顎が小さいと歯並びに影響するのか歯科医が解説|歯列矯正への影響やスペースを確保する方法もご紹介

【監修:青山健一】

顎が小さいと歯並びに影響するのか歯科医が解説|歯列矯正への影響やスペースを確保する方法もご紹介

「顎が小さいと歯並びに影響しますか」と尋ねられることがあります。矯正歯科医院としての回答は、顎の骨も歯の大きさも歯肉や神経も全てバランスです。
顎と歯の大きさのバランスがよければ顎にそって歯列はきれいに並びます。

現代では昔より柔らかい食べ物が好まれている傾向で影響は少なくありません。歯の大きさよりも現代人の顎が収縮しているからではないかと感じます。
顎と歯並びの関係や歯列矯正にてスペースを確保する方法もみていきましょう。

顎が小さいと歯並びに影響する?

顎が小さいと歯並びに影響する?

戦後を境に、日本人の食べ物は欧米化し始め咀嚼に関する問題は以前から提議されていました。
子供の顎関節症や咀嚼筋の低下が著しく目立ち始めたのは、ファーストフードが日本に進出し始めた1970年代からです。
遺伝性での顎の収縮よりも後天的な問題が主な原因とみています。

昔に比べてよく噛んで食べる習慣がなくなったため、顎が発達しきれていないからです。顎が小さいまま永久歯が生えると当然スペースは足りません。
本来なら十分なスペースがあるはずの顎が、生活習慣によって成長できていなければ、歯並びが重なってしまうのも無理はありません。

顎の大きさと歯並びの関係性

顎の大きさと歯並びの関係性

 

上顎骨(じょうがくこつ)は上顎の骨で、下顎骨(かがくこつ)は下顎の骨のことです。
この上下の顎は顔と耳の接続部分からちょうど指2本分ほど離れた部分で接合しています。
実は、歯の大きさは遺伝が関係しており永久歯自体の成長はありません。子どもの永久歯が昔と比べて大きく感じるのは顎が収縮しているからです。

顎骨は10歳ごろから18歳ごろまで成長が続き、第2次成長期でピークを迎えます。顎骨の成長は体の他の骨と同じスピードです。
歯列の全長よりも顎の骨が大きければ、歯並びはきれいに生えてきますが、顎骨が未発達の間に永久歯が生えたらスペースが足りません。

叢生や八重歯のような不正咬合はこうして発生するのです。
顎骨の成長は、上と下で異なるため、どちらの顎骨が過剰に成長しても歯並びに影響します。どのような症例があるかみてみましょう。

顎が小さいことで起こり得る歯並び

顎が小さいことで起こり得る歯並び

顎が小さいことで起こりえる不正咬合は、それぞれの症例だけのときもあれば組み合わされた症例もあります。
患者様の歯列に同じものは1つもありません。しかし近年の傾向として主に以下のような症例があります。
中には、顎の収縮に加え幼少時の癖が顎骨に影響を及ぼすケースも少なくありません。成長期のお子様をお持ちの方は必見です。

叢生

叢生

叢生(そうせい)とは、歯並びが前後したり重なって生えている状況のことで、乱杭歯(らんぐいば)とも呼ばれています。
叢生の原因として考えられるのは、顎骨の収縮です。特に奥にある小臼歯の位置で、前歯までのスペースが決まります。

小臼歯から前歯までのスペースが短いと残りの6本の歯は叢生になりやすいため、永久歯に生え変わる時期は矯正治療を行ういいタイミングです。
顎の成長が期待できる状態にあるため矯正が成功しやすいといえます。
叢生の程度は人によってさまざまで、八重歯も叢生の1つです。

出っ歯

出っ歯

出っ歯は専門用語で上顎前突(じょうがくぜんとつ)といいます。歯が曲がって生えている場合も同様です。
殆どの出っ歯の原因は上顎が下顎より前方突出しているか、顎関節の異常により下顎が後ろに下がっています。
上顎骨は二枚の骨の接合部分が成長するにつれて固まっていくため、矯正するなら早い方がよい症例です。

受け口

受け口とは反対咬合(はんたいこうごう)といい、噛み合わせが上下逆になっている状態です。口を閉じると下の歯が上の歯とぶつかることもあります。
下顎前突は上顎の収縮又は下顎の肥大が原因です。舌の位置が正しくないため滑舌が悪いなどの症状もあります。

これら3つの症例は、治療を先延ばしにしても改善されません。時間の経過で自然治癒はないため、できるだけ早めの治療をおすすめします。
下記の無料相談では顎骨の影響による不正咬合の相談も承っています。お気軽にご利用ください。

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顎が小さくなる原因

顎が小さくなる原因

顎が小さくなってしまう原因は、先天性と後天性の2種類に分かれます。先天性は乳歯が生え始めた頃から注意観察し対処が早ければ回避できます。
後天性の場合、日常生活の改善が伴うため患者さんの努力が必要です。顎の骨の発達は10代が最も活発な時期になります。
昔に比べると柔らかい食べ物が増えたため、顎の発達を意識して食事を選ぶことも必要です。

遺伝

骨格は遺伝性が高い組織の1つで、顔が似ていたりするのは骨格からきています。骨の成長も両親や祖父母の影響が大きいです。
遺伝性の不正咬合の場合、10代なら骨の成長に合わせて治療を行うこともできます。特に顎骨を広げる治療方法は早いにこしたことはありません。

骨の成長のピークは思春期の18歳前後ですが、この年齢までに矯正完了しておくと矯正部分も戻らずにすみます。
成人矯正もできなくはありません。しかし遺伝の場合は、骨が固定され矯正しにくいことが多いです。
特にお子様がいらっしゃる方は、ご自身の歯と同様に気にかけてあげてください。

食生活

食生活

顎が小さくなる原因の多くが食生活の変化です。近年では噛む力を鍛えるためのトレーニングが開発されるほど咀嚼力は弱っています。
健康に配慮してサプリメントや栄養ドリンクを摂取しても、飲み込んでしまうだけで咀嚼力はつきません。体の筋肉と同様、顎も筋力トレーニングが必要です。

顎の力が弱いと不正咬合になりやすく呼吸がうまくできない、消化不良を起こしやすいなどにも繋がります。
顎の発達を促すためにも、普段からよく噛んで食べるのはもちろん根野菜や乾物など自然の素材を活かした食事を心がけましょう。
矯正歯科医院では、顎や舌筋のトレーニング指導をしている所もあります。ほんの少し気にするだけで改善するため是非取り入れてみてください。

習慣

習慣

顎の骨がなかなか発達しない原因の1つは生活習慣です。
特に乳幼児期から幼少期にかけて著しく偏った習慣が原因で顎の発達が遅れることもあります。
乳幼児の顎は非常に柔らかく、上顎は接合部分が固まっていないため変形したまま成長すると歯列に影響するケースが多いです。

例えば、出っ歯の原因の1つに指しゃぶりがあります。幼少期に多い癖ですが、問題は指の向きと歯の関係です。
親指を口にいれて常に前歯や上顎に触れていると歯に余計な圧力がかかり上顎が突出します。他にも頬杖をつく、猫背なども歯に影響を与えやすいです。

お子さんの癖を治すのはなかなか簡単ではないため、一人で悩まずに専門家に相談することをおすすめします。
指しゃぶりには心理的な要因も関係している場合が多いので、詳しくは小児歯科専門医にご相談してください。
顎の骨の位置がずれているだけで体全体のバランスが悪くなることを知る人はそんなに多くありません。日常生活の習慣には気を付けましょう。

歯列矯正への影響は?

歯列矯正への影響は?

歯の大きさに対して顎が小さいと、歯列矯正に影響がでます。歯をきれいに並べるためにはスペースを確保しなくてはいけません。
歯の大きさはある程度決まっているため、永久歯が生え始めた頃に歯並びが悪ければ矯正を検討しましょう。

できるだけ早く診察を受けて専門家の意見を取り入れることをおすすめします。
混合歯列期には様子をみる歯科医もいますが、顎の発達まで考慮すると経験豊富な矯正歯科医がよいアドバイスをしてくれます。

顎が小さいケースでスペースを確保する方法

顎が小さいケースでスペースを確保する方法

顎が小さいケースでも歯列のためにスペースを確保できます。顎骨は柔らかいほど矯正は成功しやすいため、成人でも時間はかかりますが可能です。
スペースを確保するためには大きくわけて2種類方法があります。1つ目は既存の歯列を調整して隙間を作り出すこと、2つ目は顎全体を拡大することです。

患者様の歯列状況や年齢、顎骨の状態を診察した上で治療計画を決定していきます。そのため、下記の治療方法が必ずしも適応されるわけではありません。
それぞれの治療方法がどういったものか参考として下記をご覧ください。

抜歯

抜歯は、小さい顎で歯のスペースがない場合の一般的な治療方法の1つです。あくまで歯列状況に応じてなるべく影響が少ない歯を選んで抜歯を行います。
顎骨の拡大が見込めず空隙が作りだせない場合の対処法として、小臼歯を抜歯し他の歯を移動させる方法です。

永久歯を抜歯することに抵抗がある方もいるかもしれません。矯正歯科医はインフォームドコンセントの義務がありますから患者さんの承諾なしには抜歯できません。
優先順位がどれかによって意見がわかれる点ですが、主治医とよく話し合い決定しましょう。

歯を削る

歯を削る

歯列の隙間を作るために、既存の歯を少しずつ削ってスペースを作り出す方法です。最大で約0.5mmのスペースが確保できます。
歯列矯正の対象となる歯の状況にもよりますが、歯を削ってセラミックの被せ物をする方法もあります。これはセラミック治療という審美治療です。

この治療は矯正治療というよりは、審美治療と呼ばれる治療で、矯正専門医院ではなく、既存の虫歯などを行う歯科医院での治療になるので、審美治療の経験豊富な歯科医がいる歯科医院で相談されることをおすすめします。

奥歯の後方移動

成長期に永久歯に生え変わるタイミングで奥歯を後方移動する方法があります。しかし、この方法は移動方向としては最も難しい技術です。
加えて矯正装置も十種類ありますが、患者様の状況に応じて使い分けなければいけません。もちろん事前に検査も必要です。

奥歯の後方移動のメリットは抜歯を可能な限り避けられることです。奥歯の後方移動は確実に行える歯科医院が少ないので、矯正のご相談時にご確認ください。

歯列の側方拡大

歯列の側方拡大は、顎が小さい場合に起こる不正咬合によく使われる矯正治療方法です。本来の原因は顎骨にあるため徐々に広げてスペースを作ります。
歯槽骨といわれる歯の周りの顎骨の形成拡大を行い、拡大装置を使用する治療です。顎骨拡大は上下の噛み合わせも考慮しなくてはいけません。

矯正器具は急速拡大装置や側方拡大装置などがあり、床拡大を組み合わせて使うこともあります。
歯列の側方拡大後、ワイヤ―矯正を行い歯列を整えるという矯正計画が可能です。
それぞれの矯正方法には特色があります。もちろん患者様の顎骨の状況や年齢に応じて矯正治療期間も異なるため、まずはお気軽に下記からご相談ください。

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顎の大きさと歯並びの悩みは歯科医に相談しよう

顎の大きさと歯並びの悩みは歯科医に相談しよう

顎の大きさと歯並びの関係は、非常に煩雑で解決方法は何十種類とあります。成長期における顎の発達がいかに大切かお分かりになったはずです。
気になる場合は早めに相談するにこしたことはありません。

まとめ

まとめ

顎が小さいことで起こる歯並びの悪さは、改善するのに手遅れということはありません。顎骨の未発達は鼻腔や顔の表情にも影響します。
そのため矯正治療して歯列が改善されると、姿勢がよくなったり呼吸がしやすくなるなどの効果も得られます。損をすることはありません。

歯だけでの問題ではなくトータルの健康改善にも繋がる矯正治療は、早ければ早いほど成功率もあがります。
歯並びについて心配な方は今すぐお気軽にご相談ください。




監修者:銀座青山You矯正歯科グループ 理事長・総院長 青山健一

理事長・総院長 青山健一 1965年 広島県呉市生まれ
1990年 広島大学歯学部卒業
1992年 南青山デンタルクリニック開院
2001年 医療法人社団 健青会 設立
2011年 日本で初めての「部分矯正専門医院」のYou矯正歯科を開設
2021年 You矯正歯科 池袋西口医院開設
2021年 You矯正歯科 広島紙屋町医院開設(銀座、青山等で9医院開院中)
▼総院長ブログ「幸せってなぁに?」もご覧ください。

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