットがわかったら、矯正歯科医で自分の歯がどのように矯正治療されるか把握しておきましょう。
話し難い、装着時間を守る、装着する年齢が限られてくるなど制約もありますが、他の矯正方法と組み合わせて安全で確実な治療を受けてください。