歯の隙間を自分で埋めようとするのは危険|歯の隙間を埋める正しい処置を歯科医が解説します

【監修:青山健一】

歯の隙間を自分で埋めようとするのは危険|歯の隙間を埋める正しい処置を歯科医が解説します

歯と歯の間に隙間ができる「すきっ歯」は、歯の生え変わりの時期にある小児によくみられ、歯が生え変わる際に一時的に隙間ができることもあれば、舌で歯を押してしまうなどの癖や先天性の異常などによっても引き起こされます。

インターネット上では、自分で歯の隙間を埋める方法などが紹介されていたりしますが、歯や歯茎を傷めるなど危険が伴うことを知らない人も多くいます。
では、自分で歯の隙間を埋める方法がなぜ歯と歯茎を傷めてしまう結果につながってしまうのか。その理由について解説します。

歯の隙間に悩む人は多い

歯の隙間に悩む人は多い

隙間の多い歯並びのことを正式な呼称では「空隙歯列」とか「歯間離開」といいます。一般的には「すきっ歯」と呼ばれ、歯と歯の間に隙間ができていることに悩む人は少なくありません。
特に、すきっ歯による見た目の印象悪化がコンプレックスとなり、他人の前で思い切り笑えないと悩むケースも多くみられます。

歯と歯の間に隙間ができてしまう原因は後ほど詳述しますが、顎に対する歯の大きさの割合や、歯の本数、舌や唇によって無意識に歯を押してしまう癖に伴うものなど、さまざまな原因が指摘されています。
また、すきっ歯になってしまうと歯と歯の間から空気が漏れて発音が悪くなるほか、さらなる歯並びの悪化を招くことで噛み合わせが悪くなることも知られています。

噛み合わせが悪いと、口腔内だけでなく頭痛や肩こりなど多方面に悪影響を及ぼしますし、虫歯をはじめ歯周病にもかかりやすくなります。

歯の隙間を自分で埋めるのは可能?

「すきっ歯は輪ゴムを使って自力で治せる!」といったような情報がインターネット上で散見されます。
これは海外の動画投稿サイトから拡散したものといわれており、本当に治せるかどうかの真偽はともかく、自力ですきっ歯を治療したと主張する人が存在することは事実です。

しかし結論からいえば、自分で隙間を埋める治療をしたとしても、思い描いたような結果にはならない可能性の方が大です。
実際、多くの専門家が自力での輪ゴム矯正に異を唱えていますし、輪ゴムによって歯周病になりやすくなるほか、感染症のリスクも高くなるとして警鐘を鳴らしています

すきっ歯を改善してコンプレックスを解消するはずが、逆に思わぬアクシデントで危険を招いてしまっては本末転倒でしかありません。
実際に自分ですきっ歯を治したと主張する情報があったとしても、決して簡単に信じてしまうことのないよう注意してください。

歯の隙間を自分で埋めようとするリスク

では、すきっ歯による歯の隙間を自分で埋めようとするとどのようなリスクがあるのか、具体的にご説明していきます。

歯並びの悪化

すきっ歯の治療は隙間を埋めるために矯正する必要がありますが、自分で無理やり歯の隙間を埋めようとするとさらなる歯並びの悪化を招きかねません。
すきっ歯を含め、歯並びの矯正は専門の知識と技術をもった歯科医師のもとで診断を受け、適切な治療を受けることでしか完治させることはできません。

歯の寿命を縮める

自分で歯の隙間を埋めるために輪ゴムなどを用いて矯正しようとしても、さまざまな面で歯に悪影響を及ぼします。
まず、輪ゴムが歯茎に食い込むなどして歯周病の原因になり得るほか、ゴムが貼り付くことで感染症のリスクが高くなるため安全面で保証できません。

いうまでもなく、口腔内の感染症や歯周病は歯の寿命を縮めてしまう要因になることはよく知られています。

歯茎や神経への影響

歯茎や神経への影響

自分で歯の隙間を埋めようとすると、どうしても短期間で矯正しようとしてしまうものです。しかし、それはとても危険度の高い方法です。
短い期間で歯の隙間を埋めようとして無理やり歯を動かしてしまうと、歯の神経が損傷してしまう危険性が指摘されています。

また、先述したように歯茎への負担も非常に大きくなるため、口腔環境の著しい悪化を引き起こすことにつながります。

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歯と歯の間に隙間ができる原因

歯と歯の間に隙間ができる原因

先にも少し触れましたが、歯と歯の間に隙間ができてしまう「すきっ歯」の原因はさまざまです。ここでは、すきっ歯になる主な原因についてご紹介します。

歯と顎の大きさのバランス

顎と歯の大きさのバランスが悪いことによって歯と歯の間に隙間ができ、すきっ歯になってしまうことがあります。
歯が小さすぎる、いわゆる矮小歯ですきっ歯になってしまうほか、歯の大きさこそ通常なであっても顎が大きすぎることによってすきっ歯になってしまうケースもあるのです。

矮小歯によってすきっ歯になった場合、左右の両方の歯だけでなく、片方だけ隙間ができてしまうことがありますし、顎が大きすぎる場合は、複数個所に渡って隙間が発生していることが多くみられます。

もともとの歯の本数

もともとの歯の本数が通常よりも多かったり、逆に少なかったりする場合でも、すきっ歯になってしまう原因のもとになります。
主なケースとしては、通常の歯以外に余分な歯が骨に埋まっている過剰歯、乳歯からの生え変わりのタイミングで永久歯が生えてこない先天性欠如、産まれた時点ですでに歯の本数が足りない「先天性欠損」などが挙げられます。

過剰歯は、前歯の間に余分な歯が埋まっていることで隙間が埋まりにくくなることが知られていますし、先天性の欠如や欠損の場合は本来あるべき場所に歯がないことによって、成長過程で隙間が埋まらなくなります。

舌癖

舌癖は、文字どおり舌先による癖の悪さによってすきっ歯が生じてしまうことです。多くの場合、歯を舌で押してしまうことが原因です。
舌癖は無意識に歯を押してしまうこともあるため、癖が改善されなければすきっ歯を治療しても再発してしまう可能性があります。

さらに、下唇を噛む癖があると、上の前歯が外に押し出されてすきっ歯になりやすくなり、
こうした特徴を口唇癖と呼びます。

歯の隙間を埋めるための治療方法

歯の隙間を埋めるための治療方法

すきっ歯のままでは虫歯や歯周病のリスクが高まりますし、口元の見た目にも影響を及ぼしてしまいますので、早期に改善したいと考えている方もいらっしゃるはずです。
すきっ歯を改善するには歯科医師による治療が必須ですが、治療には下記のような複数の方法があります。

歯列矯正

歯列矯正

歯列矯正によるすきっ歯の治療は、一般的に知られているようなワイヤーやマウスピースを用いた治療方法です。
すきっ歯が歯の複数個所に及んでいる場合でも、同時に治療していくことのできる点が利点ですが、矯正器具が目立つ点や矯正費用が高額になる点などがデメリットです。

ダイレクトボンディング

ダイレクトボンディングは、レジンなどを使用してつけ歯のように歯を継ぎ足し、隙間を埋めて綺麗な見た目に改善する方法です。
歯を継ぎ足す方法なので歯そのものを削る必要もなく、治療も一回のみで終るのがメリットですし、再治療も用意です。

ただし、もとの歯の色にあわせるため治療後はホワイトニングができないことや、治療部分が欠ける場合があるなどのデメリットもあります。

ラミネートべニア

ラミネートベニアは、歯の表面を薄く削ってセラミックでできたベニアを貼る治療方法です。
セラミックなので金属アレルギーでも心配がないほか、治療時にも痛みがほとんどなく短期間で完結するのがメリットですが、もとの歯がねじれていたり傾いて生えているケースには不向きです。

セラミック矯正

セラミック矯正は、もとの歯の周囲を削って土台を作り、その上にセラミックのクラウンを被せる方法で、セラミック・クラウン法と呼ばれます。
虫歯治療と同様に歯を大きく削る必要がありますし、セラミックの被せもののため費用も高額になりますが、歯列矯正に比べると治療期間も短く済むのがメリットです。

歯の隙間を歯列矯正で埋めるなら

歯の隙間を歯列矯正で埋めるなら

すきっ歯を歯列矯正で治療するのであれば歯列とともに噛み合わせなども考慮しつつ、部分矯正と全体矯正の二種類から選択することになります。
これらは通常の歯列矯正でも使用されるワイヤー・ブラケット矯正やマウスピース矯正のことで、矯正治療としては非常にメジャーな方法です。

部分矯正

部分矯正

部分矯正では、歯列の一部だけにワイヤーやマウスピースなどの矯正器具を用いる方法で、あくまでも気になる部分だけの隙間を埋めたい人におすすめです。
ワイヤー矯正では歯の表側と裏側のいずれかにブラケットを取り付けて矯正治療を行います。

一方、ワイヤー矯正と異なりマウスピースは全体矯正向けだと思われがちですが、部分矯正にも広く使用されています。

全体矯正

全体矯正

全体矯正は、ワイヤーやマウスピースですべての歯を矯正する方法で、見た目だけでなく噛み合わせまで改善できるのが特長です。
全体矯正の種類も部分矯正と同様にブラケットを歯の表か裏に装着する方法か、マウスピースによる矯正を選択できます。

歯の隙間に悩んだら歯科医に相談しよう

歯の隙間に悩んだら歯科医に相談しよう

歯と歯の間に隙間ができるすきっ歯は放置していても治ることはありませんし、ましてや自分で隙間を埋める行為は危険を伴いますので絶対に避けましょう。
すきっ歯で悩んだらまずは歯の専門家である歯科医に相談し、その上で適切なアドバイスと治療を受けるのが望ましい方法です。

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まとめ

まとめ

ネット上には、輪ゴムを使って自分で歯の隙間を埋める方法などが紹介されていたりしますが、そうした間違った情報を鵜呑みにしない冷静な判断が必要です。
たしかに、「すきっ歯を自分で治した」と聞くとその情報を信じたくなる気持ちも分かります。

しかし、自分で隙間を埋める行為によってもたらされるリスクの方が遥かに高いのもまた事実です。
自己流の誤った治療によって後悔してしまう結果にならないよう、十分な注意が必要です。
不安なら迷わず歯科医に相談しましょう。




監修者:銀座青山You矯正歯科グループ 理事長・総院長 青山健一

理事長・総院長 青山健一 1965年 広島県呉市生まれ
1990年 広島大学歯学部卒業
1992年 南青山デンタルクリニック開院
2001年 医療法人社団 健青会 設立
2011年 日本で初めての「部分矯正専門医院」のYou矯正歯科を開設
2021年 You矯正歯科 池袋西口医院開設
2021年 You矯正歯科 広島紙屋町医院開設(銀座、青山等で9医院開院中)
▼総院長ブログ「幸せってなぁに?」もご覧ください。

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