【監修:青山健一】
目 次
笑ったときなど、歯茎が見えて自分の歯は小さすぎるのではないかと不安になったことはありませんか。
歯の大きさは歯の健康上被害をもたらす場合もあるため、専門家である歯科医師に相談することが大切です。
歯の小ささが気になる場合は、もしかしたら「矮小歯」かもしれません。
歯が小さいことで起こる口の中のトラブルなどもあります。場合によっては治療しなくてはなりません。
今回は矮小歯の特徴から矮小歯であることのリスク、改善方法までを詳しく解説していきます。
歯が小さいことが気になる人はぜひ参考にしてみてください。
歯が小さい「矮小歯」の特徴
歯が小さい気がする、笑ったときの歯茎とのバランスが気になるといっても必ずしもそれが矮小歯であるとは限りません。
「矮小歯」の特徴は、歯の大きさが一般的な歯の大きさと比べて極端に小さいことです。
矮小歯と一口にいっても、全部の歯が小さい場合と部分的に小さい場合があります。
部分的に小さい場合は、その数本の歯が退化傾向にあると考えられています。部分的になら決して珍しい症状とはいえません。
矮小歯が出現しやすい場所
部分的に歯が小さいという場合では、どこも等しく小さくなる可能性があるというわけではありません。
「矮小歯が出現しやすい場所」というものがあります。
それが前歯近くで一番気になる上顎側切歯と歯のトラブルになることも多い第三大臼歯です。
なぜこの二か所に出現しやすいのか、どういった場所なのかを詳しく知っていきましょう。
上顎側切歯
上顎側切歯はもともと退化傾向の強い歯であり、先天的に欠損になることも珍しくない場所です。
そのために矮小歯になることも多いのではないかとの推測がされています。
場所は前歯の隣で、特に笑ったときなどには気になる場所です。
人によっては小さくなるだけではなく無くなることもあるため、最終的に生えそろったときに歯の本数が少ない、ということもあります。
第三大臼歯
第三大臼歯はいわゆる親知らずと呼ばれる歯であり、抜けてしまったという人も多いかもしれません。
中には歯科でわざわざ抜いてもらったという人もいます。
こちらも円錐状になったり不自然な生え方をしたりとトラブルになることの多い歯で、上顎側切歯と同じく退化傾向の強い歯でもあります。
そのため小さくなりやすい歯なのです。
歯が小さくなる原因
歯が小さくなるのにはいくつかの原因が考えられます。
先天的に歯全体が小さくなってしまう場合は遺伝であることが考えられます。
また栄養不足、とくにビタミンDが足りない場合でも歯全体が小さくなってしまうことがあるようです。
そのほか下垂体の機能低下や退化傾向などさまざまな原因が考えられますが、矮小歯になるはっきりとした原因についてはいまだ解明されてはいません。
歯が小さいことで起こるリスク
歯が小さいからといっていったい何が悪いのかと思うこともあるかもしれません。
もちろん、歯が小さくても何の問題もない人も多く、歯並びもきれいな人はたくさんいます。
しかし必ずというわけではありませんがさまざまなトラブルの原因になることもあるのです。どのようなリスクがあるのかを知っておくことも大切です。
歯が小さいことで起こりうるリスクをわかりやすく解説していきます。
すきっ歯になる
歯が小さくなりすぎると歯と歯の間に隙間ができていわゆるすきっ歯になってしまうことがあります。
すきっ歯が目立つと歯並びが悪く見え、そのためになかなか笑顔が見せられなくなるという人もいるようです。
特に見た目を気にする人であれば、人目が気になってそれだけでストレスになることもあります。
矮小歯の治療方法の流れ
矮小歯は治療が可能です。
特にトラブルがなく、見た目も気にならないというのであれば治療は必要ありませんが、すでに何らかのトラブルを抱えている場合であれば、ぜひ治療してみてください。
また治療方法にもいくつもの方法があるため、専門家と相談して自分に合った治療をする必要があります。
ここでは矮小歯の治療方法の種類と流れを詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。
ラミネートベニアの場合
歯を少し削って歯に見える薄い板を張り付けるという治療方法がラミネートベニアです。
小さな隙間なら埋められるため見かけはかなり改善され、特にすきっ歯が目立つような矮小歯である場合には有効な治療法といえます。
費用もそれほど高額ではないため、歯を大きくしたいなら是非検討してほしい治療法です。
ただしラミネートベニアはあくまでも付け爪のように歯に似せたものを張り付けるため、かみ合わせに問題がある場合や大きな隙間、虫歯がある場合などには向かない治療方法となります。
セラミッククラウンの場合
セラミッククラウンは見かけも自然な歯を期待できる治療方法です。
基本的にはセラミックを利用したかぶせ物のことを指しますが、差し歯を使う場合もあります。
よく虫歯の治療にも使われるかぶせ物もこれにあたります。
セラミックは昔から使用されてきたプラスチックや銀歯と違って、見た目も自然で劣化も少ないのが特徴です。
また、体にも優しいためおすすめの治療法です。
とはいえかぶせ物の素材は必ずしも自分が考えているものでできるとは限りません。
まず専門家に相談してから精密検査をする必要があります。
自分が特定の素材にしてほしいからといって、必ずその通りにできるというわけではないことは覚えておいてください。
また、自分の歯がある場合はそれを土台に使い、ない場合は人工の土台を入れる必要があります。
仮歯を作って入れてみてかみ合わせなどを確認し、問題がなければ装着という治療の流れです。
時間はかかりますが、虫歯があっても治療してかぶせれば問題なく、矮小歯を治して美しい歯並びを取り戻すことも出来ます。
歯列矯正の場合
歯列矯正をする場合には、かみ合わせや歯並びの改善が期待できます。歯を移動することで、不要な隙間をなくすこともできます。
矮小歯である場合に歯列矯正をしようと思うと、歯に合った治療法かどうかを専門家と相談し、精密検査を行うことが必要です。
矯正器具にはいくつかの種類があり、色が目立たないものや金属製ではないものもあるため自分に合った矯正器具を選んで使用できます。
ただし歯列矯正は治療期間が長く、痛みが出る場合もあるため自分に合った治療をしっかり選ぶ必要があります。
歯冠補綴の場合
歯冠補綴とは、虫歯や矮小歯によって失われた歯や足りない歯を補うために歯の形を人工的に整えたりかぶせ物などで補完する治療法をいいます。
歯冠補綴にはいくつかの種類がありますが、その多くは保険が適用されるため、試したことがあるという人も多くいるかもしれません。
歯冠補綴には、いわゆるかぶせ物をするクラウン治療や失った歯を補うためのブリッジ治療があります。
ときには歯を大きく削る必要がある場合もありますが矮小歯を大きくすることも可能であるため専門家に相談して問題がなければぜひ検討してみてください。
複数の治療を組み合わせる場合
治療方法自体は選択肢がいくつもありますが、ひとつだけしか選択できないというわけではありません。
実は複数の治療方法を組み合わせることでより美しい歯を作り上げることもできます。
例えば、セラミッククラウンをした後に歯列矯正をする治療も考えられます。
また、いくつかの歯をラミネートベニアにしたうえで、ラミネートベニアは使えないが大きさが気になるという歯があればセラミッククラウンや歯冠補綴で補うことも可能です。
いずれにせよ複数の治療を組み合わせる場合には精密検査も必要になるため、必ず信頼できる歯科医師に相談してからになります。
矮小歯を治療する際の注意点
矮小歯を治療するにあたっては歯によって治療の向き不向きがあるため、必ずしも自分が考えていた方法がベストであるとは限らないという注意点があります。
歯が小さいというのは気になるときもありますが、だからといって必ずしも治療が必要なわけではないということも重要なところです。
虫歯や歯周病がある場合にはできない治療もあり、費用面での心配もあります。
気になることは、治療前に些細なことでもきちんと聞いて解決してから治療を行うようにしてください。
歯の大きさが気になる場合の対処法
歯の大きさが気になる場合には、まず信頼できる歯科医師に相談するというのが唯一といってよい対処法です。
歯は素人ではどうしようもなく、下手にいじると逆に余計なトラブルを引き起こすことにもなりかねません。
矮小歯は1本から対処が可能であるため、特に前歯近くの上顎側切歯であればそこだけ対処することもできます。
あまりにも歯が小さい、隙間が大きいなどでお困りの場合は治療をおすすめします。
まとめ
矮小歯が気になる場合にどうすればよいのかという悩みがある人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
治療自体も一つだけしか選べないというわけではなく、複数を組み合わせられます。
それぞれの治療方法のメリットとデメリットをよく比べて自分に合った方法を探してみましょう。
どんなに優れた治療方法でも、自分に合っていなければ意味がありません。
痛みや治療期間、費用などを歯科医師と相談し、よく検討してぴったりな治療方法をみつけましょう。