【監修:青山健一】
目 次
歯列矯正中は口の中にブラケットやマウスピースを装着します。口の中に異物が入ることで食事はどうすれば良いのか不安になります。
基本的には食べてはいけない物や飲んではいけない物はありません。それでも、注意しなければならないこともたくさんあります。
初めての矯正治療では、食べて良い物は何か・食べることを控える物は何か分からないことばかりです。矯正治療中の食べものや痛みについて、質問の多い内容も含めて分かりやすく解説します。
矯正中の食べもので気をつけたいこと
歯列矯正中は何を食べれば良いのか悩んでいませんか?矯正中であっても食べてはいけない食べものはありません。
しかし、矯正装置を装着しているために食べものによっては食事中に痛みや違和感を感じることがあります。
また、食べものによっては装着している矯正装置が破損したり変色したりすることもあります。矯正装置を装着しているときは、控えたほうが良い食べものもあるのです。
NGの食べ物・飲み物を知る
歯列矯正中の食べもので気をつけることは、食べられるものを知るよりは食べられないあるいは食べることを控えたほうが良い食べものを知ることです。
矯正装置を装着した状態では食事中に装置が外れたり、最悪の場合は壊れたりすることもあります。思わぬトラブルを招かないためにも控えるべき食べものは知っておきましょう。
治療方法によってもNGの食べ物に違いがあります。表側矯正や舌側矯正では食事中の心構えも変わってきます。舌側矯正では繊維質で挟まりやすい食べものはNGです。装置が見えにくいため取りづらいのが理由です。
矯正中に避けるべき食べもの
表側矯正や舌側矯正などのブラケット矯正を行う場合は、できれば避けたい食べものでいっぱいです。
食べものによっては、食べものが矯正装置に当たるなどして強い力が加わり矯正装置が壊れたり外れたりすることがあります。
同じ食べものでも食べ方を工夫することで、食べやすくなり硬い食べものでも矯正装置を壊すことがなくなります。
特に舌側矯正の場合では、食べものが矯正装置にくっついたり挟まったりして取りにくくなるため避けるべき食べものも多いです。
硬い食べもの
硬い食べものは、強い力で噛むため矯正装置に思いがけない力が働くことになります。矯正装置が外れたりを壊れたりするリスクが高くなるため避けたい食べものです。
矯正装置が壊れると、治療そのものに影響が出ることはもちろん舌や歯茎などを傷つける恐れがあります。
せんべい・バゲット・スルメイカなどは小さくして奥歯で噛むようにしましょう。また、リンゴやトウモロコシなどは前歯で丸かじりするのは控える方が賢明です。
歯にくっつく食べもの
ガム・キャラメル・ソフトキャンディ・お餅・団子など歯にくっつきやすいものも控えたほうが良い食べものです。
べたべたとしている食べものは矯正装置にくっついてなかなか取ることができません。無理にはがそうとすると矯正装置が外れる原因になります。
特にガムとお餅は注意が必要です。ブラケットの材質にもよりますが、くっついて剥がれませんし、そのままにしても自然に溶けることはありません。
色の濃い食べもの
色の濃い食べものも控えたほうが良いです。審美性で人気のプラスチックブラケットは食べものから色移りが懸念されます。
折角の審美ブラケットでも食べものの色で少しずつ変色していきます。カレー・キムチ・ミートソース・デミグラスソースなどは変色しやすい食べものです。
特にカレーに使われているターメリックはブラケットに使用しているゴム部分を変色させやすいため注意が必要です。
矯正装置の変色が気にならなければ食べても差し支えありません。メタリックブラケットやセラミックブラケットは比較的変色が少ないです。
矯正中に避けるべき飲みもの
矯正治療中は飲みものにも避けるべき物があります。飲んで良いのは水だけだと考えてください。
コーヒーやワインなど色の濃い飲みものは、ブラケットやマウスピースなどの矯正装置を変色させることがあります。
ジュース・清涼飲料水・日本酒・ビールなどは糖分が含まれていて虫歯の原因になる飲みものです。意外ですがスポーツドリンクは糖分やクエン酸などを含んでいて虫歯のリスクを高めます。
普段は唾液の洗浄効果や殺菌効果によって虫歯を予防していますが、矯正治療中は装置がじゃまになり唾液が十分にいきわたらなくなっています。
矯正中におすすめの食べもの・飲みもの
矯正中の食べものは基本的には柔らかい物がベストです。特に矯正装置を装着した直後は痛みもあるため噛まずに飲み込める食べものをおすすめします。
主食はおかゆや雑炊、煮込みうどんやリゾットが食べやすいです。副菜は豆腐や玉子料理、ハンバーグなどひき肉を使った料理、デザートのフルーツはバナナや桃です。
矯正治療中でも十分な栄養を摂らなければなりません。大きなものは小さく、長いものは短く、硬いものは柔らかく料理するのがコツです。いつもの食材でも料理法を工夫して美味しく食べましょう。
食事で歯が痛む理由
歯列矯正では歯に力を加えて少しずつ動かしているため、少なからず痛みはあるものです。しかし食事をしても痛みがでることがあります。
食事中は上歯と下歯に強い力が加わります。矯正中は歯を支える歯槽骨が原因で痛みを感じるが、食事中はさらに圧力が加わるため痛みを感じるのです。
食事で歯が痛む理由を理解して、治療中にはどのような食べものが食べやすいのかを考えれば痛みの軽減にもつながります。
口内炎
歯列矯正は、ブラケットやマウスピースなどを口の中に装着します。これまでなかった異物が口の中に入るため違和感があります。
そのため無意識のうちに舌で矯正装置に触れることが多いのです。矯正装置が口の中の粘膜に触れることもあります。それらによって舌や粘膜に口内炎ができるのです。
口内炎は1週間程度で治まります。口の中に矯正装置があることに慣れてくると口内炎はできにくくなります。
歯が動くことによる痛み
歯列矯正治療は歯に力をかけ続けて歯を一定の方向に動かすことが目的です。矯正装置を装着している間は歯は常に動こうとしています。
歯の下にある歯槽骨は、引っ張られた方向の骨が圧迫されて溶け、反対側の隙間ができた方の骨は再生します。治療中はこの現象の繰り返しです。
歯槽骨が溶けることで痛みがでますが、矯正装置を装着した直後や位置を調整したときは力が強くかかり痛みも強く感じます。
噛むときの痛み
矯正装置を装着しているときは、食べものを噛むときにも痛みを感じます。特に硬い物を噛むときには強い痛みを感じやすいです。
矯正装置を装着中は歯の下にある歯槽骨が吸収(溶けること)と再生を繰り返しています。食べものを噛むと歯槽骨に圧力がかかり痛みが増すのです。
矯正装置の装着に慣れてくれば、だんだんと痛みも和らぎます。それまではなるべく噛まずに食べられる柔らかい食べものがおすすめです。
矯正中の不安を解消してくれる安心の矯正歯科を選ぼう
矯正中は何かと不安が付きまといます。痛みはいつまで続くのか・どんな食事をすれば良いのか・装置の調整は上手くいっているのかなどさまざまです。
そんなときに不安を解消してくれるのは歯科医のアドバイスです。専門家の一言は何にも勝る特効薬になります。
病は気からといいます。適切な治療ができるのはもちろんのこと、患者に寄り添って治療中や治療後の心のケアができる矯正歯科を選びましょう。
まとめ
大げさかもしれませんが、食事は人生の楽しみの中で大きなウエイトを占めています。歯列矯正中だからといって、楽しい食事を犠牲にはできませんね。
矯正装置を装着しているだけでも痛みがあり、食事中でも噛むことで痛みも出てきます。だからといって、食べられないから食べないではなく、食べられるものを美味しく食べることを心がけましょう。
工夫次第で矯正治療中でも食事は楽しめるのです。治療効果を高めるためにも栄養補給は必要です。しっかりと三食の食事をとりましょう。