【監修:青山健一】
目 次
ワイヤー矯正でバンドという装置を使って矯正治療を行うときの、1番初めに行う作業になるセパレーションについて説明します。
ワイヤー矯正法は歯にブラケットという金属を取りつけ、そこにワイヤーを通して矯正する方法です。
バンドタイプの矯正では奥歯にワイヤーを固定するバンドと呼ばれる金属の装置を装着する必要があります。
このとき歯間にスペースを確保するためにセパレーションという作業が必要です。
セパレーションの特徴や注意点などを解りやすく解説していきます。矯正治療をご検討中の方は参考にしてください。
矯正で行うセパレーションの特徴
バンドタイプの矯正法は金属製のバンド(帯環たいかん)を奥歯にかぶせてワイヤーの固定源を作ります。
この治療法は歯に装着したブラケットにワイヤーを通してバンドに固定するため、かなり強力な矯正力を得ることが可能です。
バンドを歯に装着するには奥歯の両サイドにすき間を作る必要があり、そのすき間を作る作業をセパレーションといいます。
小さな輪ゴムのような形をしたセパレーターを歯の間に挟み、ゴムの反発力を利用して歯の間を広げる方法です。
この段階で歯が動きだすために多くの人は窮屈な感覚や、ときには強い痛みを感じる方がいます。
セパレーションの目的
セパレーションの目的は、厚みが約0.3mmのバンドを歯にかぶせるためのすき間を確保することです。
歯の間にセパレーターを装着してすき間を作るのですが、セパレーションをせずに装着しようとしても歯にすき間がないためにバンドをかぶせることができません。
もしかぶせることができても正しく装着ができないために強い痛みを伴うことがあります。
実施する場所
バンドは前から奥に向かって6番目の第一大臼歯にかぶせるため、セパレーターはその歯の両サイドの歯間に挟み込みます。
セパレーションは左右両方の第一大臼歯に装着する必要があり、そのためセパレーターは左右両方の奥歯に装着します。
バンドを装着すると食事の食べかすなどが溜まりやすくなり、虫歯の原因になるため歯磨きのときはしっかりと磨くように注意してください。
セパレーションの期間
セパレーターを装着する所要時間はおよそ10~20分程度ですが、歯の状態によっては歯垢を取り除いてから装着します。
セパレーションの期間は通常1週間から長くても2週間程度で、早いケースでは4~5日で終わることもあります。
歯にバンドを装着するためのすき間ができるのには個人差があり、そのためにセパレーションの期間に違いが生じるのです。
セパレーションで生じる悩み
セパレーションを行うときの悩みといえば、多くはセパレーターが外れることや歯が動くときに生じる圧迫感と痛みです。
セパレーターが外れるのは珍しいことではなく、担当医に診察を受けて再装着すれば特に大きな問題ではありません。
しかし強い痛みのせいで食べ物を咬むことができないため食事のときにつらい思いをする方がいらっしゃいます。
ここではセパレーション中に発生する問題について説明をしていきます。
痛みが強い
歯にセパレーターを装着すると多くの場合圧迫感や痛みが生じますが、この痛みはほとんど2~3日程度で治まります。
なかにはとても強い痛みを感じる方がいるため、セパレーションを開始した直後は特に注意が必要です。
矯正中に感じる痛みは通常の虫歯とはまったく違い、虫歯のときはズキズキとしたり水がしみるなど神経性の症状です。
セパレーションのときは歯に圧がかかるため強く締め付けられる感覚で、常に強い圧迫感があります。
あまり痛みがひどくて我慢できないときには担当の歯科医に連絡をして相談をしてください。
食べられるものが限られる
セパレーションの治療が始まると食事は食べられるものがある程度限られてきます。
痛みがあってもなくても注意が必要で、極力歯に負担がかからない食べ物を選んで食べるようにしてください。
痛みが無いからと硬いものを食べると、それが原因で痛みが発症したりひどくなってしまうことがあるので油断しないように注意が必要です。
外れることがある
セパレーターにはゴム製と金属のワイヤー製があり、ゴム製は比較的痛みが少ないというメリットがあるために通常はこちらを使用します
しかしゴム製は外れやすいというデメリットがあり、食事のときに間違って飲んでしまうことがよくありますが問題はありません。
ワイヤー製のセパレーターは外れにくいため仕事の都合で10日以上通院ができないときなどに使用します。
もし外れたときは必ず担当医に連絡をして指示をもらうようにしてください。
歯列矯正治療をご検討中の方は、下記のリンク先からインターネットの無料相談をご予約いただけます。お気軽にご利用ください。
セパレーションの痛みに耐えられないときの対処法
セパレーションを始めると人によりかなり強い痛みを感じる場合がありますが、これはセパレーターを装着すると歯が押されて動きだすときに発生する痛みです。
このときの痛みには個人差があるため、氷で冷やして和らげることで我慢できるようでしたら様子をみてください。
耐えられないほどの強い痛みを感じたときは、氷で冷やす程度ではおさまらないため別の方法で対処します。
強い痛みが生じたときの対処方法を説明します。ぜひ参考にしてください。
痛み止めを服用
セパレーターを装着して強い痛みが生じたときは痛み止めの薬を飲んで痛みを止めますが、必ず担当医に処方してもらった薬を飲むようにしてください。
治療中は強い痛みを感じる場合があるため、事前に担当医に相談をして薬を処方してもらうとよいでしょう。
セパレーションの期間中は担当医に処方してもらった痛み止めをいつでも服用できるように常時持っていると安心です。
セパレーションをしているときの食事
セパレーションをしているときは・硬い・粘着性が強い・繊維質が多いなどの食べ物は控えてください。
セパレーターを装着した直後は痛みが生じる場合が多く、特に硬いものを食べるとそれが原因で痛みが発生する可能性が高いため避けてください。
たとえ弱い痛みでも、硬いものを食べると痛みが強くなる危険があるため、セパレーションの治療中の食事は硬いものを避けて柔らかい物を食べるようにしてください。
どのような食事が良いか例をあげて説明をします。
柔らかい食べ物がおすすめ
痛みがあるときの食事はリゾット・ハンバーグ・つみれ・柔らかく煮込んだもの・うどん・おかゆなどがおすすめです。
痛みが強いときの食べ物はバナナ・イチゴなどのフルーツや、グラタン・豆腐などのように舌で押しつぶせる物を食べるようにしてください。
それでも痛みが強くて食事が困難なときはポタージュ・ヨーグルト・ゼリーなどの流動食になります。
歯に負担のかかるものは控えよう
基本的に水分を多く含んでいる食べ物は歯に負担が少ないため、痛みにつながる危険性が少なくおすすめです。
食事以外でもキャラメル・ガム・餅などは粘着力が強く、セパレーターにくっついて取れにくいため避けてください。
セパレーションをしているときに限らず、基本的に矯正中の食事は歯に負担が少ない食べ物がおすすめです。
セパレーションゴムが外れたら
セパレーション中にセパレーターが外れることは特に珍しいことではありません。
歯にバンドを装着するためのすき間ができると自然に外れるため、慌てずに口から取り出して担当医に連絡しましょう。
セパレーターが外れたときの対処法は歯科医により違うため、自分で勝手な判断をせずに必ず担当医の指示に従ってください。
飲み込んでも安全な素材
セパレーターはとても小さいため食事中に外れて飲み込んでしまったり、気づいたら無くなっていて飲み込んだか解らないことはよくあります。
たとえセパレーターを飲み込んでも人体に影響を与えない安全な材質で作られているため心配はありません。
セパレーターが外れたことを担当医に連絡をして次回の診察時に再度装着が必要か判断をしてもらってください。
その後は時間が経てば体内から排泄されるため問題はありません。
歯医者で再度装着してもらう
セパレーターが外れたときにバンドを装着するスペースが確保できていればよいのですが、まだ必要なスペース確保ができていないときは再度装着の必要があります。
次回の診察日が近い場合はそのときにセパレーターを装着しますが、次回の診察日まで日にちが空くときはそれまでに診察をして装着します。
セパレーターが外れた状態が10日以上になるとせっかくできたすき間が閉じてしまうことがあるため注意が必要です。
矯正のセパレーションの不安は歯科医に相談しよう
歯列矯正のセパレーションに関して疑問や不安があるときは、矯正歯科クリニックで矯正専門医に相談をして説明を受けてください。
矯正治療の痛みに関して不安で悩んでいる方も、まずは矯正歯科で相談をしてから判断をすることをおすすめします。
矯正歯科専門医院は豊富な経験と知識を持っているため、患者様にとって最善の治療方法を提案して治療に関する不安を取り除くことができます。
歯列矯正治療をご検討中の方は、下記のリンクからインターネットの無料相談をご予約いただけます。お気軽にご利用ください。
まとめ
ここまで歯列矯正治療を受けるときのセパレーションに関して詳しくご紹介しました。
セパレーションはバンドタイプの矯正治療を受けるときの初めに行う治療で、その目的は歯にすき間を作りバンドをかぶせやすくすることです。
セパレーションを始めると歯が動くために痛みが生じることが多く、強い痛みが発生したときは食事を変えるとか薬を飲むなどの対処法で痛みを最小限に抑えることができます。
もしあなたが矯正治療に不安を感じているのでしたら、まずは矯正専門医院で不安や悩みを相談することをおすすめします。