歯ぎしりと睡眠の関係を歯科医が解説|歯ぎしりが及ぼすリスクや解消方法もご紹介します

【監修:青山健一】

歯ぎしりと睡眠の関係を歯科医が解説|歯ぎしりが及ぼすリスクや解消方法もご紹介します

自分では気づかないことも多い睡眠中の「歯ぎしり」。寝ている間のことであるため自覚がない方も多いですが、睡眠中の歯ぎしりは体に悪影響を与えることもあります。

睡眠中に歯ぎしりが起こるのには、いくつかの原因があります。歯と体の健康を維持するためには、原因や適切な改善方法を知ることが大切です。
心当たりのある方などは、睡眠中の歯ぎしりについて理解を深めておきましょう。

歯ぎしりと睡眠の関係性を解説

歯ぎしりと睡眠の関係性を解説

眠っている間の歯ぎしりは、誰にでも起こりうる現象です。歯ぎしりは、眠りの深さと密接に関係しています。
現象としては睡眠が浅いとき、頬の筋肉に力が入ることで起こります。そのため、筋肉の動きが抑制される熟睡時には起きません。

またどれだけ健康な方でも疲労が溜まっているときなどには、1晩に1回ほど歯ぎしりをするとされています。通常であれば10~15分ほどで収まるものです。

しかし習慣となっている方では1時間以上、毎晩のごとく続くことがあります。断続的な歯ぎしりが続くようであれば、改善や対処を検討することが必要です。

眠る中での歯ぎしりは口内だけでなく、体にさまざまな影響を及ぼします。症状が進行すると日常生活に支障が出る恐れもあるため、放置しておくことはおすすめしません。
眠っているときに起こるため自分では気づきにくいですが、知人や家族から指摘されたときは改善や治療を検討しましょう。

歯ぎしりの種類

歯ぎしりの種類

歯ぎしりは大きく3つの種類に分けられ、現われる症状が異なります。治療や予防の方法も違うため、あらかじめ把握しておきましょう。

グライディング

グライディングは、歯ぎしりとして多くの方に知られている症状です。上下の歯を強い力でこすり合わせることで起こります。
グライディングが起きると、「ギリギリ」などの音がするのが特徴です。周囲にも音が聞こえるため、知人や家族から指摘されて気付くこともあります。
グライディングが続くと、歯の健康を損なう可能性があります。症状が確認されたときは、早めの治療が必要です。

タッピング

タッピングとは、強い力で歯を食いしばる症状です。上下の歯を非常に強い力で噛みしめることで発生します。
タッピングは歯をこすり合わせるわけではないため、発生しても音をたてないことが特徴です。周囲の方にも気付かれにくいため、知らないうちに症状が進行する場合もよくあります。

症状の進行を防ぐためには、早い段階での発見が大切です。口を開けにくいと感じたり、顎に違和感を覚えたりするときには、タッピングが起きている可能性があります。

クレンチング

クレンチングは、上下の歯がぶつかり合う症状です。食事などのように顎を動かすため、上下の歯が接触することで起こります。
クレンチングでは歯と歯が強い力でぶつかり合うため、「カチカチ」などの音がするのが特徴です。そのため、周囲の方が症状に気付くこともよくあります。

クレンチングも歯に大きなダメージを与える可能性があるため、放置しておくのはおすすめしません。歯が欠損する恐れもあるため、改善や予防に努めましょう。

歯ぎしりの主な原因

歯ぎしりの主な原因

 

歯ぎしりが起こるのには、いくつかの原因が考えられます。原因によって対処法も異なるため、まずは原因を把握しておくことが必要です。
原因を知ることで、効果的な改善にも役立ちます。歯ぎしりの原因としては、下記のものが挙げられます。

ストレス

ストレス

歯ぎしりの原因で非常に多いとされているのがストレスです。睡眠中に歯を噛みしめることで、ストレスを解消していると考えられています。

人は不安やストレスを感じると、歯を噛みしめる傾向があります。一時的なものであれば問題ありませんが、慢性的に続くようだと歯の健康に良くありません。

特にストレスが強い場合には、噛みしめる際に力が入りやすくなるため注意が必要です。歯に強い力が継続的にかかってしまうと、歯や顎を痛める可能性があります。
ストレスが原因となる歯ぎしりの場合、原因となるストレスを取り除けば収まる傾向です。

しかし歯ぎしりが習慣化しているときには、ストレスを取り除いても改善されないケースがあります。
このようなときには、歯科医院を受診してきちんとした治療を受けることが大切です。

噛み合わせ不良

噛み合わせの悪さも歯ぎしりの原因に挙げられます。噛み合わせが悪いと上下の歯が強く接触することがあり、自然と歯ぎしりが起きやすくなります。
歯の治療中などで詰め物をしているときも、歯ぎしりは起きやすい状態です。詰め物をすると歯の高さが合わなくなる場合があります。

他より高い歯があると上下の歯がぶつかりやすく、歯ぎしりが起きてしまいます。このように、歯がぶつかりやすい環境にあると歯ぎしりする方が多いようです。

噛み合わせは歯並びの悪さ、食事時に片側の歯ばかり使うなどが原因で悪くなっていきます。また、加齢によっても悪くなる場合があります。
噛み合わせの改善には矯正治療が必要となる場合もあるため、歯ぎしりがひどいときなどは歯科医に相談してみましょう。

睡眠時無呼吸症候群

歯ぎしりは、睡眠時無呼吸症候群との関係性も懸念されています。睡眠時無呼吸症候群とは、寝ているとき一時的に呼吸が止まる症状のことです。
一時的に呼吸が止まると体への負担も大きく、心筋梗塞など危険な病気の原因になるとされています。

睡眠時無呼吸症候群は、以前よりいびきとの関係性が指摘されていました。一方、近年では歯ぎしりとの関係性についても調査が進められています。

調査によると、歯ぎしりが起きたあとに呼吸が止まることが多く見られたようです。そのため、何かしら関係性があるのではないかと考えられています。
因果関係が明確に解明されたわけではありませんが、気になる症状が見られたときは医師に相談しましょう。

歯ぎしりが癖になっている

歯ぎしりをする方のなかには、日常的なになっている方もいます。特に多いケースが食いしばり(クレンチング)です。
食いしばる癖が日常化していると、睡眠時にも歯ぎしりをしやすくなります。昼夜問わず歯ぎしりをしていては、歯へ与えるダメージも深刻になりかねません。

なお歯ぎしりが癖になっている方は、スポーツ選手などによく見られます。スポーツでは力を入れる瞬間に、歯を食いしばらなければなりません。

競技中の習慣が睡眠中にも現れることにより、歯ぎしりが発生してしまいます。日常的にスポーツを行う方は、歯ぎしりが癖になりやすいため注意しておきましょう。

睡眠時に歯ぎしりをするリスク

睡眠時に歯ぎしりをするリスク

 

睡眠時の歯ぎしりは、歯に想像以上のダメージを与えます。歯のダメージが積み重なることで、体にもさまざまな影響を及ぼします。
症状によっては、日常生活に支障が出る恐れもあるため注意が必要です。そのような事態に陥らないように、歯ぎしりのリスクについても知っておきましょう。

歯が欠ける・すり減る

「歯が欠ける・すり減る」ことの原因の多くは、歯ぎしりによるものです。特に睡眠中の歯ぎしりは、歯にかかる負担が非常に大きいとされています。

睡眠中の歯ぎしりでは、100kgを超える圧力が歯にかかることがあります。このような圧力が毎日かかるようであれば、歯のダメージは深刻です。

ダメージが蓄積すると歯が欠けたり、摩耗したりしてしまいます。常態化するようであれば、老後に残る歯の本数にも影響を与えるため、若いうちから改善を図ることが大切です。

顎関節症

歯ぎしりが及ぼす影響の中で、近年増加の傾向にあるのが顎関節症です。発症すると、口の開けにくさや顎の痛みなどの症状が現われます。

なお症状が重いときには、口がほとんど開かなくなり、食事に支障が出ることもあるため注意が必要です。一方で症状が軽い場合だと、自覚症状がなく気付かない方も多くいます。

顎関節症の原因には顎の弱さや噛み合わせなども挙げられますが、もっとも多い原因となるのが歯ぎしりです。なかでもクレンチングは、与える影響が大きいとされています。

歯を食いしばるクレンチングが続くと、顎への負担も大きくなりがちです。顎の筋肉や関節がダメージを受けると、顎の動きが悪くなり顎関節症を発症してしまいます。
顎関節症になると日常生活にも支障が出ることがあるため、予防や早期治療に努めましょう。

歯周病

歯ぎしりは、歯周病を起こす原因のひとつです。歯ぎしりをすると、歯は損傷や摩耗により弱っていきます。
歯が弱ると生え際に隙間ができてしまい、歯周病菌が繁殖しやすくなります。また歯ぎしりをする方は、歯周病の進行も早いことが多いようです。

歯周病は歯を失うだけでなく、循環器の疾患を発症するリスクが高まります。歯周病菌は、血管に障害を与えるとされており、血管に異常をきたす可能性があるためです。
歯ぎしりと共に歯茎の炎症が確認されたときなどは、早急に歯科医院を受診しましょう。

睡眠時の歯ぎしりが身体に及ぼす影響

睡眠時の歯ぎしりが身体に及ぼす影響

歯ぎしりが影響を与えるのは、歯や顎だけではありません。歯ぎしりは、頭痛や肩こりなどを引き起こす場合があります。
睡眠中に歯ぎしりを行うと、首や肩にも強い力が加わります。つまり、睡眠中でも首や肩周辺が緊張している状態です。

就寝中の長時間に渡り緊張状態が続くと筋肉に疲労が蓄積され、凝りや痛みを起こす場合があります。
朝起きたときに肩や首に痛みを感じたときは、睡眠中の歯ぎしりが原因かもしれません。心当たりがあるときは、歯科医に相談してみましょう。

歯ぎしりを解消する方法

歯ぎしりを解消する方法

歯ぎしりを解消するには、いくつかの方法があります。歯ぎしりは症状によっても、改善方法が異なります。歯ぎしりの改善に用いられる主な解消方法は下記の3つです。

スプリント療法

スプリント療法は、歯ぎしりの改善によく用いられる手法です。睡眠中にマウスピースを着けることにより、上下の歯が接触することを防ぎます。

また、マウスピースは食いしばりによる歯の負担軽減にも効果的です。マウスピースを装着することで、歯にかかる圧力を和らげることができます。

なお使用するマウスピースは市販のものでなく、歯科医院で提供されるものがおすすめです。合わないマウスピースの場合、着けたときの違和感が強くなかなか寝付けない方もいます。

歯科医院では患者様に合わせてマウスピースを作成するため、違和感の軽減が可能です。特に寝つきが悪い方などは、歯科医院でのマウスピース作成をおすすめします。

歯列矯正

歯並びが原因となって歯ぎしりが起きている場合には、歯列矯正による改善が有効です。歯並びをきれいにし飛び出た歯などをなくすことで、歯ぎしりの改善が見込めます。

歯列矯正は歯ぎしりだけでなく歯周病をはじめ、さまざまな口内トラブルの改善に効果的です。歯ぎしりの原因が噛み合わせの場合には、歯列矯正を検討しましょう。

なお矯正治療と聞くと見た目が気になる方も多くいます。しかし近年では、目立ちにくい装置を使用する矯正治療も可能です。
見た目が気になり矯正を避けている方は、その旨を歯科医に相談してみましょう。患者様の要望に合わせた矯正を提案してくれます。

下記のリンク先から歯科医へ無料相談が可能です。歯科医を探す際には、ぜひ利用してください。

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寝る前にリラックスする

寝る前にリラックスする

歯ぎしりの改善には、就寝前にリラックスすることも効果的です。歯ぎしりの原因となる緊張状態を和らげることで、睡眠中の歯ぎしり予防に期待できます。

従来、上下の歯はリラックスしている状態であれば接触していません。しかし緊張状態になると、無意識のうちに歯を噛みしめることがあります。
人が緊張状態になる原因には、さまざまなものがあります。パソコンやスマートフォンでの作業もそのひとつです。

緊張状態のまま就寝してしまうと歯ぎしりが起きやすくなるため、就寝前にパソコンやスマートフォンの長時間使用は控えましょう。
また、腹式呼吸法や自己暗示法も試しておきたい予防法です。腹式呼吸ではゆっくりと呼吸を行うことにより、体全体をリラックスさせる効果に期待できます。

一方の自己暗示法は、自分に自己暗示をかけて改善を目指す手法です。寝る前に「歯ぎしりしたら目覚める」のような、自己暗示をかけることで歯ぎしりの改善を図ります。
これらの手法は人によって効果が異なります。他にもさまざまな改善法があるため、自分に合ったものを探してみましょう。

睡眠時の歯ぎしりの悩みは歯科医に相談しよう

睡眠時の歯ぎしりの悩みは歯科医に相談しよう

睡眠中の歯ぎしりが確認されたときは、歯科医に相談しましょう。歯ぎしりは体に悪影響を及ぼすこともあるため、そのまま放置しておくのは危険です。
専門家である歯科医に相談することで、適切な治療や改善策を施すことができます。また歯ぎしりは、早期改善が大切です。

時間の経過と共に歯へのダメージも蓄積していくため、健康な歯を守るためには早めの改善を行う必要があります。歯ぎしりが確認されたときは、早めに歯科医に相談しましょう。

なお下記のリンク先から歯科医へ無料相談が可能です。歯科医への相談を検討するときには、ぜひご利用ください。

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まとめ

まとめ

睡眠中の歯ぎしりは眠りの深さと密接な関係があり、誰にでも起こる現象です。歯をはじめ体に悪影響を与えることもあるため、心当たりがあるときは改善する必要があります。

歯ぎしりは日常の行動が原因となることも多く、改善を図るときは生活習慣の見直しも必要です。特に眠りが浅くなるような行動は、なるべく控えるようにしましょう。

また、ストレスの軽減に取り組むことも効果的です。定期的なリフレッシュや就寝前のストレッチなど、自分がストレス発散できるものを見つけましょう。

自分での改善が難しいときは、歯科医に相談することも必要です。適切なアドバイスを受けることもできるため、歯ぎしりの改善に困ったときはぜひ相談しましょう。




監修者:銀座青山You矯正歯科グループ 理事長・総院長 青山健一

理事長・総院長 青山健一 1965年 広島県呉市生まれ
1990年 広島大学歯学部卒業
1992年 南青山デンタルクリニック開院
2001年 医療法人社団 健青会 設立
2011年 日本で初めての「部分矯正専門医院」のYou矯正歯科を開設
2021年 You矯正歯科 池袋西口医院開設
2021年 You矯正歯科 広島紙屋町医院開設(銀座、青山等で9医院開院中)
▼総院長ブログ「幸せってなぁに?」もご覧ください。

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