【監修:青山健一】
目 次
歯科矯正は口元に不具合を感じて改善をするための治療ですが、上顎が飛び出すことで歯が前に突き出る出っ歯の方も多く矯正治療されています。
出っ歯の矯正治療が終わった状態は、歯の飛び出しが解消されEラインがきれいに整いますから満足される方が多いです。
矯正治療は口元が整うことがゴールではないため、矯正治療後の保定という大事な作業をおろそかにしたため後戻りが起こるとせっかくの治療結果の維持ができなくなる場合があります。
今回は、出っ歯矯正後の変化を解説するとともに、矯正後に後戻りしやすいケースや予防方法についてご紹介していきます。
出っ歯の矯正後の変化
出っ歯になる原因はいくつかありますが、上下の顎の骨のバランスが悪い場合や上の顎の骨が成長しすぎる場合になることがほとんどの原因です。
この顎の骨のバランスや前方へ上顎の飛び出しを改善することで顔の骨格のバランスが良くなり、横顔がすっきりし噛み合わせにまで良い影響が生じます。
ここでは、出っ歯の矯正後のいくつかの変化について説明します。
噛み合わせが良くなる
上顎が飛び出すことによる出っ歯を改善することは、歯並び全体を整えるだけでなく奥歯の位置も正しくなるため噛み合わせの不具合が解消されることが多くあります。
奥歯の位置が正しい位置に戻り噛み合わせが改善されることは、矯正治療後の後戻りを防ぐための目安にもなりますからとても大切なことです。
噛み合わせの不具合は、単に食事だけの問題でなく発音や肩こりにまで影響することがあり、矯正治療で噛み合わせがよくなることにより、このような不具合の改善も期待できます。
姿勢が良くなる
姿勢と歯並びの関係性については多くの歯科医師が指摘していますが、姿勢と歯並びのメカニズムは以下のとおりです。
- 姿勢が悪いと前かがみになり口呼吸になる
- 口呼吸になると口を開けることが増え、舌が出やすくなる
- 舌が出やすくなるため、舌が歯を押し出すことが増える
- 押された歯が飛び出す
矯正治療後の歯並びの改善により口呼吸が減り、呼吸が楽になることで姿勢が改善されることにつながります。
運動選手が力を出すときに歯を食いしばりますが、大きな力を生み出す動作には歯が大きくかかわっています。姿勢や体のバランスのためにも、歯並びが整っていることは大切です。
Eラインができる
Eラインとは鼻と顎を結ぶ線のことで、横顔の美しさの基準として知られており、人差し指を鼻の頭と顎の先端に当てて唇が触れる位置が適当といわれています。
出っ歯の場合はこのEラインの唇が飛び出している状態です。矯正治療で出っ歯を改善することで飛び出していた唇が下がりきれいなEラインになります。
出っ歯の矯正治療ではなく、Eラインの矯正という治療を求める方もおられるほど横顔の美しさは矯正治療を始める大きな動機です。
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出っ歯矯正後に起こりやすいトラブル
矯正治療後に起こるいろいろなトラブルについて事前に内容を知っておくことで、回避することができる場合があります。
トラブル回避のためには、歯科医師と患者様の信頼関係が大切です。
トラブルの原因は下記のようにいくつかに分けられます。
〇治療計画にかかわること
- 予定した治療期間内に終わらなかった
- 追加治療が増えて治療費が増えた
〇治療後の新たな症状にかかわること
- 治療後しばらくしてから新たな症状が出てきた
- 後戻りが起きた
- 歯列のゆがみがまた起こってしまった
治療計画の説明と治療中の新たな症状にかかわる説明が共通理解できていない場合が考えられます。治療中でも不安に思ったことを確認していくことが信頼関係のために大切です。
治療後は後戻りが起きることを防ぐためのリテーナーの装着をお願いしています。リテーナーの装着を怠けてしまうと後戻りを起こすだけではなく新たな不具合に広がることが想定されます。
治療後のリテーナー装着が矯正治療で整った美しい口元を維持するために不可欠だということをご理解ください。リテーナーの装着は患者様の役割です。
歯科医師は矯正治療を通して患者様に本来の素敵な笑顔をお届けすることが願いです。患者様は歯科医師の事前説明を理解し、一緒に矯正治療と治療後の保定に協力していきましょう。
出っ歯矯正後に後戻りを起こしやすい人の特徴
矯正治療ではデコボコした歯並びを歯を動かして正しい位置に戻す治療です。歯は動いた位置に落ち着くまでの間、元の位置に戻ろうとします。これが後戻りという症状です。
一般的に矯正治療が終了すると、リテーナーという装置を使って整った歯並びが後戻りしないように保定という治療を継続します。矯正治療を仕上げるために不可欠な治療です。
後戻りが起こる原因を知っておくと、後戻りしないように気を付けたり早く気づいたりすることができます。美しい歯並びを維持するためにも、不具合を感じたら歯科医師に相談しましょう。
部分矯正を行った
部分矯正は主に前歯の数本を対象にした矯正治療です。本来全体矯正が必要な場合でも部分矯正だけで終わっている場合は、検査によっては新たな治療が発生することがあります。
部分矯正では奥歯まで治療の対象とならないことが多く、出っ歯の治療の際には奥歯が想定外の動きをすることで後戻りの発生につながることがあります。
検査で出っ歯の矯正治療の前に奥歯の矯正をしなければならない場合もありますから、全体の治療をスムーズに進めるためにも治療前検査をしっかりすることが大切です。
リテーナーがゆるい
後戻りを防ぐリテーナーは口腔内に固定しますから、患者様ご本人が確認することは難しいです。はっきり感じることができるのが、このゆるいという状態です。
舌で触れることでワイヤーのはずれやプレートの破損を感じた場合は、すぐに歯科医に相談しましょう。大きな破損でなければ、その日のうちに修理ができる場合があります。
リテーナーのゆるい状況は後戻りを抑える機能が働いていませんから、後戻りが進んでいることになります。
後戻りが進むともう一度矯正治療からのやり直しになりますから気を付けましょう。
親知らずがある
親知らずは矯正治療で動いた歯を押し戻すことがありますから、矯正治療の前段階で抜歯することが多くあります。
部分治療を以前に行っている方の場合は奥歯まで治療されていませんから、親知らずの有無を歯科医の検査で知ることになります。
親知らずの処置については、確かな技術と豊富な治療経験のある歯科医師の診断に任せることが最良の方法とお考えください。
歯周病がある
矯正治療前の検査で歯周病が見つかった場合は、歯周病の治療を終えてから矯正治療を始めます。歯周病は歯を支える歯槽骨を傷つけるため常に気を付けなければなりません。
矯正治療中も治療後も歯周病を防がなければきれいな歯並びを維持できませんから、歯磨きに気を付けて歯周病を防ぎましょう。
歯ぎしりや舌癖がある
出っ歯になる原因に舌癖がありますが、舌で歯を押すという小さなことでも歯が出っ張ってしまったり後戻りにつながったりします。
歯ぎしりやくいしばりがある場合も歯の後戻りを誘発することがありますから、歯ぎしりやくいしばりを改善しなければなりません。
これらは癖になってしまっていますから、ご本人だけでは治せないことが多いです。歯科医師に相談して就寝時に「スプリント」という歯ぎしり予防装置の装着を検討してみてください。
出っ歯矯正後のトラブルを防ぐ方法
出っ歯矯正治療後は口元のでっぱりが解消し、きれいな横顔が見られるようになります。しかし、治療が完全に終わるのは、治療後のリテーナーの装着が終わるときです。
矯正治療後に後戻りが起こってしまう原因の多くは、ちょっとした油断などの理由でリテーナーの装着をなまけたことによるものです。
後戻りが始まると再度矯正治療に戻ることもありますから、医師の指示があるまでリテーナーの装着を続けましょう。このことが治療後のトラブルを防ぐ一番の方法です。
事前に希望を伝える
矯正治療は治療期間が長いため、治療前の段階でご本人と歯科医師が治療の計画について相互理解をすることが大切になります。
ご本人様は、どの部分をどのように治療してほしいかの希望をお伝えください。
歯科医師は、治療前検査を通して得た情報と今までの治療経験からご本人様に最適な治療方法を提案します。
この両方の意見が一致した治療をすすめることが、ご本人様の希望に沿った結果につながると考えましょう。ご本人様が治療中でも質問したり希望をいったりすることも大切です。
歯ぎしり・舌癖の改善
歯ぎしりは寝ている間に多く見られる症状で、歯を強く噛み合わせるため歯に大きな負担をかけています。原因はストレスや噛み合わせなどいくつかありますが、何らかの改善が必要です。
寝ている間の歯ぎしりにはマウスピースの装着などで対応したり矯正治療が必要になったりする場合があります。専門の歯科医師に相談してみましょう。
舌癖についてはリテーナーを装着することで今までの環境と変わるため改善のチャンスととらえ、リテーナーを必ず装着することが大切です。
後戻りしにくい治療計画
矯正治療後の後戻りを防ぐリテーナーの装着は、矯正治療とほぼ同じくらいの期間必要になります。
リテーナーは歯の裏側に装着するため保定期間はまわりの人に治療していることを気づかれず、整った歯並びで生活することができますから安心です。
矯正治療後の後戻りが収まる期間は個人によっても治療内容によっても異なります。矯正治療後のリテーナー装着は絶対必要なことですから、歯科医師の判断があるまで継続しましょう。
保定期間が終わっても後戻りの不安がある方は、リテーナーの装着を継続します。装着している間は後戻りが絶対に起こらないため、歯科医師も継続することをおすすめしています。
出っ歯矯正後に後戻りしないための方法
矯正治療後に後戻りをしないためには、リテーナーを装着し続けることが一番の方法です。装着する期間は矯正治療と同じくらいですが、後戻りを防ぐ最良の方法と考えて継続しましょう。
リテーナーを装着している間はご本人様の歯並びはきれいに整った状態で過ごせますから、まわりの人に治療後の美しい口元を見せることができます。
この美しい口元を維持するためにも、ご本人様の「絶対に後戻りさせない」という強い意志が大切です。リテーナーの装着を最優先にして過ごしましょう。
小さな変化を見逃さない
矯正治療後の保定期間には後戻りが起こらないようにリテーナーを装着しますが、リテーナーの装着を忘れること以外にも後戻りが起こる事例がありますから気を付けましょう。
舌で歯を押し出す癖や唇で歯を抑え込む癖などの生活習慣が、後戻りの原因になる場合があります。
生活習慣や癖からくる後戻りは、その原因となる生活習慣や癖の改善方法を知っていることが大切です。後戻りにかかわる不安や小さな変化を日頃から見逃さないようにしましょう。
保定装置の装着時間・方法を守る
後戻りを防ぐためにはリテーナーの装着を24時間継続することが基本ですが、取り外し式の場合は短時間の取り外しが認められています。
取り外す時間は食事や歯磨きなどの必要最低限とされていますから、それ以外の時間は必ず装着しましょう。
取り外すときは歯磨きやリテーナーの洗浄も行うことが気分転換にもなります。また、虫歯リスクを軽減しますから習慣化して取り組んでください。
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矯正後に後戻りしたときの対応方法
矯正後に後戻りに気づいたり不安に感じたりした場合は、すぐに歯科医師にご相談ください。後戻りの対応は早いことが大切です。
後戻りが分かった時点でリテーナーが合わなくなってしまっている場合は、リテーナーの作り直しになります。後戻りを早期に発見するためにも、定期的な検診を行うことが大切です。
矯正治療後には後戻りを防ぐリテーナーの装着が不可欠だということを忘れずに、医師の指示があるまで装着を継続してください。
出っ歯の矯正でお悩みの方は専門医へご相談を
出っ歯の矯正治療は治療後の満足感が大きく、Eラインも美しくなりますから矯正治療をおすすめします。
そのためにも確かな技術と豊富な治療経験のある専門の矯正歯科医師にご相談ください。歯科医師と一緒に、あなたのご希望に沿った最適な治療方法を見つけ出しましょう。
インターネットなどで紹介されている無料矯正相談を活用して、不安なことや治療の概要をお問い合わせいただければ専門の医師がお答えします。
まとめ
出っ歯をはじめとした歯並びの不具合は多くの方が悩まれ、治療方法や値段・治療期間などわからないことが多くあるため治療を始めることができないことが現状です。
矯正治療は、専門的な技術と多くの治療実績がある歯科医師に相談することで不安なく治療を始められます。
今回は、出っ歯矯正後の変化と矯正後に後戻りしやすいケースや予防方法について解説してまいりました。
矯正治療は信頼できる歯科医師に出会うことから始まります。ぜひ、確かな技術と多くの治療実績のある歯科医師を探してご相談ください。美しいEラインで口元に自信を持って過ごしましょう。