【監修:青山健一】
目 次
歯のがたつきが気になる方で、矯正したいと考える方は少なくありません。しかし、いざ矯正しようとすると、矯正治療中の見た目が気になる方もいます。
そういった方におすすめなのがマウスピース矯正です。
歯が横を向いている・前後に重なるように生えているなど、歯並びががたがたで不揃いな状態を「叢生」といい、乱杭歯やがちゃ歯と呼ばれることもあります。
マウスピース矯正は、叢生をはじめとした交差咬合・開咬など、歯並びや噛み合わせのさまざまな問題を解決することが可能です。
今回はマウスピース矯正の1つであるインビザラインによる叢生の治療方法についてご紹介していきます。
インビザラインは叢生治療の選択肢
矯正治療と一言でいっても、その方法はさまざまです。
ワイヤー矯正やセラミック矯正・マウスピース矯正などはよく耳にすると思いますが、インビザラインはこのマウスピース矯正にあたります。
インビザラインは世界100ヵ国以上で導入されており、1,000万人以上の治療実績がある矯正方法で、日本国内でも多くの矯正歯科が取り入れています。
インビザラインは歯並びや噛み合わせのさまざまな問題に対応でき、叢生の治療も可能です。
叢生の主な治療方法だったワイヤー矯正では歯に金属の装置をつけるため見た目が気になってしまう方が多くいました。
しかし、インビザラインは装置が目立ちにくく、ぱっと見矯正しているかわかりません。
日本でインビザラインの導入が進んでからは、ワイヤー矯正と同様、インビザラインも叢生治療の選択肢の1つとなりました。
また、インビザラインは治療対象の年齢に制限がなく、子どもから大人まで幅広い年齢層に適用可能です。
インビザラインで対応できるケース
インビザラインで対応できる叢生のケースをご紹介します。
症状が軽度
叢生の症状が軽度の場合は、インビザラインで治療が可能です。
しかし、症状が重度の場合はインビザラインのみでの矯正治療ができる歯科医院はかなり少なく、そういった難しい症例に対応できる医院を捜す必要があります。
歯を移動させるスペースがある
叢生の場合、歯を並べるためにはある程度のスペースが必要です。
症状が軽度でスペースが多少たりないときは、IPR(ストリッピング)という方法で歯のスペースを確保することができます。
これは、専用の器具を使って歯と歯の隣接する部分をやすりがけし、削ってできたスペースを利用して歯を移動させる方法です。
「歯を削って大丈夫なの?」と不安になる方もいますが、歯のエナメル質は最大で約2㎜あり、ストリッピングで削る量は最大で0.25mm程度とごく少量です。
そのため、ストリッピングをすることで歯がしみたり痛んだり、虫歯ができやすくなったりといった心配はあまりありません。
抜歯の必要がない
ストリッピングで歯のスペースが確保できる場合、抜歯せずにインビザラインで叢生の治療ができる可能性があります。
インビザラインのようなマウスピース矯正では、抜歯が必要なケースは難症例になります。
そのため、抜歯の必要がある叢生のケースでは、インビザラインでの矯正治療ができる歯科医院はごくわずかなのです。
ご自身の叢生の程度やインビザラインで治療できるかなど、不安なことがありましたら歯科医に相談してください。
下記のリンクより無料の矯正相談の予約ができます。ぜひご利用ください。
インビザラインによる叢生治療のメリット
マウスピース型矯正であるインビザラインには、抜歯の必要がないこと以外にもメリットがいくつかあります。
インビザラインによる叢生治療のメリットをみていきましょう。
装置が目立ちにくい
透明なマウスピース型装置を使うため、審美性が高く、つけていても装置が目立ちにくいのがメリットです。
叢生の治療をされる方のなかには、矯正をしていることを知られたくない方も少なくないため、そういった方におすすめの矯正方法といえます。
違和感が少ない
インビザラインは厚さが0.5mmとかなり薄く、違和感が少ないのもメリットの1つです。
装着感がよく、患者様のお口の中にフィットするように作られているため、痛みが出ることもあまりありません。
取り外せる
インビザラインは取り外しが可能な矯正装置です。
食事中は外しておけるため食べものが装置につまることがなく、ブラケット装置などと比べると歯のお手入れが簡単で、口腔内をきれいに保つことができます。
インビザラインによる叢生治療のデメリット
目立ちにくく違和感や痛みも少ないといったメリットが多い一方で、やはり多少のデメリットもあります。
ここでは、インビザラインで叢生の治療をするデメリットをご紹介します。
抜歯が必要な症例ができる医院は少ない
極度のスペース不足や、重度の叢生の場合、抜歯が必要なことが多いです。
インビザラインは歯を大きく動かすことが得意ではないため、抜歯が必要なほどのスペース不足や重度の叢生には高度な技術が必要になってきますので、抜歯が必要な場合は、インビザラインだけでは矯正するのは難しく、治療が可能な歯科医院は限定されてしまいます。
治療方法や抜歯の有無などは矯正医とよく相談してから決めるようにしましょう。
自ら管理する必要がある
ワイヤー矯正と異なりつけっぱなしの装置ではないため、ご自身で装置を管理する必要があります。
装置は1日20時間以上の装着時間が必要で、装着時間が短いと計画通りに叢生の治療が進まないというリスクが生じます。
基本的に食事中のみ外しておき、食後はすぐに歯を磨いて装着しましょう。
装置は7日程度で新しいものに交換するため、自宅で次にいれる装置を保管してもらう必要があります。
万が一もし紛失すると再度作成することになり、叢生の治療が遅れるリスクがあるため注意してください。
インビザラインで矯正治療する際には、装着時間に気を付け、装置を紛失しないように管理することが大切です。
また、インビザラインは食事中につけておくことをおすすめしていないため、調理師やパティシエなどの味見が必要な職種の方には不向きな矯正方法です。
味見が必要な職種の方は矯正医と相談し、別の方法で矯正することをおすすめします。
軽度の叢生なら部分矯正という選択肢も
前歯が少し傾いている・歯並びが多少がたついているなどの軽度の叢生や、空隙(すきっ歯)の場合、部分的な矯正のみで治療できることがあります。
インビザラインも部分矯正に対応しているため、軽度の叢生で前歯だけを治したいなら部分共栄も検討してみましょう。
症状や全体の歯並び、噛み合わせにもよるため、気になる方はまず矯正医に相談することをおすすめします。
下記のリンクより無料の矯正相談の予約ができます。気になる方はぜひご利用ください。
インビザライン以外の叢生の治療方法
インビザラインで叢生の治療をできないからといって、矯正を諦める必要はありません。ほかの矯正方法について、2つご紹介します。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正とは、歯にワイヤーやブラケットをつけて矯正する、もっとも一般的な矯正方法です。
素材は金属やプラスチックなどがあり、装置をつける位置を歯の裏側にすることもできます。
目立ちにくい素材のものを使うこともできるため、見た目が気になる方は一度矯正医に相談してみてはいかがでしょうか。
ワイヤー矯正は歯を大きく動かすことが可能なため、重度の叢生や極度のスペース不足の症例にも対応できます。
インビザラインとは異なり抜歯が必要な症例でも治療可能ですが、治療内容や抜歯の有無などは事前にしっかり確認しましょう。
セラミック矯正
セラミック矯正とは、天然の歯を削りその上にセラミックの被せ物をして歯並びをきれいに見せる矯正方法です。
歯を動かしているわけではないため、矯正中の痛みはなくインビザライン矯正やワイヤー矯正よりも短期間で終了します。
自由診療のため費用は歯科医によって異なりますが、インビザライン矯正やワイヤー矯正よりも安価であることがメリットです。
1本あたりの料金設定・治療する本数・被せ物の素材によって費用が異なるため、まずは歯科医に相談してみましょう。
ほかの矯正と異なりご自身の健康な歯を削ってしまうため、歯へのダメージが大きいのがデメリットです。
どの矯正方法でもメリット・デメリットはあります。歯科医に相談したうえでご自身に合った矯正方法を選んでください。
インビザラインで叢生の治療を希望するなら
インビザラインを導入している歯科医院は年々増えていて、どこの歯科医院にいけばよいのか、悩む方も多くいます。
インビザラインで治療を希望する際の歯科医院を選ぶポイントをいくつかご紹介しましょう。
まずは、ホームページなどでインビザラインの症例数や実績を調べてみてください。
矯正治療の症例数や実績が豊富でも、インビザラインでの症例数が少ないのであれば、やはり不安になるものです。
インビザラインの叢生やほかの症状の症例数や実績が豊富であれば、安心して治療に通えるでしょう。
そしてもう1つのポイントが「インビザラインの認定医であるか」です。
インビザライン認定医は、インビザライン・システムを作ったアメリカのアラインテクノロジー社が認定するインビザラインのエキスパートのことです。
インビザラインドクターやインビザラインプロバイダーと呼ばれています。
この認定制度は症例数によってランク付けされており、最も低いものがブロンズとなり、症例数に応じてランクが上がっていくシステムです。
ランクが高ければよい、というわけではありませんが、どの歯科医院を選ぶかの判断材料の1つにはなります。
歯科医院を選んだらあとは相談にいき、治療内容や費用、期間などの話を聞いてみましょう。1つの医院だけではなく、いくつかの医院に相談に行ってみるのもおすすめです。
本当に矯正治療を始めるのであれば、矯正歯科には長い期間通うことになります。
歯科医院への通いやすさや担当する矯正医との相性も重要なため、症例数だけにとらわれず、ご自身に合った歯科医院を見つけられるとよいですね。
まとめ
目立ちにくく痛みも少ないインビザラインですが、叢生の状態によっては治療が難しく、ほかの矯正方法と併用しなければならないこともあります。
叢生の治療は長い期間と高い費用がかかるため、事前の相談や説明で納得したうえで治療を始めるようにしましょう。
インビザラインは自己管理が必要な矯正治療になるため、装置を入れるのを嫌がるような小さな子どもには向いていないこともあります。
また、インビザラインの他にもさまざまな矯正方法があるため、叢生の状態やご自身のライフスタイルに合った矯正方法で治療できるとよいですね。