【監修:青山健一】
目 次
歯列矯正は治療期間が長すぎる、そう感じてなかなか実行に移せないという人が多くいます。
何年間も歯に矯正装置をつけて生活するなら、治さなくてもいいと考える人も多くいます。
そんなときには、カリエール矯正を活用してみてください。カリエール矯正をすることで、歯列矯正の期間を大幅に短縮できます。
どのような矯正方法なのか、特徴や効果を詳しくみていきましょう。今回の記事を参考に、ぜひカリエール矯正を試してみてください。
カリエール矯正の特徴
カリエール矯正の特徴は、マウスピースやブラケットを使用した従来の歯列矯正による治療期間を、大幅に短くできることです。
動かすことの難しい臼歯を移動することができるため、治療を効率的にして出っ歯などを治すことができます。
また、治療できる症例にもよりますが、従来であれば抜歯が必要なケースであってもカリエール矯正を活用することで歯を抜かなくてもいい場合もあります。
歯列矯正の前準備として行う
カリエール矯正は基本的にはほかの歯列矯正と一緒に行うものであり、単体で利用するわけではありません。
歯列矯正の前準備として行う治療で、カリエール矯正を行うことによって歯を移動するスペースを作ることができます。
ブラケットなどの歯列矯正を行う前にカリエール矯正で歯の位置をずらしておくことで、歯列矯正で問題だった歯の入るスペースがないという部分を解決できます。
つまり治療期間が短くなるというのは、スペースを空けるためにかけていた期間が必要なくなったからです。
犬歯と臼歯に装置をつける
カリエール矯正では、犬歯と臼歯に矯正用の装置をつけることになります。
ゴムをかけ、必要な方向に力を入れることでうまく臼歯を動かせます。
前歯を矯正するためには前歯だけでなく、臼歯の位置や噛み合わせも気にしてください。
臼歯を移動する場合にマウスピースだけでは移動が遅く、カリエールを使用することで素早い治療が可能です。
似たような役目を果たす装置はほかにもありますが、カリエールの場合は装置が小さく違和感が少ないため、子どもにも使うことができるのもおすすめな理由です。
カリエール矯正の効果
カリエール矯正は、歯列矯正前にする準備というだけではありません。
もちろん、もっとも効果があるのは歯列矯正の治療期間短縮であり、従来の3割程度期間が短縮できます。
しかし、そのほかにも臼歯の噛み合わせを正常にするという効果もあります。
カリエール矯正のメリット
カリエール矯正を行うには、いくつかのメリットがあります。
どのようなメリットがあるのかをよく理解して、必要な治療かどうかを判断する際の検討材料にしてください。
ここでは、カリエール矯正のメリットについて詳しく解説します。
治療期間の短縮
カリエール矯正のもっとも大きなメリットは、歯列矯正における治療期間の短縮です。
従来の歯列矯正は完了するために何年も必要でしたが、カリエール矯正を取り入れることによって3割もの期間短縮に成功しました。
治療期間が短縮できるのは、非常に大きなメリットといえます。
なぜなら、大人ならともかく、子供に歯列矯正をしたい場合に治療期間が長引くとそれだけ大きなストレスになるからです。
カリエール矯正を活用することによって治療期間を短くできれば、歯列矯正による精神的ストレスを大幅に軽減できます。
非抜歯で矯正可能
歯列矯正を行う場合、歯の入るスペースがなければ作らなければなりません。
そうしないと、矯正することができないからです。
とはいえ、そう簡単にスペースを空けられるはずもなく、隙間がないのであればどうしても抜歯する必要も出てきます。
しかし、カリエール矯正であれば臼歯を移動することができるため、無理に抜歯をする必要がありません。
どのような症状かにもよりますが、非抜歯で矯正できる可能性があるため、まずは一度歯科医師に相談してみてください。
シンプルな装置
カリエール矯正に使う装置は、非常にシンプルで使いやすいのがメリットです。
ほかにも臼歯を動かすには、ヘッドギアと呼ばれるものがあります。
しかし、ヘッドギアはその名の通り頭に装着しなければならず、使いづらいです。
カリエールなら歯に装着するだけでよく、違和感も少ない装置です。
そのため、ヘッドギアのような大きな装置は苦手、という人にはおすすめできます。
カリエール矯正で歯並びを治す流れ
カリエール矯正で歯を治すためには、どのような流れになるのかを事前に知っておきましょう。
カリエール矯正をする前には、まず専門の歯科医師に相談して精密検査などを行います。
その後、カリエール矯正が問題なく行えると判断されれば、装置の装着です。
カリエールはゴムの力で歯を動かすため、上下に欠けるゴムの力により治療期間が変わってきます。
カリエールを装着した後チューブも接着し、しっかり押さえるためにマウスピースを使います。
治療には大体3か月から半年ほどかかるため、注意が必要しましょう。
カリエール矯正がうまくいって、矯正装置を外したのであれば、そのあとブラケットなどを装着する必要があります。
カリエール矯正の注意点
カリエール矯正を受けるのは、メリットだけとは限りません。
カリエール矯正を行う上での注意点があるため、治療の前に知っておくことが大切です。どのような注意点があるのか、詳しく解説していきます。
自分でゴムかけをする必要がある
カリエール矯正には、ゴムかけは必須ともいえます。
ゴムかけをきちんと決められたとおりにできなければ、治療期間が大幅に伸びてしまうことも考えられるため、手順通りに決められた時間装着するようにしましょう。
ゴムは食事の時や歯磨きの時は、外しておくことが推奨されています。
汚れてしまうし、うまく隙間をきれいにできなければ虫歯や歯周病の原因にもなりかねないからです。
ただし、食事や歯磨きの時にゴムを外してしまうということは、1日に何回か自分でつけなければならないということです。
そのため、ゴムかけのやり方を学んでおく必要があります。
ゴムかけはそこまで難しいものではなく、慣れてくればすぐにできるようになるため時間を守って装着するようにしてください。
適応する症例が限られる
カリエール矯正は、すべての症例に適応できるわけではありません。
適応できる症例が限られるため、どのような症例であれば適応できるかどうかを知っておくことが重要です。
自分の症例に適応できるかどうかを知りたい、ということであれば専門の歯科医師に相談しましょう。
カリエール矯正の適応症例
カリエール矯正の適応症例は、どのようなものがあるか知っておくことが重要です。
適応症例を知っておくことで、カリエール矯正ができるかどうかをある程度自分で判断することができます。ここでは、カリエール矯正の適応症例を詳しく解説していきます。
出っ歯
前歯が前方に突き出しているいわゆる出っ歯は、不正咬合の中でも多くみられる症例です。
出っ歯の原因は遺伝的なものや指しゃぶり、爪を噛む癖などさまざまです。
基本的に出っ歯を治療する場合には、小臼歯を抜歯することによってスペースを作り、ブラケットやマウスピースを利用して歯並びを整えます。
治療方法は症例に合わせてさまざまなものがありますが、症状によっては小臼歯を抜歯することなく、カリエール矯正で臼歯を動かすしてスペースを作れる場合があります。
歯を抜かなくてもよく、ブラケットやマウスピースによる歯列矯正治療期間も短くできるため、おすすめの方法です。
叢生
叢生とは、歯の大きさと顎の大きさがあっていない状態のことです。
顎に比べて歯が大きいため、どうしても収まりきらない部分の歯が重なってしまいます。
重なった部分は見た目も悪いうえに歯を清潔に保ちづらく、虫歯や歯周病の原因にもなるため注意が必要です。
場合によっては抜歯して隙間を作り、ブラケットやマウスピースを使って歯列矯正をすることできれいな歯並びにできます。
ただし、ブラケットやマウスピースでの治療は長い治療期間が必要になるため、なかなかできないという人が多くいるのも確かです。
そのため、専門の歯科医師に相談して問題なければ、カリエール矯正での治療期間短縮を選択することができます。
受け口
受け口とは、いわゆる反対咬合のことであり口を閉じたときに上の歯より下の歯が突き出ているような状態です。
成長するにしたがって治療が困難になる症例であり、できるだけ子供の時に治療することが望ましいです。
とはいえ、子どもに治療期間の長い歯列矯正は難しく、精神的にも大きな負担がかかります。
カリエール矯正であればシンプルな装置であり、装着することの違和感も少ないため負担を少なくすることができます。
もちろん歯列矯正の治療期間も少なくできるため、おすすめです。
見た目が気になるようなら透明なカリエールもあるため、専門の歯科医師に相談してできるだけ負担がかからない方法で治療しましょう。
カリエール矯正で悩んだら歯科医に相談しよう
カリエール矯正をするにあたって、悩むこともあります。
とくに症例はあっていても必ずカリエール矯正ができるとは限らないため、歯列矯正をするべきかどうか迷うこともあります。
そういったときには、専門の歯科医師に相談してみてください。
どのような矯正治療が向いているのか、本当にカリエール矯正が可能なのか、痛みや不具合などはないのかなどの相談は必須です。
カリエール矯正の治療を受ける前に必ず聞いておくことをおすすめします。
治療前には専門の歯科医師に相談することで悩みや不安を解消し、負担なく安心して治療を受けられるようにしてください。
まとめ
カリエール矯正は、従来の歯列矯正と併用することで大きな効果を発揮する治療方法です。
同じように臼歯を動かす装置であるヘッドギアは、頭に装着する必要があり使いどころが難しい装置です。
その点カリエールには透明で目立たないものもあり、シンプルな作りで違和感も少ない矯正装置といえます。
とくに小さい子どもに矯正治療が必要というときには、精神的ストレスの軽減ができるためおすすめの方法といえます。
歯列矯正をしたいけど、治療期間が長いのが気になる、という人はぜひ歯科医師に相談のもとカリエール矯正を試してみてください。