【監修:青山健一】
目 次
歯並びは審美的なイメージだけでなく噛み合わせが悪いと、顎・肩・胃腸などにも大きな負担がかかってしまいます。
歯並びが悪いと人前で話すことも気になってしまうため、目立ちやすい前歯だけでも何とかしたいと思っている方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、矯正費用は高額なイメージがあってなかなか踏み切れないのが現実です。
実際に矯正治療したけれど期待したほどの成果が得られず、費用だけかかったという声も聞きます。
そこで今回は、見た目が気になる前歯部分だけ矯正治療をする部分矯正を紹介します。部分矯正なら全体矯正よりも費用や期間を軽減することも可能です。
前歯だけの部分矯正の費用や治療期間、治療方法などについて歯科医が詳しく解説します。
部分矯正とは
部分矯正とは、前歯の歯並び・出っ歯・すきっ歯など気になる部分のみを矯正することです。
部分矯正のメリットには下記のようなものがあります。
- 取り付ける矯正器具が少ないため違和感が少ない
- 心理的負担を感じにくい
- 全体矯正よりも費用が安い
- 短期間で矯正ができる
こうしたメリットから入学・就職・結婚など人生の節目をきっかけに部分矯正をする人も少なくありません。
大人になってしまったからと諦めずに勇気を出して挑戦してみれば明るい人生を手に入れられるかもしれません。
部分矯正について詳しく知りたい方は、下記のリンクから無料の矯正相談の予約ができます。
前歯の部分矯正の費用と期間
前歯の部分矯正の費用は矯正方法にもよりますが約10万円~50万円、期間は3ヶ月~12ヶ月程度で治療できます。
矯正費用については、施術を受ける歯医者や使用する機材によって差が出てしまいますが、大体10万円~50万円の間が目安だとお考えください。
費用は矯正したい歯の本数・選択する治療法・症状の度合いによって変化しますが、目安として覚えておくと高すぎる矯正費用を請求される心配はありません。
矯正治療を受ける前にカウンセリングがありますから治療期間や費用についてよく聞いてみましょう。それでも不安があればセカンドオピニオンを検討してください。
部分矯正の期間は約3ヶ月~12ヶ月といいましたが、矯正する歯列の状況や何本矯正するかによっても変わってきます。
全体矯正が1年~3年程かかることを考えれば短い期間で矯正できるのは大きなメリットではないでしょうか。
上下の前歯の部分矯正のメリット
時間とお金に余裕があれば全体を矯正するのがおすすめですが、人から見える部分のみをピンポイントで治療すればイメージは大きく変わります。
具体的に上下の前歯の部分矯正のメリットについて解説します。
費用を抑えられる
先ほど、部分矯正の費用の部分でも説明しましたが、部分矯正にかかる費用は約10万円~50万円です。
歯全体の矯正治療の費用が、大体70万円~120万円といわれており、半分以下の金額で矯正できるというメリットがあります。
金銭面が理由で矯正治療を悩んでいるなら、人から見えてしまう前面部にしぼって矯正すれば費用をある程度抑えることが可能です。
治療期間が短い
前歯の部分矯正だけであれば治療期間が短いのもメリットの1つです。
部分矯正の治療期間は歯列の状態にもよりますが、ほとんどの場合1年以内に完了できます。
一方、全体の矯正治療だと1年~3年程かかり、矯正治療によってはその間ずっと周囲に矯正器具が見えてしまうのでないかという不安やストレスを抱えながら過ごさなければなりません。
こうした精神的不安からも解放され短期間で治療できる部分矯正なら安心です。
痛みが少ない
部分矯正だと、動かす歯の本数が少ないため全体矯正と比べると痛みを感じにくいです。矯正治療では痛みが嫌で諦めてしまった人は少なくありません。
部分矯正であれば装着する器具も少ないため、痛みを軽減しつつ違和感も少なく、治療が始められます。
上下の前歯の部分矯正のデメリット
次に、上下の前歯の部分矯正のデメリットについて解説します。
後になって後悔しないように、デメリットをしっかり理解しておきましょう。
治療できる症例が限られる
部分矯正では治療できる症例が限られるのがデメリットです。
一部のデコボコ・乱杭歯(らんぐいば)・八重歯は治すことはできますが、全体的にかみ合わせが悪い場合や歯並びがあまり悪すぎる場合などは、部分矯正ではなく本格的に矯正する必要があります。
例えば出っ歯・しゃくれ・受け口・反対咬合(はんたいこうごう)などが重度の症例の場合、噛み合わせは治せません。
部分矯正ができるかどうかは歯科医師の診断によるため、気になる場合は矯正専門の歯科医院を受診してみましょう。
噛み合わせが改善しにくい
部分矯正では全体の歯ではなく一部分しか動かせないため、全体のかみ合わせを調整することができません。
そのため奥歯も含め歯全体の噛み合わせに問題がある場合にはおすすめできません。
あくまでも、部分矯正は前歯の見た目が気になり、少しでも改善したい場合におすすめします。
部分矯正が適用できる症例
部分矯正が適用できる症例は軽度の出っ歯・すきっ歯・反対咬合・閉咬(かいこう)・叢生(そうせい)などです。
これらの症例で受診したとしても、歯の状況によっては適用外になってしまう場合もありますが、部分矯正でも適用可能な場合もあります。
部分矯正が適用できる症例について詳しく解説します。
出っ歯
出っ歯とは上顎前突(じょうがくぜんとつ)とも呼ばれ、ほかの歯と比べて前歯が前に向いて出ている状態です。
原因は遺伝的要因のほか幼児期のおしゃぶりの癖や舌で歯を押し出す舌癖の可能性があります。
出っ歯になると口が開いたままの状態が続くことで口腔内が乾燥し虫歯や歯周病の原因につながります。
顎に問題がなく、歯のみが出ている状態であれば部分矯正は可能ですが、顎自体に問題がある場合は部分矯正だけでは根本的な治療方法になりません。
すきっ歯
すきっ歯とは歯と歯の間にすき間ができてしまうことで、原因は先天的な要素と後天的な要素があります。
先天的な要因はもともと歯が小さい場合や永久歯の本数が少ない場合などで、後天的な理由としては、下で前歯を押してしまう習慣や頬杖が原因で起こります。
こちらも軽度な場合は部分矯正が可能です。
反対咬合
下の歯よりも上の歯が少し前に出ているのが正しい歯の位置ですが、これが逆になり下の歯が前に出てしまっていることを反対咬合といいます。
いわゆる「受け口」といわれるものです。
前歯で物を上手く噛み切ることができないため、顎に負担がかかったり、よく噛まずに飲み込む癖がついてしまったりして胃腸に負担がかかります。
また、奥歯で常に噛むようになると将来的に欠損する恐れや顎への負担が原因で顎がしゃくれて顔の変形にもつながってしまいます。
軽度な反対咬合の場合は部分矯正が可能ですが、重症化していると不可能なケースが少なくありません。
開咬
開咬とは、上の歯と下の歯が奥歯でしか噛み合っておらず、前歯が常に空いている状態のことです。
常に前歯の間にすき間がある状態で、前歯で物を噛むことができないうえに、しゃべる時に空気が漏れてしまうなどの問題が起こります。
開咬になる原因は先天的なものと後天的なもの以外に呼吸器疾患によるものもあり、口呼吸を繰り返すことで口周りの筋肉バランスが崩れ、舌の位置がずれることで起こります。
開咬は矯正治療の中でも期間が長くかかる症例の1つで、軽度の場合を除き部分矯正は難しいと考えましょう。
叢生
叢生とは歯の大きさと顎の大きさのバランスが悪く、歯が重なってしまう状態のことです。
乱杭歯や八重歯といわれ、顎の発達が悪い場合や歯そのものが大きいなどの原因から生じる症状です。
あまりひどい場合は、抜歯して全体矯正で歯列矯正をする必要がありますが、多少の重なり合い程度ならば部分矯正で対応可能な場合もあります。
部分矯正の治療方法
部分矯正の主な治療方法にはワイヤー矯正とマウスピース矯正があります。
ここではそれぞれの治療法によって解説します。
ワイヤー矯正
ブラケットと呼ばれるワイヤーで固定する矯正装置を使用して矯正します。
矯正したい歯の表面に取り付けて歯並びを矯正する方法以外に、費用は高くなりますが目立たないように裏側に取り付けることも可能です。
多少矯正器具が目立ってしまっても、歯並びをしっかりと治したい人におすすめです。
しかし、症状によっては上下の歯の大きさのアンバランスを解消し歯列を安定させるために歯を削ってブラケットを取り付ける必要があります。
また、ワイヤーによる治療の場合、外からの力が加わると予定通りに矯正できない可能性があるため、激しいスポーツをしている人や楽器を演奏する人などには向きません。
ワイヤーがあるため歯磨きがしにくくなり虫歯になりやすいことから定期的に歯医者でメンテナンスしなければなりません。
マウスピース治療よりも短期間でしっかりと矯正できるのがワイヤー矯正のメリットですが、ワイヤー矯正後には保定装置を付けて矯正した歯が元に戻ってしまうのを防ぐ治療が必要です。
マウスピース矯正
金属アレルギーを持っている人や軽度な場合はマウスピースでの矯正治療がおすすめです。
マウスピースは自身で取り外すことが可能なため食事中や歯磨きをする際に便利です。
しかし1日20時間以上は装着をしなければ効果が期待できず、治療期間も費用もかかるため外しても忘れずに装着しなければなりません。
マウスピースによる矯正の場合、矯正後の歯並びをシミュレーションしていくつか作成し付け替える必要があります。
また、こまめに噛み合わせなどのチェックをする必要もあるためワイヤー治療に比べて手間がかかります。
部分矯正で悩んでいるなら
部分矯正で悩んでいるなら、一度歯科医を受診して相談することをおすすめします。
歯科矯正は高額な費用がかかりますから、場合によってはセカンドオピニオの検討も必要です。
治療して後悔しないためにも口コミ・身近な人からの情報・いくつかの歯科医院のホームページなどを参考にして不安なところは何でも歯科医師に相談しましょう。
下記のリンクから無料の矯正相談の予約ができます。
まとめ
前歯だけの部分矯正の費用や治療期間、治療方法などについて解説しました。
前歯だけの部分矯正は審美的な面が強く、治療することでこれまで人目を気にして内気だった人も施術後、自信と笑顔を取り戻せたケースはたくさんあります。
部分矯正で自分が納得できる美しい歯並びを手に入れるためには、金額だけでなく納得した上で矯正治療に取り組む必要があります。
そのためも高度な技術と経験に裏付けされた信頼できる専門の矯正歯科医院を見つけ、コミュニケーションを取りながら治療をしましょう。