【監修:青山健一】
目 次
「歯並びを良くしたい」と思っている方は多いのではないでしょうか。
ガタガタ歯並びは、見た目だけでなく様々なリスクを引き起こす可能性があります。
しかし、普段何気なく行っている習慣が歯並びに影響を及ぼすことも少なくありません。
そこで今回は歯並びを良くする方法について詳しく解説していきます。
歯並びに影響する要因
歯並びがきれいな人もいれば、ガタガタ歯並びの人もいます。
なぜ人によって歯並びが違うのか、不思議に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
歯並びは骨格のような先天的な要因だけでなく、生活習慣のような後天的な要因で変わることも少なくありません。
ここでは、歯並びに影響する代表的な要因を4つご紹介します。
姿勢の悪さ
姿勢の悪さは歯並びに影響を与える可能性があります。
特に頬杖をつく習慣がある方は、長期間顎の骨に負荷をかけることになりかねません。
大人の頭の重さは約5kgあり、それだけの負荷がかかることで顎がズレるリスクがあるのです。
上下の顎は歯の受け皿の役割を果たしているため、顎がズレるということで歯並びにも影響を与えることになります。
他にも、猫背は歯並びを悪くする要因となるため注意しましょう。
背中を丸めた姿勢は肺が広がりにくく、たくさん酸素を取り入れようとして口呼吸になる可能性があるのです。
口呼吸は歯並びへの影響が大きいとされますが、こちらについてはこの後ご紹介します。
舌癖
歯並びに影響を及ぼす要因として、舌癖があげられます。
舌癖は、出っ歯の原因としてもよくいわれていることです。
舌で前歯を押す癖がこれにあたり、力を加え続けることで前歯が前突してしまいます。
少しの時間舌が歯に当たっているだけと思うかもしれませんが、習慣化することで歯が動いていくのです。
遺伝
歯並びは遺伝によるものも多く、その場合は骨格などの先天的要因が大きいといえます。
顎の骨は歯の受け皿になるものですが、受け皿が小さいと歯がきれいに並ぶためのスペースを確保することができません。
しかし、スペースの確保ができなくても、人間に生えてくる歯の本数は決まっています。
そのため、受け皿となる顎が小さい場合、きれいに整列できない状態でガタガタの歯並びになってしまうことがあるのです。
口呼吸
口呼吸も歯並びに影響する要因の1つです。
舌の先は上顎の前方に軽く当たる位置が定位置ですが、口呼吸になると舌が邪魔になってしまいます。
そのため、口呼吸をすると舌が本来よりも低い位置に向くことが多くなるのです。
定位置に舌の先が当たっている場合は、舌が歯を押すことはほとんどありません。
しかし、口呼吸によって舌の位置が変わることで、歯を前に押す習慣がついてしまうことがあるのです。
また、舌が上顎を軽く押すことでアーチの形成に役立ち、歯並びを良くするための土台を作ることができます。
きれいなアーチの形成ができなければ歯並びを悪くすることになりかねません。
このように、口呼吸は様々な理由から歯並びに影響を及ぼすリスクがあるのです。
歯並びをよくする方法
歯並びが気になり、歯並びを良くしたいと思っている方も多いのではないでしょうか。
ここでは歯並びを良くする方法について2つの視点から解説していきます。
矯正治療を受ける
歯並びを良くする方法としてあげられるのが、歯科医による矯正治療です。
歯並びをきれいにするための矯正治療には、以下のような種類があります。
- ワイヤー矯正:歯にブラケットを装着しワイヤーの力で歯を動かす方法
- マウスピース矯正:マウスピースを装着して歯を動かす方法
- セラミック矯正:歯を削ってセラミックの被せ物をする方法
- インプラント矯正:埋め込んだインプラントを支点にしてワイヤーで歯を動かす方法
それぞれの矯正方法にはメリット・デメリットがあり、適応する歯並びも異なります。
生活習慣を見直す
歯並びを良くするために、生活習慣を見直すことをおすすめします。
ここまでご紹介してきたように、何気なく行っているような習慣が歯並びに影響を及ぼすことも少なくありません。
歯並びに影響するような生活習慣がないか、振り返ってみてください。
もし当てはまるものがあれば、それを改善することでこれ以上歯並びが悪くなるのを防ぐことができます。
「これ以上歯並びが悪くなるのを防ぐ」とお伝えしましたが、生活習慣の見直しだけで歯列を整えることは難しいです。
生活習慣の見直しは、歯列を整えるためというより、歯並びを悪くしないためと捉えておいた方がいいでしょう。
また、歯科矯正を受ける場合は生活習慣を見直すことで治療がスムーズになるケースもあります。
矯正治療を受ける方も、ぜひ生活習慣を見直して歯並びをきれいにしましょう。
ガタガタ歯並びがきれいになるまでの流れ
ガタガタの歯並びをきれいにする方法として歯科矯正という選択肢があります。
歯並びが良くなるとはいっても、どのような流れで治療が進んでいくのか不安という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
歯科矯正でガタガタの歯並びを治療する場合、どのような流れで進めるのか解説します。
- 初診(カウンセリング)
- 検査
- 矯正
- 保定(ワイヤー矯正の場合)
- 定期検診
歯科矯正を受けたい、あるいは検討しているという方はまず矯正治療を行っている歯科医院を受診しましょう。
そこで、歯並びを含めお口の中の状態や噛み合わせ等の診察を受けます。
矯正治療を受けることが決まったら、次は治療計画をたてるための精密検査です。
治療の準備が整ったら歯科矯正に進みますが、治療方法によって流れが異なります。
例えばワイヤー矯正の場合は、ワイヤーで歯を動かした後、マウスピースで保定する期間が必要です。
持続的に力を加えることで歯は動いていきますが、力を加えるのをやめてしまうと歯は元に戻ろうとしてしまいます。
そのため、動かした歯が正しい位置に留まるように保定しなければなりません。
しかし、マウスピース矯正の場合は最初からマウスピースを装着するのが特徴です。
そしてどの矯正治療を選択したとしても、定期検診を受けて良い状態を維持できるようにすることをおすすめします。
ガタガタ歯並びを放置するリスク
歯並びが悪いことで、見た目へのコンプレックスを感じていらっしゃる方は少なくありません。
そしてガタガタ歯並びは、放っておくと見た目の印象だけでなく口腔内に様々な影響を及ぼずリスクがあります。
ここではガタガタ歯並びを放置することで、どのようなリスクが生じるのか解説していきます。
虫歯・歯周病のリスクが高くなる
ガタガタ歯並びを放置することで、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
歯並びが悪いと、歯と歯の間だけでなく表面の部分にも磨き残しが生じることも珍しくありません。
歯の表面であっても、歯と歯が重ねっていれば歯ブラシが届きにくくなるからです。
もちろん、歯が重なっている部分を意識してブラッシングしたり、歯間ブラシを使ったりする方もいらっしゃるでしょう。
しかし、それでも磨きにくく磨き残しが生じやすいのがガタガタ歯並びの辛いところです。
磨き残しがあれば虫歯のリスクが高くなりますし、歯肉に炎症が起こることもあります。
歯周病が悪化すると歯がグラグラしてくる可能性があるため、放置しないようにしましょう。
噛み合わせが悪くなる
ガタガタ歯並びは、噛み合わせが悪くなるリスクもあります。
そもそも歯並びがガタガタしているということは、お口の中のバランスが整っていない可能性があるのです。
ガタガタ歯並びの影響で他の歯に力が入り、いつの間にか歯がすり減ってしまうというリスクも生じます。
「以前は噛み合わせが気にならなかった」という場合でも、ガタガタ歯並びを放置しているうちに噛み合わせに影響が出ることもあり得るのです。
気をつけるべき生活習慣は?
ガタガタ歯並びを放置すると様々なリスクが生じますが、それを防ぐためには歯科矯正だけでなく生活習慣の見直しも必要です。
歯並びのために気をつけるべき生活習慣をチェックしていきましょう。
- 姿勢を整える
- 頬杖をつかない
- 舌で歯を押さないように意識する
- 鼻呼吸を意識する
- 固い物を食べる
先ほどご紹介したように、何気なく行っている生活習慣が歯並びを悪くすることがあります。
もし当てはまっていることがあれば、それをしないようにすることが大切です。
例えば口呼吸の方は鼻呼吸にすることで、歯並びを悪くする要因を減らすことができます。
また歯並びには噛む力も重要ですので、固い物を食べるようにして顎を鍛えるのもおすすめです。
矯正治療の適切なタイミングは?
ガタガタ歯並びを放置しないために、どのタイミングで矯正治療を受けるべきか悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは矯正治療の適切なタイミングを、子供と大人に分けてそれぞれご紹介します。
子供の場合
子供の矯正治療の適切なタイミングには2種類あります。
1つ目のタイミングは、永久歯が生え始めた頃から生えそろう頃までです。
だいたい6歳から12歳がこの時期にあたり、このタイミングでの矯正を矯正歯科では「1期治療」といいます。
1期治療は子供の顎の発達を助け、永久歯が正しい位置に生えるようにするのが目的です。
そして、2つ目のタイミングは、永久歯が生えそろった頃です。
12歳から高校生くらいまでが目安で、この時期の子供の歯科矯正を「2期治療」といいます。
2期治療は大人の矯正と同じように、永久歯の歯並びをきれいにすることが目的です。
大人の場合
大人の場合、矯正治療のタイミングはその人次第という部分が大きいです。
矯正治療を開始したら矯正器具を装着したり、定期的に通院したりする必要があります。
そのため、「矯正器具が目立つのは困る」というイベントが迫っている場合は、適切なタイミングとはいえません。
スケジュール的に通院が困難な時期も避けた方がいいでしょう。
これらのことを考慮して、ご自身が矯正したいと思えるタイミングが適切だといえます。
また、歯ぎしりや噛み合わせの悪さなど、お口のトラブルが生じたときも矯正治療を検討する時期の1つです。
お口のトラブルは何らかのSOSだと捉えて、歯科医に相談することをおすすめします。
歯並びが気になるなら専門の歯科医に相談
歯並びが気になると、それがコンプレックスになり表情に自信が持てなくなることがあります。
それだけでなく、虫歯や歯周病といったリスクも起こり得るのです。
ガタガタ歯並びは放置しないことが重要ですが、そのためにはまず専門の歯科医に相談することをおすすめします。
歯科矯正は歯科医の判断が必要になりますので、まずは相談してどういった方法があるのか聞いてみましょう。
あなた自身が安心して治療を受けられるよう、不安や不明点に対してしっかりと説明してくれる歯科医を選択してください。
まとめ
今回は、歯並びを良くする方法について解説しました。
ガタガタ歯並びを良くするには、歯科矯正と生活習慣の見直しという方法があります。
しかし、生活習慣の見直しによってこれ以上歯並びを悪くしないことはできても、ガタガタになってしまった歯並びを治すのは難しいです。
そのため、歯並びを気にされている場合は歯科矯正を視野に入れて専門の歯科医に相談することをおすすめします。
虫歯や歯周病のリスク、そして噛み合わせが悪くなるリスクがあるため、ガタガタ歯並びは放置しないようにしましょう。