フィックスリテーナーのメリット・デメリットを医師が解説|フィックスリテーナーの期間もご紹介

【監修:青山健一】

フィックスリテーナーのメリット・デメリットを医師が解説|フィックスリテーナーの期間もご紹介

長い矯正治療を終えて、美しい歯並びを手に入れたときには嬉しさもひとしおです。しかし、その歯並びが一生続くわけではありません。
矯正治療によって動いた歯は、元に戻ろうとする「後戻り」をする傾向があります。
そのため、矯正歯科では矯正装置を外したあとに、リテーナーと呼ばれる後戻り予防の装置を施術します。
矯正治療は、歯並びをきれいにして終わりではないのです。

フィックスリテーナーの概要

フィックスリテーナーの概要

後戻りをしないために、矯正治療によって動かした歯をしばらく固定する必要があります。それを保定といいます。
リテーナーとは保定のための装置のことで、フィックスリテーナーはその1つです。
フィックスリテーナーは前歯の裏側にワイヤーを固定するもので、後戻りに対して高い効果が期待できます。

後戻りがしやすい下の前歯に対しては、フィックリテーナーは欠かせないものです。多くの歯科医は、矯正治療のあとにフィックスリテーナーを施術します。
「矯正装置が外れたら、今度はワイヤー」と嘆く患者さんも多いです。しかし、フィックスリテーナーは痛みを伴いません。
慣れると存在を忘れ、何年も使い続ける方も多くいます。

後戻り予防の保定装置

フィックスリテーナーは、矯正治療した歯が後戻りしないようにする保定装置(リテーナー)で、上下の前歯に装着します。
前歯の後戻り予防としては効果的です。矯正治療した歯の後戻り以外にも、子どもの場合は成長に伴う歯の移動がみられます。

大人は加齢によって歯が移動します。このような歯の移動に対しても、フィックスリテーナーは効果的です。
リテーナーには種類がいろいろあります。フィックスリテーナーと、取り外し式のリテーナーを併用するケースも多くあります。

固定式で取り外しできない

フィックスリテーナーは固定式で取り外しはできません。上下の前歯6~8本の裏側にワイヤーを接着して固定します。
取り外しはできないため、1日24時間付けていることになります。付けている限り、矯正の後戻りを最小限に抑えることが可能です。

そのため、保定期間を過ぎても装着を続ける患者さんも少なくありません。
保定期間は歯科医師にもよりますが、3年間程と考えられています。
ただし、つけている期間は定期的に矯正歯科に通う必要があります。

フィックスリテーナーのメリット

フィックスリテーナーのメリット

リテーナーにはいくつも種類があります。どのタイプのリテーナーを使うかは歯科医師の判断と患者さんの希望で決まります。
フィックスリテーナーは歯科医師の管理のもとで装着される保定装置です。対して、取り外し式リテーナーは患者さんの自己管理に任せられます。

そのため、使用をさぼる方が多く、歯が後戻りするケースがみられます。フィックスリテーナーには、後戻りする心配はありません。
フィックスリテーナーには固定式ならではのメリットが多いようです。ここでは、フィックスリテーナーのメリットを紹介します。

つけ忘れの心配がない

フィックスリテーナーは固定式です。患者さんが自分で取り外すことはなく、もちろん付け忘れをする心配は皆無です。
装着しているのを患者さん本人が付けていることを忘れているケースもあります。付け忘れの心配がないため、後戻り防止の保険といえます。

費用が安い

取り外し式リテーナーと比べて、費用が安いのも大きなメリットです。
多くの歯科医院では矯正治療をセット価格で提示しているため、リテーナー単体の費用を比較することは少ないかもしれません。
フィックスリテーナーの費用は、取り外し式リテーナーの何分の1かになります。フィックスリテーナー単体の価格を尋ねると、その安さがわかるはずです。

フィックスリテーナーのデメリット

フィックスリテーナーのデメリット

フィックスリテーナーにはデメリットもあります。「せっかく矯正が終わったのに、またワイヤーは付けたくない」と考える患者さんが多いのです。
きちんとリテーナーの付け外しを自己管理できる方にとっては、固定式のフィックスリテーナーは受け入れ難いものです。

この他にもフィックスリテーナーのデメリットはあります。ここでは、フィックスリテーナーのデメリットを紹介します。

歯磨きしにくい

歯の裏側にワイヤーを取り付けているため、歯磨きしにくいことがフィックスリテーナーの最大のデメリットです。
歯の根元部分など、どうしても歯ブラシの届かない箇所があります。そのため、定期的な歯科健診が必要です。

特に、下の前歯は歯石が溜まりやすくなります。歯石をとるなど、歯のクリーニングも必要になってきます。

虫歯のリスク

フィックスリテーナーは歯磨きをしにくいため、結果として虫歯になるリスクが高くなります。特に、上の前歯には注意が必要です。
できるだけ丁寧な歯磨きを心掛けましょう。定期的な歯科健診も必要です。保定期間には定期的な健診が決まっています。

保定期間後もフィックスリテーナーの装着を続けるのなら、自己管理のもと通院を続けてください。

接着剤が取れたら後戻りする

固いものを噛んだり、何らかの理由で歯とワイヤーを止めている接着剤が外れたら、再度その歯を動かす矯正をしなければなりません。
せっかく矯正が終わったのに、再度矯正装置をつけないといけなくなると、患者さまはかなりショックを受けることになります。

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フィックスリテーナー以外の保定装置

フィックスリテーナー以外の保定装置

フィックスリテーナー以外にも、いくつかの取り外し式リテーナーがあります。
多くの患者さんがフィックスリテーナーを使用すると説明しました。しかし実際は、取り外し式リテーナーを使用する患者さんは増加傾向です。

ワイヤーを付けたくないと考える方が多いからです。きれいな歯並びになったあとでは、ワイヤーを装着するモチベーションが保てないと想像します。
取り外し式リテーナーは、マウスピース型とワイヤーを使用したものがあります。使用方法については担当医の指示に従いましょう。

きちんと指示通りに使用する自己管理能力が必要になります。ここでは、フィックスリテーナー以外の保定装置を紹介します。

マウスピースタイプ

マウスピースタイプ

マウスピースタイプのリテーナーは、矯正治療に使ったマウスピースと見た目は似ています。透明で目立ちにくく、着脱のしやすさが人気です。
マウスピースタイプは、前歯の後戻り防止に効果的です。しかし、耐久性は低く、歯ぎしりをする方などは穴があいてしまうこともあります。

通常は1年程使用可能ですが、使い方によっては半年くらいで破損してしまいます。コーヒーなどが着色することもデメリットです。
歯型をとってピッタリの形にオーダーメイドで作るため、使用しない期間が長引くと、再装着ができなくなることもあります。

プレートタイプ

プレートタイプ

プレートタイプは、普及している保定装置です。歯の表面はワイヤーで、裏側はプラスチックで支えています。
ワイヤーの形状によって「ベッグ」「ホーレー」の2種類あります。リテーナーとしては費用は高めですが、耐久性は高くて10年程は使用可能です。

歯型からハンドメイドで作るオーダーメイドで、後戻り防止に対する高い効果が期待できます。
しかし、歯の表面にワイヤーが見えるため、見た目を気にする患者さんにはおすすめできません。取り外しが簡単で、夜用としての使用も目立ちます。

フィックスリテーナーの使用期間

フィックスリテーナーの使用期間

リテーナーの使用期間には個人差がありますが、ほとんどの方は1~3年間使用します。矯正に費やした期間と同じくらい考えてください。
しかし、フィックスリテーナーは固定されているため、保定期間が過ぎても装着を続ける方が多いです。

また、後戻りの可能性が高いと診断されたら、保定期間後も装着を続けることになります。担当医の判断に任せましょう。
特に子どもの場合は、成長期間中は続けて装着するというのが一般的です。

フィックスリテーナーで注意することは?

フィックスリテーナーで注意することは?

フィックスリテーナーは固定式のため、患者さんの自己判断で取り外しはできません。そのため、取り外し式リテーナーにはない注意点もあるようです。
「付けっぱなしで問題なし」と考えていると、美しい歯並びを保つことは難しくなります。ここではフィックスリテーナーの注意点をみていきます。

丁寧に歯を磨く

フィックスリテーナーの最大の難点は、歯磨きしにくいことです。ワイヤーを固定している接着剤が歯と歯肉のキワに付いています。
ワイヤーと歯の境目は、歯石がたまりやすい箇所です。磨き残しがあれば、歯周病や虫歯のリスクも高くなります。

丁寧に歯を磨くことを心掛けましょう。普通の歯ブラシでは磨きにくいと感じたのなら、ワンタフトブラシがおすすめです。
定期的な歯科検診が必要ですが、やはり毎日の丁寧な歯磨きが大切になります。

外れたら放置しない

フィックスリテーナーが外れたら放置せずに、すぐに担当の矯正歯科医院に連絡をしましょう。外れたままにしていると、後戻りをする可能性があります。
出来るだけ早い時期に歯科医院に行って、再装着することをおすすめします。後戻りが進んでいる場合は、また矯正を始めなければなりません。

ある程度年数が経てば、外側から外れてくることがあります。外れた部分だけ自分でカットする方もいますが、自己判断は危険です。

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まとめ

まとめ

矯正治療は長い時間と費用がかかります。せっかくきれいな歯並びを手に入れたのですから、後戻りをしないように保定装置は欠かせません。
矯正治療を始めるときには、歯科医院で詳しい治療内容や費用、スケジュールを話し合ったことと思います。それには保定期間も入っています。
保定期間にわからないことがあったら、歯科医院に相談をしましょう。保定期間が終わるまで、矯正治療は続いています。




監修者:銀座青山You矯正歯科グループ 理事長・総院長 青山健一

理事長・総院長 青山健一 1965年 広島県呉市生まれ
1990年 広島大学歯学部卒業
1992年 南青山デンタルクリニック開院
2001年 医療法人社団 健青会 設立
2011年 日本で初めての「部分矯正専門医院」のYou矯正歯科を開設
2021年 You矯正歯科 池袋西口医院開設
2021年 You矯正歯科 広島紙屋町医院開設(銀座、青山等で9医院開院中)
▼総院長ブログ「幸せってなぁに?」もご覧ください。

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