【監修:青山健一】
目 次
噛み合わせは些細なことで急に変わります。
歯並びの悪さや歯ぎしり、ときには歯医者での治療後に噛み合わせが変わることも少なくありません。
最初はあまり変化が見られないため放置した結果、1年後には歯がボロボロになっていることもあります。
また歯だけでなく頭痛や肩こり、ひどいときは顎関節症や自律神経失調症など身体にも関わるため噛み合わせは大切です。
歯並びが変わった気がしたら、まずは歯科医を訪れてください。
また、歯科医を訪れる前に起こる症状や対処法などを知ることで、健康的な歯と身体を保ちましょう。
噛み合わせが急に変わることはある?
1日や2日で変わることはありませんが、短期間で噛み合わせが変わることはあります。
虫歯や食いしばりなどの原因によって歯の形が変わるからです。
徐々に変形するため、数年後に歯並びの悪さに気づきショックを受ける人もいます。
知らぬ間に歯並びが悪くなっていた場合、噛み合わせによる変化かもしれません。
噛み合わせが変わる原因
今までの歯の環境が変わると噛み合わせも合わせて変化します。
違う箇所に負荷をかけることで口膣内のバランスを保つからです。
例えば本来あったはずの歯がなくなり、うまく噛めなくなるとします。
すると、なくなった歯の穴埋めとして本来使わない歯を使用し始めるのです。
この正しくないバランスが癖になり、結果的に歯並びも悪い方向へと変化します。
虫歯や歯周病に侵されている
虫歯や歯周病による歯の変形や歯の痛みが噛み合わせを悪くする原因です。
虫歯や歯周病の酸は歯を溶かし、歯がもろくなる、欠ける、または抜けやすくなります。
すると歯並びが乱れるため、従来のようにうまく噛めなくなり噛み合わせが悪くなるわけです。
また、酸によって歯が痛くなるため他の歯を酷使するようになります。
すると力の入り方が不均一になり、噛み合わせが悪くなる原因にもなるのです。
被せ物・詰め物が合っていない
被せ物や詰め物の高さが0.1mm変わるだけで噛み合わせは悪くなります。
被せ物や詰め物の高さが変わると、普段とは違うところに筋肉が入り不自然な噛みかたをしやすいです。
歯より低い位置に被せ物や詰め物が何本もある場合や、高い位置に1本被せ物や詰め物がある場合はうまく噛めないたいめ、噛み合わせに影響を及ぼします。
噛み合わせに不安を感じた場合、担当した歯医者に相談することがお勧めです。
インプラント治療後
インプラントを単純に残りの歯に埋める治療をすると噛み合わせが悪くなります。
噛み合わせを考えずにインプラントを埋めていくと、舌を置くスペースが減るからです。
入りきらない舌は前歯を押し出す形になるため、出っ歯になります。
出っ歯になると奥歯を酷使することが増え、歯並びもより悪くなるわけです。
歯医者であれば噛み合わせも考慮しているとは思いますが、インプラント治療前に歯医者へ一言伝えておくと安心できます。
歯並びが悪い
虫歯や歯周病、被せ物、詰め物、インプラント治療後の噛み合わせに対する問題も歯並びが悪いことから始まります。
歯並びが変わることで口膣内の環境が変化。
食事のときには歯並びが変わったことで歯の本来あった場所が変わり、代わりとなる歯を見つけて咀嚼します。
代わりとなった歯を酷使し、結果的に噛み合わせが悪くなるわけです。
舌を置くスペースがなくなるのも歯並びの悪さに原因があります。
歯が重なり、歯の間隔が狭くなるため、舌のスペースが狭くなります。
舌は前歯を押すことでスペースを確保するため、出っ歯気味になるのです。
もし歯並びが変わったのであれば、今後噛み合わせが悪くなると考えて間違いありません。
噛み合わせが悪いとは?
上下の歯の接触が異常であることを指します。
私たちの歯は咀嚼がしやすい構造であることが好ましいです。
なんらかの原因により歯で食べ物をうまくつかめなかったり、噛みちぎれなかったりするのは、噛み合わせが悪いからです。
奥歯を噛み締め、イーッとしたときに上と下の前歯を確認すると、噛み合わせの良し悪しが判断できます。
上下の中心が違う位置にある、上または下の歯が隠れている場合、噛み合わせが悪いということです。
歯が左や右にズレていたり、奥歯で噛めなかったりする場合も注意することをお勧めします。
悪い噛み合わせによって起こる症状
以前と比べてあごまわりや身体に不調が現れやすくなったなら、噛み合わせが悪くなっている可能性があります。
噛み合わせが悪いと本来なら入らない力がかかりやすいです。
力強く噛み続けたことによって身体は疲れ、あごや身体に不調が出ます。
もし身に覚えのない不調を感じているのであれば治療を検討してみてもよいです。
噛んだときに違和感がある
食事しているときや話しているとき、ふと上下の歯を合わせたときに違和感を持ったなら、噛み合わせが悪くなっています。
なぜなら歯が健康であれば違和感を持つことがないからです。
感じる違和感
- あごがカクカク、ジャリジャリ音を立てる
- 口を開けて閉めるときに慎重になる
- いつもと噛んでいるときの感覚が違う
- 噛みしめられない
今までのように物を噛めない場合、今後より悪化する可能性があります。
歯科医へ訪れてアドバイスをもらうとよいです。
身体の不調
歯の違和感と同時に肩こりや頭痛が起きたのであれば噛み合わせの悪さによる症状です。
噛み合わせが悪くなると、あごに筋肉が入りやすくなり身体全体にも力が入りやすくなります。
肩こりや頭痛だけではなく身体の歪みも症状の一つ。
更に自律神経失調症に繋がることもあります。
疲労が溜まりやすくなっているのは、歯の噛み合わせによるものかもしれません。
ストレッチして改善できるかを試してみるのも手です。
悪い噛み合わせを放置するリスク
噛み合わせは放置すると顎関節症や顔の見た目に対する変化、歯周病などの障害を起こします。
これらの障害はじわじわと変化していくためリスクに気づきにくいです。
ただし永久歯は新しく生えることも、生まれ変わることもありません。
顔の変化も時が経てば直せない部分もあります。
顔や歯を直せたとしても時間やお金を多くかけることになるはずです。
そのため歯並びの悪さに気づいたら、専門医にすぐ駆けつけることをお勧めします。
顎関節症を引き起こす
顎関節症になると、あごに限らず全身にも悪影響を及ぼしやすいです。
まず余計な筋肉が口にかかるためあごに痛みが出ます。
食事で噛むときや口を開けて笑うときも痛いため、精神的ストレスが蓄積されやすいです。
次にあごに余計な筋肉が入ることで肩こりや頭痛などが慢性的に起こります。
目や耳にも違和感を持つため生活において微々ながらストレスが蓄積されていくのです。
ただし顎関節症を早い段階で治療するとリスクを減らせます。
顔の見た目が変わる
あごのズレが顔の印象にも関わってきます。
噛み合わせが悪くなると歯は欠け、出っ歯または受け口となりやすいです。
結果的に清潔感がなく、締まりのない顔つきに見えます。
見た目が変わると、自分に自信が持てなくなることも多いです。
また、欠けた歯や受け口などで変形した骨は変えられないのもネックになります。
虫歯や歯周病になりやすくなる
噛み合わせが悪くなると溝に菌が溜まりやすいです。
噛み合わせが悪いとすきっ歯になり、間に詰まった食べ物のカスが取れづらくなります。
虫歯や歯周病は歯の形を変え、ときには歯を失う病気です。
歯が弱くなる、または失うことになれば、噛み合わせの悪さがより進行するリスクもあります。
病気を食い止めることは噛み合わせの矯正にも大切なわけです。
噛み合わせを治す方法
元の噛み合わせに戻し、ついた癖を矯正することで噛み合わせは改善できます。
歯並びが正常になり、噛み合わせがズレることを予防できるからです。
それには歯列矯正を試す、スプリント療法を試す、または生活習慣を見直すと改善できます。
治療にかかる費用や時間はそれぞれ違います。
噛み合わせの治療方法
歯列矯正 | スプリント療法 | 生活習慣の見直し | |
期間 | 半年~3年 | 1年~1年半 | 特になし |
費用 | 10万円~150万円 | 8千円~9千円 | 特になし |
効果 | 歯並びを良くすることで噛み合わせを矯正する。 | 歯ぎしりや食いしばりを軽減する。顎関節症を緩和する。 | 噛み合わせの矯正と予防 |
歯医者からの助言や期間、費用なども考慮して自分に合った方法を選ぶとよいです。
歯列矯正
歯列矯正は歯並びをよくすることで本来の噛み合わせができるようになります。
筋肉が一箇所に集中して入りすぎていた状態を治療できるのです。
歯列矯正はワイヤー矯正、またはマウスピース矯正が一般的。
ワイヤー矯正は表または裏にブラケットと呼ばれる矯正装置をつけて、矯正していきます。
マウスピース矯正はマウスピースをつけ続けることで歯の位置をゆっくりと変えていく治療方法です。
大きな違いはワイヤー矯正のほうが広範囲で矯正ができ、大きな歯の移動もしやすい点になります。
いずれも歯に圧力をかけることで本来ある位置へと矯正していきます。
治療期間は半年から3年ほどで費用は10万円から150万円ほどです。
ただしクリニックや歯の状態によって期間も費用も変わります。
スプリント療法
就寝中にマウスピースをつけることで歯ぎしりを軽減する治療方法です。
歯ぎしりを軽減できると噛み合わせの悪さも予防できます。
特に睡眠時に歯ぎしりをすると通常の2倍もの負担が歯にかかるため、歯ぎしりがあるならなおさら欠かせません。
顎関節症の症状は和らぎ、あごも自由に動かせるようになります。
治療期間は1年から1年半ほどで、金額は保険適用で8千円から9千円ほどです。
スプリント療法もクリニックや歯の状態によって期間や費用は変わります。
生活習慣の改善
噛み合わせが悪くなりやすい生活習慣を見直すことで噛み合わせを矯正し、リスクを予防できます。
噛み合わせの悪さは生活習慣からくるものも多いです。
例えば、同じ向きにいつも寝ていると右と左で歯の発育が変わり、噛み合わせが悪くなることがあります。
また口呼吸すると、舌が歯を押す力が強くなり出っ歯になりやすいです。
生活習慣を改善する方法
- 爪咬みを止める
- 違う向きでいつも寝る
- 鼻呼吸する
- ほおづえをつかない
- 固いものも食べる
- うつ伏せで寝るのをやめる
日常的に習慣に気をつけることで、噛み合わせの悪さを改善できます。
噛み合わせが急に変わったら専門医に相談しよう
歯を噛んだときに違和感があった場合、早急に治療することをお勧めします。
歯は些細なことで歯並びが悪くなりますし、気づかないうちに噛み合わせが悪化していることも多いです。
早期治療すると噛み合わせによるリスクや経済的な負担も減ります。
専門医に頼ることでより素敵な噛み合わせを手に入れましょう。
まとめ
歯の噛み合わせは早期治療で美しい見た目や健康的な歯を保てます。
些細な変化によって噛み合わせは悪くなるため、噛み合わせが急に変わったと感じたときに歯科医を訪れると問題も早く解決できます。
早く歯科医を訪れることで治療にかかる期間や費用も抑えられ、お財布にも自分にも優しいです。
歯に全く問題がなかった人でも短期間で悪くなるため、少しでも不安を感じたならチェックしてみましょう。