【監修:青山健一】
目 次
口元は第1印象を左右するため、歯並びが悪い場合は矯正治療が効果的です。しかし、インプラント歯があると矯正治療できるのか?と悩みを抱えている方も多いと思います。
インプラント歯があっても、矯正治療を進めることは可能です。ですが、インプラントの本数や場所によって治療方法が制限される場合もあります。
今回は、インプラント歯があっても矯正治療したい方に、インプラント治療とインプラント矯正の違いやインプラントと矯正治療の関係を解説します。
インプラント歯があると矯正できないのか悩む人は多い?
矯正治療は自然の歯を矯正する治療のため、インプラント歯があると矯正治療ができないのかと悩む人は多いです。
不安や疑問を抱えたままだと、矯正治療に踏み込めず治療の断念に繋がってしまいます。インプラント歯があるからといって、矯正治療を諦めないでください。
インプラント歯と矯正治療の関係を知れば、一歩踏み出せます。
「インプラント歯があるけど、歯並びも治したい」と悩む方のために、インプラント歯がある場合の矯正治療を解説します。
インプラント治療の概要
歯科のインプラント治療は、歯を失ったときに人工の歯を顎の骨に埋め込む治療方法です。埋め込む人工の歯には、チタンやチタン合金が使用されています。
治療期間は、歯の状態により異なりますが4ヶ月~半年ほどです。また、保険がきかないため、他の治療に比べて医療費がかかります。
また、インプラント治療は外科手術と扱いが同様で、カウンセリング・治療前の検査・治療計画などの準備が必要です。
残りの歯への負担が少なく天然の歯と同じように機能するため、利便性が高い治療方法です。
インプラント治療の特徴
インプラント治療は健康な歯を削らずに治療でき、しっかり固定できるため、失った歯だけでなく歯の根の機能が回復できます。
インプラントは、人工歯根・土台・人工歯の3つでできていて、チタンやチタン合金でできているため強度があります。定期的なメンテナンスを行えば長持ちさせることも可能です。
また、自然の歯と変わらず見た目も綺麗なため、会話や食事のとき周りの目が気になりません。
インプラント治療は、治療期間が長く治療費が高額というデメリットはありますが、それ以上のメリットがある治療方法です。
治療の目的
インプラント治療は、主に下記のように失った歯を補う治療方法です。
- 虫歯が進み抜歯した
- 事故で歯を失った
- 歯槽膿漏で歯を失った
- 先天的に歯がない
歯を失った場合、インプラント治療の他にブリッジや入れ歯などの治療方法がありますが、残っている歯に引っ掛けたり削ったりするため、大きな負担を与えます。
ですが、インプラント治療は残っている健康な歯にかかる負担が少ないため、入れ歯やブリッジに比べて人気の治療方法です。
インプラント治療は1本から受けられますが、誰でも受けられる治療方法ではありません。下記の場合は治療前に歯科医に相談してください。
- インプラントを埋め込む場所の骨が弱い
- 高血圧症・心疾患・喘息・骨粗相症・糖尿病・歯周病
インプラント治療は麻酔をしての手術になるため、基礎疾患がある方は注意が必要です。
被せ物の種類
インプラントの主な被せ物の種類を紹介します。
・ジルコニアセラミック
ジルコニアセラミックは、変色がほとんどなく自然な歯のような色合いです。また、人工ダイヤモンドであるジルコニアの芯にセラミックを被せているため、強度があります。
1歯あたりの費用が高額なため、治療費の負担が大きいです。
・オールセラミック
オールセラミックは、全てセラミックでできている被せ物です。艶があり変色しづらいですが、割れやすく費用がやや高めなのがデメリットです。
・ハイブリッドセラミック
ハイブリッドセラミックは、セラミックとプラスチックレジンを混合させた被せ物です。費用は比較的安価で変色しにくく柔軟性があります。
ですが、年数が経つと劣化し変色・耐久性が低下します。
・メタルボンド
メタルボンドは、表面にセラミックを焼き付けた被せ物です。金属製のため、装着しやすく強度はありますが、透明感や色調・審美性が劣ります。
また、劣化すると金属が溶けて歯茎が黒ずむ場合があります。
・ゴールド
ゴールドは、歯に馴染みやすく長持ちするため機能面に優れた被せ物です。ですが、金色のため前歯などには使用しにくいです。
・オーバーデンチャー
オーバーデンチャーは、複数本のインプラントを埋め込んで総入れ歯を安定させる方法です。インプラントと入れ歯を繋ぐため、痛みが少なく外れる心配がありません。
インプラント治療とインプラント矯正は別物?
インプラント治療とインプラント矯正は、名前は似ていますが異なる治療方法です。
- インプラント治療:失った歯を補う治療
- インプラント矯正:歯列を矯正するための治療
インプラント矯正は、インプラント治療に比べて手術が簡単です。また、トラブルが少なく大きな治療効果が得られます。
インプラント矯正とは
インプラント矯正は、歯列を矯正する治療方法です。矯正用の「アンカースクリュー」と呼ばれる小さなネジを歯茎に埋め込み、歯を移動させるときの固定源に用います。
アンカースクリューがしっかりと固定されているため、治療期間が短く動かしづらかった歯の移動も可能になりました。
インプラント矯正は、埋め込みが甘いとアンカースクリューが外れてしまう・歯茎が腫れるなどのデメリットはありますが、しっかりと治療を行えば回避できます。
痛みが少ない・治療の幅が広い・治療期間が短いなど、メリットが多いため人気の矯正方法です。
矯正後にアンカースクリューを抜く
インプラント矯正は、治療が完了したらアンカースクリューを抜きます。抜くときの痛さが気になる方もいると思いますが、麻酔しなくても抜けるため痛みは心配ありません。
また、アンカースクリューを抜いた穴は、翌日には元に戻ります。奥の骨に空いた穴も数ヶ月で元に戻り、穴から食べ物やバイ菌が入り込むこともありません。
治療目的が異なる
インプラント治療とインプラント矯正は、治療目的が異なります。そのため、治療に使用する器具や方法も全く違います。
名前が似ているため混乱しがちですが、インプラント治療は失った歯を補う治療・インプラント矯正は歯列を矯正する治療と覚えておきましょう。
インプラント歯があって矯正治療を検討している方は、下記のリンクから無料相談をご利用ください。
インプラント歯があっても歯列矯正はできる
インプラント歯があっても、ブラケットやマウスピースの歯列矯正は可能です。インプラント歯がある場合、どのように歯列矯正を行うのか解説します。
インプラント歯を固定源にする
インプラント治療をしていると、歯列矯正ができないわけではありません。インプラント歯がある場合、インプラント歯を固定源に歯列矯正を行えます。
インプラント歯はインプラントが骨と結合しているため動きません。ですが、しっかり固定されているため矯正治療に向いています。
歯列の状態によっては、先にインプラントを入れて矯正する場合もあります。
治療方法は本数や場所による
歯列矯正には、ワイヤー矯正とマウスピース矯正があります。インプラント歯がある場合の歯列矯正は、インプラントの本数や場所によって治療方法が異なります。
また、治療方法は歯並びの状態・矯正したい場所にもよって違うため、精密な検査が必要です。
インプラント歯があって矯正治療が不安な方は、下記のリンクから無料相談をご利用ください。
インプラント歯がある場合の注意点
インプラント歯がある場合の矯正治療は、注意が必要です。事前に注意点を知り矯正治療を行いましょう。
インプラント歯がある場合の2つの注意点を解説します。
インプラント歯は動かせない
矯正治療はあくまで自然の歯を動かす治療です。インプラント歯は、顎の骨に人工歯根を埋め込んでいるため、歯根膜がありません。
歯根膜は、歯根を覆っている膜ですが、矯正治療で大きな役割を果たします。そのため、歯根膜がないインプラント歯は、天然の歯のように矯正治療では動かせないのです。
治療方法が限定されることも
インプラント歯がある場合、治療方法が限定されることもあります。矯正治療の主な種類は、ワイヤー矯正・マウスピース矯正の2種類です。
ワイヤー矯正は、ブラケットという矯正装置をワイヤーで繋いで歯に装着し、歯を移動させ歯列矯正を行います。
ワイヤー矯正には、アンカースクリューを用いたインプラント矯正もあります。ワイヤー矯正では動かせない歯も、インプラント矯正では動かすことが可能です。
マウスピース矯正・インビザラインは、透明なマウスピースを歯に装着し歯の移動に伴いマウスピースを交換しながら歯列矯正を行います。
インプラント歯があってもワイヤー矯正は行えますが、インプラントの本数が多いとマウスピース矯正ができない場合もあります。
インプラント歯があると治療方法が限定されることもあるため、自分の歯の状態を歯科医に相談ししっかり計画を立てて矯正治療を行ってください。
矯正治療の影響でインプラント治療をやり直すことは?
矯正治療の影響でインプラント治療をやり直すことは、ほとんどありません。歯科医は、インプラント歯があるのを前提に治療計画を立てます。
インプラントが矯正部分を邪魔していると、うまく矯正治療を進められない場合があります。その場合、今後どう治療を進めるか歯科医との相談が必要です。
ですが、歯科医は丁寧に状況の説明・治療計画を提示し、同意を得た上で治療を進めてくれるため安心してください。
また、矯正治療後の噛み合わせのズレをなくすため、インプラントの上部(人工の歯)だけを作り直す場合があります。
噛み合わが悪いと、歯への負担だけでなく肩こりや頭痛などを引き起こします。費用はかかりますが、身体への影響を考えると上部の再製がおすすめです。
インプラント治療をはじめからやり直すことはありませんが、場合によってはインプラント上部を作り直す場合があることを念頭に入れておいてください。
インプラント歯があるため矯正できないと悩んだら
インプラント歯があると、矯正治療できるのか悩んでいる方が多いと思います。ですが、インプラント歯があっても矯正治療は可能です。
悩んでいる方は、まずは歯科医へ相談しましょう。インプラント歯の本数や場所によって、治療方法が異なるため精密な検査が必要です。
歯科医は検査を行った上で、矯正方法・矯正する場所を決め治療計画を立てるため、安心して矯正治療を行えます。
インプラント歯があるからといって矯正治療を諦めず、歯科医へ相談し矯正治療を行いましょう。
まとめ
インプラント歯があると矯正治療できないのか解説してきました。インプラント歯があっても矯正治療はできるため、諦めずに歯科医へ相談しましょう。
矯正治療は、自然の歯を動かす治療方法のため、インプラント歯があるとインプラントの本数や入っている場所など詳しい検査が必要です。
ですが、精密な検査をした上で治療計画を立ててくれるため、安心して矯正治療を始められます。
矯正治療に関しての不安は、歯科医への相談で払拭できます。小さな不安でも歯科医へ相談し、安心できる環境で矯正治療を行ってください。