【監修:青山健一】
目 次
噛み合わせ不良の1つである過蓋咬合は、噛み合わせが深すぎて上の歯が下の歯に覆い被さる状態を指します。
過蓋咬合は審美性にはさほど影響しないものの、放置すると顎関節症のリスクが高まります。
そのため過蓋咬合は、できるかぎり早めの治療が望ましいです。なお、過蓋咬合の治療にはインビザラインが利用できます。
今回はインビザラインでの過蓋咬合の治療について詳しくご紹介します。
インビザラインで過蓋咬合を治せる?
過蓋咬合はインビザラインで治療できます。ただし、症例によってはインビザラインでの治療が難しい場合もあります。
実際に利用できるかどうかは、歯科医と相談しなければ分かりません。
インビザラインによる治療をご希望の方は、まず無料相談を利用してみるのも1つの方法です。
下記のリンクから無料の矯正相談の予約ができます。ぜひ過蓋咬合に悩む方はぜひご活用ください。
過蓋咬合の特徴
過蓋咬合は、放置するとさまざまなリスクが生じます。具体的なリスクを知る前に、まずは過蓋咬合の特徴や原因をみていきましょう。
不正咬合の1つ
過蓋咬合は噛み合わせ不良の1つです。「ディープバイト」「オーバーバイト」などとも呼ばれます。
過蓋咬合とは噛み合わせが深すぎることです。具体的には、上の歯が下の歯に覆い被さっている状態を指します。
たとえば奥歯を噛み合わせたとき、下の歯が上の歯で隠れてしまうのが過蓋咬合です。
正常な噛み合わせの場合は、上の歯が覆い隠すのは下の歯の1/4~1/3程度です。しかし過蓋咬合では、下の歯がほぼ見えなくなります。
過蓋咬合は、歯並び自体には問題がないこともしばしばです。
実際に歯並びは綺麗なものの、噛み合わせると下の歯がほぼ隠れてしまうというケースは珍しくありません。
見た目に問題がないため、不正咬合であることに気づかない方もいます。
たしかに過蓋咬合は見た目は悪くありませんが、噛み合わせには異常が生じている場合もあります。その場合は、身体にも悪影響が出やすいため、放置はよくありません。
さまざまなリスクを防ぐためにも、噛み合わせに問題がある場合の過蓋咬合はできるかぎり早めに治療することが望ましいです。
主な原因
過蓋咬合の原因は先天的なものと後天的なものに分けられます。まずは代表的な原因をご覧ください。
【過蓋咬合の主な原因】
- 上下の顎のバランスが悪い
- 顎関節に異常がある
- 上の歯が伸びすぎている
- 奥歯が虫歯・抜歯によって抜けている
- 歯ぎしり・食いしばりによって奥歯が低くなった
先天的な原因として挙げられるのが、顎の骨格異常や歯並びの異常です。
上顎が大きすぎたり、下顎が小さすぎたりすると、噛み合わせに支障が出やすくなります。
同じく顎関節の異常も過蓋咬合を招きやすくなります。たとえば関節がズレて、上の顎が出っ張る場合などが代表的です。
もともとの歯並びに原因があることも少なくありません。代表的なのは上の歯が伸びすぎてしまい、下の歯を覆い隠すケースです。
対して過蓋咬合の後天的な原因には、奥歯の虫歯・抜歯の他、生活習慣などがあります。
たとえば虫歯や抜歯によって下の奥歯が抜けたままになると、上の奥歯を受け止められないため、噛み合わせが深くなります。
とくに小さな子供で奥の乳歯が早期に抜けた場合は、注意が必要です。次に生えてくる永久歯まで過蓋咬合になる恐れがあります。
その他の過蓋咬合の後天的な原因としては、生活習慣が代表的です。具体的には歯ぎしり・食いしばり・頬杖・下唇を噛む癖などがあります。
いずれも歯に大きな負荷がかかるため、歯並びが乱れ、結果として噛み合わせに支障が出やすくなります。
後天的な原因による過蓋咬合は、生活習慣の見直しなどによって予防が可能です。ただし場合によっては、原因の特定が難しい場合もあります。
とくに歯ぎしりなどの日常生活の癖は自分では気づきにくいものです。これといって過蓋咬合の原因に心当たりがない場合は、一度歯科医のチェックを受けましょう。
ご自身では意識していなかった癖や歯並びの異常に気づけるため、過蓋咬合に早期に対処しやすくなります。
先天的な原因による過蓋咬合の場合であっても放置はせず、なるべく早めに歯科医の診察を受けてください。
過蓋咬合とガミースマイルの関係
「ガミースマイル」は口元のトラブルの1つです。原因はさまざまですが、過蓋咬合が関係している場合もあります。
ここでは、過蓋咬合とガミースマイルの関係をご紹介します。
ガミースマイルの特徴
ガミースマイルとは、笑ったときに歯茎が過剰に露出することです。常に露出するわけではなく、笑ったときだけ歯茎が出るのが特徴です。
一般的には、歯茎が3mm以上露出するとガミースマイルと診断されます。ガミースマイルは審美性が落ちるのが最大のネックです。
とくに笑ったときにだけ歯茎が露出するため、笑うこと自体にコンプレックスを持つ方も少なくありません。
さらにガミースマイルの方は、歯周病や口臭のリスクも高くなります。可能であれば治療を受けることが望ましいです。
過蓋咬合が原因の1つ
ガミースマイルの原因の1つが過蓋咬合です。過蓋咬合では、上の歯が下の歯より前方に出やすくなります。
結果、噛み合わせたときに上の歯の根元が露出しやすくなるため、ガミースマイルと呼ばれる状態になります。
ちなみにガミースマイルの原因は過蓋咬合だけではありません。過蓋咬合以外の原因としては、たとえば下記が代表的です。
【過蓋咬合以外のガミースマイルの原因】
- 歯が生えている位置が低い
- 歯が小さい
- 上顎の骨が過剰に発達している
- 歯茎が過剰に発達している
- 上唇を持ち上げる力が強い
ガミースマイルの治療法は原因によって異なります。過蓋咬合が原因の場合は、インビザラインによってガミースマイルを改善できることもあります。
過蓋咬合を放っておくと?
過蓋咬合は審美性が劣るだけでなく、身体にさまざまな悪影響をもたらしかねません。過蓋咬合による具体的なリスクをみていきましょう。
顎関節症のリスク
顎関節症とは、顎の関節に異常が出ることです。具体的な症状には下記があります。
【顎関節症の症状】
- 顎の関節が痛む
- 口が大きく開かない
- 口の開閉時にカクカクと音がする
噛み合わせで上の歯が下の歯の外側に来るのが過蓋咬合です。つまり下の歯が上の歯の内に収まってしまうため、下顎全体の動きが制限されます。
あるいは、上の歯によって下の歯がのど側に押し込まれることで、下顎の骨が後方に圧迫されることもあります。
いずれも顎の関節への負荷は大きなものです。結果的に関節がズレたり、炎症を起こしたりして、顎関節症の状態に至ります。
過蓋咬合が必ずしも顎関節症を引き起こすわけではありませんが、リスクが高まる点は否めません。
歯の寿命を縮める
過蓋咬合では、下の歯に偏った圧力がかかることがしばしばです。結果、歯や歯の根元に過剰な負担がかかり、健康な歯の寿命を縮めることがあります。
たとえば歯や歯の根元が欠けたり、割れたりするケースが代表的です。
あるいは歯周病や虫歯のリスク上昇も、歯の寿命を縮める一因です。過蓋咬合によって前歯が露出すると、露出した部分は乾燥しやすくなります。
乾燥は細菌の繁殖を招くため、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。治療が適切でなければ、当然ながら歯の寿命が縮まりかねません。
以上のように過蓋咬合は、下の歯への圧力や虫歯・歯周病リスクの上昇によって、歯の寿命を縮めるおそれがあります。
歯の健康のためにもなるべく早めに治療しましょう。
咬合性外傷
咬合性外傷は、噛み合わせの不良が原因で口の中に痛み・ケガが生じることです。過蓋咬合による咬合性外傷としては、歯肉炎が代表的です。
過蓋咬合は上下の歯がすれ違うため、歯の先端が互いの歯茎につきます。
具体的には、上の歯が下の歯茎を傷つけたり、下の歯が上の歯茎に食い込んだりしやすくなります。
結果、歯茎が傷ついて歯肉炎に発展することが少なくありません。あるいは、口内炎が慢性化するケースもしばしばです。
また、歯に負荷がかかることで歯が折れたり欠けたりするケースも、咬合性外傷に含まれます。
いずれも歯や口腔への負担が大きいため、歯の寿命にかかわることがあります。
インビザラインで過蓋咬合を治す方法
過蓋咬合はインビザラインで治療できます。インビザラインを用いて過蓋咬合を治療する方法を紹介します。
インビザライン単独での治療
マウスピースを用いて治療する方法です。歯並びの矯正によって噛み合わせを浅くすることを目標とします。
具体的には、マウスピースによって奥歯を引っ張りあげたり、前歯を骨に押し込めたりして、全体の噛み合わせを調整します。
透明なマウスピースを用いるため、矯正中でも周囲に気づかれにくい点がメリットです。
ただし症例によっては、インビザライン単独での治療は難しい場合もあります。
バイトランプを用いる
バイトランプとは、上歯用のマウスピースの裏側に装着する突起です。口を閉じたときに下の歯と噛み合うように設計されています。
バイトランプが下の歯と噛み合うことには2つの利点があります。1つは、前歯に圧力がかかるため、歯が骨の中に押し込まれやすくなることです。
つまり、前歯の噛み合わせを浅くする効果が期待できます。2つ目の利点は、前歯を浅い位置で噛み合わせることで、奥歯の負荷が減ることです。
噛み合わせによる奥歯への過剰な圧力を減らすことで、奥歯が骨に沈み込むのを防止できます。つまり奥歯の噛み合わせの位置が高くなります。
総括するとバイトランプの役割とは、前歯を骨に埋め込み、かつ奥歯を骨から引っ張りだすことです。
前と奥それぞれで歯の高さが適切になるため、噛み合わせの位置が矯正されるというわけです。
インビザラインで過蓋咬合を治療するときは、よくバイトランプが併用されています。
ワイヤー矯正と併用
インビザラインのみでの治療が難しい場合は、ワイヤー矯正を組み合わせます。歯並びが極端に悪い場合などが代表的です。
具体的には、まずワイヤー矯正で歯並びをある程度改善してから、インビザラインでの治療に移る方法が一般的です。
ワイヤー矯正は見た目の点でデメリットがあります。その名の通りワイヤーを装着するため、口を開いたときに矯正装置が目立ちやすいのです。
しかし近年は、目立ちにくい透明タイプのワイヤー矯正装置もなども数多く登場しています。
矯正中の見た目が気になる方は、担当の歯科医に矯正装置のタイプを相談してみましょう。
インビザラインは過蓋咬合の治療に向いている?
インビザラインは過蓋咬合の治療に適しています。インビザラインで過蓋咬合を治療するメリットは下記の通りです。
【インビザラインで治療するメリット】
- 矯正装置が目立ちにくい
- 歯磨き・食事のときなどは、マウスピースを自由に取り外せる
- 矯正中の痛みが少ない
ただし、インビザラインによる治療にはデメリットもあります。
【インビザラインで治療するデメリット】
- 装着時間を守らなければ治療効果を得られない
- 症例によっては治療できないことがある
- ワイヤー矯正を併用することがある
インビザラインによる治療にはメリットとデメリットがあります。両方を比較・検討したうえで、自分に適した選択をしましょう。
インビザラインで過蓋咬合を治すなら
インビザラインで過蓋咬合を治療するなら、まずは自身の症例がインビザラインに適しているかを知ることが大切です。
治療できるかどうかだけでも知りたいという場合は、無料相談を利用することをおすすめします。
下記のリンクから無料の矯正相談をご予約いただけます。インビザラインで過蓋咬合を治したい方は、歯科医に相談するところから始めましょう。
まとめ
過蓋咬合を放置すると身体にさまざまな悪影響が表れることがあります。過蓋咬合は放置せず、早めに矯正相談することが大切です。
インビザラインでの治療であれば見た目が目立ちにくく、矯正装置による痛みや煩わしさもさほどありません。
ただし症例によっては、インビザラインでは治療できないこともあります。
自身がインビザラインでの治療に適しているかどうか知るためにも、一度歯科医のチェックを受けるのがおすすめです。