【監修:青山健一】
目 次
矯正後の「歯の黄ばみ」が気になっている方は多いです。長い治療を終えて綺麗に歯並びが揃ったけれど、歯が黄ばんでいると気になってしまいます。
今回は歯が黄ばむ原因からその対策方法、黄ばんでしまった後の改善方法まで詳しくご紹介していきます。
矯正が終わった方はもちろん、まだこれから矯正治療する方、矯正中の方もぜひ黄ばみ対策の参考にしてみてください。
矯正後の歯の黄ばみに悩む人は多い?
矯正後の歯の黄ばみに悩む方は意外と多いです。特にワイヤー治療や裏側矯正のような常に治療器具を取り付けている方で多い傾向にあります。
しかし黄ばみの原因は日々の歯のお手入れ、生活環境などによっても左右されるため、一概に治療方法だけに拠らないところがあります。
さらに、ここでお伝えしておきたいことは「矯正治療をしたこと自体が黄ばみの原因になっているのではない」ということです。
矯正器具がついていた部分が取り付けたときのままの色味で、逆に器具が付いていない部分の黄ばみが強くなったことで、色味に差が出てしまうことが問題です。
歯の黄ばみはなぜ起こる?
歯の黄ばみの対策を考える前に、まずはその原因についてお話します。
みなさんも普段生活していてお気づきの通り、歯の黄ばみはある日急に起こるものではありません。
「前日は歯が白かったのに、次の日黄色に変色していた!」という例は通常まず起きることはないです。少しずつ少しずつ蓄積していった結果、歯が次第に黄ばんでいきます。
この黄ばみの原因には外からの刺激が原因となる「外因的」なものと、歯の内側に原因がある「内因的」なものがあります。それぞれの原因についてみていきましょう。
外因的な原因
黄ばみの外因的な原因として食べ物や飲み物、タバコなどの「口に入れるもの」が考えられます。
食べ物に含まれる色素成分と唾液に含まれるタンパク質が結合すると「ステイン」と呼ばれる黄色い汚れが生じます。このステインが歯の表面に付着することが黄ばみの原因です。
歯ブラシや歯磨き粉のCMでステインという言葉を何となく耳にしたことがある方も多いかもしれません。
カレーやキムチ、コーヒーや緑茶のような色の濃いものを摂取すると歯の表面に着色しやすいです。
「食べ物で歯が黄ばむの?」と思われる方もいますが、これらの飲食物は服に付着すると汚れがなかなか取れなくなります。この状態を服から歯に置き換えていただくとわかりやすいです。
内因的な原因
黄ばみの内因的な原因として挙げられるのが、歯を構成している「成分層の厚み」です。
歯の表面は半透明な「エナメル質」と呼ばれる部分と、その中に「象牙質」と呼ばれる部分で構成されています。
象牙を英語で「ivory(アイボリー)」といい、淡い黄色味を帯びた白として色にも名前がありますが、象牙質がアイボリー色をしていることから、象牙質と呼ばれるようになったといわれています。
エナメル質はお話した通り半透明なため、色はほとんどついていません。つまり、歯の色は象牙質が透けて見えている色なのです。
歯の色が人それぞれ異なる理由は、それぞれエナメル質の厚みや象牙質そのものの色が違うからです。
年齢を重ねるとエナメル質は薄く、象牙質は厚くなる傾向にあるため、年をとると歯の黄ばみが強くなる原因とされています。
矯正後に起こりやすい黄ばみの原因
黄ばみの原因についをご説明したところで、実際に矯正後におこる黄ばみの原因について具体的にお話していきます。上記でも述べた通り、矯正そのものが黄ばみの原因ではありません。
矯正治療中は主に外因的な「ステイン」の付着が原因になるため、そちらを踏まえて読んでみてください。
矯正中の歯磨きのしにくさ
矯正中は矯正器具が邪魔をして歯磨きがしにくくなっています。
磨きにくいだけでなく、食べ物が装置の隙間に挟まり歯と食べかすが接触している面積と時間が増えてしまい、ステインが形成しやすい状態になります。
ステインは接触時間が増えれば増えるほど、歯の表面に吸着しやすく黄ばみがより進行しやすくなるのです。
矯正中は歯磨きがしにくいため、歯磨きの時間や回数を増やすなどして意識的にブラッシングするようにしましょう。
飲食物の影響
歯の黄ばみには飲食物の影響は大きいです。これは矯正の有無に関わらずいえる原因ですが、矯正中は口内に汚れが残りやすくなるため、ステインの着色には注意が必要です。
色の濃い物を食べる頻度を減らしたり、食べた後はすぐに歯を磨いたり、できるだけ口内に着色の原因になるもの長時間残さないようにしましょう。
矯正中は歯の黄ばみの原因となり得ることがたくさんあります。矯正中や治療後の歯の黄ばみが不安という方は、無料相談の活用がおすすめです。
矯正中にできる黄ばみの対策
次は矯正中にできる黄ばみの対策についてご紹介していきます。黄ばみ対策は毎日の積み重ねが大切です。
可能であれば矯正治療が終わったらすぐ白い綺麗な歯になっていたいと思う方も多いです。すぐにできる対策ばかりなため、今からでもぜひ取り組んでみてください。
丁寧な歯磨き
矯正中は器具の隙間に汚れが溜まりやすいため、何といっても「丁寧な歯磨き」は最も重要です。
器具がついていると磨きにくく、磨く意欲も削がれてしまう気持ちはとてもわかりますが、それに負けずにしっかり磨いてあげましょう。
もし自分がきちんと磨けているか確認してみたい方は「プラークチェッカー」と呼ばれる、歯垢があると着色する薬を使って磨き残しをチェックするとよいです。
ドラッグストアなどで簡単に手に入り、子どもでも使用可能な商品が多いため、家族みんな使うのもおすすめです。
定期的なクリーニング
どれだけ丁寧に歯磨きしても細かな汚れが残ってしまうことはあります。そのために定期的な「クリーニング」も忘れないようにしましょう。
クリーニングでは装置のワイヤー隙間も綺麗に掃除してもらえるため、普段自分では確認しにくい部分まで綺麗にできます。
矯正中は定期的に通院する必要があり、そこでクリーニングしてもらえます。歯科医に指示された間隔で必ず通うようにしましょう。
着色しやすい飲食物を避ける
着色しやすい飲食物を避けることも有効な方法です。食べる頻度を減らすだけでも効果はあります。
しかし、好きな飲食物を我慢するのは大変です。どうしても食べたいときは、食べてすぐにブラッシングをして、ステインを作る時間を与えないようにしましょう。
ちょっとした心がけも積もり積もれば大きな成果となります。
喫煙による着色に注意
意外と見落としがちなのが「喫煙」による着色です。タバコにはさまざまな成分が含まれていますが中でも「タール」と呼ばれる成分が黄ばみの原因になります。
タールはもともと黒色をしています。喫煙者の方の肺が黒くなって画像を見たことがある方もいるかもしれません。
このタールが歯につくとステインと同様に黄ばみとして付着します。タバコを吸うと部屋の壁紙が黄ばんでしまったという話を聞きますが、歯でも同様の現象が生じるのです。
矯正後の黄ばみを改善する方法
歯磨きにも限界があり、毎日クリーニングできるわけではないため、矯正中にどれだけ気をつけていても黄ばんでしまうことはあります。
続いてはもし黄ばんでしまったとき、その黄ばみを改善する方法をご紹介します。
ホワイトニング
歯の黄ばみの改善方法として1番有効なのが「ホワイトニング」です。ホワイトニングには大きく2種類あります。
歯科医で歯に薬を塗ってレーザーを当てる「オフィスホワイトニング」と、家で専用のジェルを塗ったマウスピースを嵌めて行う「ホームホワイトニング」です。
オフィスホワイトニングはエナメル質部分に白く着色させる薬を塗ることで歯を白くします。
さらに半透明なエナメル質を白いすりガラスのような状態にすることで、中の象牙質の色を目立ちにくくする働きもあります。
一方でホームホワイトニングは過酸化水素が配合されたジェルをマウスピースを嵌めることで、歯の象牙質の色素を分解して中から白くしていきます。
過酸化水素は内部に浸透していく性質上、歯がしみたり、歯茎が過敏になることがあります。これはフッ素を塗ることで軽減可能です。
また、ジェルにはフッ素の濃度がさまざま用意されているため、白くする強さと自分の歯の状況のニーズが合う濃度を選択してホワイトニングできます。
どちらか片方での治療も可能ですが、一般的にはこの2種類を組み合わせて白くしていくことが多いです。
ホワイトニングして白くなった後も生活習慣や加齢によって色戻りすることがあります。心配な方は定期的なメンテナンスを行っておくとよいです。
ある程度白くなったあとは、オフィスホワイトニングはお休みして維持するためにホームホワイトニングを週に1~3回行うのがおすすめします。
そして、大切な行事前などの特別綺麗に見せたいときにオフィスホワイトニングを単独で行うといったメンテナンスであれば、経済的な負担も減らせます。
歯のクリーニング
歯の黄ばみを改善する方法として「クリーニング」もおすすめします。クリーニングで汚れやステインを落とすと、歯の黄ばみを軽減させることが可能です。
ここで注意していただきたいのは歯茎に炎症は発赤など特定の問題が生じていない場合、クリーニングは「自費」で行わなければならないことです。
自費治療のため、保険適用のクリーニングよりも費用がかかることは予め確認しておく必要があります。
それでもセルフクリーニングでは限界があるため、定期的なクリーニングは行った方がよいです。
歯茎の隙間や歯の間には目には見えないレベルで、たくさん細菌が集まっている「フローラ」と呼ばれる状態が形成されます。
このフローラはブラッシングでは落としにくく、長時間放置すると歯茎の炎症や歯周病などの疾患に発展します。
年に数回で構いませんので、季節の変わり目など定期的にクリーニングを受けるようにしましょう。
マウスピース矯正ならホワイトニングも同時にできる
一般的には矯正治療が終わった後にホワイトニングをすることが多いですが、歯並びも歯の黄ばみも同時に改善したいときはマウスピース矯正がおすすめです。
マウスピース矯正はワイヤー矯正や裏側矯正と異なり、取り外しが可能なためホワイトニングも同時に行えるのです。
同時に行える歯科医とそうでない歯科医があるため、問診の段階で専門医へホワイトニングも同時に行いたい旨を伝えて、治療方針の相談をしてみましょう。
治療方針のご相談をご希望の方は下のボタンをクリックしてください。
矯正後の歯の黄ばみに悩んだら
矯正後の黄ばみが気になったときはまず専門家に相談してみるのがおすすめです。
もちろん市販でホワイトニング商品も売っていますが、あくまで自分で購入できる商品は化粧品や医薬部外品扱いのものが多く、効果があまり感じられなかったり、出るまでに時間がかかります。
歯科医でのホワイトニングよりもお手頃価格から始められるところはメリットといえますが、結果が出るまでに使う費用を考えると変わらない結果となる場合もあるのです。
歯科医に相談したからといって必ず治療を開始する必要はありません。
専門家の意見を聞いてみると、自分で調べられる範囲とはまた違った観点から情報をもらえることもたくさんあるため、ぜひ問診だけでも行ってみましょう。
まとめ
今回は矯正後の歯の黄ばみについてお話してきました。
黄ばみの原因とその対策方法、黄ばんでしまった場合の改善方法とさまざまなアプローチから黄ばみについてご理解いただけたでしょうか。
黄ばみは矯正の前後だけでなく、誰でもいつでも関りのあるものです。今回の内容は矯正後すぐだけでなく、これから先ずっと黄ばみの対策として使える内容となっています。
ぜひ頭の片隅に置いてみてください。白くてきれいな歯並びで素敵なスマイル生活が送れますように。