【監修:青山健一】
目 次
歯並びが気になり、良くしたいと思っている方は多いのではないでしょうか。
そんな中、自力で治そうとする方もいらっしゃいます。しかし、歯はかなり丈夫かつ骨によって支えられているため、自分で治すのは難しいです。
今回は、歯並びを自力で治そうとすることのリスクや、歯並びを悪くする習慣について詳しく解説します。
悪い歯並びの治療法についても併せてみていきましょう。
矯正した方がよい歯並びの特徴
歯並びが悪いということは、噛み合わせが悪くお口の中のバランスが取れていないという恐れがあります。
また、歯磨きのしにくさや磨き残しなどによる虫歯や歯周病のリスクを高めるのです。
そのため、矯正した方がよいと判断される歯並びも少なくありません。
歯並びは見た目の印象を左右することがあるため、コンプレックスを感じている方は矯正を検討することもあります。
部分矯正なら前歯だけの矯正治療も可能ですので、コンプレックス解消を目的に治療する方もいらっしゃいます。
歯科矯正は、歯並びの悪さによって何らかのトラブルや悩みをもつ方におすすめの歯科治療です。
歯並びを自力で矯正することはできない
歯並びを治したいというときに、どうにかして自力で矯正できないかと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
歯科矯正は矯正装置をつかって歯を動かすため、「力を加える」ことで矯正できそうなイメージがあります。
実際のところ、力を加え続けることで歯を動かすことは可能です。
しかし、動かすことができたとしても歯列を整えられるとは限らず、それは矯正とはいえません。
つまり、自力で矯正することはできず、矯正したいのであれば専門の歯科医による治療が必要ということです。
歯並びを自力で治そうとするリスク
自力で矯正しようとするということは、何らかの力を加えて歯を動かすということです。
しかし、それには危険が伴いますので、まずは歯並びを自力で治そうとするリスク知っておくことをおすすめします。
ここでは、歯並びを自力で治そうとするとどのようなリスクがあるのか、3つのポイントから解説していきます。
歯並びが悪化する可能性がある
歯並びを自分で治そうとすると、反対に歯並びが悪化する可能性を否定できません。
歯科矯正というものは、専門の医師が検査をしたうえで治療方針を決定しています。
どこの歯をどれくらい動かす必要があるのか、噛み合わせはどうなっているかなど、矯正治療には様々な判断材料が必要です。
しかし、自己判断で歯を動かそうと力を加えることで、間違った方向に歯が傾き歯並びが悪化する可能性があります。
歯の寿命を短くしてしまう
歯並びを自力で治そうとすると、歯の寿命を短くしてしまうリスクがあります。
歯科矯正でも歯に力を加えますが、これは専用の矯正器具を用いた治療です。
そのため、歯や骨にダメージを与えないように注意しながら矯正していくことができます。
しかし、自力で歯を動かそうとすると、歯や骨に過度な負荷をかける可能性があるのです。
これによって歯や歯槽骨に大きなダメージを与えることも少なくありません。
歯が抜ける可能性がある
歯の寿命を短くしてしまうリスクと関連しますが、歯や歯槽骨へのダメージにより歯が抜けるリスクもあります。
歯に力を加えていくうちにグラグラしてきて、少しの衝撃でも抜けてしまう可能性は否定できません。
歯並びを良くするどころか、歯の欠損という状況に陥ってしまうのです。
ご自身の歯を大切にしたいのであれば、自力で矯正しようとせず医師に相談することをおすすめします。
歯並びを悪くする習慣
歯並びを自力で治すことは困難ですが、歯並びを悪くしないようにすることはできます。
日常生活の中で何気なく行っていることが、歯並びに影響を及ぼしていることも少なくありません。
ここでは歯並びを悪くする代表的な習慣を4つご紹介します。
頬杖をつく
頬杖をつくことは、歯並びを悪くする習慣の中でもよくいわれる原因の1つです。
何気なくやってしまう頬杖ですが、このとき顎の骨にはかなりの負荷がかかっていることをご存知でしょうか。
大人の頭は約5kgの重さがあり、頬杖をつくことでそれだけの重さが顎の骨にかかることになります。
上下の顎は歯を支える器のようなものですので、歯に与える影響も少なくありません。
歯並びを悪くするだけでなく、顎がズレたり噛み合わせが悪くなったりするリスクもあるので注意が必要です。
頬づえと同じく、うつぶせ寝や左右どちらかを向いて寝る癖も歯並びに影響を与える原因となります。
前歯を舌で押す
前歯を舌で押す習慣も、歯並びを悪くする原因となり得ます。
舌で前歯を押すということは、一方的に持続した力をかけるということです。
力を加え続けると、歯は少しずつ動ていきます。その行動が習慣になることで、歯並びを変えてしまうリスクがあるのです。
幼少期に指しゃぶりを長くしていたという場合も、出っ歯など前歯の歯並びに影響が出る可能性があります。
歯ぎしりや食いしばり
歯並びを悪くする習慣として、歯ぎしりや食いしばりもあげられます。
歯ぎしりや食いしばりは、歯に強い力を与え、それによって歯がすり減るリスクがあるのです。
これによって、前歯が横に倒れる形で歯並びに影響するリスクが生じます。
寝ている間の歯ぎしりや食いしばりは、自分ではなかなか気づけないものです。
もし歯ぎしりや食いしばりが習慣化しているとなると、口腔内のどこかに痛みを感じたり噛み合わせの悪さを実感することがあります。
その場合は、早めに歯科医院を受診して相談しましょう。早い段階で対処することで、歯並びへの影響を最小限にできる可能性があります。
口呼吸
口呼吸は歯並びが悪い結果起こるものでもあり、歯並びを悪くする原因にもなり得る習慣でもあります。
人間の舌は、本来上顎の前側に軽くあたるようになっています。
舌があたる場所をスポットポジションといいますが、ここが舌の先の定位置です。
軽くあたっている舌の先ですが、これによって上顎に適度な力が加わり、上顎の発達やアーチの形成に役立ちます。
口呼吸の習慣があると、スポットポジションにある舌が邪魔になり自然と低い位置に留まるようになります。
これによって、舌は前歯や下顎といった部分にあたり力を加えることになるでしょう。
口呼吸によって本来の舌の位置を保つことができず、アーチの形成に影響を及ぼします。
アーチの形成が不十分だと、歯列を整えるためのスペースが十分確保できず、叢生や出っ歯のような歯並びになるリスクがあるのです。
悪い歯並びの治療法の種類と費用
悪い歯並びを自力で治そうとすると、様々なリスクが伴い最悪の場合歯が抜けてしまいます。
歯並びを良くしたいのであれば、専門の医師に相談して治療を受けましょう。
ここでは悪い歯並びの治療法の種類と費用の目安について解説します。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯にブラケットという矯正装置を装着してそこにワイヤーを通す治療法です。
全体矯正の場合、全体的な口腔内のバランスを整えて噛み合わせを改善することができます。
すべての歯を対象にするため、歯並びの状態によって1~4年ほどかかり、費用も異なるのが特徴です。
全体矯正の費用は、矯正しやすい症例でも100万円以上、矯正の難易度が高い症例では150万円以上かかることがあります。
一方、前歯のみなど気になるところだけを矯正する部分矯正は、数か月~1年ほどと治療期間が短いのがポイントです。
費用は20万円台から可能な矯正歯科もあり、全体矯正よりも安く治療を受けることができます。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、ワイヤーを使わずマウスピースのみで矯正する方法です。
透明のマウスピースを装着するため、ワイヤーよりも目立ちません。
しかし、かなり細かな単位でマウスピースを調整しなければならず、1~2週間ごとに新しいマウスピースに交換します。
費用は全体矯正で80万円以上、部分矯正で50~60万円以上が目安です。
セラミック矯正
セラミック矯正は、ご自身の歯を削り、それを土台にしてセラミックの被せ物をする方法です。
セラミッククラウンという被せ物をするため、歯を動かすワイヤー矯正やマウスピース矯正よりも短期間で治療が完了します。
1本あたりの費用の相場は4~15万円で、使うセラミック素材の種類によって異なるのが特徴です。
歯並びの悪化を予防するには?
ここまでご紹介してきたように、すでに悪くなってしまった歯並びを自力で治すのは困難です。
力を加えていけば歯を動かすことはできますが、それにはリスクが伴うため決しておすすめできません。
しかし、日々の生活に注意することで歯並びの悪化を予防することはできます。
先ほど歯並びを悪くする習慣をご紹介しましたが、当てはまるものはないでしょうか。
なかなか気づきにくいことではありますが、もし当てはまるものがあればその習慣を避けるようにしましょう。
そうすれば、現在の状態よりもさらに歯並びを悪化させるのを防ぐことができます。
歯科矯正は信頼できる歯科医に相談しよう
悪い歯並びを治したいという方は、まず矯正歯科を扱う歯科医院を受診しましょう。
しかし、歯科医院が多くどこがいいのか迷う患者様も少なくありません。
特に歯科矯正は自由診療ですので、歯科医院によって費用が異なります。
そして、治療費が高ければいいという訳でも、安ければ不安という訳でもありません。
歯科矯正は高額かつ治療期間も長くなりますので、ご自身が信頼できる歯科医のもとで治療を受けられることが1番です。
不安なことや不明点を相談しやすく、治療の流れやリスクについてしっかり説明してくれる歯科医のもとで治療を受けてください。
まとめ
今回は悪い歯並びを自力で治すリスクについて解説しました。
持続的に歯に力を入れれば、歯を動かすことはできます。しかし、動いたからといって矯正できる訳ではありません。
自力で矯正しようとすると、さらに歯並びを悪くさせるだけでなく歯にダメージを与えるリスクがあるのです。
歯並びが気になるという方は、ご自身で治そうとせず専門の医師に相談することをおすすめします。
歯並びを自分の力で良くすることはできませんが、歯並びを悪くする習慣を避けることで悪化予防になります。
矯正治療を受ける方も、ぜひ習慣を見直して理想の歯並びを目指しましょう。