【監修:青山健一】
目 次
子供の反対咬合は、大人と同じように考えてはいけません。歯と骨格は子供のときの方が成長が早いうえに、幼少期の癖が大きくなってからも影響します。
子供の場合、永久歯が生えそろうまでは成長途中のため歯列が安定しません。
5歳から6歳ごろ歯並びがだんだんそろってきたときに矯正をする子供が多いのは、成長途中で大人よりも期間が短くてすむ可能性が高いからです。
反対咬合を子供のときに見つけても対処が早ければ心配する事がありません。落ち着いてまずは歯科医に相談してみましょう。
反対咬合の概要
子供の反対咬合は、歯の並び方自体が原因の場合と顎の骨の位置によって発生する原因の場合と2種類あり、それぞれ治療方法が異なります。
発生頻度は2%
お子様の乳歯は、下あごから歯が生えて5歳から6歳の間に永久歯に生え変わります。子供の反対咬合の発生率は約2%で高くありません。
乳歯だからといって放っておかずに、早い段階で専門家に診てもらってください。なぜなら、早期発見が治療の鍵となるからです。
子供にも反対咬合があるという事をご両親が知っていれば、骨格性であったとしても矯正をする事で治る可能性が非常に高くなります。
食事や発音に不都合が出る可能性
乳歯の時期の子供の反対咬合を見つけて、自然に治るかもしれないと矯正するのを少し躊躇されるご両親もいらっしゃいますが、それは誤った考えです。
骨格性の問題にせよ歯の並びの問題にせよ見つけた時点でまだ乳歯の段階であれば永久歯の生え方次第で改善することは多いに考えられます。
又、子供が反対咬合で生活に支障がないように見えても、噛み合わせが正常でないため上手く食べ物が噛めず、消化への影響がでないとはいい切れません。
小さな子ども時代についた癖というものはなかなか大人になっても治らず、舌の位置で発音も変わるため上手く発音できないなど結果大人になっても苦労します。
顎関節症のリスクもある
顎関節症という病気は、上顎と下顎の骨がうまくかみ合っていなかったり、あごが外れたりする症状でこれらも反対咬合の人はなりやすい病気です。
反対咬合のまま食事をとり続けると、上の前歯で食べ物を噛みきれず食べるのが下手だったり時間がかかったりするのが当たり前と思ってしまいます。
普段の生活でも幼少期におしゃぶりをしたり、肱をついて偏って座ったりすると骨格がそのまま形成されて反対咬合になりやすいため注意が必要です。
反対咬合の治療方法
子供の反対咬合の治療方法はワイヤーによる歯科矯正治療やマウスピースでの矯正、装置をつけるなど患者さんの矯正する歯の状態でいろいろ選ぶ事ができます。
治療期間
治療期間は約1年から2年といわれていますが、日常生活の間違った舌や歯の使い方が反対咬合を促進するため治療をしたからといって安心できません。
乳歯の噛み合わせがあわない場合の歯科矯正は、治療を怖がってできない子供もいますがこのときに上顎下顎の正しい矯正で治しておくべきです。
6歳ぐらいで永久歯に生え変わったときにはきれいな歯並びで過ごせますし、思春期になると見た目を心配して矯正を嫌がる子供も少なくありません。
マウスピースで治す
近年、マウスピース型の矯正治療が増えて子供でも治療はできます。しかし、顎の骨や歯槽骨は成長途中のため治療は終わっても定期的な経過観察が必ず必要です。
ワイヤー矯正との平行治療としてもマウスピースの矯正治療はおすすめできます。矯正治療を開始する際に、よく歯科医に相談して用途に応じた治療をしましょう。
メリットは、矯正器具が目立たず取り外しができる事ですが、細かな指導の元に忘れないように矯正器具を常に装着するため子どもには難しい治療です。
フェイスマスク
反対咬合は上顎が発達せずに奥まっている状態で、矯正器具の一つにフェイスマスクという剣道のお面のような矯正器具で上顎を引き出す矯正をします。
フェイスマスクでの矯正は、子供の年齢や歯ならびの状況にもよりますが、およそ1年から1年半です。
フェイスマスクのメリットは夜だけの装着が中心で、マウスピースやワイヤー矯正よりも装着時間が短く経度の矯正治療に向いています。
定期的な検診を
マウスピースにしてもフェイスマスクにしても、矯正治療が終わったからといって将来的にお子様が二度と反対咬合にならないわけではありません。
骨の成長は20歳ごろまで続くといわれており、生活習慣によって反対咬合は元に戻る可能性もあるため定期的な健診をする事で再発を未然に防げます。
子供のうちに治しておけばよかったと後悔する前に、お気軽に歯科医に聞いてみましょう。下記のボタンから無料相談の予約ができます。
家庭療法で治せるのか?
子供の反対咬合の原因が先天性の骨格の問題の場合、期間は大人より短いですが自然治癒は難しいため、家庭療法よりも病院で治療すべきです。
乳歯の段階だと永久歯に生え変わる際に自然に治る場合もあります。家庭療法では舌の使い方など家庭内での補助は可能です。
家庭療法では骨の形や歯の噛み合わせの状態が治療中に詳しくわかるわけではありません。自己判断は控えましょう。
子供の反対咬合治療に適した時期
子供の反対咬合治療に適した時期は、早ければ早いに越したことはありません。乳歯は2歳から3歳の間に生えてきて、5歳から6歳ごろ永久歯に生え変わります。
この時点で反対咬合が治癒できていなければ、この先自然に治るのは難しいです。
そのため、いつがよいというより、歯並びが悪いと思ったらまずは歯科医に診てもらってください。
早ければ早いほど治療の期間も短くてすみますし、治った後は正しく食べ物を噛めて消化不良や精神的不安などの解消につながる可能性があります。
料金はいくらなのか、どのぐらいの期間がかかるのかなど人によって違うのでまずは下記から専門家に相談してみましょう。
子供の反対咬合を治療しなかった場合はどうなる
子供の成長は、第1成長期と第2成長期に分けられます。乳歯は第1成長期で、反対咬合でも治療しなかった場合はその歯並びのまま骨が成長します。
その後、第2成長期で永久歯に生え変わるときに歯並びが改善されるかというと、ゼロではありませんが、自然治癒で治る事はあまりありません。
成長期に治療をするメリットは、上顎や下顎の骨が形成されている途中なので骨が大人よりも柔らかく矯正しやすいことです。
歯列育形成技術で無理なく治療
歯科矯正は、大人でもつい蔑ろにしてしまいがちですが、子供は特に早く相談して矯正治療計画を立てましょう。
なぜできるだけ早く治したほうがいいのか
なぜなら、10代の矯正の方が期間はずっと短くてすみますし、噛み合わせの悪さによって体の成長が損なわれ他の臓器に弊害が起こるかもしれないからです。
反対咬合や、オープンバイトなどの噛み合わせの問題は歯だけではなく、食べ物の消化や呼吸に関する問題が起こると成長にも影響を及ぼしてしまいます。
幼児の反対咬合は自然に治る?
幼児の反対咬合が自然に治るかどうかは歯やあごの状況にもよりますが、原因が噛み癖や姿勢の悪さが原因の場合、自然に治るのは考えにくいといえます。
そのため、乳歯であっても反対咬合なら治療を施し矯正するべきです。呼吸の仕方や指しゃぶりなど悪い癖も改善できる事が多いといわれています。
幼児が嫌がる場合はどうする
幼児は矯正器具を嫌がって外してしまうとせっかくの治療が無駄になるため見た目がわるくても外れないワイヤー矯正が便利です。
どの矯正にするかは歯医者さんと相談して決めましょう。成長期は見極めが非常に難しいですが子供の矯正を多く扱っている歯科医がおすすめです。
永久歯が生えた後は、成長とともに反対咬合が悪化してしまわないように早めに矯正治療を始めましょう。
子供の反対咬合で悩んだら専門医に相談
いずれ大きくなって歯が生え変わったら治る事もあると反対咬合を誤解している方も多くみられます。大人より期間が短いとはいえかなりの時間を要します。
子供の反対咬合で悩んだら、すぐ矯正専門の歯科医に相談してください。骨や歯の周りの筋肉が柔らかいうちに矯正訓練で正しい歯の使い方を覚えましょう。
反対咬合と伴って子供が日常的にしている悪い癖を見つける事も大切です。歯並びがわるくならないようにするために癖についても相談してください。
まとめ
子供の反対咬合は骨の原因以上に小さいときの舌やおしゃぶりが原因で起こる事が多いです。歯並びが悪い事に気がついたらすぐ相談しましょう。
乳歯や永久歯関係なく歯並びがよくないと思ったら早めに歯科医を探しておきましょう。日頃から慣れていれば歯科医を怖がることもありません。
歯科医には歯ブラシや食べ方の相談もできます。反対咬合だけではなく小さいころからの癖を今のうちに治せるように一緒に頑張っていきましょう。