【監修:青山健一】
目 次
歯列矯正の治療を受けると、治療期間中は矯正器具を装着することとなります。装着する矯正器具は、治療内容や年齢などで異なりますが、装着期間が長期に及ぶこともめずらしくないのです。
治療箇所の保定のために矯正器具を装着するのですが、1日中装着していると辛くなることがあるかもしれません。
ここでは、自分で取り外すことができる歯の矯正器具について説明していきます。
歯の矯正器具は自分で外せる?
歯の矯正器具は、自分で外せるものもあれば、外すことができないものもあります。
ワイヤータイプやブラケットは、1度外してしまうと自分で元に戻すことがとても難しく、ほぼ不可能といっても過言ではありません。
マウスピースなど自分で外したり取り付けたりできるものもありますから、担当医の指示に従い正しく脱着をしてください。
下記から矯正器具についての無料相談ができます。
自分で外せる矯正器具
自分で外すことができる矯正器具を取り上げます。
実際に取り外しや取り付けを行う場合には、担当医の説明をしっかり理解した上で行ってください。
マウスピース
マウスピースを使った矯正は、きれいな歯並びを目指して歯の位置を動かす治療方法です。マウスピース本体は、定期的な交換が必要となります。
1日約20時間の装着時間となりますが、食事中や歯磨きの際には自分で取り外すことができますし、マウスピースで歯に少しずつ力を加えて動かすこともできるのです。
マウスピースの装着期間は、軽度の矯正の場合は3~6ヶ月、通常は1年ほどの装着期間となります。
床矯正の装置
床矯正の装置は、表側の歯にかける金属線でできている入れ歯のような構成になっています。
床下粘膜の部分につけるプラスチック製の床部分にネジやバネを埋め込むことで、歯を移動させるのです。
抜歯をせずに、あごの骨を広げて歯を並べるスペースを作り、歯列を整えるために使われる矯正装置で、乳歯が永久歯に生え変わる時期の不正咬合治療の際に使われることが多いです。
1日12時間以上の取り付け時間となりますが、床矯正装置の洗浄時や歯磨きのときには、取り外すことができます。
取り付け時間が短いと、矯正の効果がなかなか得られない可能性があるため、装着時間はきちんと守ることが必要です。
顎間ゴム
顎間ゴムは上あごの歯と下あごの歯にゴムを掛ける矯正器具で、噛み合わせやあごのズレを矯正する装置です。
ゴム単独で使うことは少なく、マウスピース矯正と組み合わせて利用することが多いです。
Ⅱ級ゴム・Ⅲ級ゴム・垂直ゴム・交叉ゴムの4種類あり、矯正する内容により使用するゴムは異なります。
顎間ゴムは1日使うと弾力が弱くなるため、毎日1回交換しなければなりません。
ゴムを使い始めてから、慣れるまでの間に痛みがでることがありますが、少しずつ痛みを感じなくなります。
顎外固定装置
顎外固定装置は、ヘッドギアのような矯正器具で、主に子どもに使われるケースが多く夜の睡眠中に装着します。
ヘッドギアと呼ばれるものは、上あごの骨自体の前方成長を抑えることを目的として装着するもので、装着時間の目安は14時間です。
チンキャップは、下あごの成長しすぎによる反対咬合の子どもに使われるもので、下あごの前方成長を抑えるという目的があります。
主に夜の就寝時に使用し、装着時間の目安は14時間です。
プロトラクターは、上あごの成長遅れによる反対咬合の子どもに使われるもので、上あごの前方成長を促進させることが目的です。
この矯正器具は、成長期の子どもに多く使われます。身長が伸びると同時に、下あごも成長するため、長期間装着することがあります。
プロトラクターも夜の就寝時に使用し、装着時間の目安は14時間です。
リテーナー
リテーナーは、歯列矯正で動かした歯並びを安定させるために使う装置で、歯が戻ろうとする力がなくなるまで使用し、きれいになった歯並びが後戻りしないようにします。
食事や歯磨きの時には、外しても大丈夫なのですが、基本的には24時間装着する必要があります。
歯磨きの際、リテーナーに細菌などが付着していますから一緒に洗浄をしなければなりません。
話しにくさや発音するときの違和感があるかもしれませんが、すぐに慣れてきますから辛抱して装着をしてください。
自分で外せる矯正器具のメリット
矯正器具を自分で外せるメリットは、どのようなものなのでしょうか。
簡単に取り外しができる代表的な矯正器具はマウスピースが挙げられますが、他にもさまざまな器具が当てはまります。
食事のときや人と会うときに取り外しができるため、食べ物に気を遣う必要がなく、相手の視線を気にすることがなくなりますから心底楽しむことができます。
また、歯磨きの時でも取り外すことができるため、装着したときに食べかすがつくことなく衛生面でも気を遣う必要がありません。
矯正器具は、基本的に長期間つけることが多いですが、1日のうち数分外すだけでもストレスが多少和らぎます。
自分で外せる矯正器具は自己管理が大切
自分で外すことができる矯正器具は、自分で管理をしなければなりません。
矯正器具を取り外して、テーブルの上などに置いたままにすると、落として壊してしまうというリスクがあります。
また、外出先で器具を取り外し、そのままなくしてしまったという事も多いため、取り外した場合は、すぐに専用のケース等に入れるなど対策が必要です。
万が一、矯正器具を壊してしまうと作り直しとなる場合もあり、矯正治療が一旦停止となる上に、費用がさらにかかることにもなりかねません。
矯正器具の取り扱いには注意してください。
矯正器具を外す際の注意点
矯正器具は、自分で外した後、病院で管理してくれるわけではありません。自己管理となりますからさまざまなルールに従う必要があります。
ここで、矯正器具を外すときに注意しなければならない点をみていきます。
決められた手順で着脱する
矯正器具をつけている理由は、動かした歯が後戻りしないためなどそれぞれ意味があります。
外す必要がある場合には、外しても大丈夫ですが、外している時間は治療により動かした歯が少しずつ戻っていることを忘れてはいけません。
矯正器具によっては、着脱するたびに変形するおそれのあるものがありますから、両手で慎重にはめるなど丁寧に扱うことが必要です。
専用の洗浄剤を使う
洗浄が必要な矯正器具では、矯正器具専用の洗浄剤があります。
歯磨き粉など研磨剤が入っている洗浄剤を使用すると、傷がつく・表面がはがれて穴が開くなど後々の治療に影響を与える可能性のあるリスクが生じてしまうのです。
矯正器具の洗浄は、研磨剤が不配合の洗浄剤を必ず使用してください。
柔らかいブラシで洗う
矯正器具を洗うときに、硬いブラシを使うと表面にキズがついてしまい、破損してしまうというリスクがあります。
破損させてしまうと、実費で作り直しになり矯正治療がストップしてしまうため、洗うときも必ず柔らかいブラシを使うという気配りをしましょう。
熱湯につけない
洗浄液に浸してから洗浄する場合は、熱湯ではなく40℃前後のぬるま湯を使います。
熱湯につけると、矯正器具の歪みや取り付けた際にうまくはまらないなどの不具合が出るかもしれません。
ぬるま湯に浸しておく時間は、矯正器具によって異なりますから担当医から説明を受ける、または説明書などをもらうという対策をすることをおすすめします。
保管ケースにしまう
マウスピースやリテーナーには、専用保管ケースがあります。取り外した後に、そのまま出しっぱなしにすると不衛生であり矯正器具を清潔に扱うことができません。
また、間違って捨てられてしまう可能性があるため、取り外した時は保管ケースにしまいましょう。
矯正器具を自分で外す際は歯科医の指示を守ろう
矯正器具を自分で外す場合、さまざまなルールがあります。それを守らないと治療した歯が後戻りを始めてしまい、矯正治療そのものをやり直すことになってしまうからです。
また、矯正器具をつけたまま食事をすると、器具が破損するリスクが生じます。
矯正器具は、1人1人その人に合わせて作っているため、万が一、破損させてしまうと実費負担で作り直しになる可能性があります。
器具によっては、扱い方を少し間違えるだけで変形するなどの恐れがあるため、外し方は担当医の説明をしっかり聞き、外す際に不安点があるときは、電話で1度確認するなどの対策が必要です。
矯正についての無料相談が下記からできます。
歯列矯正に自分で外せる矯正器具を使いたいなら
自分で外せる矯正器具を使えるかどうかは、症状の程度によって変わります。軽い症状で、治療期間が3~6ヶ月ほどであれば、自分で外せる矯正器具を使うことに支障はありません。
「すべての歯並び・噛み合わせを治したい」というケースでは、治療が長期間に及ぶため固定式の矯正器具をすすめられます。
これは、適切な治療を行うためですから、ある程度の期間は固定式器具で、その後自分で外す矯正器具に移行することも可能です。
症状が軽度~中度の場合では、「抜歯したくない・痛みが少ない方が良い・金属アレルギーを持っている」という理由があれば、自分で外す矯正器具で治療をすすめていくことになります。
まとめ
歯列矯正で使う矯正器具について説明をしてきました。
固定式の矯正器具が多いのですが、自分で外すことができる矯正器具が多くあるため、治療中のストレスを軽減させることができます。
気をつけなければいけないことは、矯正器具を外すと治療している歯が後戻りしようと動くということです。
食事などで矯正器具を外したまま、つけることを忘れていたということになると、器具がうまくはまらないなどの問題がでる可能性があります。
再度、作り直しという事態を避けるためには、担当医から受けた説明を聞き、ルールを守りながら大切に器具を扱う必要があるのです。
矯正治療は、1年~2年という長期間になることがほとんどですから、信頼できる担当医と一緒に乗り越えましょう。