【監修:青山健一】
目 次
肩こりや頭痛に悩まされたりストレスを抱えていたりと、多くの方が何かしらの健康の悩みを抱えています。
その不調の原因に噛み合わせが影響しているケースも少なくありません。
噛み合わせは、全身のバランスを支える重要な存在です。そのため歯列矯正中は、歯の動きにより不調を感じてしまう場合もあります。
ストレスなく矯正治療を進めるためにも、体調不良がなぜ起こるのかその原因を知ることが大切です。
噛み合わせと体調不良の関係性について理解を深めていきましょう。
歯列矯正と体調不良は関係している?
歯列矯正を始めた人のなかには「偏頭痛、肩こりがするようになった」「顎がカクカク鳴るようになった」など、不調を訴える人もいます。
痛みや体調不良で辛いために、矯正治療を途中でやめてしまう人もゼロではありません。
そのため「歯列矯正で体調不良になる」と誤解し、矯正治療に対して間違ったイメージを持つ人もいます。
しかし、必ずしも歯列矯正によって体調不良になるわけではありません。
治療中、何かしらの不調を感じてしまうのは、歯が動くことで一時的に噛み合わせが変化するためです。
噛み合わせに変化が生じるという点では、歯列矯正と体調不良は全く関係のないものとはいえません。
しかし、治療そのものが身体に悪い影響を与えるわけではありません。噛み合わせが体調に影響を与えてしまうために、人によって不調を感じてしまうのです。
噛み合わせと体調不良の関係性
前述でお伝えしたように、噛み合わせが体調不良を引き起こす原因となるケースは少なくありません。
噛み合わせと聞くと、「食べ物を咀嚼するためのもの」と考える人が多いかもしれませんが、噛み合わせは噛むこと以外にも重要な働きを担っています。
噛み合わせは歯並びにも影響しますが、顎関節や顔の歪みにも影響を与えます。
噛み合わせ不良により顔のバランスが歪むことで、全身のバランスにも影響し、体調不良につながってしまうのです。
たとえば倦怠感がある場合、多くの人が「風邪気味なのかも」「疲れが溜まっているのかも」と考えるかもしれません。
しかし、噛み合わせの悪さによって全身のバランスが崩れ、倦怠感として不調が表れている可能性があります。
それだけ歯は全身にとって大切なものですし、バランスよく噛むことは健康維持に大きな役割をはたしているのです。
歯列矯正中に体調不良になる理由
歯列矯正を始めた人のなかには、体調不良に悩まされる人もいます。
歯並びを整えることは身体にとってよいことであるはずなのに、なぜ不調をきたしてしまうのでしょうか。
歯列矯正中に体調不良になってしまう理由を解説いたします。
噛み合わせが変わった
歯並びを治す歯列矯正は、歯の動きによって当然噛み合わせも変化します。治療中は日々歯並びが変化するため、噛み合わせも不安定な状態です。
そのため、噛み合わせの不安定さから全身のバランスも乱れ、体調不良になる可能性があります。
また、これまでの噛み癖なども噛み合わせの変化によって変わります。
これまで使わなかった顎の筋肉を使うようになったことで、顎の痛みを感じたり肩こりや頭痛が起こったりするケースも少なくありません。
矯正中の痛みや違和感
歯列矯正は、どんな治療方法でも歯を動かすために歯や骨に力が加わります。
そのため、個人差はありますが締め付けられるような痛み、歯痛や頭痛を感じる場合もあります。
この矯正中の痛みや違和感は、大抵の場合一時的なものです。矯正器具に慣れていくなかで痛みを感じなくなったという人も多いです。
しかし、痛みに弱い人や歯を大きく動かす必要がある人は、矯正中の痛みや違和感を強く感じやすい傾向があります。
その痛みがストレスとなり、倦怠感や不眠、肩こりや頭痛などにつながる可能性もゼロではありません。
関連性はないという見解も
歯列矯正と体調不良の関係性については、まだ解明されていないことも多く、関連性があるとはっきり断言はできないのが現状です。
歯列矯正中の体調不良に多い症状として、肩こり・頭痛・倦怠感・不眠などが挙げられます。
これらの症状は、歯列矯正をしなくても表れることが多い身体の不調でもあります。ストレスや睡眠、運動などの生活習慣も大きく影響する症状です。
そのため、医学的に関連性は認められないという見解を持つ歯科医も多いです。
噛み合わせの悪さが引き起こす不調
歯列矯正と体調不良に関連性があるとは一概にはいえません。
しかし、噛み合わせが身体の不調に影響を与えることは事実です。噛み合わせの悪さがどのような不調を引き起こすのか解説いたします。
身体の不調
噛み合わせはあらゆる体の不調を引き起こす原因となり得ます。
- 顎の痛み
- 頭痛
- 肩こり
- 腰痛
- 倦怠感
- 耳鳴り
- 手足のしびれ
- 食欲不振
- 不眠
- 顔の歪み
- 歯周病
- 虫歯
噛み合わせの悪さによって、上記のような不調があらわれることは少なくありません。
これらの症状は自律神経失調症と似ている部分も多く、噛み合わせが原因の不調を自律神経失調症と誤解してしまうケースもあります。
また、「はっきりした原因がわからないけれどなんとなく体調が悪い」状態を不定愁訴といいます。
不定愁訴のおもな原因は自律神経の乱れといわれていますが、噛み合わせが関与している可能性もゼロではありません。
噛み合わせは全身に影響を与えますが、特に顎に大きな影響を与えます。顎関節症による症状としてさまざまな身体の不調が表れるケースが多いです。
心の不調
噛み合わせが悪いと、身体の不調だけではなく心の不調にもつながる恐れがあります。
噛み合わせによって引き起こされる身体の不調はストレスになり、イライラや不安感など精神面にも影響を及ぼします。
また、噛み合わせのバランスが悪いことでよく眠れない、食欲がないといった状態が続くと心の不調につながりやすいです。
心の不調で怖いのはうつ病です。噛み合わせがうつ病の原因になるとは一概にいえません。
しかし、噛み合わせが精神的なバランスに影響を及ぼすことを考えると、噛み合わせがうつ病に全く関係のないものともいえません。
これらの不調に心当たりがある場合は、一度噛み合わせをチェックしてみるのもおすすめです。不安がある方は、無料の矯正相談を活用してみてください。
噛み合わせを治すと体調不良も改善する?
噛み合わせと体調不良に関係性があるのであれば、噛み合わせを治すと体調不良も改善すると考えるのが一般的です。
はたして噛み合わせを治すことで体調不良は改善するのか、その疑問についてお答えいたします。
改善する可能性はある
噛み合わせの悪さによって体調不良が引き起こされているのであれば、噛み合わせの改善によって体調が改善する可能性は充分にあります。
不調の原因となっていた根本の問題である噛み合わせの悪さが改善すれば、身体のバランスも整うはずです。
正しい噛み合わせに改善されると以下のような変化が期待できます。
- 顔の歪みの改善
- 顎関節症の緩和・改善
- 肩こりの緩和
- 虫歯になりにくくなる
- 滑舌の改善
- 食事しやすくなる・噛みやすくなる
こうした正しい噛み合わせのメリットによって、体調がよくなったように感じる人は多いです。
筋肉による不調はスプリント治療
噛み合わせの悪さによって顎の筋肉が緊張したりこわばってしまうことがあります。
こうした筋肉による不調を改善する方法のひとつとして、スプリント治療が挙げられます。
スプリント治療は、顎関節症の治療法のひとつです。スプリントと呼ばれる装置を装着することで顎関節の位置を改善します。
上下の顎関節がずれている場合、歯列矯正で歯並びだけを治しても噛み合わせが合いません。そのため、後戻りや顎関節症の原因となります。
スプリント治療で顎関節の位置を改善し安定させていくことで、顎関節症や筋肉による不調の改善が期待できます。
歯列矯正で体調不良を改善したいときの注意点
歯列矯正と体調不良の関係性がわかれば、慢性的な不調が歯列矯正によって改善するのではと期待される患者様も少なくありません。
確かに矯正治療で体調不良が改善する可能性は充分にあります。
しかし、歯列矯正は体調不良を治すための治療ではありませんし、注意すべき点もあります。
歯列矯正を始める前に注意点を理解しておきましょう。
治療のデメリットも理解する
歯列矯正によって噛み合わせが改善することで、さまざまな身体の変化を感じる可能性があります。
その変化は身体にとって嬉しい変化であることが多いですが、一時的に不調を感じる可能性もゼロではありません。
歯並びの状態や治療方法などさまざまな要因によって、歯列矯正中に一時的な痛みやストレスを感じる人もいます。
こうした治療のデメリットもしっかり理解しておくことが大切です。
また、歯列矯正を始めたからすぐに体調がよくなるとも限りません。体調不調の改善を焦らず、長い目で自分の体調を観察していくことも大切です。
歯科医とすり合わせをする
歯列矯正はあくまでも「歯並びや噛み合わせを治す」ための治療です。
そのため、必ずしも今抱えている身体の不調が改善するとは断言できません。
歯並び改善と同時に体調の改善も期待するのであれば、まずはその旨を歯科医に相談することが大切です。
今悩んでいる体調不調や噛み合わせによる不都合をしっかり伝えておくことで、医師もお悩みに考慮した治療を提案することができます。
歯科医とすり合わせしておくことで、体調不良の原因を噛み合わせから考えることができ、改善につなげやすくなるはずです。
ストレス解消も大切
歯列矯正の治療中は、食事がしづらい、見た目が気になるなど多少の不都合は避けられません。
こうした矯正治療のデメリットが大きなストレスとなってしまうと、体調にも悪影響です。
趣味を楽しんだり身体を動かしたりなど、ストレス解消に努めることも重要です。
噛み合わせによる体調不良の悩みは歯科医に相談しよう
噛み合わせは身体にあらゆる影響を与えます。
原因不明の体調不良の原因が実は噛み合わせだったというケースも少なくありません。
また、噛み合わせになんらかの支障や異常を感じている方は、放置しておくと症状がひどくなる恐れもあります。
噛み合わせによる体調不良が疑われる場合は、早めに歯科医に相談しましょう。下記のリンクから無料の矯正相談に予約できます。
まとめ
歯列矯正は、歯並びだけに留まらず体調も左右する可能性がある治療です。なにかしらの不調を抱えて日常生活を送るのは、それだけでもストレスになります。
ストレスフリーな毎日を送るためにも、自分自身の噛み合わせが正しいバランスかどうか意識を向けてみることも大切です。
体調不良と噛み合わせの問題を抱えている方は、早めに歯科医に相談しましょう。