【監修:青山健一】
目 次
あなたは自分が他人の印象を決めるとき歯並びを判断基準にしていませんか?実は7割以上の人が歯並びで第一印象が決まると考えています。
お見合いや就職面接などでは、自分が他人に与える印象で人生そのものが左右されてしまうこともあるのです。
この記事では、歯並びで変わる印象について具体例を挙げて解説します。また、歯並びの改善方法についてもみていきましょう。
歯並びで人の印象は変わる?
口を閉じているときは歯並びが気になりませんが、歯が見えるほど口を開けたときの歯並びはその人の印象を左右します。
歯が見えるほど口を開けるのはどんなときでしょうか?人と話をする・歌を歌う・写真で笑顔を作るなど、いろいろありますよね。
つまり積極的に他人とコミュニケーションを取ろうとするときや、自分をプレゼンテーションするときに歯が見えているのです。
そのようなシチュエーションでは他人に良い印象を与えたいと考えますから、歯並びに問題があると自信を持ってアピールできません。
歯並びを気にして表情が硬くなる・口元をきつく結んでしまう・手で口元を隠すといった行為がむしろ歯並びよりも印象を悪くしてしまうのです。
ですから歯並びが改善することは、その人の内面が改善することでもあるといえます。心からの笑顔が最高のメイクアップです。
実際にどのような歯並びが第一印象に強く影響するのでしょうか。次に改善すべき歯並びの例をご紹介します。
第一印象に影響する歯並び
人の第一印象に特に影響すると思われる歯並びは次の3つです。
- 出っ歯
- 叢生
- 受け口
これらの歯並びは顔全体のシルエットに大きな影響を与えます。口が閉じられない、舌が押し出されてしまうこともあり問題です。
それぞれの歯並びの症例について詳しくみていきましょう。
出っ歯
出っ歯は別名を「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」といいます。前歯が下歯より5㎜以上前に突出している状態です。
下唇と上唇をうまく合わせられず唇が突出する・前歯が他の歯よりも大きめで目立つという特徴があります。
そのため出っ歯はその人の顔を強く印象づける代表的な歯並びのひとつとなっているのです。
叢生
叢生は歯の数や大きさに合わない顎の形状が原因で歯列が正しく揃わない状態のことを指します。
八重歯がその代表例ですが、より深刻な状態では乱杭歯となり歯列がすべてデコボコになってしまうのです。
特に前歯が叢生だと口元がとても気になりますし、頬が膨らんだり顎の位置が落ち着かなかったりすることも印象に影響します。
受け口
受け口は別名を「反対咬合(はんたいこうごう)」あるいは「下顎前突症(かがくぜんとつしょう)」といいます。
前述した叢生が原因で下歯が前歯より前に出てしまう場合と下顎の骨が上顎より大きい場合があり正しい位置で噛み合わせられません。
歯が干渉し合って欠けてしまう・歯肉に刺さって歯肉退縮してしまう・顎を歪めてしまうなど、顔の印象に大きな影響を与えます。
印象を変えたいなら歯列矯正という選択肢も
「出っ歯」「叢生」「受け口」といった歯並びを見てきましたが、どれもフェイスラインを崩してしまうことが問題です。
横顔のシルエットが美しいイメージを与えるように整えるには、問題のある歯並びをまず改善しなければなりません。
歯列矯正を行えば、歯の位置や噛み合わせの位置を調整して唇の突出や顎関節の歪みをなくせます。
左右のバランスを整えて顎や上下の歯の位置をあるべき場所に納めるので、フェイスラインが劇的に改善するのです。
よく噛めるようになるため、栄養もきちんととれるようになり身体の内部から健全な表情を得られます。
歯並びが良いと話し言葉も明瞭になり会話を思う存分楽しめますし、歯磨きもしやすくなり虫歯や歯周病も予防が可能です。
悪い歯並びを改善する方法と費用
歯並びを改善するには歯列矯正がオススメです。それでは、具体的にどのような矯正方法があるのでしょうか。
ここでは代表的なアプローチである「ワイヤー矯正」「マウスピース矯正」「セラミック矯正」「インプラント矯正」の4つを考えます。
それぞれの矯正方法と費用について詳しくみていきましょう。
ワイヤー・ブラケット矯正
ワイヤー・ブラケット矯正法では、「ブラケット」と呼ばれる矯正器具を歯にとりつけ、そこにワイヤーを通して歯を移動させます。
矯正範囲は全ての歯列で、顎全体を動かしながら噛み合わせを正しく整えます。ブラケットを部分的に使った矯正も可能です。
この矯正治療法は治療期間が長く、矯正が終わった後も動いた歯列や顎を保定する調整期間が続き費用がかかります。
費用の目安は、歯の裏側にブラケットを付ける場合は約150万円、表側にブラケットを付ける場合は約100万円です。
費用と時間がかかりますが、歯科医師と常にカウンセリングしながら希望する歯並びやフェイスラインを作り上げる治療法になります。
マウスピース矯正
マウスピース矯正法では、「マウスピース」と呼ばれる矯正器具を歯に装着して矯正を行います。
矯正段階に応じてマウスピースを新しく作り、交換しながら徐々に歯を動かすという治療法です。透明で目立ちにくいところが魅力です。
また、食事の際や歯磨きのときに取り外すこともできるため、毎日の生活への影響が少なくて済みます。
マウスピースの主力ブランドには「キレイライン」と「インビザライン」とがあり特徴が異なっていますので注意しましょう。
キレイラインでは前歯12本を対象とした軽度の症例に対応しています。八重歯、出っ歯、すきっ歯や受け口などです。
インビザラインは全顎を対象とし抜歯が必要な重度の症例にも対応しています。歯型採取の際に矯正完了までの治療計画が決まります。
部分的な矯正や軽度の症例に対応したインビザラインの「ライトパッケージ」では14ステージ以内・7か月程で治療は完了です。
キレイラインの費用の目安ですが、初回2万円、2回目以降は4万円です。軽度で15万円、中度で20万円ほどになります。
インビザラインの場合はクリニックにより費用に幅があるため、直接クリニックにお問い合わせください。
症状にもよりますが、2年半ほどかかる治療なら100万円以内で収まると見積もっておきましょう。
セラミック矯正
セラミック矯正法では、「ラミネートベニア」を貼る・「クラウン」を被せる・「ブリッジ」で歯間を繋ぐことで歯並びを整えます。
2~3か月という短期間で歯並びが整うだけでなく、歯の色・形もそろい後戻りもありません。
オールセラミックを使用すれば、変色・変形などのトラブルも少なく長期間使用を続けられることもメリットです。
ただし、歯を削るため虫歯がある方や神経の処理が必要な方にはデメリットがあります。また複雑な噛み合わせの治療には向きません。
費用ですが素材により幅があります。クラウンを例にすると下記のようになります。
- オールセラミック:10~12万円
- ジルコニアセラミック:9~11万円
- フルジルコニア:6~8万円
- メタルボンド:8~14万円
- e-max:6~9万円
それぞれの素材に特徴があるため事前によく歯科医と相談しておきましょう。
インプラント矯正
インプラント矯正では、「アンカーインプラント」と呼ばれる小さなネジを歯茎の骨に固定し、それを支点として歯並びを整えます。
通常のワイヤー矯正では動かすことが難しい歯も動かすことができ、動かしたい歯だけを動かせる治療法です。
インプラント矯正は抜歯をすることなく出っ歯や受け口、叢生を比較的短い期間で治療することができます。
費用の目安ですがインプラント用のネジ1本で約5万円です。加えてワイヤー矯正の費用がかかります。
部分矯正なら前歯だけの治療ができる
第一印象に大きな影響を与える歯は、口を開けたときに見える前歯なので、前歯だけを部分矯正する方法もあります。
全顎矯正では費用も期間もかかりますが、部分矯正なら費用を抑えて短期間で歯並びを改善できることがメリットです。
部分矯正は装置を付ける歯数が少ないため違和感もそれほど強くありません。1年以内に治療を終えられることがほとんどです。
費用は15~50万円ほどなので気軽に前歯を矯正できるところが魅力ですよね。
ただし全顎矯正のように噛み合わせの調整はできないことに注意しておきましょう。
歯科矯正で歯並びを改善するメリット
顔の印象を左右する歯並びを整え、美しいフェイスラインを実現する歯科矯正のメリットは見た目だけではありません。
本来、歯科矯正とは審美的な歯並びの完成度にあるのではなく正しい噛み合わせを目標としているのです。
ですから顔の印象を良くする矯正は噛み合わせを改善し、さらに歯磨きがよくできるようになるため虫歯・歯周病を予防できます。
そのような歯科矯正のメリットについて理解を深めましょう。
噛み合わせが良くなる
歯科矯正では、歯の位置を正しい場所へ移動させるだけでなく、それによって上下の歯がきちんと噛み合うようにします。
叢生の場合を例にとれば、デコボコの歯並びが理想的な歯列に整い、顎関節の歪みが改善されてしっかり噛めるようになるのです。
噛み合わせが良いとフェイスラインがすっきりとまとまるため、キレイな歯並びがさらに美しく引き立ちます。
虫歯や歯周病のリスクを減らす
歯並びを改善すると歯ブラシがまんべんなく行き届くようになります。歯並びが悪く見落としがちだった部分がなくなるからです。
また、顎がうまく開けられないといった関節の不具合も良くなるため、口をいつも閉じていられるようになります。
口呼吸をやめて鼻呼吸ができるようになるため唾液が口内に留まり細菌が増えません。
このように歯科矯正は虫歯や歯周病のリスクを減らせるのです。
見た目のコンプレックスを解消できる
歯並びを矯正して正しい位置に並ぶようにするには時間もお金もかかりますが、顔つきが変わり第一印象が良くなります。
それまで手で隠していた歯並びを気にすることなく食べたり話したりできるようになるのです。
自分の見た目のコンプレックスが減り、外向的な生活を送れるようになるため精神面で大きなメリットがあります。
その清潔感のある歯並びや自信に満ちた印象が、相手に好感を抱かせ信頼を得るきっかけになるのです。
歯並びを改善して印象を変えたいなら
歯科矯正は歯並びを改善して印象を良くする方法であることをお話してきました。歯科矯正ができる歯科医へぜひご相談ください。
歯科矯正は大まかに下記のような流れになります。
- 初診
- 検査
- 治療方針の決定
- 矯正器具の取り付け
- 定期的な調整
- 矯正器具の取り外し
- 後戻りを防ぐ保定
- 治療終了
上記でご説明したように、矯正の種類によっては流れが変わる場合があるため、担当の歯科医の説明を詳しく聞きましょう。
矯正器具を外すその日まで忍耐が必要ですが、治療を終えて器具を外したときに鏡に映る自分との対面は特別な瞬間です。
そのときは必ずやってきます。がんばってください。
まとめ
歯並びで印象が変えられることを詳しく解説してきました。悪い歯並びを治せば印象を良くできることをご理解いただけたでしょうか。
歯科矯正の技術の発達により症例に合った治療方法が開発されています。歯を削らない・抜かない温存治療も可能になりました。
歯を効率よく的確に動かせること、そして短期間で治療できる技術の進歩によって必要なときに必要な部分を治療できるのです。
面接や式典などでは、そのときにベストな表情ができるように事前に矯正歯科医に相談してみましょう。
周囲に気づかれることなく矯正を終えることも可能です。お手入れのストレスも軽減してきています。
口元を気にせず話たり笑ったりできる自由と幸せを歯科矯正でぜひ実現してください。