【監修:青山健一】
目 次
「子どもの歯並びを良くしてあげたい」そう願うご両親は多いです。特に親が歯並びで悩んだ経験があれば、子どもに遺伝してしまうのではないかと心配する方もいるかもしれません。
この記事では子どもの歯並びが悪くなってしまう原因や、親がしてあげられることを紹介します。
お子様の健やかな歯の成長に役立ててください。
子どもの歯並びは親の責任?
子どもの歯並びが悪くなるのは親の責任という意見がありますが、必ずしも親が原因を作っているわけではありません。
子どもの歯並びが悪くなる要因はさまざまで、親からの遺伝だけが原因で悪くなるわけではないからです。
子どもの歯並びが悪くなってしまったからといって自分を責める気持ちになる方もいるかもしれませんが、日常生活の中で親ができる対応策もあるため安心してください。
子どもの歯並びが悪くなる原因
子どもの歯並びが悪くなる代表的な原因を3つ紹介します。
原因を知ることで、今後の対応策や予防策が見えてくるため、当てはまる原因があれば見直していきましょう。
遺伝
原因の1つは両親からの遺伝です。
歯並びがそのまま遺伝するわけではなく、骨格や歯の大きさ・形が遺伝する傾向にあります。
特に遺伝の影響を受けやすいのは、顎の形が関係する反対咬合や受け口などの不正咬合です。
歯並びは骨格や歯の大きさなどが複雑に絡み合いながら形成されるため、両親が顎の形などで悩んだ経験があれば子どもの歯並びに影響する可能性があるといえます。
口呼吸や舌癖などの習慣
2つ目に歯並びが悪くなる原因として挙げられるのは、生活習慣として根付いている癖です。
例えば口呼吸は口が開いた状態が多くなるため、唇で歯を押さえておく力が弱まります。
子どものうちは指しゃぶりなどで多少歯が出ていても、唇で歯を押さえておく力があれば元に戻ります。
しかし口が開いた状態だと歯が元に戻りにくく、出っ歯や歯並びが悪くなることに繋がるためお子様が口呼吸をしていないか確認してみてください。
また舌癖についても注意が必要です。
舌を歯に押し付けているような癖がある場合には、常に舌で歯を押してしまっているため歯の間にすき間ができたり噛み合わせが悪くなる可能性があります。
口の中のことで分かりにくいかもしれませんが、注意して見てあげましょう。
食生活
食生活は顎の発達に関係があり、結果的に歯並びが崩れる原因となります。
幼少期にやわらかい物ばかりを食べていると顎が発達しにくくなり、歯が生え変わる時期に顎が狭くなっている傾向があります。
顎が狭くなると全ての歯が歯列におさまりきらず、歯が飛び出たり斜めになってしまったりするのです。
歯並びが悪いことによるデメリット
乱れた歯並びが子どもに与える影響についてお伝えします。
これらのデメリットは大人になってからも悩みになりやすいため、可能なかぎり子どものうちに解決してあげたいですね。
虫歯や歯周病のリスク
歯並びの悪さは虫歯や歯周病のリスクを高めやすいのが特徴です。
歯並びが悪いと歯の間に食べ物が詰まりやすく、歯ブラシが十分に行き届くのも難しくなります。
磨き残しがあると歯垢になり、気づいたら虫歯菌や歯周病菌に犯されていたということもあり得るため注意が必要です。
また歯の噛み合わせが悪いことで1部の歯に負担がかかり、将来的に骨が溶けるスピードを早めてしまうことも考えられます。
コンプレックスにつながる
歯並びはコンプレックスになりやすく、人前で笑うことに抵抗を感じる方もいます。
幼少期の頃は多少歯並びが悪くても気にしないお子様が多いかもしれませんが、大きくなるにつれて見た目に自信が持てないという悩みに繋がりかねません。
また歯の間に大きくすき間が開いているような歯並びの場合、発音に影響が出る場合があります。
発音に影響が出ると見た目だけではなく、話すことにもコンプレックスを抱えてしまう原因となります。
噛み合わせへの影響
歯並びが乱れると歯の噛み合わせが悪くなることがあります。
噛み合わせが悪くなると虫歯になりやすくなったり、食べ物が噛みづらくなるなどの弊害があります。
歯の噛み合わせは健康面に大きな影響を与えるため注意が必要です。
親の責任で子どもにできること
親が子どもの歯並びのためにしてあげられる対応策は、どのようなことがあるのか紹介していきます。
将来的なお子様の歯並びが心配な方や、すでに不安な点があり悪化させないようにしたい方も参考にしてみてください。
食生活・生活習慣の見直し
まずは歯並びが悪くなる原因となっている食生活と生活習慣を改善しましょう。
現代の食生活はやわらかくて食べやすい物が増えて、子どもの顎の力が弱まっているといわれています。
なるべく固めの物を良く噛んで食べるようにし、顎の力を強めてあげることをおすすめします。
またお子様に口呼吸や舌癖などの生活習慣がないか注意して見てあげてください。
食事の時には口を閉じて噛む練習をすることで、口呼吸の改善につながります。
また姿勢が悪いと空気の通り道が狭くなり口呼吸になりやすいため、普段から正しい姿勢になっているか確認しましょう。
歯の定期検診
幼少期から歯の定期検診を受けることは大切です。
虫歯になってから歯科医院に行くのではなく、普段から検診で歯を見てもらうことで口の中の菌を減らして良い状態を保てます。
また定期的に通院することで治療へのネガティブなイメージがつきづらいため、歯科医院へ通うことが習慣化しやすくなります。
矯正治療
すでに歯並びに乱れが生じている場合は矯正治療も検討してみてください。
歯並びが悪い状態を放っておくと、さまざまな口内トラブルを起こしやすくなります。
矯正治療を始めることで見た目のコンプレックスにも繋がりづらいため、早い段階からの矯正治療をおすすめします。
なぜ子どもの歯並びは親の責任なのか
子どもの歯並びは親の責任といわれているのはなぜなのかを解説します。
歯並びが悪くなる原因は全て親が作っているわけではありませんが、親が子どもの歯並びに対して早めにケアすることが子どもの歯の健康につながるため親の責任といわれています。
親の判断によるから
子どもの歯並びに対して治療をするかしないかは親の判断に寄ります。
幼少期の子どもは歯並びに対してそこまで意識が向かないため、自分から「矯正治療したい」という子どもは多くありません。
親が矯正治療に対して積極的になることが、子どもの整った歯並びへの第一歩となります。
治療費が高額になるから
矯正治療は自由診療のため高額になりやすいですがお子様が自分で払える金額ではないため、治療費を支払うのは両親です。
「歯並びを良くしてあげたいけど治療費が高い」ということで悩まれている方もいますよね。
治療費は高いですが幼いうちに歯列を整えておくことで、虫歯になりづらく健康な歯の成長へとつながります。
子どもの歯列矯正は歯が動きやすく短期間で終わる場合も多いため検討してみてください。
矯正治療で親ができること
矯正治療をするのは歯科医ですが、親ができることもあります。
子どもの矯正治療は親と二人三脚となるため、両親の力を借りることがお子様の矯正治療を成功に近づけます。
早めに歯科医に相談する
子どもの歯並びに不安な点がある場合は、早めに歯科医に相談することをおすすめします。
子どもの歯は成長過程にあり動きやすいため、早めに歯列矯正をすることで治療がスムーズに終わる場合があります。
歯科医に相談して治療を始める時期を提案してもらいましょう。
子どものサポート
矯正治療を始めたばかりの頃は矯正装置に違和感を感じやすく、お子様によっては嫌がる子もいるかもしれません。
ご両親が事前に説明をして、子どもの気持ちを矯正治療に対して前向きにすることでスムーズに治療を進められます。
お子様の前向きな気持ちを引き出すにはご両親の力が必要不可欠です。
虫歯予防
矯正治療中は虫歯になりやすいため注意が必要です。
矯正装置を装着することによって歯磨きがしづらく磨き残しが発生することがあります。磨き残しがないよう、大人による仕上げ磨きをしっかりすることで虫歯を防げます。
矯正治療中は特にお子様の歯磨きをサポートしてあげましょう。
子どもの歯並びが気になる方は専門医にご相談を
現在お子様の歯並びが気になっている場合は早めに専門医に相談しましょう。
専門医であれば、歯の状態を見て原因や治療方法を判断できます。
お子様にとって最善の治療方法を提案してくれるため、ご両親の不安な気持ちも解消できます。
まとめ
子どもの歯並びが悪くなる原因は親からの遺伝だけではなく、食生活や日常の習慣が関連しています。
歯並びが悪くなることによって歯のトラブルを招きやすくなったり、将来的なコンプレックスになることもあります。
噛み合わせが悪くなることによって健康を害することもあるため注意が必要です。
親が子どもの歯の状態に気づき、早めに歯科医に見てもらうことで適切な時期に治療を始められます。
歯並びが悪くならないように、食生活や日常生活の中でしている癖などを見直すことも親ができることのひとつです。
子どもの矯正治療を始めた際も、スムーズに進めるためにはご両親の力が必要です。お子様の歯に関して心配な点があれば、まず歯科医に相談してみましょう。