【監修:青山健一】
目 次
おしゃぶりは、赤ちゃんの寝かしつけや夜泣きのときの強い味方です。 おしゃぶりは子育てしている人にとっては、救世主のような存在です。
しかし、おしゃぶりは歯並びや噛み合わせへの影響が心配という方は少なくありません。
今回は、おしゃぶりが歯並びに与える影響についてのお話をしていきます。おしゃぶりの正しい使い方や、やめるときの方法も紹介するため、参考にしてください。
おしゃぶりと歯並びの関係
赤ちゃんが、おしゃぶりを吸うときは、意外と強い力がかかっています。おしゃぶりが当たる前歯にも強い力がかかるため、歯への影響はゼロではありません。
乳歯が生えそろっていない赤ちゃんが、時間を決めておしゃぶりを使うぶんには、歯並びへの影響は少ないです。
しかし、乳歯が生えそろう年齢まで、おしゃぶりをしていると歯並びや噛み合わせに問題がでてしまう可能性があります。
おしゃぶりのメリット
おしゃぶりは歯並びへの影響を考えると、使用することに賛否はあります。しかし、おしゃぶりの使用はメリットも多いです。
おしゃぶりの存在に救われているという、親御さんも多くいます。おしゃぶりの使用にはどんなメリットがあるのでしょうか?
おしゃぶりのメリットを紹介していきます。
寝つきがよくなる
赤ちゃんにとって、おしゃぶりは精神安定剤のような存在です。赤ちゃんは、母乳やミルクを飲んでいるときは、安心して気持ちも落ち着きます。
おしゃぶりを吸うことで、赤ちゃんは、母乳やミルクを飲むときと同じような安心感を得られるのです。
気持ちが落ち着くため、赤ちゃんの寝かしつけや寝ぐずりのときは、おしゃぶりは重宝する育児アイテムになります。
指しゃぶりの防止
赤ちゃんは、産まれてしばらくは口に入ってきたものを吸う、吸てつ反射と呼ばれる反射運動をします。いわば本能のようなものです。
指しゃぶりをするのも、この吸てつ反射が関係しています。また、安心感を得るという部分は、おしゃぶりと同じです。
指しゃぶりも歯並びに影響を及ぼす可能性がありますが、癖になると、なかなか卒業することができません。
指しゃぶりを防止するために、おしゃぶりを与えるという人もいます。また、手には雑菌が付きやすいため、衛生面を心配する人もいるのです。
おしゃぶりは洗って消毒ができるため、指をくわえるよりは衛生的といえます。
おしゃぶりが歯並びに与える影響
おしゃぶりは、子育てにおけるメリットも多いですが、歯並びへの影響があることを、頭においておきましょう。
実際に、おしゃぶりが歯並びに与える影響について、解説していきます。
噛み合わせや滑舌の悪化
赤ちゃんの時期を過ぎておしゃぶりを長く使っていると、前歯の噛み合わせに問題が出る可能性があります。
歯が生えてくるときに、おしゃぶりをしていると歯で噛むようになります。おしゃぶりを噛むことで、歯に圧力がかかるのです。
おしゃぶりを噛んだときの圧力で、開咬になってしまうことがあります。前歯の上下が噛み合わずに隙間ができている状態が開咬です。
開咬があると、口が閉じにくくなるためサ行やタ行の発音がはっきりしないなど、滑舌にも影響が出ることがあります。
永久歯の歯並びへの影響
赤ちゃんの頃は、おしゃぶりをしていても適切な時期に卒業ができれば、永久歯にまで影響を及ぼすことは少ないです。
ただ、適正年齢を超えても、おしゃぶりを強い力で長期間吸い続けると、歯列の幅がせまくなる、歯列狭窄の症状が出る可能性があります。
歯列の幅が狭くなると、永久歯が生えるスペースがなくなってしまうため、歯並びが乱れる原因になるのです。
おしゃぶりによる歯並びの悪化は重い症状の原因にも
噛み合わせや、歯並びに影響が出始めても、おしゃぶりを続けていると症状は進んでしまいます。
歯並びや噛み合わせに問題があると、食べ物をうまく咀嚼できなくなるため、胃腸など身体に不調が起こる可能性があるのです。
咀嚼がうまくできないと、顎の関節や筋肉に負担がかかるため、顎関節症を引き起こす原因にもなります。
顎のバランスが崩れ、顔の歪みにも繋がる可能性があるため、おしゃぶりで歯並びの問題が出始めたら、早めに対処するようにしましょう。
おしゃぶりの正しい使い方
おしゃぶりは歯並びに影響するリスクがありますが、おしゃぶり自体がダメというわけではありません。
おしゃぶりは正しい使い方で、上手に使えばリスクを避けられます。おしゃぶりの正しい使い方について、解説していきましょう。
適切なサイズを選ぶ
おしゃぶりには、赤ちゃんの月齢に合わせた形やサイズがあります。赤ちゃんの口というのは、小さいままではありません。
成長に伴って、口の中も成長していくものです。赤ちゃんの口の成長に合わせて、おしゃぶりも交換していく必要があります。
おしゃぶりのパッケージに、対象の月齢が書かれているため、それを目安に赤ちゃんに合うサイズ・形のものを使用するようにしてください。
衛生面に注意する
おしゃぶりは、口にくわえるものです。こまめに洗浄して消毒をしましょう。消毒の方法は、哺乳瓶用の消毒液に漬けおきでもよいです。
煮沸消毒や電子レンジで消毒する方法もあります。おしゃぶりの素材を確認して、素材に合った消毒方法で行ってください。
ただし、おしゃぶりの素材によっては適さない消毒方法があるため気をつけましょう。また、おしゃぶりは、スペアを用意しておくことをおすすめします。
スペアがあると洗い替えにもなり、外出先で落としてしまったときに便利です。
使用時間を決める
おしゃぶりを使えば、赤ちゃんは泣いていても落ち着いて泣き止むことが多いため、つい頼ってしまいます。
赤ちゃんが泣いたからと、おしゃぶりを口に入れて済ませてしまうのは、おすすめできません。泣いている理由を探る機会を失ってしまうリスクがあるからです。
おしゃぶりに頼りすぎないで、どうしても泣き止まないとき・外出時・寝かしつけ時など、使用するタイミングや時間などのルールを決めましょう。
おしゃぶりのやめ方
おしゃぶりは忙しい親御さんの救世主ですが、歯並びの影響が出ないように時期がきたら卒業する必要があります。
おしゃぶりが習慣になっている場合は、やめさせるときに苦労するかもしれません。
ここでは、おしゃぶりを卒業させるためのコツを紹介します。おしゃぶりをやめさせるときの参考にしてください。
段階的に使用回数を減らす
おしゃぶりをやめさせる方法には、日にちを決めて、その日でスパッとやめるやり方もあります。しかし、夜泣きがひどくなると大変です。
泣かれても断固として、やめさせる意思が両親にあって、耐えられる場合は完全にやめる方法でも問題はありません。
しかし、大泣きに耐えられない場合は、使用回数を少しずつ減らしていくやり方が、ストレスも少ないです。
例えば、日中はおしゃぶりなしで過ごせるようにして、夜泣きのときや、外出先で困ったときだけなど段階的に使用回数を減らしましょう。
積極的なコミュニケーション
おしゃぶりは、子どもにとって精神安定剤のような存在です。おしゃぶりがなくても、不安にならないように、抱っこなどスキンシップを多めにしましょう。
おしゃぶりから気をそらせるために、たくさん遊んであげるとよいです。身体を動かす遊びなら、夜もおしゃぶりがなくても寝入りやすくなります。
親子のコミュニケーションが、おしゃぶり卒業のポイントです。おしゃぶりを完全にやめられるまでは大変ですが、今だけと思って乗り切ってください。
2歳ごろが卒業の目安
おしゃぶりの卒業は、2歳が目安です。遅くとも3歳までには完全に卒業ができるようにしてください。
2歳までなら、歯並びや噛み合わせの異常が出始めても改善しやすいとされています。1歳半ごろから、おしゃぶり卒業の準備をするのがベストです。
1歳半から段階的に、おしゃぶりの頻度を減らして2~3歳までに卒業を目指しましょう。
言葉の理解ができる子なら、「おしゃぶりはバイバイね」など、わかりやすい言葉で、おしゃぶり卒業の話をしてみるのもよいです。
また、できるだけ子どもの体調がよいときに、始めることをおすすめします。
まとめ
今回は、おしゃぶりと歯並びの関係についてお話しました。記事内でもお伝えしましたが、おしゃぶりを使うこと自体に問題があるわけではありません。
寝かしつけがスムーズで夜泣きにも活躍してくれるおしゃぶりは、両親のストレスを軽減してくれます。必要に応じて使用するのは悪いことではありません。
しかし、「泣いたからおしゃぶり」と依存しすぎてしまわないように、子どもとのコミュニケーションを意識してください。
使用時間を短時間にし、そのぶんスキンシップをとることで、子どももおしゃぶりがなくても不安にならなくて済みます。
歯並びの影響が少ないうちに、おしゃぶりが卒業できるように準備をしていきましょう。