【監修:青山健一】
目 次
肩こりは多くの日本人が悩んでいて、現代病ともいえます。
特に近年は、スマホやパソコンを多く使う生活で肩こりが増えているのです。
肩こりが起きると頭痛やめまい、体のだるさなど全身の不調が起こります。
歯の噛み合わせが、直接肩こりに繋がることを知っていますか?
噛むことは筋肉が関係し、バランスの悪い噛み合わせは肩こりの原因です。
今回は肩こりに悩んでいる方に、歯の噛み合わせと肩こりの関係や治療法を説明します。
噛み合わせが原因で肩こりに悩む人は多い
運動やストレッチ、整骨院や病院に行ったが一向に肩こりが改善されず、悩んでいる人が多くいます。
しかし原因はこれだけでは無く、噛み合わせも大きく関係します。
噛み合わせが悪いとストレスで歯ぎしりを起こし、筋肉の緊張から肩こりになるのです。
朝起きたら歯や歯茎に痛みがあったり、寝ていただけなのに首や肩が痛いなんてことありませんか?
自覚症状がある人は多くいるはずです。
これは噛み合わせの悪さから起こる、歯ぎしりや食いしばりで筋肉にかなりの負担がかかっている状態です。
噛み合わせが肩こりに影響する理由
噛むということは、日常生活で必要不可欠です。
毎日食事をして時には力を入れるため、歯を食いしばることもあります。
また睡眠中に、歯ぎしりや食いしばりをする人もいるのです。
噛む動作に関係する筋肉には、咀嚼筋があります。
バランスが悪い噛み合わせは、咀嚼筋に負担がかかることで筋肉が緊張し肩こりの原因になります。
咀嚼筋の緊張から、連動している首や肩の筋肉も緊張します。
食事中や仕事中、就寝中と休む暇なく筋肉が使われていますから、筋肉が緊張して肩こりの原因になるのです。
食いしばりや歯ぎしりが起こりやすいから
噛み合わせのバランスが悪いとストレスがかかり、無意識のうちに食いしばりや歯ぎしりをする原因となります。
食いしばりは、奥歯でグッと噛んだ状態で奥歯一本にかかる力は60kg相当です。
つまり奥歯一本の上に、60kgの人が立っているのと同じです。
歯ぎしりは寝ているときにギリギリと音がしますが、横に歯をスライドさせるため歯にかかる力は、食いしばり程強くありません。
歯ぎしりや食いしばりは、歯が削れ欠けたり折れる原因でもあります。
毎晩のように歯ぎしりや食いしばりをしていると、口を開閉するたびに引っかかりを感じてカクカクと音がする、顎関節症にも繋がります。
偏った噛み癖になるから
噛み合わせが悪いと、偏った噛み方からいずれ癖になります。
長い間バランスの悪い噛み合わせだと、いつも同じ歯だけで噛んでいたり左右どちらかだけで噛むといった悪い癖がつきます。
偏った噛み癖からは筋肉が緊張し、体に歪みが出て顔の変形や肩こりになるのです。
同時に頭痛や腰痛といった、全身へ負担が大きくなります。
つらい肩こりを放置するリスク
つらい肩こりを放置すると、さまざまなリスクがおこります。
- 頭痛
- 腰痛
- めまい
- 耳鳴り
- 関節の痛み
- 手足のしびれ
- 五十肩
- 四十肩
肩こりを放置することは、全身の痛みにつながり負担が大きくなれば睡眠障害も起きます。
睡眠不足からうつ病や自律神経の病気にもかかりやすく、病院の治療や回数も増えて費用も多くかかるのです。
首筋や肩甲骨への影響
肩こりを放置しておくと、痛みの範囲は広がり首筋や肩甲骨にも影響が出ます。
左右どちらかに向くと痛くて首を曲げられなかったり、寝返りが打てないくらい痛みも出ます。
また布団やベッドに横になる姿勢だけでも痛くて、肩甲骨付近や首を自由に動かせなくなるのです。
手足のしびれから字が書きにくくなり、料理が出来ない仕事もできないなどと、生活全般に負担がでます。
痛みや体の動きの悪さで、自分で服を着るのも辛くなります。
頭痛や吐き気が起こる
肩こりから起こる、頭痛に悩まされている人は多くいます。
筋肉の緊張で血流が悪くなり、頭痛がするのです。
頭痛にも種類があり、肩や首の緊張から起こる緊張性頭痛があります。
緊張性頭痛は吐き気を伴うことがあり、気分が悪く体調がすぐれません。
肩こりを改善する方法
肩こりの症状を改善する方法は、いくつかあります。
肩こりは慢性的になると体調が悪く、体の痛みから不眠や鬱にもなりやすいのです。
普段体を動かさずパソコンやスマホを多く使ったり、デスクワークやネイルリスト、アイリストの人も前かがみの姿勢から肩こりになりやすいのです。
他にも同じ姿勢でずっと仕事をしている人は、筋肉が緊張して肩こりが起きます。
下記で肩こりの改善方法を説明します。
ストレッチ
肩こりはストレッチや軽い運動をしながら、首・肩・肩甲骨周りを動かし血流を良くしましょう。
血流が良くなり可動域が増えれば、筋肉の緊張も和らぎ、肩こりの痛みも軽減されます。
運動不足からも肩こりは起こるため、まずはストレッチから試すのがおすすめです。
ストレッチで筋肉を和らげれば、自然と姿勢も良くなり肩こりや腰痛も減っていくはずです。
筋肉を緩めて、リラックスして下さい。
ストレスを溜めない
ストレスは全身を緊張させ、肩こりの原因となります。
ストレスと自律神経の関係は深く、ストレスが多いと自律神経の乱れが出て交感神経の働きが強くなります。
交感神経の働きが強く続くと、血管が収縮し血流も悪くなるのです。
ストレスを溜めないでリラックスする時間を作り、全身の緊張を緩めて負担を減らしましょう。
たまにはスマホから解放されゆったりと自然の中で過ごしたり、気の合う仲間と沢山笑う事が大切です。
噛み合わせの問題をチェック
食事をしたり軽くカチカチと噛んでみて、違和感や左右どちらかが高いと感じたら、噛み合わせのバランスが取れていない証拠です。
急に歯ぎしりや食いしばりが始まり、寝ている間に強く噛んでいることで奥歯に強いに痛みを感じるようになります。
奥歯や歯茎が痛いだけではなく、肩や首にも痛みが出ます。
食事の時に噛みにくくはないか、意識して自分でチェックしてみて下さい。
当てはまる問題があれば、早めに歯科医へ相談しましょう。
噛み合わせが悪くなる原因
噛み合わせは歯の被せ物が、合っていなくて起こる事もあります。
しかし普段の生活で自分の行動が、原因で悪くなることもあるのです。
姿勢の悪さや歯並びの悪さからくる口呼吸や、顎が小さくて歯が並びきらずガタガタしている叢生、歯の治療を最後までキチンと終わらせていないことが原因です。
頬杖やうつぶせ寝
頬杖やうつぶせ寝の癖は、気が付けば毎日しています。
頬に一方から継続的に力がかかると歯が押されて歯並びが悪くなり、噛み合わせのバランスも崩れてきます。
寝る時はうつ伏せや、横向きにはならずに上を向いて寝ることが理想です。
頬杖も顎が押されることで歪みの原因になり、顔が左右非対称になります。
座る時は頬杖は付かず姿勢を正しくし、寝る時は上を向いて寝るようにしましょう。
顎の発達が悪い
近年の食事は欧米化されてハンバーグやオムライス、パン食にスパゲティーなどあまり噛まなくてもよい食事が増えてきました。
お年寄り世代は兄弟が多く、食べ物を奪い合って食べていたり今のような離乳食は無かったため、子供の時から食べ物を丸かじりして沢山噛んで育っています。
お年寄りは予防歯科が無かった時代のため、歯周病や虫歯で歯が喪失して入れ歯になっている人が多くいますが、実は歯並びが悪い人はあまりいませんでした。
顎もしっかりしていて、今の若者とは骨格が違っています。
現代人は子供の頃からご飯も食べやすいように柔らかく小さくしてもらい、硬い物を食べる機会がほとんど無くなりました。
リンゴを丸かじりしている子供もみません。
その結果が成長期の顎の発達が悪くなり、顎が小さくなっているのです。
小さい顎には歯が並びきらず、歯並びが悪い人が増えています。
歯科治療で抜歯したままになっている
大きな虫歯や歯周病、歯が折れるなどが原因で抜歯することがあります。
痛い歯を抜歯をすると痛みの原因が消えるため、後の治療に来なくなる人がいるのです。
抜歯の後は傷が治ったら入れ歯やインプラント、ブリッジといった歯を装着します。
抜歯をして歯がない状態だと、歯が無い所へ残っている歯が移動したり倒れてくるのです。
下の歯が抜歯して無い場合は、噛み合わせの上の歯が下に向かって伸びてきます。
逆に上の歯が無い場合は、下の歯が上に向かって伸びます。
抜歯をしたまま放置すれば噛み合わせが悪くなり、放置すればするほど入れ歯も作りにくくなるのです。
悪い噛み合わせを治す方法
噛み合わせを治すには、歯や顎を動かす矯正治療が必要です。
歯を削り被せ物をして治すこともできますが、健康な歯を削るのはもったいないことです。
歯は皮膚や粘膜のように再生しないため、一度削ってしまうと元には戻りません。
そして歯は削れば削る程もろくなり、寿命も縮みます。
噛み合わせを治す理想的な治療は、歯列矯正や顎矯正です。
歯列矯正
歯に断続的に力を加えて、ゆっくりと移動させる方法です。
歯列矯正には大きく分けて、ワイヤー矯正とマウスピース矯正があります。
ワイヤー矯正は昔からある矯正方法で、ワイヤーに力をかけて引っ張り歯を移動させます。
マウスピース矯正は軽度の歯並びの悪さに適応で、目立たず食事の時は外して食べられるというメリットがあるのです。
矯正期間は2~3年はかかりますが、どちらも自分の歯を削ることなく歯並びをキレイにできるのです。
矯正をすると見た目が良くなるのは当たり前ですが、何より噛み合わせが改善されバランスが良くなります。
顎矯正
歯並びの悪さを治すのは歯列矯正ですが、顎の骨格を治すことを顎矯正といいます。
顎矯正は顎の成長の悪さが原因で、顎が狭く歯が並びきらない状態や、骨格のずれで顎が左右どちらか偏っている人に治療します。
また受け口(しゃくれ)も顎矯正の対処で、成人の場合は外科的処置をするケースが多いです。
子供の場合はまだ成長期にあるため、顎のバランスの悪さが見られたら外科的処置をせず顎を広げたり、正常な位置に治す治療があります。
子供の顎矯正の適応年齢は、5~12歳位までです。
噛み合わせによる肩こりで悩んだら歯科医に相談しよう
歯科医院で噛み合わせの調整をしたら、劇的に肩こりが改善されたことは多くあります。
噛むことは筋肉を多く使うため、咀嚼筋と連動して首から肩へと痛みが広がります。
全身の負担へと繋がり、慢性的な体の具合の悪さも出てくるのです。
バランスの取れた噛み合わせは、筋肉の負担が少ないため肩こりや頭痛は起きません。
痛みは大きなストレスを感じます。
ストレスから歯ぎしりをおこせば、さらに肩こりは悪化します。
噛み合わせが悪いと感じたら、早めに歯科医に相談して下さい。
まとめ
悪い噛み合わせは筋肉が緊張して、肩こりを起こします。
肩こりは病気ではないと、ついつい我慢する人も多くいるのです。
肩こりのせいで全身の筋肉にも負担がかかり、体調不良を引き起こします。
自律神経にまで影響すれば、うつ状態にもなる可能性もあるのです。
たかが肩こりと思わず、噛み合わせが心配な場合は直ぐに歯科医に相談して下さい。
噛み合わせのバランスの良さは、食べる楽しみや元気にも繋がり心までも健康でいられます。