【監修:青山健一】
目 次
インプラントで後悔した経験があるという方も少なからずいらっしゃいます。
これからインプラント治療を検討する方にとって、後悔や失敗という話は不安を抱かせてしまうのではないでしょうか。
「歯」は身体の一部であり、長く付き合うものだからこそ後悔しないためにどうすべきか知りたい方は多いでしょう。
今回は、インプラント治療で後悔する理由に着目しながら、後悔しないための方法や費用についても詳しくご紹介します。
インプラント治療で後悔しないためには
インターネットが普及した現代では、様々な治療方法について成功例や失敗例を知ることができるようになりました。
また、治療に関する口コミもたくさん見かけるようになり、患者様自身の生の声が反映されます。
インプラント治療の成功例を見ると興味がわく一方で、失敗した・後悔しているといった意見は不安を助長してしまいます。
しかしながら、インプラント治療で失敗した・後悔したという方がいるのも事実です。
そこで、これからインプラント治療を検討する方には、なぜ失敗することがあるのか・後悔してしまうのかを知っておいていただきたいです。
それらを知ったうえで、あなた自身が納得できる歯科医院でインプラント治療を受けてください。
インプラントの治療方法と費用
インプラント治療は、歯が欠損した部分にインプラントを埋め込み、被せ物をするという方法です。
上下の顎には、歯の根っこを支える「歯槽骨」という骨があります。歯は歯茎に埋まっているのではなく、この顎の骨によって固定されているのです。
インプラント治療では、手術によってこの骨にインプラントを埋め込み歯根の変わりとします。
気になる費用ですが、インプラント治療は入れ歯やブリッジと異なり自由診療です。
そのため、歯科医院によって費用が大きく異なる可能性があります。
使用するインプラントや被せ物によっても変動しますが、1本あたりの治療費の相場は15~40万円程度が目安です。
もし埋め込むための骨が足りない場合は、造骨(骨を増やす処置)が必要になり、治療費も高くなるので注意してください。
インプラント治療で後悔するケースと原因
インプラントで後悔したくないとお考えであれば、どのような失敗ケースがあるのか知っておくことをおすすめします。
ここでは、インプラント治療で後悔することの多い3つのケースと、その原因について解説します。
手術の失敗
インプラント治療は手術によってインプラントを埋め込むため、手術の失敗というケースもあります。
- インプラントを埋め込む深さが足りなかった
- インプラントの位置が適切でなかった
- インプラントがしっかりと骨に固定されていなかった
- ドリルによる骨へのダメージが大きかった
インプラント治療の失敗で起こり得るのが、インプラントがしっかり固定されないことや、被せ物との結合が上手くいかないことです。
これらは埋め込みの問題が原因であることが多く、手術の際の失敗です。
歯科医選択の失敗
インプラント治療で後悔する理由として、歯科医の選択の失敗があげられます。
- 治療の説明が不十分だった
- 歯周病治療を行わないまま手術を行った
- 質問しにくい歯科医院でコミュニケーション不足だった
歯科医は歯を削ったり歯科矯正をしたりと、患者様の歯に直接影響を与える仕事です。
その歯科医が持つ技術はもちろんのこと、歯科医と患者様との関係性も重要といえます。
インプラント治療にはいくつかのリスクが伴いますが、それを説明しないままメリットだけを伝えるとトラブルになることがあるのです。
また、手術のときの感染リスクや術後の経過のためにも、術前に口腔内の環境を整えておかなければなりません。
歯科医院で虫歯や歯周病の治療を行ってからインプラント治療を開始し、患者様にも協力してもらう必要があります。
つまり、説明やコミュニケーションを十分しないまま治療を進めるのは危険ということです。
術後の失敗
手術中に明らかなトラブルがなかったとしても、術後に何らかのトラブルが生じる場合もあります。
例えば、以下のような問題が起こり得るのです。
- インプラント周囲炎
- 術後の痛みが続く
- 人工歯の破損や脱落
手術中は問題がなかったけれど、術後の痛みや腫れが酷い場合、インプラント周囲炎を起こしている可能性があります。
原因として考えられるのは、手術前にクリーニング等のケアをしていないこと、手術室や器具の衛生状態です。
手術に使う器具によって細菌感染を起こすリスクがありますので、しっかりとした衛生管理が必要不可欠です。
また、人工歯が破損したり外れてしまったりというトラブルもあります。
この場合原因はインプラントの埋め込みに問題があることが多く、手術の失敗の可能性も否定できません。
インプラントのメリット
インプラント治療の失敗例についてご紹介しましたが、失敗例を知ると不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、失敗が多いという訳ではなく、インプラントには様々なメリットがあります。
しっかり噛める
インプラントのメリットは、ご自身の歯と同じような噛む力を得られることです。
歯の欠損を補う方法として入れ歯やブリッジもありますが、これらは本来の歯と比較して噛む力が劣ります。
その反面、インプラントはしっかり噛むことができ、食べる楽しさを実感できるでしょう。
長期間保てる
インプラントには、長期間保てるというメリットもあります。
ご自身の歯と同様にケアをしたり、クリーニングをしたりすることで、長期間良い状態を保つことができるのです。
インプラントの注意点
インプラント治療を受けるにあたり、知っておいてほしい注意点があります。
注意点を知ったうえで治療を検討することで、インプラント治療に対する後悔を避けることができるでしょう。
費用が高額
先ほどインプラント治療の費用の目安をご紹介しましたが、費用が高額になることを押さえておいてください。
自由診療である限り、歯科医院によって費用も異なります。
他の治療方法と比較して高額になりますが、インプラント治療にはメリットも多いためどこに重点を置くかが大切です。
手術にはリスクが伴う
インプラント治療には手術が必要ですが、手術自体にリスクが伴うことに注意しましょう。
例えば、顎の骨へのダメージや手術時の感染といったリスクです。また、インプラントが神経を圧迫して痛みや痺れが出るリスクもあります。
手術のリスクを理解し、分からないことや不安な点は医師に相談することが重要です。
リスクを回避するために歯科医院がどのような対策をしているのか、また患者様自身がどのようなことができるのか確認することをおすすめします。
術後のケアを怠らない
先ほど手術時のリスクについてご紹介しましたが、術後のケアもインプラント治療では必要不可欠です。
インプラントだから虫歯にならないと過信してしまう方もいらっしゃいますが、ケアを怠ると歯周病のリスクがあります。
特に術後はインプラント周囲炎を起こしやすいので、医師の指示に従ってしっかりとケアをすることが大切です。
インプラント治療が完了してからも、定期的に通院してクリーニングなどのメンテナンスを行うことをおすすめします。
インプラント失敗後の対処法
万が一、インプラントで失敗したときにどうすればいいのか知っておきたい方もいらっしゃるでしょう。
ここでは、インプラント失敗後の対処法をご紹介します。
セカンドオピニオン
インプラント治療後に何らかのトラブルが生じたら、まずは治療を受けた歯科医院を受診しましょう。
経過が分かっているので、その後の対応がしやすいからです。病院側の問題による失敗であれば、無償でやり直しができる場合もあります。
しかし、そのときの対応に納得できずトラブルになることも少なくありません。
もしも納得のいく説明や対応をしてもらえないと感じたら、セカンドオピニオンを受けることをおすすめします。
治療を受けた歯科医院とは別の病院に、セカンドオピニオンを依頼しましょう。
実績のある歯科医院なら、やり直しや調整など何らかの対策が見つかる可能性があります。
大学病院やインプラント治療に失敗した症例の対応実績があるところがおすすめです。
専門機関への相談
インプラント治療で失敗したら、専門機関に相談するという方法もあります。
特に治療を受けた歯科医院でしっかりとした対応をしてもらえない場合は、専門機関への相談を検討しましょう。
インプラント治療の失敗について相談できる専門機関はこちらです。
- 日本歯科医師会
- 国民生活センター(消費者センター)
- 弁護士
歯科医院の多くは日本歯科医師会に加入していますので、対応に問題があればこちらに相談しましょう。
治療を受けた歯科医院が日本歯科医師会に加入していないようなら、国民生活センターへの相談という方法があります。
場合によっては弁護士に相談して訴訟を起こすという方法もありますが、これには患者様自身の負担も大きくなります。
弁護士への相談は最終手段にし、まずは失敗したインプラントの対処を優先させてください。
きちんと説明してくれる医師を選ぶ
インプラント治療は高額ですし、手術という大掛かりな治療が必要です。
そのため、失敗したらどうしようと悩む方も少なくありません。
万が一失敗したときにには、セカンドオピニオンや専門機関への相談といった対処法があります。
しかし、できることなら後悔しないように安心できる医師の手で治療を受けたいでしょう。
インプラント治療で後悔しないためには、メリットだけでなくデメリットやリスクをきちんと説明してくれる医師を選ぶことをおすすめします。
あなたの希望や不安に耳を傾け、納得のいく説明をしてくれる医師を選びましょう。
まとめ
今回は、インプラント治療で後悔しないために知っておいていただきたいことを解説しました。
インプラント治療を行えば、ご自身の歯と同じ力で噛むことができ、長期間の維持も可能です。
しかし、インプラントを埋め込むための手術が必要ですし、トラブルによって後悔される方もいらっしゃいます。
インプラント治療で後悔しないためには、相談しやすい医師のもとで、しっかりと説明を受け納得したうえで治療を受けることが大切です。
歯は長期間付き合うものですので、後悔しない選択をしてください。