【監修:青山健一】
目 次
歯並びを直したいと考えているけれど、表側にワイヤーを装着する歯科矯正器具の見た目が気になるという人は多いことでしょう。
そうした悩みを解決した、目立たない矯正器具が「インビザライン矯正」です。
そこで今回はインビザライン矯正の費用相場やメリットなどを解説します。
歯科矯正を思案中の方も、是非とも参考にしてください。
インビザライン矯正の特徴
インビザライン矯正は、マウスピースを付けて矯正する方法の1つです。
透明なマウスピースを装着して歯列矯正を行うため、ワイヤー矯正にように目立つことなく矯正できます。
マウスピースを付け替えながら少しずつ歯列を整えていくため、基本的には治療計画に合わせて自分で付け替えることも特徴です。
平均的な治療期間
大人になってからの歯科矯正を考える場合、子供に比べてある程度治療期間は長くなる傾向にあります。
ワイヤー矯正が概ね3年ほど治療にかかるのに対し、インビザライン矯正も1年~3年程度とみられ、さほど期間に違いはありません。
ただし、ワイヤー矯正は、医師の経験と技術の良し悪しによって治療期間に相当な幅が出てしまう可能性があります。
一方インビザライン矯正は治療前に歯の状態がどのように変化していくのかをシミュレーションを行ってから治療を行います。
そのために、いつから治療を始めて、いつ頃までに治療を終えることができるのかを明確に知ることができるのです。
治療期間を左右する要因
インビザラインの治療期間は事前の治療計画である程度決まりますが、場合によっては治療期間が延びてしまうことがあります。
計画通りに治療を終えるために守るべきポイントは以下の3点です。
- 口の中をきれいに保つ
- マウスピースの装着期間をきちんと守る
- 定期検診はきちんと受ける
インビザライン矯正は食事中にマウスピースを外して、普段通りに食事を楽しむことができる治療方法です。
しかし、マウスピースを装着する前に歯みがきをしなければマウスピースに食べかすなどの汚れが付着してしまいます。
これによって口腔内に細菌が繁殖する要因となり、虫歯や歯周病の原因となってしまうのです。
歯科矯正以外に、虫歯治療が必要になってくると、治療計画そのものにも影響を及ぼしてしまうため口の中はきれいに保つようにしましょう。
また、マウスピース矯正ではマウスピースを装着していなければその分治療も進みません。
食事の際に外してその後しばらく付け忘れていた、ということがないよう、食事と歯磨きの時時以外は常に装着しましょう。
また、虫歯のチェックや矯正の進行具合を確認するためにも、定期検診が必要です。
インビザライン矯正では1カ月~2カ月に1度程度、矯正を行っている専門医の下で調整を行わなくてはなりません。
マウスピースの不具合がないかや、治療が計画通りに進んでいるか、専門医がチェックするのです。
これによって歯の状態をより正確に把握でき、スムーズな治療を行えます。
これらのことを守ることで、計画通りの治療期間で美しい歯並びを手に入れることができるのです。
インビザライン矯正のメリット
ここまで、インビザライン矯正の特徴を解説してきました。
続いて、インビザライン矯正の具体的なメリットを解説します。
マウスピースが目立たない
まず挙げられるメリットが、装着するマウスピースが目立たないことです。
これまでの歯科矯正のイメージといえば、ワイヤー矯正を思い浮かべる人が多いことでしょう。
ワイヤー矯正では「ブラケット」という歯の表面に細いワイヤー状の金属を取り付けて歯並びを矯正します。
「いかにも歯科矯正治療中です」と周囲にも分かりやすく、笑うとワイヤーが丸見えになり嫌だと感じている人は多いものです。
しかし、インビザライン矯正で使用するマウスピースは、透明な薄い医療用プラスチック樹脂でできています。
透明なため装着時もほとんど気づかれる心配がありません。
日常生活での負担が少ない
インビザライン矯正は日常生活への負担が少ないこともメリットの1つです。
ワイヤー矯正では、取り外しができないために金具と歯の間に汚れが付着しやすくなってしまいます。
それが虫歯や歯周病といった新たなトラブルを作ってしまうこともありました。
また痛みを感じやすかったり、ワイヤーによって口腔内を傷つけてしまったりする可能性もあります。
インビザライン矯正はそのようなストレスが軽減され、大きな負担を感じることなく生活できるのです。
通院回数が少ない
歯科矯正では、2週間~4週間の間隔で歯科医院に通い、治療の進行状況をチェックする必要があります。
通院回数が多いと思うように通院の時間が取れず、負担に感じる人もいることでしょう。
インビザライン矯正の場合は計画に合わせて自分で装着と付け替えを行うため、1カ月~2カ月に1度の少ない通院回数での治療が可能です。
忙しい人や、近くに対応できる歯科医院がないという人でも無理なく通えるでしょう。
インビザライン矯正のデメリット
インビザライン矯正は画期的で優れた矯正方法ですが、デメリットもあります。
主なデメリットは以下のようなものです。
- 自己管理が大切
- 近隣の歯科医院では治療を受けられない可能性がある
ワイヤー矯正と違い、自分で取り外しができるため、装着を怠ればその分治療期間は長くなってしまいます。
装着するのが面倒になってということが無いよう、きちんと装着し続けていくことが大切です。
また、インビザライン矯正はまだ歴史が浅く、どこの歯科医院でも受けられるという訳ではありません。
近くの歯科医院で導入しているかどうかは事前に確認しましょう。
インビザライン矯正の費用相場
インビザライン矯正を前向きに検討していても、費用がどのくらいかかるのかが気になる人は多いのではないでしょうか。
インビザライン矯正の費用は、歯の状態や治療内容によっても左右されるものです。
部分矯正なのか全体の矯正なのかによっても金額に違いが生じ、約30万円~100万円と大きく幅があります。
その中でも全体矯正を行う一般的な治療では約80万円が相場です。
また、歯科矯正は保険外診療となるため、取り扱いを行っている病院によって金額には多少のばらつきがあります。
事前のカウンセリングで必要な治療や費用をしっかりと確認し、納得した上で治療を受けましょう。
インビザライン矯正の内訳
続いて、それぞれの治療過程においての費用の内訳を紹介します。
歯科医院によって異なるため、あくまでも目安としてご参考ください。
精密検査料
初めにカウンセリングとして、現在の歯の状態と今後の治療方針についての説明が行われます。
その際に3Dシミュレーションにより、正確な歯の型をとり、患者の歯にフィットするマウスピースを作ることになるのです。
カウンセリングは無料~1万円くらいまで、そこからマウスピースを作るための精密検査が1万円~6万円程度必要になります。
カウンセリングだけなら無料で行っている歯科医院もあるため、実際に訪れる前に確認しておきましょう。
調整料
定期的に行われる調整料は無料~1万円ほどが一般的です。
歯科医院によってはセット費用として、矯正治療費に含まれていることもあります。
治療の進行具合や歯の状態によっては新たにマウスピースを作り変える場合もあるため、定期的な調整は必ず受診しましょう。
保定装置料
インビザライン矯正のマウスピースによって矯正された歯並びは、放っておくと元に戻ろうとする力が働いてしまいます。
そのために必要なのが保定治療と呼ばれるものです。
せっかく整えた歯並びをキープするためにも保定治療は必ず受けましょう。
リテーナーという保定装置を装着しますが、費用は2万円~5万円程度です。
歯の状態が安定してきたら、リテーナーの装着時間も徐々に短くしていきます。
その他
治療にかかる費用としてマウスピースの料金について知りたい方も多いことでしょう。
しかし、マウスピースは治療の部位やその方の歯の状態によってさまざまなので一概にいくらかを述べることはできません。
また、状態によってはマウスピースを作り変えたり、追加したりしなければならない場合があります。
その際にはもう一度マウスピースの費用がかかることも覚えておきましょう。
さらに、矯正のために抜歯をしなければならない場合は抜歯代も必要です。
矯正が目的の抜歯は保険適用外となることもあり、5千円~1万円程度かかります。
インビザライン矯正の費用負担を抑える方法
一般的に高額だといわれている歯科矯正だからこそ、少しでも費用は安く抑えたいものです。
そこでインビザライン矯正の費用を少しでも安く抑えるためのポイントをご紹介します。
決められた期間のマウスピース装着を徹底する
先述した通り、マウスピースは自分で着脱可能なものです。
そのため、決められた期間を自分で守って実行しなければなりません。
面倒だからと装着しなければ、その分治療の進行が遅れ、追加のマウスピース代や通院費など、当初の計画では必要なかった費用が発生してしまうでしょう。
計画通りの装着を徹底することが、負担を軽くすることに繋がります。
マウスピースを紛失しない
マウスピースは患者一人一人の歯型に合わせて作られた完全オーダーメイドの治療器具です。
そのため万が一紛失してしまったら、一から作り直さなくてはなりません。
旅行はもちろん、外食時などには特に気を付けましょう。
医療費控除を活用する
歯科矯正に医療費控除が使えるのか、疑問に思われている人もいることでしょう。
歯並びを整えたいといった美容目的のみで行う歯科矯正の場合は、控除の対象とはなりません。
しかし、かみ合わせの問題などで「診断名が付く疾患の治療目的」の場合は医療費控除が使える場合があります。
医療費控除が活用できるかどうかは歯科医師の判断によるため、歯科医院に相談してみてください。
歯科矯正は高額なため、利用できる制度は積極的に活用しましょう。
歯科医を選ぶ際の注意点
治療期間も長く、高額な歯科矯正だからこそ、病院選びは慎重に行いたいものです。
インビザライン矯正ができる歯科医院は増えつつありますが、その分医院によって料金体系なども異なります。
またカウンセリングの内容や丁寧に説明してくれる歯科医師がいるかどうかも歯科医を選ぶ際のポイントの1つです。
治療に関する疑問や不安にも対応してくれる病院なら安心して治療が受けられる可能性も高くなります。
インターネットで調べたり実際に相談したりして、信頼できる歯科医を選びましょう。
まとめ
今回はインビザラインの費用相場やメリットなどを解説しました。
インビザライン矯正は目立たず、生活への負担も少ない歯科矯正方法です。
自分でマウスピースを装着し管理するため、自己管理の徹底が必要ですが、それができれば理想の歯並びを手に入れることができます。
インビザライン矯正に興味があるけれど矯正治療で後悔したくないという方はぜひ一度専門の歯科医師に相談してみてください。