【監修:青山健一】
目 次
矯正中に歯科医から、ゴムかけの指示があることがあります。これは、ワイヤー矯正・インビザライン矯正のどちらでもあり得ることです。
ゴムかけの期間は数か月で一時的なものになることがほとんどです。
ゴムかけの指示があると、見た目が気になったり、ひと手間増えて面倒に感じたりとさぼりたくなる人もいます。ゴムかけをする意思があり続けていても、うっかり忘れてしまうこともありますよね。
ゴムかけをさぼるとどんな影響があるのか、そしてさぼらないためのコツを紹介します。
矯正のゴムかけの概要
ゴムかけは矯正のサポートのため、期間や装着時間は人それぞれです。もし、ゴムかけの指示があったら矯正生活にどんな変化があるのか、みていきましょう。
ゴムかけの特徴
ゴムかけに使われるゴムは「顎間ゴム(がっかんごむ)」「エステティックゴム」と呼ばれる医療用のゴムです。
このゴムを上顎と下顎の矯正装置にまたがって装着させます。そして、ゴムの力を利用し顎のずれを改善したり、歯を動かし口の中を整えたりする仕組みです。
そのため、ゴムかけを始める前にはある程度、歯並び等が整っていることが必要です。つまり、ゴムかけの指示があるのは、歯並びが改善され噛み合わせを整える時期になります。
時期的には、矯正が中盤から終盤に近付いていることになります。この時期は、自分でも矯正を始めた頃と比較して改善していることを自覚できる頃です。
それなのに、ゴムかけの指示があると「上手くいっていないのかもしれない」と不安になるかもしれません。
それぞれの口の状況によるため、一概にはいえません。しかし、ゴムかけの指示があったら改善が進み、次のステップに移行するということになります。
もし矯正の進み具合に不安があれば、歯科医に確認・相談しましょう。
ゴムかけの役割
ゴムかけはゴムの引っ張り合う力を利用して、上顎と下顎の噛み合わせを正しい位置に整える役割があります。
そのため鰐間ゴムは、サイズや強さに種類があり、目的に合わせてゴムのかけ方も変わってきます。
矯正の理由は、出っ歯・反対咬合・歯並びがデコボコしているなどさまざまです。
矯正はそれぞれのスタートからきれいで噛み合わせがよい歯並びを目指していくため、歯科医の指導の下、正しいゴムかけを決められた時間装着しましょう。
ゴムかけをさぼるとどうなる?
ゴムかけを始めてみると、思っていたより難しい・時間がかかる・面倒・痛いといったネガティブな感情が出てくることも少なくありません。
「たまにはさぼっても大丈夫かな?」「今日は時間がないからパス!」「さぼってもバレない!」など誘惑が出てくるときもあります。
では、さぼるとどのような影響があるでしょうか。さぼってしまう前にその影響を知っておきましょう。
治療が思うように進まない
ワイヤー矯正やインビザラインでは、左右に力を加え歯並びを整えていくことが可能ですが、上顎と下顎の噛み合わせを良くするための力を加えることができません。
そこで活躍するのがゴムかけです。ゴムかけは上顎と下顎の両方に力を加え、上下の関係、つまり噛み合わせを整えていきます。
ゴムの力を利用して口の状態を良くしようとしているところ、ゴムかけをしなかったらどうなるか予想してみましょう。
予定していた力が加わらないため、期待通りの効果は得られません。そのため、治療が思うように進まず、治療期間が延びてしまうことは簡単に予想できます。
矯正治療の仕上がりに影響する
歯科医は歯並びや噛み合わせを良くするために、ゴムかけを指示しています。ゴムかけをしないと、もちろんその効果はありません。
つまり、折角矯正治療をしても矯正の仕上がりに影響を及ぼすことになります。
ゴムかけをさぼる原因
矯正は、ある程度の期間・費用・手間を覚悟して始めている人がほとんどです。それでも、その矯正の一環として指示されるゴムかけをさぼってしまう場合があります。
ゴムかけをさぼってしまう原因を4つご紹介します。
痛みがある
さぼりたくなる理由の1つに痛みや違和感があります。
痛みは歯の神経の痛みではなく、歯を動かすことで歯と骨の間が圧迫されることによる痛みのため、大抵は問題ありません。
顎の骨に囲まれている歯を動かそうとする力が働いているため、痛くなるのも納得できますよね。
この痛みは1,2週間で慣れるといわれています。しかし、食事や歯磨きなどのタイミングでゴムを外すと、痛みから解放され心地よく感じます。
そのため、痛みから逃れたくなり、さぼりたくなるようです。
また痛みの他に、圧迫されることで血行が悪くなり、しびれを感じる人もいます。この場合は歯茎をマッサージすると楽になることがあります。
そして、痛みやしびれ以外にも違和感を覚えてしまう人もいるようです。
しかし、違和感は矯正を始めたときに矯正器具に対してもあったはずです。それでもゴムかけをする頃には、矯正器具には慣れて装着できていますよね。ゴムかけも同じように慣れます。
見た目への影響
ゴムかけの見た目が気になり、さぼりたくなる人もいます。
他人からどう見られるのか、矯正を始めるときにも気になったと思います。それがさらにゴムかけも始まると聞くと、絶望的にさえ感じる人もいるかもしれません。
しかし、他人はそれほど人の口の中を気にしていません。気になったとしても、笑ったりするような人はいません。矯正中であることを伝えればよいだけです。
それでも気になるようであれば、次のことを頭の片隅に置き、前向きに取り組んでみることをおすすめします。
まず歯科医に相談し、目立たない色のゴムを装着するのも一つの方法です。
また逆の発想で、目立つカラーゴムを使用し、矯正中であることをアピールしつつ楽しむことです。
日本では矯正治療にネガティブな印象がありますが、海外では歯並びをきれいにする、矯正ができるだけのお金があるというポジティブな印象があります。
そのため海外の人の中ではカラーゴムを使用し、矯正中であることをアピールしているような人さえいます。矯正治療は恥ずかしいものではありません。
口を開閉しづらい
ゴムが引っ張り合う力を利用しているため、口の開閉がしづらく、辛く感じる人もいるようです。
口を開けるとゴムは伸び、会話することも可能ですが、長時間になると顎などが疲れることが想像できます。
そこに不便を感じ、さぼる人がでてきます。しかし、ゴムかけの重要性を思い出し、装着するようにしましょう。
なお、食事のときはゴムは外すため口の開閉は問題ありません。
つけ忘れ
毎日頑張ってゴムかけをしていても、ついうっかり忘れてしまうこともあります。それが続いてしまったり、頻繁にあると問題です。
また、旅行や出張など数日間出かけるときに、ゴムを忘れてしまう場合があります。毎日使うものとして、忘れないように注意しましょう。
ゴムかけをさぼらないためのコツ
ゴムかけの重要性が理解出来たら、さぼらないようにするために注意しましょう。そのためのコツを紹介します。
痛みに慣れるまでの期間を知っておく
さぼる理由として、痛みから逃れるためというものがありました。これを乗り越えるためには、痛みに慣れるまでの期間を知っておくことです。
痛みに慣れるまでのおおよそのゴールがわかっていれば、その期間、まずは頑張れますよね。そこまで慣れれば、一歩前進です。
ゴムの置き場所を決めておく
うっかりつけ忘れを防ぐために、ゴムかけを毎日のルーチンに取り込みましょう。そのためには、どこでゴムかけをするのかを決めて、ゴムの置き場所を決めておきましょう。
また、学校や職場でも食後や歯磨きの後に必要になります。
家に置き忘れてきた・使い切ってしまった・紛失してしまったなどのトラブルにも対処できるよう、複数の場所で管理しておくようにしましょう。
たとえば、カバンのポケット・化粧ポーチの中・歯磨きセットの中などに入れておくと、タイミングよく装着できます。
アラームをセットする
慌ただしい日常で付け忘れてしまうこともあります。そこで、携帯のアラーム機能やスケジュール機能を使って、つけ忘れないように注意しましょう。
また、食事や歯磨きなどによりゴムを外すときには、つけ忘れないように次に使うゴムをあらかじめ見える位置に用意しておくのも一つの方法です。
ゴムかけをさぼったら歯科医に伝えよう
歯科医はゴムかけの効果も予想しつつ、矯正治療の計画をしています。もしもさぼってしまったら、正直に歯科医に伝えましょう。
さぼってしまった理由により、歯科医からさぼらないためのアドバイスがあるかもしれません。
矯正のゴムかけの注意点
注意点として、最初に挙げられるのは時間です。見た目を気にして、「夜だけにしたい」といっても期待通りの効果は得られません。
基本的には一日の装着時間は18時間以上といわれていますが、口の中の状況は人それぞれです。歯科医が「夜だけ」と指示することもあります。歯科医の指示に従いましょう。
歯科医の指示通りに行う
装着時間もですが、他にも歯科医の指示に従うことがあります。その例を紹介します。
まず、指示された場所に指示されたようにゴムかけをすることが大切です。「やってみたら難しいためできる場所で…」など勝手に違う場所に装着してはいけません。
また、「早く矯正を終わらせたいから」とゴムを二重にしてかけるなどというのも、余計な力が入り過ぎて、矯正が完了するのがさらに遅くなることがあります。
歯科医の指示通りに行いましょう。
ゴムの交換頻度
食事・歯磨きのときには外すため、そのときがゴムの交換のタイミングです。
また、交換するときには新しいものを使います。衛生的な問題もありますが、一度使って伸びたゴムを使うと、ゴムの力が弱まり効果が期待できない場合があります。
ゴムかけの不安や悩みは歯科医に相談しよう
ゴムかけを始めてみると、実際に不安や悩みは出てきます。
ゴムかけが慣れないころ、学校にいる間は時間をかけて装着するのが難しい。子供の場合は親がどこまでサポートするべき?などライフスタイルに合わせて悩みも違います。
歯科医は矯正の知識はもちろん、多くの患者さんを診ています。そのため的確な回答やアドバイスをもっています。1人で悩まずに、相談しましょう。
また、慣れるまで痛いといわれますが、痛みの感じ方は人それぞれです。心配な場合は歯科医に相談しましょう。
まとめ
ゴムかけは痛みや違和感があったり、ひと手間かかったりと面倒な部分がありますが、歯並びを整えるために必要な装置です。
歯科医の指示通り、正しいゴムかけを行いきれいな歯並びを目指しましょう。