【監修:青山健一】
目 次
矯正治療では様々な違和感を感じることがあります。噛み合わせの違和感もそのうちの1つですが不安を感じてしまう人も少なくありません。
原因がわからないと不安に感じてしまうこともありますが原因を理解することでそれらを和らげることができると思います。
今回紹介していく矯正中の違和感やトラブルについて理解をして今後の治療に活かしていきましょう。
矯正中に噛み合わせに違和感が生じることがある?
ブラケット・ワイヤー矯正もマウスピース矯正も矯正治療は歯を動かして治療を進めていくため、治療中は歯と歯が当たってしまったり上手く噛み合わせができない状態になることがあります。
これはどの治療法を選択しても起こる一時的な嚙み合わせの悪化です。
特に治療開始時は奥歯に力が入りにくかったり、歯が浮ついているような感じを受けたりして上手く噛めなくなることもあります。
一般的には治療が進めば自然と改善されていくことがほとんどのため、様子を見てもよいとは思いますが生活に支障をきたしたり、長期にわたる場合には歯科医に相談をして確認をしてもらいましょう。
噛み合わせに違和感が生じる原因
前述でも紹介したとおり矯正治療は歯を動かして治療を進めていく性質上、一時的に噛み合わせが合わなくなってしまいます。
ほとんどの場合一時的なものになるため、治療を進めていけば自然と解消されますが矯正装置の装着時間の不足など人為的な原因の可能性もあります。
治療中の噛み合わせが悪くなる原因を把握して治療中の違和感ではないと感じた場合には早めに歯科医に相談することが重要です。
歯が動いている途中
矯正治療中は歯が動いている状態です。治療中は矯正装置を使って歯に負荷を掛け続けることで歯は少しずつ移動をしていきます。
矯正装置により移動したい方向の骨に歯が押し当てられて骨が溶けて反対側の骨が形成されて歯が動いていきます。
このときは歯並びも揃っていないため、移動をしている際の炎症も相まって噛み合わせの違和感を感じることが原因の1つです。
歯が動いているときに違和感を感じるのは治療開始時や装置の調整をした直後が一般的のため、1週間から10日前後しても解消されなければ医師に相談しましょう。
マウスピースの厚み
マウスピース矯正では特に噛み合わせに違和感を感じやすくなります。これはマウスピースの厚みからくることが多く、歯が移動するとよく起こります。
マウスピースは歯に覆いかぶさって矯正をしていく性質上、常に歯の間に何かを噛んでいる状態になってしまうため起きる症状ですがコンピューターでも予測ができず対応が難しいです。
ただし、マウスピース矯正を行う上である程度のことは想定済みのため治療前の歯科医の話をしっかりと聞くことで対応をしていきましょう。
上下の歯のバランスがズレた
上下のバランスが悪くなることで噛み合わせが悪くなってしまうことがあります。これは前述で紹介しているマウスピースの厚みが影響している場合が多いです。
マウスピース矯正は奥歯が動く際に歯が歯茎方向に沈んでしまう特徴があります。こうなると奥歯が浮いているように感じ、この状態を臼歯部オープンバイトと呼びます。
対処法は歯科医院によって変わりますがフィックスリテーナーやエラスティックなどを使用して引っ込んでしまった奥歯を引っ張るなどして対処しましょう。
装着時間が足りない
矯正治療は矯正装置を使用して治療することで歯を動かしていきます。そのため、装置の装着時間が少ないと思うような効果を得ることができずに歯並びが改善されていきません。
特にマウスピース矯正は自分の意思で取り外しができてしまうため、人によっては煩わしく感じてしまい装置を外して生活をしてしまうことがあります。
中途半端に矯正治療を進めてしまうと治療期間が延びるだけでなく噛み合わせの悪化を招くため定められた装着時間を守って治療を進めていきましょう。
矯正中に噛み合わせに違和感を感じたら?
矯正中は歯を動かしているため、少なからず違和感や痛みを感じてしまいます。特に治療を始めた最初や装置の調整、新しく付け替えたタイミングは違和感を感じやすいタイミングです。
ほとんどの場合、1週間~10日で違和感が少なくなるため我慢できる範囲であれば次回の通院まで放置しても問題ありませんが長引いたり我慢ができないほど痛む場合は歯科医に相談をしましょう。
矯正装置に問題がある可能性もあるため、不安があれば気軽に連絡をしてください。
また、違和感がある場所の装置の調整を行う場合もあるため、あらかじめどこがどのような感じか説明をできるように準備をしておくと治療をスムーズに進めることができます。
歯並びが改善すると噛み合わせも良くなる
歯並びが改善することで噛み合わせは良くなる場合があります。なぜなら噛み合わせは歯並びが影響していることが多々あるからです。
そのため、歯並びを改善する過程は噛み合わせが悪いこともあり不安に感じてしまうこともありますがほとんどの場合は治療を開始する前に説明があるためしっかりと確認をしておきましょう。
歯並びがよくなっても噛み合わせが改善されない場合は別の要因も考えらえるため、不安を感じる場合は早めに相談をして診察を受ける必要があります。
長期間続く場合は歯科医に相談
矯正治療で発生する違和感や痛みは瞬間的なものが多く、長期にわたるものではありません。
違和感が長期間続く場合は装置の不具合かほかの要因が考えられるため、少し様子を見ても改善されなかったり悪化してしまうような場合は歯科医に相談をしましょう。
長期間続く場合は装置の不具合以外にも虫歯や歯周病、歯茎に問題がある可能性も考えられるため長くても2週間以上続くようであれば検査を受けてみてもいいかもしれません。
トラブルが潜んでいるケース
矯正治療はメリットが多くとてもよい治療法です。しかし、医療行為である以上なんらかのトラブルになってしまうリスクは含まれています。
歯科医もトラブルが起きないように最善の注意を払って治療を進めてくれますが残念ながら絶対に起きないということはあり得ません。
ここでは噛み合わせに関係するトラブルのケースについて紹介していきます。
口を大きく開けられない
矯正治療は抜歯や歯の移動を行うため、顎関節にも大きな負担が掛かってしまいます。特に大人の矯正治療の場合、子供に比べて骨の動きが硬く思うように動きません。
そうなってしまうと噛み合わせも一時的に悪くなり口を大きく開くことが難しくなる場合があります。
生活に支障がでてしまうような場合は顎関節症の疑いもあるため、早めに医師に相談をすることが重要です。
顎に痛みがある
前述で紹介でもしているとおり歯列矯正は顎関節にも負担を与えてしまいます。そのため、治療中の噛み合わせの変化で顎に痛みが発生する可能性があります。
さらに歯列矯正に対する不安やストレスなどが顎関節症につながることもあるため、顎の状態には注意が必要です。
矯正治療自体が顎関節症を発症させるわけではありませんが顎関節の炎症が痛みの原因の可能性が高いため、顎の違和感や痛みは早めに医師に相談する必要があります。
歯が浮く感じがある
歯が浮くような感じや違和感を治療中に感じることはよくあると思います。歯を動かしていく過程で歯が浮くような感じを感じると表現する人も少なくありません。
一般的に「歯が浮く」ということは歯が動いている証拠のため、気にしなくても問題はありません。しかし、長期間続いたり痛みが酷い場合は別の要因が考えられます。
噛み合わせの違和感以外のトラブル
矯正治療は噛み合わせ以外にもトラブルが起きるケースがありますが矯正治療を受ける上でしっかりと理解をしておかなければなりません。
トラブルについて理解を深めておくことで治療を順調に進めることができます。
歯の痛み
矯正治療において歯の痛みは個人差があります。違和感を感じる程度という人もいれば痛いと感じる人もいます。
しかし、歯を動かしていく過程の中で必ず炎症は起きているため何らかの違和感を感じることが一般的です。
痛みは1週間~10日程度で引くため、様子を見ても問題ありませんが無理に我慢をする必要はありません。
また、歯が動く以外でも装置が触れている可能性もあるため痛みが引かなかったり我慢ができない場合は早めに歯科医に相談をしてみましょう。
虫歯や歯周病
矯正治療中は虫歯や歯周病のリスクが高まります。それは装置を装着している関係で普段よりもケアが難しいからです。
マウスピース矯正でも取り外せるからといってケアを怠ればすぐに虫歯や歯周病になってしまいます。
矯正を始めるときに歯科医よりケア方法の指導があると思いますがしっかりと実践をして日々のケアを注意して取り組んでいきましょう。
矯正装置の破損
矯正装置は負荷がかかりやすく壊れたり外れたりしてしまうことがあります。外れた場合は歯科医院にいって取り付けてもらう必要があります。
破損した場合は新たに矯正装置を取り付けなければならず追加で別途料金が掛かることが多いです。
また、破損した装置をそのまま使用してしまうと矯正治療が進まないばかりか上手く矯正することができず悪影響を及ぼす可能性もあるため注意が必要です。
矯正中に「おかしい」と感じたら放置しない
矯正治療は患者本人が気づいて歯科医に報告しなければなりません。通院も月に1~2回しかないため、違和感に気が付いても放置してしまうことがあります。
違和感を放置してしまうと治療が進まないだけではなく歯並びや虫歯、歯周病のリスクといった悪影響がでてしまうため、「おかしい」感じたら放置せずにすぐに歯科医に相談することが重要です。
矯正装置の不安は歯科医に相談しておこう
矯正装置の不安は後回しにせずに早めに歯科医に相談をしましょう。そのまま使用を続けてもよいことは何一つなくむしろ悪影響しかありません。
些細なことでも我慢せずに相談をすることで矯正治療をスムーズに進めて理想の歯並びを手に入れましょう。
まとめ
今回紹介したとおり、矯正中は歯を動かして歯並びを改善している途中にあたるため、その過程で噛み合わせに違和感が起きやすくなっています。
違和感の中にも種類があり、時間が経てば治まるものと対処をしなくてはならないものがあることがわかりました。
しかし、患者自身でそれを判断することは難しく間違った判断をしてしまえば治療期間が延びたり、最悪歯並びに影響してしまいます。
矯正治療中に違和感がある場合は自分で判断せずに早めに歯科医に相談をしましょう。